頭では出来ていてもなかなか文字に出来ない・・・
《エクシール城・客室》
今俺達はあのデカイ城、エクシール城の客室でまだ来ていないテレサを待っている。
今この部屋に居ないのはアーシアとイングヴァルトだ、どちらも疲れたのか寝室を借りて寝ている。
「イッセー様、紅茶はいかがですか?
「あ、いえ結構です。」
今俺に紅茶を勧めてきたのはこの城、エクシール城唯一の執事のベスさんだ。
この城には彼以外の執事はいないらしい。
と言うより、彼以外いないらしい。
「イッセー、貰っておいたらどうだ?」
リインに紅茶を勧められる。
「え、でも・・・・」
「美味しいぞ。」
そう言いながらリインは紅茶を飲んでいる。
「俺はテレサがまだここに来ていないのに、落ちついて紅茶なんて飲めない。」
「もうすぐ来るさ・・・」
リインに焦った様子は無い、いつもだったらテレサの事を心配しているはずなのに・・・・
そういえば、あの虎がテレサに話があるって言った時も、テレサを残して城に行くように俺達に言った。
いつもなら私も残るとか言うはずだ。
あの過保護なリインがどうして・・・・
まさかリインはあの虎の事を知っていたのか?
「リインはあの虎の事をーーー」
バンッ
「ーーーお待たせっ。」
客室の大きな扉が開いたかと思うと、聞き慣れた声が聞こえてきた。
どうやらテレサのようだ。
あの白い虎の背に乗っている。
「テレサ、遅かったな。」
リインがテレサに声をかける。
「ごめんね、待たせちゃって。」
「構わんさ・・・・」
『疲れて寝ている者もいるようだし、明日になったら話をするとしようか。』
明日・・・・
執事のベスさんが虎の横に立つ。
「では皆さん、本日はここエリクシール城で泊まっていって下さい。」
ここに泊まるのか!?
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私は今、エリクシール城にあるベランダにいる。
「そろそろ寝るか。」
皆は既に寝室に行って寝ているみたいだしな。
私はテーブルの上にある、飲みかけの紅茶を飲み干し寝室に向かう。
今日紅茶何杯飲んだだろう・・・・
この城の執事・・・確か名前はベスだったかな。
彼のいれた紅茶が美味くてつい飲みすぎてしまったな。やはりオリヴィエのいれる微妙な紅茶とは違う。
私はそんなどうでもいい事を考えながら城の案内図を探す。この城では、城の内部があまりにも広すぎる為、所々に案内図がある。
「確かこの辺りだった気がするんだが・・・・」
『案内図ならこっちだ。』
聞き慣れた声を聞き、私は周囲を見渡す。
「白虎か・・・・」
どうやら声の主は私の後ろにいたようで、簡単に見つかった。
『久しぶりだな、リインフォース。』
「ああ、そうだな。」
***
「この廊下の突き当たりまで行けば寝室か。」
案内図が正確に出来ていたから思ったより寝室に行くのに時間がかかることもなさそうだ。
廊下は壁に付いている蝋燭立てに付けられた蝋燭の火の明かりだけで照らされている。
明かりが蝋燭の火だけなんて久しぶりだな。
私はその光景を懐かしくも思いながら廊下を進んでいく。
『姫の様子はどうだ?』
白虎が私に問いかける。
姫・・・テレサのことか。
「 悪くはない・・・・といった所だ。」
テレサの記憶が治ってからも、これといった症状は出ていない。
『そうか・・・』
テレサの身体の調子を伝えても白虎はどこか様子がおかしい。
「何か心配事でもあるのか?」
『心配事だらけさ・・・』
心配・・・・か、確かに《あの時》もお前はテレサの事を心配していたな。
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千五百四十八年前
《地上》
「つまり、この二天龍と呼ばれる龍がいなかったら、まだ戦争は続いていたかもしれなかったということか。」
「うん、そういうことだよ。」
今私はこの世界での生活にも落ち着いたので、黒髪の少女、テレサにこの世界について教えてもらっていた。
この世界には人間だけではなく、天使、悪魔、堕天使といった種族もいるらしい。
「テレサの種族はどれなんだ?」
「私は人間と悪魔のハーフだよ。」
テレサは、人間と悪魔のハーフなのか。
「この世界でテレサのようなハーフは多いのか?」
「見たことないから分かんない。」
「そうか。」
それもそうか、私もここの近辺で人を見たことがないしな。
それにテレサも遠くに出かけることもあまりないので、見たことがないというのも変な話でなはい。
「じゃあリイン、そろそろご飯にしよっか。」
もうそんな時間か、
「ああ、今日はテレサの番だったよな。」
「うんっ。」
テレサの作る料理は美味しいからな、楽しみだ。
一時間後
ーーーコンコン
「リイン、出来たよ。」
ノックの音と共に、私の部屋にテレサが入ってきた。
どうやらご飯が出来たようだ。
「分かった、今行く。」
一体今日のご飯は何だろう?
私はリビングに向かうテレサの後を付いていく。
「今日はグラタンだよ。」
「おおっ!」
机の上には美味しそうなグラタンがあった。
「テレサ、グラタンを作ったのは初めてなんじゃないか?」
確か私の記憶ではテレサはグラタンを作った事が無かったはずだ。
「うん、レシピを見て作ってみた。」
「そうか、美味しそうに出来てるじゃないか。」
そう言いながら私は椅子に座る。
「じゃあテレサ、冷めない内に食べよう。」
「そうだね。」
テレサも椅子に座る。
「「いただきます。」」
テレサが、私の感想を聞きたいのか食べないで待っている様なので、早速私はグラタンを一口食べる。
「美味しいな。」
「よかった、初めてだったから自信が無かったんだよ。」
テレサはホッとしたような表情を浮かべる。
「テレサも食べたらどうだ?」
「そうだね。」
テレサもグラタンを食べだした。
「うん、美味しく出来てる。」
テレサが嬉しそうに言う。
・・・・初めて会った時より、テレサは感情を表に出すようになった気がする。
昔は無表情、いや無関心かな・・・
まあとにかくそんな感じだった。
昔のテレサより今のテレサの方がいい。
ーーーん?
テレサの頭が揺れている。
「おいテレサどうしーーー」
ーーーガタンッ
テレサが椅子から落ち倒れる。
「テレサ!?」
「リイン・・大丈夫だよ・・・ちょっと滑っただけだから・・・・」
そう言うがどう見ても様子がおかしい。
私は倒れたテレサの身体を起こし、額を触る。
「熱っ、凄い熱だ!」
「別に・・・私は・・・・」
「大丈夫な訳ないだろ!」
私は急いでテレサをテレサの部屋まで運んでいく、普段はテレサの部屋に入らないようにしているが仕方ない。
とりあえずテレサの額に冷したタオルをのせておいた。
しばらくすれば熱も下がるだろう。
『その症状は熱ではない』
聞いたことのない声が私の頭の中で鳴り響く。これは・・・念話か!
『外に出ろ、治す方法を教えてやる。』
***
私は迷ったが、念話の主の所に行く事にした。
「さあ外に出たぞ!」
一体どこに居る?
『ここだ。』
念話が聞こえたと思うと、私の前に白い虎が現れた。
ーーー気配が無いだと!?
白い虎には気配はなくただ形だけある、といった感じだ。
『早速で悪いが、姫にこの薬を飲ませてやってくれ。』
私の前に小さな紙袋が出現する。
魔法でも使ったのか?
「姫とはテレサの事か?」
『そうだ、彼女は私の主の娘だからな。』
主の娘・・・つまりテレサの親ということ
か。
娘が高熱を出して苦しんでいるというのに親は何をやっているんだ!
『私の主、つまり姫の親は既に亡くなっている。』
なんだと!?
いや、初めて会った時もそんなことを言っていた。あの時は何が何だか分からなくなっていたから忘れていた。
『私が姫の近くにいてやりたいが、そうもいかない。』
虎は続ける。
『姫の身体には神、悪魔、人間の血が流れている。これがどこかの勢力に知られれば命を狙われてしまう。』
「神?確かテレサは悪魔と人間のハーフだと・・・」
『姫が知らない、いや姫に教えてないだけだ。この事は姫が大きくなったら話す。』
神の血・・・・ん?
「おい、神と悪魔の血は混ざらないんじゃないか?」
『そうだ、本来ならば混ざらない。しかし、姫の持つ悪魔の血はある能力を受け継いでいた。』
「能力?」
『瞬時に適応し、進化する能力だ。姫の身体の血は神の血と悪魔の血と人間の血が混ざることが出来るように進化したんだ。』
進化、なるほどな。
悪魔には色々な能力があるらしいしな。
『だが姫には悪魔の血が半分しか流れていない。つまり能力も完璧ではないんだ。今姫が苦しんでいるのは、進化した身体でも耐えられない力が出ているからだ。』
「どうして耐えられない力が出たんだ?」
『進化が中途半端だったからだ。』
中途半端な進化・・・いや、それよりも!
「急いでテレサを!」
『ああ頼んだ、その薬は神の力を抑える力がある。きっと姫の体調も良くなるはずだ。』
「最後に一つ聞きたいんだが・・・」
『何だ?』
「名を何という?」
『白虎だ。』
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現在
《エリクシール城・寝室》
昔の事を思い出していたらかなり時間が経ってしまったな。
あの時は大変だった。
神の血の影響で金髪になったテレサが一人だと寂しいと言って私から離れなかったりしたしな。
まあ可愛かったからいいが。
さて、もう寝るか。
テレサの記憶も治ったし、今日はいい夢が観れそうだ。
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《旧シュバリナ領》
見つけた、遂に見つけたぞ!
この土地に幻鳥フェニックスが生息していたのか。
さて・・・・どうやってこの土地を、手に入れようか。
「そうだ、いい手があったぞ。」
あれなら土地を手に入れられる。
幻鳥フェニックスは、俺達フェニックス家が手に入れる。
「父上に、いい報告が出来そうだ。」