*あるガードたちの報告書
ヴェルニースにて何でも屋店主の通報により税金未納者を射殺
ルミエストにて腐った食べ物や毒物を混ぜた食べ物を人に食べさせた不届き者を射殺。
パルミアにてギャンブルで何度も何度もイカサマをした不届者を射殺。
ノイエルにて眠っている人に何度も何度も体当たりをした不届き者を射殺。
ポート・カブールにて彫刻コンテスト失格者の通報により鉱石を盗んだ配達人を射殺。
ヴェルニース猫を食べた不届き者を射殺、食うなら犬にしろ。
パルミアにて媚薬を料理に混ぜて人に食べさせた不届き者を射殺、乳は証拠品として押収。
パルミアにて街を爆破した不届き者を射殺……失敗、ホシは既に爆死した。
ポート・カブールにて伴侶を他人に売り飛ばした不届き者を射殺、ついでに購入者も射殺。
ノイエルにてモンスターの通報で盗みを働く不届き者を射殺、ついでにモンスターも射殺。
ルミエストにてそこかしこで猥褻な行為を働く不届き者を射殺、最後の客は私だ。
ヨウィンにて子供を殺し続ける異常者がいると通報、問題なし。
*ある冒険者の末路
どっかの馬鹿が私が這い上がる前に墓なんぞ置いたせいで外に出れない。
何度頑張っても潰れて意識が遠くなる、誰か墓をどけてくれ。
腕だけなんとか這い出せたが誰かに腕を攻撃されて出られない
やめろ、確かに乞食を殺したが私は殺人鬼の腕じゃない。
もう少しで這い上がれそうなのに誰かが私を埋めようとする
やめろ、なにが「善行を積むため」ださっさと犯罪者に堕ちてしまえ。
ああ墓を誰かが持ち上げてくれた、ようやく私はここから抜け出せる
……と思った私が馬鹿だった、今ここで埋まろうとしているマヌケは二人だ。
*魔法書作家の日記
そろそろ転職を考えている。
もう毎日毎日同じ魔法書を書き続ける作業が嫌になる
先月は魔法の矢、先々月は英雄の盾、三ヶ月前は軽傷治癒……
そして今月は加速の書を淡々と書き続ける作業で1日が終わる。
注文するのはいい、値段を上乗せしても全部購入するからな
だがその場で読んで目の前で魔法連発するのはやめてくれ。
仕事中に目の前でキンキンキンキンうるせえんだよ
俺の隣に攻撃魔法用のサンドバッグ用意すんのもやめろ
飛ぶから、血が本に飛んじゃって書けないから
それに正直言うと別の本を注文して欲しいところだ
あの新人加速の書なんて高等魔法書なんざ読めもしないだろうに。
*ティリスのレストラン
レストランとやらに行ってみたが酷いものだ
一番人気と言っていたパンはたしかに柔らかいが味は普通すぎて期待はずれ
注文したものが注文通りに出てこない、ミートスパゲティを頼んでラーメンが出てくる
肉料理はブルーバブル産で腐るほどあるはずなのに値段が高騰し続けて釣り合わない
産みたて卵で作ったらしい熟成チーズ、きちんと熟成されているのだろうか?
それにシャーベットを注文して「今焼き上げますからお待ちください」はないだろう
極めつけは値段が法外、払えぬ額じゃなかったから良かったが
足りなければ今頃隣の客のように食材にされていたのだろうな、くわばらくわばら
*友人観察日記
クミロミの秘密を探っていた友人が死んだ、3日経ったら何食わぬ顔で戻って来た
ノイエルにいた友人が焼け死んだ、アノ足枷を外すなと何度言っても聞く耳を持たない
友人が王都のテロに巻き込まれて死んだ、3日経ったら国ごと復活していた
本を頼りに妹の館に向った友人が消えた、数年経つが戻ってくる気配が見えない
ああ友人よ、お前は妹になっていたのか。
*今の旬
ん?今日のおすすめかにゃ?
今日はおたまじゃくしや金魚にゃん、スープによしソーセージにしてもいいにゃん
なんてったって冒険者が釣っては色んな場所に売りに行きますからにゃ
え?肉が食べたい?でもブルーバブルの肉は相変わらず高いままにゃん
あいつらいつも塊のまま売って量り売りする発想がないのにゃ
ああ、もうそろそろドラゴンの肉が出回る頃かにゃー
なぜかって?後ろ見るといいにゃ、酔っ払いが麻薬中毒者に絡んでるのにゃん
*窃盗指南書
窃盗は力仕事である、新人は大木を盗め、森を更地にする勢いでこなせ
誰もいないからと調子にのるな、盗みは魔物の世界でも重罪だ
事は深夜に運ぶこと、我慢できなければ周りの人間を全て殺せ
眠りの手を使うくらいなら殺せ、どうせ使ったところでミンチになるのだから
拷問器具はスルーしろ、盗もうとするな、無駄死にするだけだ
女がみんなパンティーを履いていると思うな、夢見ているなら諦めろ
ガードを吊るすなら清掃員も吊るせ、かたつむり先輩を支援して差し上げろ
*犬好き少女『リリアン』の日記
ポピーがいどのみずをのんでいたらモンスターがたくさんでてきました。
ちかくにいたへんなひとがけんをふりまわしてあばれています
そしたらまわりからひがでてたくさんたくさんモンスターがでてきました
ポピーはやっぱりいどにしずみました、とてもかなしかったです。