ハイスクールD×D ~復活のG~   作:さすらいの旅人

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やっと最終話です、


第五十二話

 駒王協定が結ばれ、再び日常生活を送ることになった俺達だったが――

 

「てな訳で、今日からこの俺がオカルト研究部の顧問になることになった。アザゼル先生と呼べ」

 

 着崩したスーツ姿のアザゼルがオカルト研究部の部室にいた。

 

「……リューセー、これはどういうことなの?」

 

 事情を知っていると思ったのかリアスが睨みながら尋ねてくる。

 

「何で俺に訊くんだよ。言っとくが俺も初めて聞いたからな。ってかアザゼル、顧問になれたのはサーゼクスに頼んだからか?」

 

「そのサーゼクスからセラフォルーの妹に頼めって言われたんだ」

 

 あ、今の返答で何となく分かった。

 

 恐らくアザゼルはソーナに『自分を顧問にさせなかったら代わりにセラフォルーが学園に来る』と脅したんだと思う。でなければ、あのソーナがそう簡単にアザゼルを顧問にする事を了承しない筈だ。

 

 ま、ソーナとしても悩みの種の一つであるセラフォルーが学園に来て欲しくないから、自分の安全を守る為にオカ研を売ったんだろうけど。

 

「ところで、その腕は? 俺の記憶が正しければ、確か片腕失ってましたよね?」

 

 アザゼルを見て気になっていたイッセーが腕を指しながら問う。確かにイッセーの言うとおりアザゼルは片腕を失っていた筈だ。けれど今は何故かあるから、イッセーが気にならない訳がない。

 

「ああ、これか。神器(セイクリッド・ギア)研究のついでに作った万能アームだ。一度、こう言うのを装備したかったんだ」

 

 

 バシュッ!

 

 

 アザゼルの左手が飛び出した。部室の中を好き勝手に飛び回ってるのを見た俺は、まるで一種のロケットパンチだなと思った。

 

「まあ但し、俺がこの学園に滞在するのにサーゼクスから条件を課せられた。その条件はお前たちの未成熟な神器(セイクリッド・ギア)を正しく成長させることだ。『双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』に『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』。俺の研究成果を叩き込んで独自の進化を模索している」

 

「あれ? 俺とアーシアの神器(セイクリッド・ギア)は?」

 

「本当だったら俺がまとめてやりたいところだったが、そっちは聖書の神(おやじ)――リューセーがやる事になってる」

 

「当然だ。いくらアザゼルでもそこだけは絶対譲らん」

 

 (イッセー)(アーシア)神器(セイクリッド・ギア)聖書の神(わたし)が見るって決めてるからな。

 

 因みにアザゼルは俺の事をリューセーと呼ぶように言ってる。人間の兵藤隆誠のままでも聖書の神(おやじ)と呼ばれるわけにはいかないからな。

 

「あ、やっぱりそうなるんだ」

 

「ううう……私がこれからも主に……リューセーさんに見てもらうだなんて。なんか恐れ多いですぅ……」

 

 分かりきったように苦笑するイッセー、今後のことを考えて震えているアーシア。

 

「アーシア、私はキミを心底羨ましく思うよ」

 

「僕としてはイッセーくんが羨ましいよ。聖書の神とか関係なく、これからもリューセーさんに鍛えられるからね」

 

 イッセーとアーシアを複雑な気持ちで見るゼノヴィアと祐斗。

 

 すると、アザゼルが少しばかり呆れるような感じで苦笑している。

 

「ったく。聖書の神ともあろうお方が、そんな依怙(えこ)贔屓(ひいき)していいのか? 教会連中や天使達が聞いたら絶対黙ってねぇぞ」

 

「今の俺は兵藤隆誠でもあるからな。なにぶん人間に転生した為か、つい家族を優先してしまうんだよ」

 

「……リューセー、間違ってもアイツ等の前で言うんじゃねぇぞ。もう天界のトップじゃないとはいえ、聖書の神(おやじ)は今でも世界を動かせる存在の一人なんだからな」

 

「分かってるよ。いくら聖書の神(わたし)が今は人間だからって、それ位の分別はつけてる」

 

 だからそんな真剣な顔をして忠告しなくても良いっての。

 

「そう言えば、アザゼルが来たって事は天使側からも誰かが来るのか?」

 

「いいや。あっちは色々と忙しいみたいだ。っていうか聖書の神(おやじ)がミカエルに説教してた時に言ってたじゃねぇか。『自分に会う為に適当な理由で駒王町には来るな』って」

 

 そう言われりゃそうだった。ああでもしないとミカエルや他の天使達は大勢で駒王町に来そうだと思い、敢えてキツく言ったんだった。

 

「ま、いずれ厳選した教会側のスタッフの一人をコッチへ派遣させるそうだ。ミカエルは俺の事を未だに信用してねぇみたいだし」

 

「だろうな」

 

 スタッフが来る、ねぇ。俺としては是非とも幼馴染である紫藤イリナを指名したいが……聖書の神(わたし)が言えばミカエル達は通してくれるかな?

 

 と言うか是非ともイリナが来て欲しい。もし俺の正体を知ってゼノヴィアと同じ事をされたら堪ったもんじゃないし。

 

「とまあ、これからよろしくな、リアス・グレモリー」

 

「ちょっ、よろしくって……! 私はまだ納得してないわよ!」

 

 用件を全て言ってアザゼルは部室を出ながらリアスにそう言うも、彼女は未だに納得しない様子で憤慨する。

 

 すると、アザゼルが何かを思い出したのか足を止めて振り返る。

 

「おっと忘れてた。サーゼクスから伝言を頼まれてたんだった」

 

「お兄さまから?」

 

 サーゼクスの名前が出た途端、さっきまで憤慨していたリアスが急に落ち着いた顔になる。

 

「サーゼクスが以前兵藤兄弟の家に泊まった時、眷族のスキンシップの重要性を知ったそうだ。特に赤龍帝、おまえの力にとって必要不可欠のようだからな」

 

「え、えっと、全然言ってる意味が分かんないんですけど……」

 

 うん。聖書の神(わたし)も全然分からん。サーゼクスは一体何が言いたいんだ?

 

 イッセーや俺が不可解な顔をしても、アザゼルは気にせず続ける。

 

「魔王サーゼクス・ルシファーの名において命ずる。オカルト研究部女子部員は全員、兵藤兄弟――特に弟の兵藤一誠と生活を共にすること、だとさ」

 

 あ、そう言う事ね。サーゼクスの意図が何となく分かったよ。

 

 

 

 

 

 

「お邪魔するわ、ヴァーリくん。まだ怪我が治ってないみたいね」

 

「………エリガン・アルスランドか。何の用だ?」

 

「そう身構えなくてもいいわよ。別に君と戦いにきたわけじゃないんだから」

 

「意外だな。兄のラディガン・アルスランドを見殺しにした俺を恨んでいると思っていたんだが……」

 

「まさか。恨むどころか清々してるわ。寧ろ感謝したいぐらいよ」

 

「……とても身内に対しての発言とは思えないな。確か聞いた話では、あなたとラディガンは兄妹でありながらも愛し合っていたそうだが」

 

「そんなのはもう昔の話よ。今の私はダーリン――兵藤隆誠にしか興味ないの」

 

「その兵藤隆誠の正体が、人間に転生した『聖書の神』だと知ってもか?」

 

「関係無いわ。私は兵藤隆誠(ダーリン)の強さと人柄に惚れてるの。死んだラディガン(にい)さまなんかとは比べ物にならないほどに、ね」

 

「…………………」

 

「だけどそのダーリンが本来の力を取り戻した所為で、今の私では実力差があり過ぎて勝つ事が出来ない。そこで君にお願いが――」

 

「断る。俺はあなたの願いに付き合うほど暇ではない」

 

「そう邪険にしないで話は最後まで聞いて。君にとっても悪くないものよ。私のお願いは――ヴァーリくんに私の修行相手になってほしいの」

 

「……俺があなたの修行相手、だと? 一体何を企んでいる?」

 

「企んでなんかいないわ。これは表も裏も無い純粋なお願いよ。一人で修行するより、誰かと組んだ方が効率よく強くなると思ったからね」

 

「俺よりシャルバ・ベルゼブブやクルゼレイ・アスモデウスにでも頼んだらどうだ? 彼等ならあなたの頼みを聞いてくれると思うが」

 

「無理よ。あの二人は修行を低俗なモノとしか見てないから。それにオーフィスの蛇を得て強くなったと自惚れてる旧魔王(おバカさん)達と違って、自力で強くなろうとする旧魔王の孫であるヴァーリ・ルシファーの方が良いのよ」

 

「そんな上辺の言葉だけでは信じられないな」

 

「でしょうね。言っておくけど、私は別に君と仲良くする為に修行しようだなんて思ってないわ。そうね、言い方を変えるなら……私は自分が強くなる為に君を踏み台として利用するの。君も君で自分が強くなる為に私を踏み台として利用すれば良いわ」

 

「……一つ訊きたい。そうまでして強くなろうとするのは聖書の神――兵藤隆誠を我が物にする為か?」

 

「それもあるけど、私としては……一度負かされた兵藤隆誠(ダーリン)に何が何でも勝ちたいのよ。失ったプライドを取り戻す為に、ね」

 

「…………………」

 

夢魔(サキュバス)の私がこんな事を言うのはさぞかし滑稽だと思ってるんでしょうけど、全て本心よ。笑いたければ笑っていいわ」

 

「……笑いはしない。寧ろ、あなたにそんな一面があった事に驚いたよ」

 

「そう。まぁどっちでもいいわ。取り敢えず言いたい事は言ったから、私は帰るわね。君がすぐに返事をくれるとは思ってないから、それまでは一人で修行しながら気長に待ってるわ」

 

「いいや、待つ必要などない。俺の傷が癒えたら修行相手となろう。時間は限られるがな」

 

「あら意外。私の本心を聞いて信用しちゃったの?」

 

「まさか。俺はあなたをまだ信用すらしてない。俺も俺で兵藤一誠に敗れた身だから、今よりもっと強くなる為には、あなたを利用するしかないという考えに至っただけだ」

 

「ふぅん……こんなに早く返事がくるなんて思ってなかったけど、取り敢えず傷が癒えたら宜しくね♪」

 

「だが監視は付けさせてもらうぞ。あなたが妙な行動をしたその時は即刻打ち切るからな」

 

「分かってるわ……(待っててねダーリン。私の本当の姿で戦える日を。そして勝ったその後は誰にも邪魔されないよう閨でジックリと愛し合って……フフフフ♪)」

 

 

 

 

 

 

「――以上が、ミカエル殿からの報告です、オーディンさま」

 

「やれやれ。漸くあの聖書の神(こぞう)が表舞台に立ちおったか。これは面白いことになりそうじゃのう」

 

「いかが致しましょう? 『聖書』に記されし神が万が一にも再び天界の長に戻ったら――」

 

「いや、それはないじゃろう。ほんの数年前に聖書の神(こぞう)が赤龍帝――イッセーを連れてヴァルハラ(ここ)へ来おった時、『万が一に正体がバレても長に戻る気はない』と自分で言っておったからのう」

 

「ですが、状況によっては変わると思いますが?」

 

「かもしれんのう。じゃが今の聖書の神(こぞう)は人間――兵藤隆誠になった事で考え方が大きく変わっとる。今のあやつは身内を守る為なら……神の道に背く行為を平然とやるであろうな。尤も、若造ミカエル、ルシファーの偽者、悪戯小僧のアザゼルの小童どもが聖書の神(こぞう)を敵に回した場合の話じゃがな」

 

「しかし――」

 

「フレイ、お主は未だに聖書の神(こぞう)が憎いのか? 最愛の妹フレイヤの心を奪われたあやつを」

 

「っ! ………ええ、今でも憎いですよ。つい先程、私と一緒に聞いていたフレイヤが嬉しそうに、いつ彼に会いに行こうかと呟いていたんですから!」

 

「やれやれ。お主のフレイヤに対する溺愛振りがここまで深いものだとは思わんかったわい……。さて、今度あ奴らに会いにいく時は、イッセーから新しい本を頼んでおくかのう」

 

「オーディンさま、兵藤一誠から如何わしい本を頼もうとするのは止めてください」

 

「何を言うか。ワシは単に極東の島国におる女子(おなご)の美しい裸体を拝むエロ本、もとい参考書を頼むだけじゃわい」

 

「それが如何わしい本だと言ってるんですよ! 全くもう、あの兄弟がヴァルハラに来た所為で……!」

 

「ほっほっほ。ワシは別に何も変わっておらんぞ。イッセーから本の素晴らしさを教えてもらっただけじゃわい」

 

 

 

 

 

 

 夏休み前日。終業式が終わった後にサーゼクスの命が実行されようとしていた。

 

 オカ研の女子部員達が兵藤家へ住む準備をしてる最中――

 

「用件は何ですか、アザゼル先生? 俺は彼女達を出迎える準備をしないといけないんですが」

 

「リューセー、と言うか聖書の神(おやじ)として訊きたい事があってな」

 

 俺はアザゼルに呼び出されてリアス達がいない部室にいた。

 

 何か随分と真剣な顔をしてるな。ひょっとして禍の団(カオス・ブリゲード)の件についての事なんだろうか?

 

「今更何が訊きたいんだ? この前の会談の時に全部話した筈だが」

 

「そっちじゃねぇ。俺が訊きたいのは……聖書の神(おやじ)が何で俺の黒歴史を知ってるかについてだ」

 

「お前の黒歴史って……ああ、アレか。お前が天使時代に考案したブレイザー・シャイニング――」

 

「言わんでいい!」

 

 俺が『閃光(ブレイザー・)と暗(シャイニング・)黒の龍(オア・ダークネス)絶剣(・ブレード)』と言おうとしてる途中で遮るアザゼル。

 

「ってか聖書の神(おやじ)がどうやって知ったんだよ? アレは天使と堕天使の間でしか知らねぇ筈なのに」

 

「どうやって知ったも何も、ミカエルが――」

 

 俺が当時の事をアザゼルに話す。

 

 その内容を台詞だけで言うなら――

 

『神よ、アザゼルが大変素晴らしい物を考案したので、この資料を是非ともご覧になって下さい』

 

 と、ミカエルが爽やかな笑顔で聖書の神(わたし)に献上したんだよな。

 

 あの時の聖書の神(わたし)は堅物でも息子が考案した物だから、ついつい感心してしまったよ。今となっては爆笑ネタとしか思えないが。

 

「やっぱり聖書の神(おやじ)にも教えてやがったのか、あの野郎!」

 

「そう怒るなって。俺は今でも素晴らしい神器(セイクリッド・ギア)だと思ってるよ……今は完全な爆笑ネタだが」

 

「喧しい! ってかイッセーに余計な事を教えてんじゃねぇよ! アイツがアレを言おうとした瞬間にメチャクチャ焦ったぞ!!」

 

 羞恥心によって少し顔が赤くなって怒鳴り散らすアザゼル。確かに封印した筈の黒歴史を公開されたら凄く焦る気持ちは分かる。

 

「悪かった悪かった。じゃあ今度そのお詫びとして俺が記憶を頼りにして作ったコレを見せてやろう」

 

「マジで作ったのかよ!? 性格が変わりすぎにも程があるだろう!」

 

 俺が収納用異空間から『閃光(ブレイザー・)と暗(シャイニング・)黒の龍(オア・ダークネス)絶剣(・ブレード)』を取り出すと、アザゼルは驚きと呆れが混じった顔をする。

 

「流石にお前が望んだ機能まで付ける事は出来なかったが、それでもスペック的には祐斗の聖魔剣に匹敵するぞ。良かったら貸してやろうか?」

 

「いらねぇよ! ……と言いたいところだが、取り敢えず借りとく」

 

 借りれる物は借りておく、か。恐らくアザゼルの事だから今も作ってるんだろうな。『閃光(ブレイザー・)と暗(シャイニング・)黒の龍(オア・ダークネス)絶剣(・ブレード)』を。

 

「そうかい。だが間違ってもソレをミカエルに見せびらかそうとするなよ」

 

 俺の忠告にアザゼルは聞き入れるも、ちゃんと約束するかは分からなかった。恐らく状況次第によってやるかもしれない。

 

 だったら最初から渡さなければ良いじゃないかと周囲に思われるだろう。けれどイッセーに少し暴露してしまった聖書の神(わたし)としてはアザゼルに何かしらの償いをしなければいけないので、聖書の神(わたし)は敢えて見逃す事にした。




取り敢えず本編はこれで終了です。

後は番外編を更新したら「ハイスクールD×D ~復活のG~」は完全に終了となります。
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