聖女とホムンクルスの艦隊これくしょん   作:林屋まつり

16 / 41
十六話

「いいものなのだろうか? これは」

「まあ、いいんじゃないですか?」

 俺は首を傾げ、ジャンヌは苦笑。で、

「んー、……ん、と?」

 俺の太ももを枕に蒼龍が寝転がる。膝枕、というものらしい。

「どうも、子供が好む印象があるが」

「それは多摩がお子様っていう事かにゃ?」

 ジャンヌに抱えられてる多摩が、じと、とした視線を向けた。

「違う、のか?」

「…………本気で驚かれるとは、……どういう事かにゃ?」

 違うらしい。

「それで、……えーと」

 蒼龍は寝転がりながら困ったような視線をジャンヌに向ける。ジャンヌは、……引き攣った微笑。

「ダイジョウブ、ダイジョウブデスヨ。オキニナサラズニ」

「ひっ、……じゃ、ジャンヌちゃんが怖いっ?」

 寝転がりながら縮こまるという、わりと器用な事をする蒼龍。

「くっ、……ふふ」

 そして、そんな蒼龍を見てジャンヌは笑った。

「まあ、あまり変な事をしなければ大丈夫ですよ」

「はー」

 蒼龍は安堵の一息。そして、頬を膨らませる。

「むぅ、パソコンの前でおろおろしていたぽんこつっぽいジャンヌちゃん、可愛かったのに」

「ぽんこつ言わないでください」

「アイコンをクリックしたら爆発か。……まさにテロだな」

 その時の事を思い出していう。「それは、もっと詳し、むぎゅっ」と、多摩は抱きしめられて言葉を止められる。

「う、うるさいですね。もうそんな事はしませんっ!

 電源だって、自分で落とせますっ!」

 胸を張るジャンヌ。「電源ボタンを押してか?」

「はい」

「…………まあ、すぐに壊れる事はないだろう」

「ですねー」

「な、……なんですか? え? わ、私、何か変な事をしていましたか?」

 途端におろおろし始めるジャンヌ。蒼龍はふるふるして、

「はああ、……やっぱり、ジャンヌちゃん可愛いです」

「ぽんこつか」

 叩かれた。

「うう、…………初めて会った時のジーク君は、無垢で可愛らしかったのに」

「……そんな風に思われたのか俺は」

 可愛いと言われても困るのだが。

「む、ジャンヌとジークの馴れ初めにゃ? それは気になるにゃ。

 なんかこう、運命的な出会いでもしたのかにゃ? ジャンヌがお風呂に入っているところにジークが突撃して、転んで乳揉んだとかにゃ?」

「それのどこが運命的ですか? そんなはしたない運命なんて願い下げです」

 抱きしめている多摩の頭を軽く叩きながら、唇を尖らせるジャンヌ。

「確かに、それはないな」

「えー? ジーク君、女の子の、ちょっとえっちなのとか興味ありませんか?」

 なぜか蒼龍が不満そうだ。…………というか、どう答えろというのだろうか?

「ジーク君は「ジャンヌも気になるにゃ? まあ、ジャンヌほどの美女ならかなり自信もっていいと思うにゃ」……ぐっ」

 何か言いかけたジャンヌは多摩の言葉に言葉を止めた。蒼龍が親指を立て、多摩が親指を立てる。

「ジャンヌちゃんかあ。いいなあ。美人だし、スタイルいいし、格好いいし、ぽんこつだし」

「最後はいりません。なんですかぽんこつって」

「完璧な女性に、こっそりと存在するぽんこつ要素。いいと思わないんですかっ?」

「ぽんこつ呼ばわりされて喜ぶわけがないでしょう」

「さあ、ジークもばっさり答えるにゃ。

 回答次第では足柄が餓えた飢狼と化すにゃ」

「足柄が何かあるのか? ……というか、餓えた飢狼はおかしいと思う」

 とはいえ、ジャンヌも何も言わなくなってこちらを見ている。

 ため息。まあ、いいか。

 ふと、以前の、コーヒーを噴いた過去を思い出した。

「前提、俺に性的な欲求は存在しない」

「「「へ?」」」

 なぜ、ジャンヌまで驚く。

「話していたと思うのだが、俺はホムンクルスだ。人ではない。

 生殖活動は行わない。不要だからだ。だから、その手の欲求は存在しない」

 なぜ、ジャンヌまで肩を落とす。

「と、それがホムンクルスとしての常識で、俺の知識だ。

 ただ、美しいと思う事はあるし、可愛いと感じる事もある。他者に好意を持つこともだ。

 だから、…………そうだな。例えば、美女の裸身を見て心動かされたとき、それが美しいと感じたからか、それとも、性的な感心を持っているのか、それは俺自身解らないと思う。経験もないからな」

「ふむむ、難しいですね」

「じゃあ、取りあえずジークはジャンヌが入浴中に突貫するといいにゃ。

 サカって押し倒したら黒にゃ」

「なっ? た、多摩っ! 何を変な事を言いますかっ!」

 顔を真っ赤にして多摩を抱きしめるジャンヌ。…………ふむ。

「多摩」

「何にゃ?」

「そうなれば黒以前に、俺が赤くなる」

「赤面かにゃ?」

「いや、流血でだ」

「…………マジ顔で語る辺りで察しておくにゃ」

 確か、ジャンヌの筋力はB、あの天草四郎よりワンランク上だ。全力で殴られたら無事で済む自信はない。

「ぐ、……と、ともかく、私とジーク君の馴れ初めですよねっ!」

 全力で話を戻そうとするジャンヌ。……そうだ、確か、そんな話だったな。

「運命的なの、期待しますっ」

 蒼龍が楽しそうだ。だが、

「すまない、浴場に突貫はしたことがない」

「あ。いえ、それはもう置いておいていいです」

「ああ、ジャンヌが空腹で行き倒れていたので、負ぶってたな」

「「…………」」

「どうしてそこだけ抜粋するんですかっ?」

 なんとも言えない視線の多摩と蒼龍。

「変にゃ。ジャンヌといえばここで多摩たちの帰還を待っていてくれるありがたくて、それに格好いい女の子のはずにゃ。

 どうして、ジークの前だとぽんこつになるにゃ?」

「…………空腹でへちょれてるジャンヌちゃん、……見たい、です」

 きらきらしている蒼龍。ジャンヌは首を横に振って「そんな事、二度としませんっ!」と怒鳴る。

「大丈夫だ。ジャンヌ。

 何度か大和の手伝いをしているが、ここは食材も豊富にある。それに、大和の腕は確かだ。だから、餓える事はない」

「解ってますよっ!」

 怒られてしまった。

「まったく、ジーク君はそういうところだけ抜粋して、……もうっ、これじゃあ私、本当に残念な娘みたいじゃないですか」

 多摩を抱きしめてぼやくジャンヌ。蒼龍は寝転がったまま拳を握る。

「私、そういうところも、可愛いと思いますっ!」

「どうしてそんなところで、…………はあ、……まあ、ちゃんと話しましょう。

 私は聖杯戦争の監視を行うために呼び出されたサーヴァントです。そして、イレギュラーな気配を察知し、その理由を探していました。

 そこで出会ったのがジーク君です。行き倒れたのは、……まあ、その時は人に憑依という形で現界していたのですが、疲労を甘く見過ぎていました。……つまり、過労です」

「木の根に「過労ですっ!」……そうだな」

「つまり、職務に熱心になりすぎて無理しすぎたところをジークに拾われた、っていう事かにゃ?」

「そういう事です。残念な娘ではありません。過労です。働きすぎです」

「その残念なところを狙いすましてジークに見られているにゃ。

 まあ、」

 不意に、多摩はにやあ、と笑う。

「それだけ気を許しているという事にゃ。

 きっと、ジャンヌはジークの傍にいると気が抜けてぽんこつっぷりを発揮するにゃ」

「ぽんこつっぷりとか、そういう事は余計です」

 そっぽを向くジャンヌ。そして、なるほど、と。

「つまり、ジーク君の傍にいると、可愛いジャンヌちゃんも見れるんですねっ」

「二倍お得だにゃあ」

 のんびりと呟く多摩に、蒼龍はこくこくと頷く。

「まあ、」蒼龍の額に手を置いてそのまま寝かせて「ジャンヌもしばらくはここにいるだろうし、休めるときに休むといい。俺も食事の時間まではここにいよう」

「はーい」

 ころん、と蒼龍は俺の膝に寝転んで、機嫌よさそうに応じた。

「あー、でも、ジャンヌちゃんの気持ちわかります。

 今、すっごくまったりした気分です。油断しても仕方ないですねー」

「膝枕効果にゃあ」

「そんなものか?」

 リラックスした様子の蒼龍。経験者である多摩も頷く。

「はい、何となく安心します。これは癒されます。

 ジャンヌちゃんもしてもらうんですよね? これはいいですよー」

「え? ……あ、そ、そうですよね」

「ああ、そうだな。

 癒し云々は解らないが、ジャンヌ、希望があればいつでもしよう」

「…………ええと、では、……あの、入浴が終わったら」

 多摩を抱きしめて俯き、ぽつぽつと応じるジャンヌ。俺は「わかった」と応じた。

 

 そして、大和お手製の夕食。みんなが集まったところで、いただきます。手を合わせる。

 天ぷらか、和食、というのはここで初めて食べたが。なかなか綺麗なものだ。

 味は残念ながらわからない。が、小奇麗に整えられている料理は見ていて飽きない。

 天ぷらを取り、醤油に付け「というわけで、大人のお誘いをするために必要な手順を確認するわ」醤油に天ぷらを落とした。

「足柄、何を面白そうな事を言い出すデス?」

 茶碗を持ったまま首を傾げる金剛。蒼龍も不思議そうな視線。

 というか、なんだ、大人のお誘いというのは?

「暁、どういう話だ?」

 頭を抱えるジャンヌと苦笑する時雨を見て、知ってそうな暁に問う。

「え、……えーと、…………お、大人なレディーの話しよっ」

「そうか」

 なら俺は門外漢か。醤油に落とした天ぷらを拾い一口。

「あの、……もうちょっと具体的に言ってもらわないと、何とも言えないのですが」

 大和が軽く挙手していう。足柄は頷く。

「ええ、いいわよ。ジークもいる事だし、まずは夜にか「足柄」…………はい」

 喜々として語りだした足柄はジャンヌに睨まれて俯く。ふと、足柄は顔を上げた。

「あ。そうだ。ジャンヌ、我が侭言っていい?」

「私にですか? まあ、出来る範囲でなら」

 少し意外そうにジャンヌ。足柄は頷いて「今夜、二人で飲まない?」

 酒か。伺うような視線にジャンヌは頷く。

「ええ、大丈夫です」

「あ、そうなの? ジャンヌってお酒飲んじゃだめかと思ってたわ。だめもとだったんだけど」

「えーっ、ワタシも一緒に飲みたいデスー」

 早速口を開く金剛に、足柄はにやあ、と笑って「だめよ。お仕事頑張ったご褒美。二人で飲みたいのよ」

「ぶーっ」

 頬を膨らませる金剛と勝ち誇った笑みの足柄。「ただ、」とそんなやり取りを微笑してみていたジャンヌは口を開く。

「酔う事はしません。なので、あまり飲みませんよ」

「大丈夫よ。私だって明日も働かなくちゃならないんだし、無理して酔わせるような飲ませ方はしないわ」

 一息。

「ほんのりと酔ったジャンヌ、見たいけどねっ!」

「ジャンヌなら脱いでもキスでも大歓迎、デスっ!」「千鳥足とか、緩み切ったところとか、すっごく可愛いと思いますっ!」

「酔いませんっ!」

「あ、とすると、ジーク。ジャンヌを膝枕するのは遅くなりそうにゃ」

「ん、……ああ、そうだな。

 ジャンヌ、入浴後という話だったが、足柄と飲んだ後の方がいいだろう?」

 癒し云々は解らないが、リラックスできるのならそれからすぐに睡眠に移った方がいいと思う。

「あ、……と、そうですね。それでお願いします」

 頷くジャンヌ。そして、足柄は「話を戻すけどね」と、告げて、

「暁、さっき、ジャンヌは夜にジークを誘ったわ。

 ジャンヌみたいな大人のレディーなら、大人のお誘いをするために必要な手順も知っているはずよ」

「そうよねっ! ジャンヌは大人のレディーよねっ」

「あ、僕も興味あるな」

 時雨と暁に詰め寄られてジャンヌ後退。「あの、大人のお誘いって、なんですか?」

「えろい誘いにゃ」

「しませんっ!」

「…………ええと、ジャンヌ。……そういうつもりは、なかったのだが」

 凄惨な目で俺を睨む金剛を視界の片隅に置いて言ってみる。

「ち、違いますっ! べ、べべ、別にジーク君と、そ、そういう事をしようなんて思っていませんっ!

 そういうのは、大人のレディーが、ですねっ? あと、手順が大切ですっ!」

「手順って、どういうのですか?」

 首を傾げる大和。注目に慄くジャンヌ。

「さて、俺は門外漢のよう「ジーク君っ、私を捨てていくのですかっ?」…………わかった」

 俺がいてどうなるのだろうか?

「て、手順というのは、……あ、あの、親密になって、ですね。こ、恋人、として、…………で、デート、したりとか。……手を繋いだり、…………そ、それで、……き、キス、とか、ふ、二人きりで、…………はぅう」

 ジャンヌは限界だ。顔を手で覆って俯いてしまった。耳まで真っ赤だ。

「オチツクデース、オチツクデース。ジャンヌが可愛すぎるケド、……もう、ジャンヌが可愛いから、何してもいいんじゃないデスカ?」

「いや、だめだ」

 荒い呼吸でかなりだめな自問自答をする金剛を宥めておく。

「写真っ! ど、どこかに写真ないですかっ? それともビデオっ!

 いまの、いやいやしてるジャンヌちゃんの映像を残しますっ!」

「永久保存デスっ!」

「ええと、……ジャンヌさんとジーク君は、恋人、ですよね?

 とすると、次はデートですか?」

「う、む、……そうだな」

 改めて言われると、照れるのだが。……とはいえ、思いを否定するつもりはない。頷く。

「うわ、わあ」

 なぜか顔を赤くする大和。

「なにか、変な事を言ったか?」

「い、……いやあ、ええと、……その、恋人って言ったの、肯定したなあ、って」

「否定する事では、ない」

「わあ、ジーク君、格好いいですっ」

 なぜか蒼龍に拍手をされた。

「そうだろうか?」

「うん、僕もそういうのはいいと思うよ。

 迷う事なんてないよね。ジャンヌさんみたいに、素敵な女性なら、なおさら」

 ちなみに、そのジャンヌは右に金剛、左に足柄で包囲されていた。暁を膝に乗せて徹底抗戦の構えをとっている。

 前門の虎後門の狼、という言葉を思い出しながら「まあ、そうだな」

 頷く。

「いいなあ、僕も、そんな風に言ってくれる恋人とか欲しいなあ」

「そうか?」

 羨ましそうな時雨の言葉に首を傾げた。

 なにか、そんな風に思われるようなことを言っただろうか?

「あ、……あはは、な、なんか、照れちゃいますね。そういう風に、聞くの」

 なぜか気まずそうに笑う大和。

 恋人、……か。

「時雨は、恋人は欲しいか?」

「へ? ……あ、……えーと、…………どう、なのかな?」

 時雨は首を傾げる。欲しいか。

「うーん、……よくわからないや。

 だけど、やっぱり憧れちゃう、かな。……うん、憧れてる、が正しいと思う」

 軍船の魂を宿す軍人。軍属。だからか。

 普通の少女とは違うのだな、と思っていると、

「ワタシは、ジャンヌを恋人に欲しいデスっ!」「私だって、私だって恋人は欲しいわよっ!」

「魂の叫びにゃあ」

 足柄と金剛が魂の叫びをあげた。ジャンヌに抱きしめられていた暁が慄く。

「あれは、ちょっと違うような気もしますけど」

「大和だって、そうやってすましてるけど、本当は恋人欲しいんじゃないの?」

「白状するデース。暴露するデース。

 さあ、女の子同士で本音トーク、デース」

「え? え? なんで私が包囲されるんですか?」

 ジャンヌを包囲していた足柄と金剛が大和を包囲。大和はジャンヌの膝の上から暁を持ち上げて膝に乗せて徹底抗戦の構え。

「……なんで暁、こんな風に扱われてるの?」

 大和の膝の上で首を傾げる暁。多摩は頷く。

「ぬいぐるみみたいな扱いにゃ。艦隊のマスコットにゃ」

「なんでよっ?」

「マスコットか」

「え、……えーとお。…………わ、私だって、憧れてますけどお」

「好みは? どんな男の子が好みっ?」

「突っ込みますかっ? そ、そういう足柄はどうなんですか?」

「え? ジークよ」

「…………俺か?」

「だって可愛いもの。……ねえ、金剛?」

「Noっ! ワタシはジャンヌ一筋デスっ!」

「じゃなかった。ねえ、ジャンヌ?」

「えっ? …………え、ええと、ええとお」

 おろおろするジャンヌ。……と言われてもな。

「可愛い、か?」

「え? へ? ……え、ええと?

 じ、ジーク君は、……あの、…………ええと、す、素直なところがいいといいますか、けど、一途で一生懸命で、少し頑固なところもありますけど。

 ひたむきなところは、素敵だと、思います」

「どういう流れでのろけになるにゃあ?」

「ち、違いますっ! これは客観的な事実ですっ」

「ステキとか、物凄い主観発、むぎゅっ」

 のんびりと呟く多摩をジャンヌは抱きしめて黙らせる。

「ま、というわけで、どう?」

 我が意を得たり、と。おろおろし始める大和に不敵な笑みを浮かべて迫る足柄。けど、

「足柄」

 とりあえず制しておく。

「聞いた話では、大和は建造間もない。彼女の知る男性は俺くらいだろう。

 そんな状態で判断を下すのは早計だ」

「そうですねえ。……提督とはほとんどお話ししていませんし、…………異性は、ジーク君、くらいな気がします」

「足柄さんは、そういう付き合いは多かったの?」

 大和に抱えられた暁が首を傾げる。俺は頷く。

「そうだろう。その手の事に詳しそうだ。

 暁の言うレディーにあたるかはわからないが、経験が豊富なのは羨ましいな」

「そうよね。暁も、もっといろいろな人と会ったりして、一人前のレディーになるわっ!

 ジークっ、一緒に足柄さんがどんな人とお付き合いをしてきたか聞いてみましょう。これも、一人前のレディーへの道のりよっ!」

「そうだな。体験談や経験を聞きたい」

「………………ちょっと、お風呂場で着底してくるわ」

「あ、今、大破したんだね」

 ふらふらと歩み去る足柄に時雨は苦笑。

「ええと、ジーク君。足柄も、あんまりここから出てないから、異性とのお付き合いは、ほとんどなかったと思うよ」

 時雨の言葉に、足柄は近くの机に突っ伏して泣き始めた。

「ええ、ええそうよっ! 男性との付き合いなんてほとんどないわよっ!

 いいじゃないっ! そういうのに憧れたってぇっ!」

「足柄」

 そっと、金剛はめそめそしている足柄の肩を叩く。

「本土に戻ったら、……この危難を乗り切ったら、飲みまショウ。

 ワタシ一晩付き合いマス」

「ええ、ありがとう、金剛」

 手に手を取り合う足柄と金剛。なるほど。

「これが女同士の友情か」

「…………否定はできませんね」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。