聖女とホムンクルスの艦隊これくしょん   作:林屋まつり

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十五話

//.泊地・個室

 

 昼食が終わり、あてがわれた部屋にいたジャンヌは戸を叩かれる音を聞いた。

 昼食の時に聞いている。だから、誰が来たかもわかる。「どうぞ」と声をかける。

 戸が開く。

「どうしたのですか? 暁」

「あ、うん。……ええと、お話し、聞いてほしいの。

 その、愚痴みたいな話になっちゃうけど、いい?」

 不安そうに見上げる暁に、ジャンヌは少し悪戯っぽく「もちろん、のろけ以外なら大丈夫ですよ」と応じた。

 

「ふふ」

「えーと?」

 上機嫌なジャンヌ。そして、暁はいつの間にか彼女の膝の上にいる。

 なぜか後ろから抱きしめられる。なぜか頭を撫でられる。…………もっとも、子供扱いに不満はあっても、上機嫌なジャンヌに膝の上で抱きしめられて撫でられて、と。居心地のいい状況に何も言えなくなる。

 だから、まあいいか、と。彼女に身を委ねる。それに、愚痴を聞いてもらうわけだし、このくらいはやらないと罰が当たる。

 子供扱いなのに居心地の良さを感じる現状に、こんな言い訳をしてから、口を開く。

「えーとね。ジャンヌ。

 暁にはね、妹がいたの、電、っていうんだけど」

「…………そうですか」

 いた、と。その言葉を聞いて微かに手に力がこもる。けど、何も言わずに先を促す。

「電ね。勝ちたいけど、けど、敵の命も助けたい。……そんな事、ずっと言い張ってたわ。

 ジャンヌは、そういうの、どう思う?」

 不安そうに見上げる暁。問われて、ジャンヌは即答する。

「愚かな小娘の綺麗事、あるいは、理想論ですね」

 即答する。戦場を最前線で駆け回ったジャンヌにとって、…………否、戦場を駆け回る者、膝の上にいる暁でさえも、わかっている事だろう。

 勝ちたい。それは当然だ。敗北は己の死、そして、己が守らなければいけない者たちの死につながる。それが認められないからこそ、戦場にいる。

 けど、敵の命を助ける。それは、脅威を残す事になる。愚行、と嗤われるだけならまだましだ。あるいは、裏切り者として処罰される。最悪、助けた命に自分や仲間の命を奪われる。

 けど、…………

「そう、そうよ「けど、暁はそう思っていないのですね?」」

 頷く暁、その言葉を遮るようにジャンヌが口を開く。

 驚いたように見上げる暁に、ジャンヌは微笑。

「確かに、それは綺麗事で理想論です。

 けど、その電は、戦場にあっても、なお、そう言い続けたのですね?」

「…………う、ん」

 頷く、忘れない。

 命は助けたい。けど、敵は攻撃してくる。

 だから反撃する。反撃が当たれば敵は死ぬ。……特別な事ではない、当たり前のことだ。

 けど、その当たり前の事に、……敵が死んだ。ただ、それだけの事に、寂しそうな表情を浮かべていた妹がいた。

 だから、

「綺麗事で理想論。けど、暁はそんな電の事、好きでしたか?」

「もちろんよ。電は、暁の自慢の妹よっ!」

「なら、……現実を知っていて、それでも、綺麗事の理想論を叫び続けた妹を、貴女だけは誇りなさい。

 貴女たちの言う司令官が、聖人が、正しい、と呼ばれる人が、……あるいは、私が、愚かと言っても、それでも、貴女は誇りなさい。……それでいいと思いますよ」

 丁寧に頭を撫でながら告げるジャンヌに、暁は一度不思議そうな視線を向ける。……そして、少しずつ表情を明るくて、

「うん、そうよねっ! ありがとねっ、ジャンヌっ」

 戦場を駆けていた。そんなジャンヌの話が聞きたかったのだろう。話が聞けて、上機嫌に膝から降りる。

 ジャンヌは、少し残念そうな表情、けど苦笑して軽く手を振る。

「また、午後も頑張ってくださいね」

「ええっ、もちろんよっ!」

 

「…………愚かな小娘の、綺麗事で、理想論、ですか」

 暁を見送って、ジャンヌはぽつりと呟いた。

 鎧を編み上げる。その手の中には聖旗。

 苦笑。人の事は言えませんけどね、と。

 剣を抜かなかった。ただ、旗を振るっていた。

 自分の手が血に濡れる事を忌避したわけではない。忌避するなら、そもそも戦場に立たない。

 聖女などと崇められようとも、自分は一人の司令官であり、ただの、殺人者だ。その現実は変わらない。今更、その過去を忌避するつもりもない。

 けど、

 

 暁の妹の言葉に、ほんのわずかでも、尊さと、憧れを感じてしまった。

 

「…………はあ、……あまり、シェイクスピアの事を、悪く言えないのかもしれませんね」

 剣を抜かなかったのは、そういう事かもしれない。……一瞬、そんな、忘れてしまった事を考えて、ジャンヌは溜息をついた。

 

//.泊地・個室

 

 皆が海に繰り出して、俺は資材庫へ。

 そこにある装備類の解体だが。それよりも、

 なんなんだろうな、これは?

 手の中にはひょうすべから受け取った木炭の木刀。

 木刀だ。当然、戦力として大して役立つとは思えない。重さは、はっきり言って頼りないほど軽い。

 もっとも、強度はありそうだが。……けど、それだけだ。

 軽くて頑丈な棒。杖としても使えるだろう。旅をするには便利そうだが。

 ちなみに、ジャンヌにも見てもらい、俺も魔術で解析してみたが、ただの「やあ、それ、気に入ってくれた?」

「ひょうすべか?」

 資材庫の扉を開けた。そこにいるひょうすべ、彼は興味深そうに装備類を見ながら、

「どう?」

「あ、……ああ、そうだな。

 武器として使うには心許ないが、杖としても使えるだろうし、便利そうだな」

「気に入ってもらえたら何よりだよ。……ああ、そうだ。ジーク君」

「ん?」

「アストルフォ君だったね。彼、日本にいるみたいだよ」

「そうなのかっ!」

「うん、……それで、どうする?

 よければすぐに会わせてあげようか?」

 意地悪く言うひょうすべ。けど、俺は首を横に振る。

「いや、…………この旅の最中、会えればと思う」

「この旅で会いに行く、くらいはいいなさい」

「…………む」

 くすくすとひょうすべは笑う。それより、

「これは、なんだ?」

 受け取った木刀を見せる。ひょうすべは首を傾げて「木炭の木刀、……なんて通り一辺倒な回答は期待していないみたいだね?」

「ああ、それは解析している」

「うーん、…………ああ、そうかあ。

 ジーク君は、異国の人だね?」

「ああ、……いや、正確には国籍はないが」

 強いて言えば、生誕地はルーマニア、になるか。

「そう、それでその木刀はこの国で作られた。…………んー、君たち風に言えば、礼装かな?」

「魔術礼装とは、異なるものか」

「そもそも体系が違うからねえ」

 苦笑するひょうすべ、……ただ、確かにそうだ。

 つまり、

「五行に関連するもの、か?」

 確かに、《磔刑の雷樹》がある俺は、木気、木刀とは相性がいいかもしれない。

 そういう事だろうか? ……もう少し、いろいろ調べてみよう。

 と、思ったところで、くつくつと微笑。

「それとも、これがいい?」

「これは?」

 金色の、金属製の、……武器か?

「独鈷杵、法具、……ああ、いや、仏具か。

 もともとはインドラがブリトラを撃ち滅ぼした雷を形にしたものだよ。武器が欲しいなら、こっちの方がいいかな?」

「武器、……か」

 その言葉を聞いて、……苦笑。

「いや、何かと便利そうだし、これでいい」

 俺が欲しいのは武器ではない。永い旅、それに使える道具ならそれに越したことはない。

「そ、……ああ、けど、」

 くすくすと、ひょうすべは笑う。

「五行とは関係ない意味で、それは君の武器になる。

 とても大きなね。時間があったらいろいろ試してみなさい」

「ああ、わかった」

 頷くと、ひょうすべは満足そうに歩き出した。……ただ、

「五行は、陰陽道の基盤のはず。……それとは関係ない。陰陽道ではないのか?」

 よくわからない。ユグドミレニアに陰陽道を修めた魔術師がいたから、陰陽道については知っているが、それ以外の情報はない。

 俺の武器になる。……か。…………まあ、いいか。

 俺には俺の成すべき事がある。資材の破壊による抽出だけでなく、変換、再構築なども試してみたい。あんまりのんびりはしていられない。

 木刀を傍らに置いて、近くの装備を引き寄せた。

 

//.泊地・近海

 

「二人とも、何かいいことあった?」

 資材の集積地に向かいながら、足柄は僚艦二人に問う。

 時雨と暁。どちらも上機嫌そうだから。

「ジャンヌと、ちょっとお話ししてたわ」

「うん、僕も、ジーク君とお話ししてたよ」

「ああ、なるほど」

 二人は上機嫌に見える。けど、少しその質は違うように感じていた。

 暁は、安心から、時雨は、嬉しさから、

「そ、……あーあー、じゃあ、私も戻ったら我が侭言ってみようかしら」

「足柄さん、いきなり抱き枕発言はだめだと思うよ」

 苦笑する時雨に足柄もひらひらと手を振って「ついねー」

「あ、足柄さんっ、ジークは子供なんだからっ! あ、あんまり大人なお誘いをしちゃだめっ」

「大人なお誘いって?」

「ふふ、暁も、大人なお誘いとか、興味ある?」

「な、なな、ないわよっ! そ、そういうのは、……れ、レディーは軽々しくやっちゃだめなんだからっ!」

「失礼ねー、別に軽々しくやってるわけじゃないわよ」

 唇を尖らせて暁の頭頂に軽く拳骨を落とす。

「そういう暁だって、ジークなら、……って思ってない?」

「う、…………うぅう、…………ま、まあ、ジークは子供だから、……その、一人前のレディーの、暁が、ええと、ちゃ、ちゃんと教えてあげなくちゃいけない事も、あってね。

 け、けど、そういうのは、……あの、も、もっと段階とか、手順とかあ」

「手順、か」

 時雨は苦笑してその言葉を繰り返す。大人なお誘いがどういうものかはあまり考えないにしても、出会ってまだ数日。

 確かに、手順は必要かもしれない。……手順。「どんな手順?」

 不意の問いに、足柄は暁を見る。暁は動きを止める。

「どんな手順?」

 足柄の問いに、暁はふるふるし始める。

「仕方ないわ。大人なレディーに聞いてみましょう」

 何も考えていなかったことを察し、足柄は必要以上に優しい微笑。

「ええと、ジャンヌ?」

『はい、何かありましたか?』

「大人のお誘いをするために必要な手順は、なにかしら?」

 テーブルに頭を叩きつけるいい音が響いた。足柄は優しく微笑み。

「後でみんなで相談しましょう」

『何の話ですかっ?』

「……これから向かう資材の集積地に、感あり。動き、なし。……たぶん、資材の詰込み最中ね」

 不意に、暁が口を開く。その内容を聞いて時雨と足柄は視線を鋭く、目的地に向ける。

「ありゃ? ひょっとして、先回り?」

「そうみたいだね。僕たちが資材を集めているのは解ってるだろうし。

 それに、拠点である泊地の場所も解っているだろうから、先に泊地の資材から回収しているのかもしれないね」

「とすると、……うーん、敵戦力の総数も解らないし。

 どこかは突破しなくちゃいけないのよね」

「そうよね。……安全そうなところを探すか。

 あるいは、どこかを強行突破よね」

「問題は、資材を引きずるときよね。速度も落ちるし。…………ただ、そんなこと言ってもどん詰まりね」

 足柄の言葉に暁と時雨も頷く。警戒ばかりしては動けない。

「まだ、見つかってないかな?」

「そうみたいね。…………んん、」

「足柄?」

「ちょっと待ってね。……ええと、ジャンヌ。

 作戦上申したいわ。意見をお願い」

『はい』

「いま、資材の集積地にいるの。そこで、深海凄艦が資材を詰め込んでるみたいなのよ」

『……そんな事もするのですね』

「そういえば、深海凄艦も資材を引っ張ってどこかに向かうんだね。

 何に使うんだろ?」

 時雨の問いには暁も答えられない。深海凄艦の生態はほぼ不明。……だから、

「それで、資材の詰込みが終了して戻るときに、偵察機を飛ばして追跡、深海凄艦泊地を探してもらおうと思うわ。

 どう?」

『そうですね。……いえ、少し待ってください。

 確か、この近くにも資材の集積地があったはずです。蒼龍にそこの状況を確認してもらいます。そこになにもいなければ、偵察機を飛ばしたら、その集積地で資材を確保、および待機です。隠れられる場所もあるかもしれません』

「了解」

 頷き、発艦準備だけして待機。……………………『足柄』

「ええ」

『北北西、一時間ほど行ったところに岩礁が多くある集積地があるそうです』

「了解。じゃあ、私は偵察機を飛ばして、岩礁に隠れながら資材確保ね」

 

 指定された資材の集積地に到着。足柄は偵察機に指示を飛ばし、そちらに集中する。

 集積地付近に深海凄艦はいない。それは蒼龍が確認している。だから足柄には偵察機の制御に集中してもらい。暁と時雨で急ぎ資材をドラム缶に詰め込む。

 手を動かしながら、ぽつり、と。

「ねえ、時雨。

 資材確保していた深海凄艦も、……ドラム缶、使ってた、と思うの」

「そう?」

「違うかもしれないけど、……ええと、今相対している深海凄艦って、暁たちと同じくらいの大きさでしょ?

 けど、結構長い間集積地にいたの」

 この資材の集積地を探してもらっている間、暁は深海凄艦の動向を追っていた。

 数は、多くはない。小さな反応が五、けど、手で運べる量を確保するには滞在していた時間が長い。おそらく、ドラム缶か、何かに詰め込んでいたのだろう。

 それが海中で拾ったのか、あるいは、どこぞの泊地、あるいは艦娘から強奪して来たのか、それは解らない。

 けど、いやだな、と思う。

「まるで、艦娘、みたいだよね」

 時雨の言葉に頷く。あるいは知らないだけで深海凄艦もそうやって資材確保をするのかもしれない。

 ヲ級やタ級など、人の形をとる深海凄艦も確認されている。まだ確認されていないだけで、駆逐艦級の能力でも人の姿を取る深海凄艦もいるかもしれないし、資材の確保も、両手で持っていくのではなく、ドラム缶などの道具を使っているのかもしれない。

 だから、深海凄艦だ、と断定してしまえばそれまでだ。悩むことも、迷うこともない。

 けど、

 時雨の言葉に、暁は手を止めないまま、呟く。

「けど、なんであっても、ジャンヌとジークがいる泊地も、私達も、攻撃したのよ。

 なら、応戦しないと、だめ」

「そうだね」

 

//.泊地・近海

 

「艦隊が帰投したわっ!」

「ああ、おかえり、みんな」

 港で出迎える。胸を張ったり、安堵の吐息を付いたりと、みんな、それぞれの反応を見せる。

「んー、戻ってきたって感じするわー

 ジャンヌちゃんが振り回す旗見たときは嬉しかったけど、ここまで来ると安心できるわね」

「それならよかったです」

「ふふ、そうですね。

 私も、皆の姿を見て、振り返って、ジャンヌさんの旗を見て、安心できました。戻ってくる仲間も、待っていてくれる人も、とてもありがたいです」

 楚々と微笑む大和。

「さて、と。

 それじゃあ、大和、金剛、多摩、頭数少なくて大変だと思うけど、資材よろしく。

 偵察機が拾ってきた情報で、軽く作戦会議しましょう。頑張ったご褒美はそのあとね」

「…………あっ!」

 不意に、蒼龍が声。「どうしたの?」と足柄。

「じ、ジーク君に、膝枕をしてもらおうか、膝枕をしてあげようか、決めてなかったっ!」

「それは大切な事か? なら、蒼龍が休める方でいいと思う。

 横になった方が楽なら、俺が膝枕をしよう」

「…………そうですね。そうします。……ううん、けど、ジーク君の寝顔とか、見てみたいなあ」

 それがいいものかいまだに解らないのだが。と、

「私は、ご褒美としてジークと一緒におふ、…………ごめんなさい」

 重々しい表情で何か言い始めた足柄は、凄惨な目で睨むジャンヌに頭を下げた。

 

 資材の格納が終わり、大和たちが戻ってきたころには周辺海図、茶菓子と、準備も出来た。

「ええと、中心が、ここの泊地ね」

 海図の中心を示し、そのまま西、……ちょうど、日本本土との中心付近。

「ここに、小さな島があったわ。ここと似た様な施設もね」

「泊地?」

 似た様な、との言葉に暁が声を上げる。足柄は頷く。

「かなり以前に破棄されたものみたいだけどね。

 おそらくだけど、私達と同じ理由で、ここに派遣された艦娘がいたと思うのよ。豊富な資材があるここに拠点を確保して、一気に資材確保、その後に大型船で大量輸送なんて常套手段だもの。

 といっても、泊地の規模は凄く小さいから、調査だけだったのかもしれないわね。小規模な艦隊を一時駐留させて、調査するための拠点って形ね」

「そこを拠点としている深海凄艦がいる、という事ですね」

 大和の言葉に「そうね」と足柄。

「深海凄艦の事だから理由は解らないけど、資材の取得は活発に行っているみたいね。

 私の偵察機を落としたのも、別経路から資材を持ってきた深海凄艦だったわ」

「その資材の使用目的によっては、短期決戦を視野に入れなければなりませんね。

 単純な頭数では深海凄艦が有利、周囲の資材を片っ端からかき集めて回復をしながら長期戦、となればこちらが不利になります」

「そうですねえ。……それに、本土帰還を考えると、深海凄艦泊地の横を通過かあ」

 蒼龍が肩を落とす。「大回りは?」

 海図を、深海凄艦泊地を大きく迂回するようになぞる。応じるのは金剛。

「やめた方がいいデス。

 こちらは数が少なくて、おまけにジャンヌとジーク、……艦艇を護衛しながらデス。そんな状態で海に出ること自体、危険デス。

 航行時間は、可能な限り短時間がBestネ」

「とすると、……やっぱり、まずは僕たちで敵泊地を叩いて、それからジーク君とジャンヌさんを本土に護送していく、という事になるよね?」

 時雨の言葉に皆が頷く。

「今のところ、……おそらく、大和の一斉射で損傷を負ったと思われる、姫種の大型艦。あとは、……妙に人っぽい深海凄艦がたくさんにゃ。

 深海凄艦の指揮系統がどの程度のものか不明だけど、おそらくはあの大型艦が旗艦にゃ」

 多摩の言葉に皆が頷く。……人っぽい、か。

「本来の深海凄艦は、ああいうのではないのか?」

 問いに蒼龍は首を傾げて「えーと、駆逐艦級の深海凄艦は、……なんか、魚っぽいです」

 魚か。

「けど、深海凄艦ってほとんど正体不明なんです。

 魚みたい、っていうのも、確認されたのはそういうの、っていうだけで、人っぽい駆逐艦級の深海凄艦も、十分にあり得ます」

「なるほど」

 そういうものか。

「それで、資材はどうにゃ?」

「全員が大破、そこから回復、それを二回、だとちょっと足りませんね。

 戦後に、ジーク君たちを送り届けるとしたら燃料も心許ないです。本土まで遠いですから」

 大和の言葉に金剛と多摩も頷く。つまり、

「明日も、半日は資材確保か」

「そうなるわね」暁は溜息「ごめん、ちゃんと必要分揃えられなかったわ」

「ま、それは仕方ないネ。無理する必要はNothing」

「下手に大破をして余計に資材をかけるよりはましよ。

 じゃあ、明日の午前中も資材確保ね。それで大丈夫そうなら、……どうしよう? 明日の午後も?」

「必須でなければ休憩でいいだろう。

 明後日、深海凄艦泊地に襲撃する、という形になるか?」

 俺の問いに頷く。足柄は一息。

「それじゃあ、方針は決まったから解散ね」

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