ハイスクールD×D ~復活のG~   作:さすらいの旅人

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あけましておめでとうございます。


第二十八話

 プールを過ごした夕方。

 

 オカ研の部室で俺とイッセーは正座をさせられ、リアスに叱られていた。何で俺まで……。

 

「まったく。エッチなイッセーはともかく、リューセーまであんな事をするなんて」

 

「だから違うって言ってんだろうが……!」

 

 プールの用具室でゼノヴィアがトンデモ発言した所為で、女性陣と男の祐斗が俺達を囲んでいるように立っている。ってかゼノヴィア、元凶のお前が正座しろよな。

 

「いや違うんだ。イッセーと隆誠先輩は私と子作りをしようと――」

 

「「いいからお前は黙っとれ!」」

 

 また余計な事を言おうとするゼノヴィアに俺とイッセーは揃って同じ台詞で怒鳴る。

 

 これ以上拗らせるような発言すんな。と言うか、聖書の神(わたし)もう怒っていいよね?

 

 いっその事、ゼノヴィアに俺の正体を教えてやろうかと本気で思い始めてると、突然外部からの魔力を感じた。

 

「随分と賑やかだね。何かのイベントかい?」

 

『っ!』

 

 すると、この場の誰でもない声が聞こえる。全員が声のした方向へ視線を移すと、そこには転移魔法陣を使って現れた魔王サーゼクス・ルシファー、その背後にメイド姿のグレイフィア・ルキフグスがいる。

 

「お、お兄さま!?」

 

 リアスが驚愕の声を出しながら、座っていたソファーから立ち上がる。

 

 そう、魔王サーゼクスはリアスの兄である。まさかこんな所で再会するとは。

 

 サーゼクスの登場にリアスの眷属たちである祐斗、小猫、朱乃はすぐに礼をするように跪く。俺とイッセーとアーシア、そしてゼノヴィアはやらずに立ち尽くしている。俺はする気が無いだけだが。

 

 俺はともかくイッセーとアーシアとゼノヴィアはサーゼクスに会ってないから、こうなるのは無理もない。

 

「兄貴、あの人が部長の……?」

 

 イッセーが確認するように俺に訊いてくる。

 

「ああ、そうだ。冥界の現魔王サーゼクス・ルシファー様だ」

 

「いいっ! お、俺も跪いたほうが……!」

 

「いや、その必要は無いだろう。あの格好から見て、魔王として来たわけじゃなさそうだし」

 

「ちょ、ちょっとリューセー!」

 

 俺の発言にリアスが俺を窘めようとするが、サーゼクスが待ったをかけようとする。

 

「隆誠くんの言うとおりだよ、リアス。今日はプライベートで来ている」

 

 かしこまらなくていいと促すサーゼクス。それを見た祐斗達は従うように立ち上がった。

 

 次にサーゼクスは俺に視線を移して話しかけようとする。

 

「やあ隆誠くん、久しぶりだね。こうして面と向かい合って話すのはレーティングゲーム以来かな?」

 

「どうも。この前はありがとうございました。貴方のお蔭で面倒な事にならずに助かりましたよ」

 

「気にしないでくれ。寧ろ私の方からお礼を言いたい位だ。君や弟くんがいなかったら、この町は無くなっていたかもしれないからね」

 

 コカビエルと戦う前、俺は魔王サーゼクスに冥界の貴族悪魔達が後々出しゃばらない為に圧力を掛けるよう依頼した経緯がある。サーゼクスとの繋がりが無かったら、俺やイッセーは貴族悪魔共に狙われ続けていたからな。非常に助かったよ。

 

「兵藤一誠くんにアーシア・アルジェント、君たちと話すのは初めてだったね。リアスが世話になっている。リアスの眷族候補とは言え、優秀な『兵士(ポーン)』と『僧侶(ビショップ)』がいてくれて嬉しく思うよ」

 

「いや、ゆ、優秀だなんて……」

 

「そ、そんな!」

 

 サーゼクスからの高評価に戸惑うイッセーとアーシア。レーティングゲームでイッセーはライザー達を圧倒し、アーシアはサポートとしてリアスに迫ろうとするライザーの動きを封じたからな。サーゼクスにとっては素晴らしいものだと思っているんだろう。

 

「あなたが魔王か。はじめまして、ゼノヴィアと言う者だ」

 

 二人の戸惑いを余所に、さっきまで立ち尽くしていたゼノヴィアが話しかける。リアスの眷族であるにも拘らず、魔王に対して敬語を使ってない。けれど当のサーゼクスは全く気にせずフランクに接しようとする。

 

「ごきげんよう、ゼノヴィア。デュランダルの使い手が、我が妹の眷族になるとは……最初に聞いたときは耳を疑ったよ」

 

「私も悪魔になるとは我ながら大胆な事をしたと思う。今でもたまに後悔している。……うん、そうだ。どうして私は悪魔になったんだろうか? やけくそ? いや、だが、あのときは、アレ? ええと……」

 

 おいおいゼノヴィア、言ってる最中に頭を抱えて考え込むなよ。全くこの子と来たら……はぁっ。

 

 俺が呆れていると、サーゼクスは愉快そうに笑っている。

 

「ハハハ、妹の眷族は楽しい者が多くていい。ゼノヴィア、どうかリアスの眷族としてグレモリーを支えて欲しい」

 

「伝説の魔王ルシファーにそこまで言われては私も後には引けないな。やれるところまでやらせてもらう」

 

「ありがとう」

 

 ゼノヴィアの言葉を聞いたサーゼクスは優しく微笑ながら礼を言う。その微笑みは妹のリアスとそっくりだ。流石はご兄妹。

 

「ところでお兄さま、どうしてここへ?」

 

 本題に入るようにリアスが怪訝そうに訊く。確かにプライベートとは言え、魔王が人間界の学び舎の部室に来るのは些か疑問だ。けれど俺はサーゼクスがココに来た理由は分かっていた。

 

「隆誠くんから聞いたよ、リアス。授業参観が近いのだろう? 私も参加しようと思っていてね。是非とも妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ」

 

 やはり授業参観目的で来たようだ。流石はシスコン魔王。

 

 そういえばウチのところも父さんが滅多に使わない有給を取ってまで授業参観に参加すると張り切っていたな。あと母さんも。

 

 理由は分かる。娘同然となってるアーシアの授業風景を見たい為だ。ウチの両親はアーシア関連の事となるとお祭り騒ぎだからな。ま、それは俺にも言える事だけど。

 

「リューセー! あなた、お兄さまになんて事を教えたのよ!?」

 

 授業参観を教えた元凶が俺である事を知ったリアスは凄い剣幕で俺に問い詰めようとする。

 

「すまんすまん。この学園の理事長がサーゼクス様だったから、俺はもうてっきり知ってるかと思って」

 

「それはあくまで肩書きだけで、お兄さまは学園自体に関わってないのよ!」

 

 あら、そうだったの。そりゃあ(リアスに)悪い事をしてしまったな。

 

「こらこらリアス、隆誠くんを責め立てるのはお門違いだよ。それに彼が教えなくても、どの道グレイフィアが私に報告することになっているからね」

 

 サーゼクスが俺をフォローするように言うと、リアスは諦めたように嘆息する。

 

 この反応からして、どうやらリアスは授業参観に乗り気じゃ無さそうだな。

 

「それに私は魔王職が激務であろうと、休暇を入れてでも妹の授業参観に参加したかったのだよ。安心しなさい。父上もちゃんと来る」

 

 おいおい、グレモリー卿も来るのか。あの当主はこの前のレーティングゲーム後に、フェニックス卿と張り合うようにイッセーを娘婿とする為の争奪戦をしてたからな。イッセーに会って早々縁談話を持ち込まなければ良いんだが。

 

「だ、だからと言って、お兄さまは魔王なのですよ? 仕事を放り出してくるなんて……」

 

 まぁ確かにリアスの言うとおりだ。いくら身内とは言え、魔王がいち悪魔のリアスを特別視する訳にはいかないよな。

 

 けれど、サーゼクスは首を横に振る。

 

「いやいや、これは仕事でもあるんだよ。三大勢力のトップ会談を、この学園で執り行おうと思っていてね」

 

 おいおいマジかよ。これは俺も冗談抜きで驚いた。と言うか俺だけじゃなく、リアス達も驚愕してるし。

 

「こ、この駒王学園で!? 本当に?」

 

「勿論だとも。この学園には様々な縁があるからね。特に強大な力を持っている兵藤隆誠くん――赤龍帝の兄が常に中心となっている」

 

 さっきまでとは打って変わるように真剣な目で俺を見てくるサーゼクス。そんなに見つめられてもねぇ。

 

「ちょっとちょっとサーゼクス様、それは買いかぶり過ぎですよ。俺はそこまで大した人間では――」

 

「キミは自分を過小評価し過ぎではないかね? 相手が弟とは言っても伝説の赤龍帝を従わせ、悪魔のリアス達を強くさせる為の修行もさせ、更には指名手配中の夢魔(サキュバス)エリガン・アルスランドや堕天使コカビエルを倒せる実力まで持っている。そんな凄い経歴を持った人間を、長い年月をもって生きてきた私ですら今まで見たことも聞いたこともない」

 

 サーゼクスの言い分にリアス達だけでなく、弟のイッセーすらもウンウンと頷いていた。お前等なぁ……。

 

「リアスから聞いているだろうが、会談の際に隆誠くんは人間代表として我々三大勢力のトップと同じテーブルに座ってもらいたい。そして人間の一誠君とアーシアには隆誠くんの側近と言う立場上で参加してもらうよ」

 

「イッセーとアーシアが俺の側近って……。俺はまだしも、その二人はリアスの眷族候補ですよ?」

 

「確かにそうだが、それでも二人は未だ人間のままだ。完全な悪魔になっているならまだしも、転生すらしてない二人は正式なリアスの眷族とは言えないよ。それはリアスも充分に分かっている筈だ」

 

 お~お~、大事な妹の目の前でバッサリと言っちゃってまぁ。それを聞いたリアスは悔しそうな顔をしているよ。

 

 けれどサーゼクスの発言は強ち間違っちゃいないな。悪魔と言うのはルールや仕来たりを絶対遵守する生き物だから、例外的なことを認めるのは滅多に無い。

 

 眷族候補と言う中途半端な状態で、いかにリアスが自身の眷族だと声高に叫んでも、周囲の悪魔は絶対に認めないだろう。益してや悪魔業界トップの魔王サーゼクスですら、いくら身内と言えども立場上認める訳にはいかない。特に(まつりごと)に関しては。

 

 ライザーとのレーティングゲームで眷族候補のイッセーとアーシアが例外として参加出来たのは、『(キング)』であるリアスとライザーの両者が承諾したからこそだ。加えてアレは非公式なレーティングゲームな上に、(まつりごと)とは大して関わりの無い一族同士の縁談だった。それ故に二人は参加出来た。

 

 だが今回のトップ会談はソレと全く別物。思いっきり(まつりごと)に関わってるだけじゃなく、天使や堕天使との正式な外交でもある。故にイッセーとアーシアは悪魔側として参加する事が出来ない。

 

 だから二人を人間代表である俺の側近としてトップ会談に参加させようって事か。恐らく天使や堕天使側もそう望んでいるんだろうな。どの勢力にも所属していない俺やイッセー達を引き抜く為に。

 

「隆誠くん、キミや一誠くんはコカビエルの一件で我々悪魔だけでなく、天使や堕天使からも無視出来ない存在となってしまっている。我々としては是非とも出席してもらいたい。今回のトップ会談でキミ達の命運を左右すると言っても過言じゃない」

 

 俺の返答次第では下手したら三大勢力と戦う事になるってか?

 

 ………ったく。聖書の神(わたし)はもう(まつりごと)に関わりたくなかったんだが……イッセー達や家族の命が掛かっているから、そうも言ってられないな。

 

「……分かりました。俺が人間代表で出るとしましょう。そちらの言うとおり、イッセーとアーシアは俺の側近と言う事で」

 

「ありがとう」

 

 俺の返答を聞いたサーゼクスは安堵するように礼を言ってくる。

 

「さて、これ以上の話をここでしても仕方がない。隆誠くん、突然で申し訳ないんだが、例の報酬を今頼んでも良いかな?」

 

『?』

 

 サーゼクスが言う報酬に、リアス達は揃って首を傾げていた。

 

 ソレを聞いた俺は思わず苦笑するも、すぐに返答する。

 

「ええ、勿論構いませんよ」

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