ハイスクールD×D ~復活のG~   作:さすらいの旅人

42 / 60
 活動報告では行き詰って他の作品を書くと言いましたが、中途半端な状態で放置するのはどうかと思って何とか書きました。


第三十九話

「ではお答えします。こちらの返答は………どこの勢力にも属しません。謂わば中立と言ったところでしょうか」

 

 俺の返答を聞いたアザゼルは顔を顰め、ミカエルは悲しそうな顔をしている。協力関係である悪魔側のサーゼクスとセラフォルーも残念そうに嘆息し、二人の背後に控えてるリアスが凄く哀しそうな表情をしていた。

 

「おいおい、中立なんて一体どういうつもりだ? 俺らが提示した待遇に何か不満でもあったか?」

 

「待遇に関して一切不満はありませんよ、アザゼル様。ただ単に、どの勢力にも属さない理由がいくつかありましてね」

 

「その理由とは?」

 

 俺の発言を聞いたミカエルがすぐに尋ねる。

 

「先ず天使側ですが、嘗て聖女と呼ばれたアーシア・アルジェントを、魔女と異端認定させた挙句に追放した前歴があります。そちらに色々な事情があったとは言え、我々を引き入れる為にそれを無かった事にするなんて身勝手も甚だしいです。他にも『聖剣計画』の首謀者であるバルパー・ガリレイを罰しておきながらも、奴の研究を利用してたミカエル様たち天使にも若干不信感があります」

 

「それは……確かにあなたの仰るとおりですね」

 

 過去に天使達がやってきた事を理由として言うと、流石のミカエルも言い返すことが出来ずに少々落ち込んでいる様子だ。

 

 アーシアを追放した理由は大体分かる。聖書の神(わたし)が作った『システム』に悪影響を及ぼさない為にアーシアを遠ざけたんだと思う。『悪魔と堕天使を回復できる神器(セイクリッド・ギア)――聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』は危険、と言う感じで。そうでなければ敬虔なシスターであるアーシアを追放しない訳がない。

 

 これでもし見苦しい言い訳なんぞしたら、聖書の神(わたし)はミカエルを見限らせてもらう。いかに天界や教会の為に行ったとは言え、非人道的な事をしておいて見過ごすなど聖書の神(わたし)は決して許さない。

 

「次に堕天使側はハッキリ言ってあまり信用出来ません。コカビエルの件以外で、以前レイナーレと言う女堕天使が駒王町にやって来ては、こちらに迷惑を掛けられた経緯がありましてね。その女堕天使はあろうことか、俺たちの知り合いと言う理由で一般人を人質にしたんですよ。教会によって追放したアーシアの神器(セイクリッド・ギア)を手に入れようとする為に、ね。アザゼル様には申し訳ありませんが、ご自分の部下達の暴走を抑える事が出来てない時点で除外せざるを得ないんですよ」

 

「………はぁっ。部下の独断とは言え、否定できねぇな。まぁ確かに、おまえさんが堕天使(おれ)たちを信用しないのは無理もねぇな」

 

 諦めざるを得ないと言うように嘆息するアザゼル。

 

 因みにレイナーレは夢魔(サキュバス)のエリーによって殺されている。アイツがどう言う理由でレイナーレに近づいた真の理由は未だに分からない。碌でもない事なのは確かだと思うが。

 

 あと理由は他にもある。アザゼルの背後に控えてる白龍皇のヴァーリだ。あの男はさっきからずっと俺を見ながら好戦的な笑みを浮かべている。状況次第ではすぐにでも俺と戦いそうな雰囲気だ。何のつもりでああなってるのかは知らんが。

 

「最後に悪魔側ですが、ただでさえ協力関係になって世話にもなってると言うのに、人間の俺達がこれ以上の厚待遇を受けると後々面倒な事になります。魔王様やリアス達のような友好的に人間と接する悪魔はまだ良いとしても、人間を下等な存在と見下してる貴族悪魔達から何言われるか分かったもんじゃありません。現に俺は貴族悪魔達を見て、全く信用出来ない連中であったと酷く痛感しましたから。もしコカビエルと戦う前にサーゼクス様の助力がなかったら、危うく面倒な事になりそうでしたし」

 

「……何とも耳が痛い理由だ。確かに隆誠くんの言うとおり、彼らの事を考えれば仕方ないな」

 

「残念だけど、諦めるしかないね」

 

 悪魔側に所属出来ない理由が貴族悪魔である事に頭を悩ませるサーゼクスとセラフォルー。まさかここで、あの連中に足を引っ張られる事になるとは思いも寄らなかったんだろう。

 

 三大勢力に所属しない理由は大体言ったが、ぶっちゃけ今の俺、もとい聖書の神(わたし)は初めからどこにも所属する気なんてない。まだ正体はバレてないが、もし俺が聖書の神(わたし)だったと正体が発覚して何処かの勢力に入ってしまえば、色々と面倒な事が起きてしまう。

 

 天使側へ行ったら、ミカエル達が聖書の神(わたし)を再び天界の長にさせるかもしれないからだ。そして悪魔と堕天使を滅ぼそうと天使や信徒が躍起になって戦争を再開させる恐れがある。だからダメ。

 

 堕天使側だったら、天使達が聖書の神(わたし)を取り戻そうとあの手この手を使って堕天使との戦争になってしまう。それもダメ。

 

 最後に悪魔側となれば、殆どさっきと同じ理由で天使と悪魔の戦争になるのがオチだ。これもダメ。

 

 以上の事から、聖書の神(わたし)がどの道、どこの勢力に所属しようが確実に争いが起きる訳である。元とは言え、天界のトップだった聖書の神(わたし)はそれだけ影響力の強い存在だ。言っておくが、決して自惚れてる訳ではない。

 

「どこにも所属しないってんなら、おまえさんはこの先一体どうするつもりだ? まさか人間を中心とした新たなる勢力でも作る気じゃねぇだろうな?」

 

「そんな気はありませんよ、アザゼル様。強いて言うなら………そうですね。こちらが提示する条件を皆様が守って頂けるなら、我々人間側は和平を結ぶ三大勢力の協力者になりましょう。謂わば助っ人と言うやつです」

 

「助っ人だぁ? 俺らからの勧誘を蹴っといて、条件を出すとは随分と大きく出るじゃねぇか」

 

 厚かましいと思っているのか、アザゼルは顔を顰めながらそう言ってくる。

 

 確かに三大勢力のトップが提示した厚待遇な条件を断っておいて、こちらから条件を出されるのは余り気分の良いものではないだろう。

 

「条件と言ってもそんな大したものじゃありませんよ。三大勢力は『俺の家族や関係者達、そして無関係な一般人達には一切手を出さない』、と言うのが条件です。それさえ守ってくれればいくらでも協力しますよ。まぁ、状況によっては協力に見合う報酬を要求するかもしれませんが」

 

「………おい、そんな条件だけで良いのかよ。おまえさん、人間にしては欲が無さすぎにも程があるぞ。いくら学生だからって、俺らが提示した地位や援助をアッサリと断るなんざ普通に考えてありえねぇだろ」

 

 呆れるように言うアザゼルだけでなく、ミカエルやサーゼクス、そしてリアス達も唖然とした様子だった。ヴァーリは何を考えてるのかは分からないが、少し目を見開いていた。

 

「それはアザゼル様達にも言えることですよ。いくら勧誘の為とは言え、学生である俺達に対して余りにも破格な好条件を出してますし。『旨い事は二度考えよ』、という人間界の諺がありますからね」

 

 聖書の神(わたし)は別にアザゼル達を信用してない訳ではない。だがもし俺達がトップの側近になってしまったら、アザゼルやミカエルの配下から要らん敵を作る事になってしまう。

 

 俺達が力を持ってるとは言え、あそこまでの厚待遇な扱いをされたら必ず配下たちから妬まれたり、敵意を抱かれることになってしまう。俺はまだ大丈夫としても、イッセーやアーシアにはそんな目に遭って欲しくはない。

 

「……はぁっ、言われてみりゃ確かにそうだな。俺やミカエルに不信感を抱いてる今のおまえさんが、そう簡単に乗るわけねぇな。で、俺たちに対する不信感を解消する為には、おまえさんが言った条件を守ればいいって事か?」

 

「ええ、それを徹底して下されば何の文句はありません。好条件を出してくれた皆様には大変申し訳ありませんが、俺としては今のままで充分に満足していますので」

 

 (イッセー)の修行や妹分(アーシア)守護(ガード)、そして平穏な生活こそが今の聖書の神(わたし)にとっての幸せな時間だ。それを壊すような事はしたくない。

 

「だそうだ、ミカエルにサーゼクス。兵藤隆誠がこう言ってる以上、どうする? 先に言っておくが、俺はこいつの条件を守るぞ」

 

「勿論私もその条件を守らせていただきます。信用を得る為には行動で示さなければいけませんから」

 

「私もミカエル殿と同じだ、アザゼル」

 

 三大勢力トップの決定により、俺たち人間側は中立的な立場となった。尤も、それはあくまで俺と(コチラ側の事情を知ってる)俺の関係者だけに過ぎないが。

 

「さて、そろそろ他の奴らにも訊こうか。三竦みの外側にいながら世界を動かす力を持っている二人――赤龍帝に白龍皇、お前らの意見も訊きたい」

 

 けれどアザゼルはまだ話があるらしく、次にイッセーとヴァーリに問いかけようとする。

 

 その問い掛けにヴァーリは笑みを浮かべながら、訊くまでもないと言うような感じで答えようとする。

 

「俺は強い奴と戦えればいいさ」

 

「ふっ。戦争しなくたって強い奴はごまんと居るさ」

 

「だろうな」

 

 そう言ったヴァーリは再び俺に視線を向けてくる。

 

 ヴァーリの奴、さっきから俺ばっかり見ているが一体どう言うつもりだ?

 

 ああしてくるって事は、俺と戦いたいと言う意思表示か? だとしても俺にそんな気は無いんだが。

 

「じゃあ、赤龍帝、おまえはどうだ?」

 

 突然呼ばれたことにイッセーは頬を掻きながら答えようとする。

 

「えっと……俺は別に世界をどうこうしようなんて気はないですし、兄貴と同じく今の生活を続けられるなら平和が一番かと……」

 

「そう言っておきながらも、また少し腕を上げたようだな。世界を動かすだけの力を秘めた者の一人であるおまえが言っても、とても説得力がないぞ」

 

「それは単に俺が兄貴に頼んで厳しい修行をしてもらってるからですよ。そこにいる白龍皇と戦えるように」

 

「ほう」

 

 台詞に惹かれたのか、ヴァーリは笑みを浮かべたままイッセーに視線を向ける。

 

「お望みなら俺は今すぐにでも戦ってもいいぞ。どんな修行をしたのかは知らないが、学園で会った時よりまた一段と腕を上げたキミと戦うのも――」

 

「自重しろ、ヴァーリ。折角和平が成立したってのに、おまえの行動で無駄にさせるな」

 

 ヴァーリが言ってる最中にアザゼルが少し声を低くして窘めようとする。

 

「向こうはいつでも俺と戦えるように修行しているんだ。別に構わないだろう?」

 

「止めてもらおうか、白龍皇。そうしたら君はイッセーだけじゃなく俺と戦うことになる。先に言っておくが、今の君では絶対に俺を倒すことは出来ない。俺は君を確実に倒せる対処法を持ってるからな」

 

「なに?」

 

 対処法があると聞いたヴァーリが信じられないように俺を見てくる。サーゼクス達や背後に控えてるリアス達も同様に。

 

 その対処法とはヴァーリが禁手(バランス・ブレイカー)を使ったら、聖書の神(わたし)の力を使って神器(セイクリッド・ギア)を即座に無効化(キャンセル)させることだ。聖書の神(わたし)だったら問題ないが、人間となった兵藤隆誠(おれ)だとオーラをかなり消費する事になるが。

 

「随分と大きく出たな。おまえさん、一体どんな対処法でヴァーリを倒すつもりだ?」

 

「それを易々と教えるほど、俺はそこまでお人好しではありませんので」

 

「何だよ。折角同盟を結んだんだから、ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃねぇか」

 

「いくら同盟関係だからって、そう簡単に手の内は晒せませんよ」

 

 本当ならこの場で『閃光(ブレイザー・)と暗(シャイニング・)黒の龍(オア・ダークネス)絶剣(・ブレード)』総督と言うアザゼルの黒歴史をぶちまけたい。けれどミカエル達がいる手前で言うのは流石に酷だから止めておく。

 

 アザゼルはこれ以上俺に訊いても教えてくれないと判断したのか、すぐにまたイッセーに再度問おうとする。

 

「まあいい。赤龍帝、再度確認するが、おまえは今後世界をどうこうする気は無いんだな?」

 

「無いですよ。平和が一番です」

 

「平和じゃないとイッセー曰く、『大事な女』と一緒にいられないからな」

 

「そうそう……って何言わせるんだバカ兄貴!!」

 

 俺が少し茶化すように言うと、イッセーが頷いてる途中で顔を赤らめながら怒鳴ってきた。それを聞いたリアスが顔を真っ赤に上気している。恐らく後ろにいるアーシアもリアスと同じく真っ赤だろう。

 

 因みにサーゼクスは小さく笑っていた。将来の義弟(おとうと)になるであろうイッセーに対して。

 

「なるほど、そっちが目的だったか。確かに女と一緒にいたいよなぁ。いかに赤龍帝でもそっちの方が良いよなぁ。特に種の存続と繁栄の為の子作りとか、な」

 

「ほ、ほっとけ! アンタには関係ねぇだろうが!」

 

 リアスとアーシアの反応を見たアザゼルがニヤニヤしながら意味深な台詞を言う。イッセーがアザゼルに口汚く言っても、当の本人は気を悪くしないどころか愉快そうな笑みをうかべていた。

 

「それでアザゼル様、赤龍帝(おとうと)が和平に賛成してる事は理解出来ましたか?」

 

「まぁな。だがもう一つ確認しておきたいことがある」

 

 まだあるのかよ。和平が決まったんならそろそろお開きにして欲しいんだが。

 

 アザゼルが今度何を確認するのかと内心顰めていると――

 

「兵藤隆誠、おまえさんは一体何者なんだ?」

 

 いきなり真剣な表情で俺を名指しして質問された。急に場の空気が変わった事に俺は少し面食らってしまう。

 

「………いきなりですね。何者と言われても俺はただの人間で――」

 

「そういう冗談は無しにしてくれ。ただの人間が神器(セイクリッド・ギア)も使わずに天使の力を使えるなんざありえねぇよ。確かリアス・グレモリーの報告で、おまえさんは何故かその力を使えるとか言ってたな。悪いが俺はそれだけじゃとても信じられねぇ」

 

 やはりアザゼルは初めから俺にかなり疑問を抱いていたようだ。俺が使う聖書の神(わたし)の力に対して。

 

「理解して使えるとは入っても、天使や堕天使(おれたち)能力(ちから)は人間がそう簡単に扱えるものじゃない。人間にとってその力は諸刃の剣だ。使い過ぎると下手したら廃人、もしくは死んでしまう恐れがある。だが何の問題も無く能力(ちから)を使い続けてるおまえさんは、“人間”と言うカテゴリから外れる。如何に優れた人間でも、二十歳(はたち)にも満たしてない学生が易々と使える物じゃない。これはあくまで俺の推測で何の確証もないが、おまえさんは何らかの方法で人間に憑依した上位の天使、もしくは幹部級の堕天使なんじゃないかと俺は思ってる。理由としては、人間が絶対に知り得ない筈である俺の過去の一部を知ってたからな。そう考えなきゃ、どうあっても辻褄が合わないんだよ」

 

「…………………」

 

 黙って聞いてる俺に、アザゼルの推測を聞いた全員が様々な表情をしながら注視していた。背後にいるイッセーやアーシアからの視線も痛く感じる。

 

 ………間違いはあるが、我が息子ながら中々鋭い読みだ。中途半端とは言え、やはりイッセーにアザゼルの黒歴史の一部を言うんじゃなかったな。

 

 恐らくアザゼルはそれが決定的な証拠となっているんだろう。アイツの言うとおり、アザゼルの黒歴史は人間が絶対に知りえないものだ。

 

 全く。正体を知られたくないのに、バレてしまう要素をペラペラと喋ってしまう自分の迂闊さに腹が立つよ。

 

 今のアザゼルに惚け続けて何とか凌ぐ、なんて事は出来ないだろう。もし凌いだとしても、アザゼルの事だから今後俺の事を徹底的に調べると思うし。

 

 そう考えると、もう下手な嘘で誤魔化す事は出来ないな。こうなったら……。

 

「…………………」

 

「何だ? 黙り込んでるってことは、もしかして俺の推測は当たってたのか?」

 

「………アザゼル様。その推測を訂正するのでしたら、二点ほどあります」

 

「?」

 

 ダンマリとなってた俺が言うと、アザゼルは訝るように目を細める。

 

「先ず一つ目。確かに俺は貴方様の仰るとおり普通の人間ではありませんが、憑依した天使でもなければ堕天使でもありません。ごく普通の一般家庭で生まれた人間です」

 

「ほう。じゃあ二つ目は?」

 

能力(ちから)と記憶に関してです。俺がアザゼル様が仰ったリスクもなく使えたり、アザゼル様の過去の一部を知っているのは、あるお方(・・・・)からの力と記憶を受け継いだのです」

 

「あるお方だと?」

 

「ええ。皆様もよく知っているお方です。アザゼル様やミカエル様が特に馴染み深いお方から」

 

「そのお方とは、一体どなたの事を言ってるのですか?」

 

 ずっと黙っていたミカエルも気になったのか、俺に早く答えて欲しい様子で答えを催促してくる。

 

 そして――

 

「『聖書の神』です」

 

『なっ!?』

 

 聖書の神(わたし)の名を告げた途端、全員が揃って驚愕の声を出した。




 次の更新は別作品にしますので、こっちの更新はいつも以上に延びますので悪しからず。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。