*ある傭兵の日記
全く冒険者の奴らは何を考えているんだ。
奴らの経営してる店は欠陥品ばかり売りつける
店番はどっかで見たような盗賊だし、店の商品は床に乱雑において放置したまんま
試しにお守りを買ったら呪われていてどこからともなくモンスターが出てきやがった!
おかげで街はモンスターだらけになっちまったよ!しばらく四角い物は見たくないぜ……。
*ある炭鉱夫の日記
いやね、毎日朝食がてらにあの冒険者の店でパンを買うわけさ
中はふわふわ、外もふわふわ、不思議な食感の白いパン、味も中々で悪くない
更にはオーナーがパンの実演販売までしてくれるんだ
目の前で変な鍋からパンが出来上がるのを見るとついつい見入って気が付けば買ってしまうよ
あのパンは何で出来てるんだろうと思ったらさ、なんかのチケットだったよ
どうやって作ってるんだと聞いたら『錬金術』だそうだ、冒険者ってのはすごいねぇ
あんなものから美味しいパンを作るんだ、一生飯には困らない、羨ましい限りだよ。
ただ、出来る事なら味のバリエーションが欲しいね 同じ味だと飽きてくるんだ。
*ある市民の日記
これが行列のできる店の品物だって?冗談じゃない
誰が好き好んでこんな腐った肉を買うんだい?バカバカしい
店の奥で生産されてるらしくてさ、奥から悲鳴やらなんやら聞こえるんだよ
極めつけはこの肉重いんだよ!見ろよ他の客が肉に潰されてミンチになってるじゃないか
このまま何も買わずに帰るのもなにかプライドが許されない
そんな時にオーナーの冒険者が追加の肉を持ってきたんだ、調理済みのこんがり肉をな
値段は異様に高いがきっと有名税なんだろう、腐る前にさっさと買わなければいけない
高い金出して買ったんだこれでまずかったらおみやげ屋レベルの詐欺だ
ってもう腐ってるじゃないか!こんなもの売りつけるなんて頭おかしいんじゃないのか!?
すぐにでも文句をいっ……美味しいじゃないか。
*ある食品店の日記
店の店主である麻呂が苦情を言う権利はないとは思うがのう
だがしかし、あえて言わせて欲しいのでおじゃる。
うちのお得意様は少し食事のマナーというものを考えて欲しいのでおじゃる
お得意様は有名な冒険者でたくさんの仲間を連れているでおじゃる
巨額の資金提供をしてくれたおかげでいいものを仕入れ安くなり売れ残りがなくなった
……そこまではいいでおじゃる、しかしお得意様よ
買った商品を地面にばら撒いて仲間と食事会を始めるのはやめてくれぬでおじゃるか?
これでは他のお客に迷惑になる……え?商品を全て買ってくれるのでおじゃるか?
そんな日が続いて商品が全て売れて怒れぬ麻呂はとても暇なのでおじゃる。
ああ、そういえば今日は広場で結婚式があるみたいでおじゃるな、行ってみるでおじゃるか
さてあの女たらしは今度はどんな化物と結婚するのでおじゃるかのう?
*ある宿屋の日記
私は王都パルミアで宿屋を経営している者だが、もう限界かもしれない
自分の腕でずっと頑張ってきた、王都だけあって客も多い
私が作る食事も美味しい美味しいと食べ過ぎなくらい食べてくれる冒険者は微笑ましい
しかしな……いるんだよ、頭のおかしいふざけた奴が
私の店に爆弾を仕掛けるクズが、何度も何度も何度も何度も!!
王を狙うテロリストなのか、愉快犯なのかは知らない。
だがよりによって私の店にだけ永遠と爆弾を仕掛け続ける奴らはいったいなんなんだ!
何度私が共犯の疑いをかけられて収容所にぶち込まれたと思っている。
時々ヨウィンにでも移住してのんびり暮らしたほうがいいのではないかと思うのだよ私は
ん?まて、逃げろってなんだ、今叫んだのは誰だ?
このカチカチなる音はなんだ?まさか爆だ *文章はここで途絶えている。
*ある冒険者の日記
もうあの店は見世物にしてる巨人を捨ててきたほうがいいんじゃないかしら?
変な顔の女をどこかから拾ってきたらしいし、そっちだけでいいんじゃない?
だってあなたがお触りOKって言った途端にみんな巨人の足枷外すのよ?
ノイエルに来て、ちょっと買い物するだけで周りが火の海になる。
そんな大事件がここでは日常茶飯事、なぜ誰も止めないの?
店主も店主よ、自分で倒せないものを外れやすい拘束具だけで連れてこないでよ
あらこの指輪買ったら巨人に触ってもいいの?そう、ふふふ じゃあその足枷を……
★妹の日記
お兄ちゃんへ、私はお兄ちゃんが大好きです。
ですからいじめないでください、ただ一生懸命作ったお弁当を食べて欲しいだけなんです。
お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん
お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん
お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん
お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん
お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん
*文章はここで途絶えている。
*ある清掃員の日記
あっしは店を構えてるわけじゃないんすがね、まあ王都にいるケチな清掃員でさ
王都っていう割にはパルミアはごろつきの街と同じくらい汚かったりするんだなこれが。
積み上げられた空っぽのガチャポン玉、どっかのお嬢様が投げた火炎瓶の残り火
しょっちゅう燃やされる噴水、王都の入口にばかり落ちてるゴミの山。
時にはテロで王都そのものがなくなっちまうなんてこともありやしてね、困ったもんでさ。
あっしはまだいいほうらしくてね、ルミエストの清掃員の奴はよく冒険者にゴミと間違われて
命をポイ捨てされるなんてジョークがあるくらいでさ、最初聞いた時は背筋が凍ったね。
おっと、書いてる途中だがいかねば かたつむり野郎が王都を汚しにやってきやがった!
*あるパン屋の日記
自分がパン屋を経営しているのかどうかわからなくなっている
パンはすぐ売り切れるんだよ、冒険者達が残らず買ってくれるからな
やはり買取りがまずいのかね、あいつらなんでもかんでも自分に売りつけてくるんだ
モンスターの残骸やらゴミみたいな装備やらもう使えない杖やらなんやらとなんでもだ
いや買い取ったものをさらに買ってくれるもの好きがいるからいいんだけどさ
自分はなんでもやじゃなくてあくまでもパン屋なんだ
いくら資金援助されたって仕入れるのはパン、百歩譲っても麺類だけだよ
わかったら帰って、え?また買取り??すまんが今自分の財布は空なんだ
懐に余裕があったはずなんだが冒険者に酒をもらってからその辺の記憶がまったくないんだ
*あるパンクの日記
モイヤーの奴がついに巨人を捨ててきたらしい。ノイエルが安全になるのはいいが
いなくなったらいなくなったらで刺激がなくて寂しいもんだ。
変な顔の女だけになったかと思えばまたどっかから見世物を拾ってきたらしい
初めにソレを見た時はなんだこいつとおもったね
そいつは無数の腕に神々しい輝きを持った盾を持った変な生き物だったよ
始終苦しそうに悶えてたんでたぶんもちでも喉につまらせたんだろう
あんだけ苦しそうなのによく死なねえなと思いながら今もこうして眺めてるわけなんだが
さて、ここで体当たりをかましたらモイヤーはこの生き物に八つ裂きにされるのだろうか?
とりあえずその指輪を買ってお触りの許可をもらっておこう。