聖女とホムンクルスの艦隊これくしょん   作:林屋まつり

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三十二話

「日本らしい、というのかな。こういう雰囲気は」

 障子を開ければ木々と石、そして、苔に覆われた、こじんまりとした庭園。

 内装は畳と卓袱台、か。木造りのテーブル。ベッドはなく布団らしい。木造りの壁も含めて、目新しいものばかりだ。

「ジーク君は、珍しいですか? こういうの」

「ああ、というか初めてだ。

 知識で和風の建築とはこういうものだとわかるが、実際に入ってみると存外居心地がいいものだな」

 窓を開ければ涼風が吹き込む。最低限の装飾は質素だが好感が持てる。

「そうですか、よかったです」

 蒼龍は我が事のように嬉しそうに言う。と、

「えーと、ジーク君」

「ん?」

 時雨だ。彼女は困ったような表情で、

「その、よかった、のかな?

 恋人のジャンヌさんと一緒じゃなくて、……ええと、ジーク君が望むなら、僕、ジャンヌさんと代わってもいいよ?」

「いや、その必要はない」

 俺は首を横に振る。

「ジャンヌには、啓示:Aのスキルがある。

 きっと、……あれは何らかの啓示があったんだ」

「…………た、大変だね。ええと、サーヴァントって」

「そうだな。…………いや、時雨がそれを希望するならいいが」

「い、いやっ、いい、全然いいよっ!

 僕、ジーク君と同じ部屋で嬉しいよっ」

「そうか」

 一息つく、……室内を見渡し、ふと、多摩に言っていたことを思い出す。

 畳、か。床に直接腰を下ろすというのもあまりないな。

 腰を下ろす。畳はゆっくりと俺の体重を受け止める。

「…………なるほど」

「どうしましたか?」

「ああ、いや。

 多摩が畳でごろごろするのは至福と言っていた。自堕落な気もするが、少し、気持ちもわかる」

 障子ごしの柔らかな光と静かな風。確かに横になると「で、ではっ」

「ん?」

「ひ、膝枕、しましょう、か?」

 蒼龍はそそくさと正座をして、ぽん、と太ももを叩く。

「前に膝枕してもらいましたし、そのお礼に」

「いや、…………そうだな」

 金剛や多摩も絶賛していたし、いいものかもしれない。

「いいな」

「ん? ああ、時雨が膝枕をしてほしいか?」

「あ、そうじゃなくて、……ええと、僕もジーク君に膝枕してあげたいな、って」

「そうか? 蒼龍もだが、するのもいいのか?」

 される方は休憩できる、というのは解る。

 けど、するのもいいのだろうか? 多摩に何度か膝枕をしたが。よくわからないな。

 俺の問いに、時雨はくすくすと笑った。

「今度、時間を見てジャンヌさんにしてあげるといいんじゃないかな?

 …………え、ええと、……残念そうな表情してた、し」

「……ああ、そうだな」

 残念そう、と時雨は言葉を濁した。俺の目には、何か、それ以上に特異な状況に見えたが。

 ともかく、甘えさせてほしいと以前に言われた。落ち着いたら行こうか。

 だから、

「失礼する」

「あ、……は、はい」

 とす、と蒼龍の膝に頭をのせる。…………なるほど。

「え、ええと、ジーク君。

 寝心地、悪くない、ですか?」

「いや、そんな事はない。いいものだな」

「そうですかっ」

「ジーク君。御夕飯まで、まだあと一時間くらいあるみたいだし、ゆっくり休んでていいんじゃないかな?」

「そうか? ……蒼龍。

 拘束してしまうようで申し訳ないが、いいか?」

「ぜ、全然、だ、大歓迎ですっ」

「そうか」

 なら、甘えるとしよう。一息ついて、軽く目を閉じた。

 

//.旅館

 

 基本的に、ジャンヌはアストルフォを嫌っているわけではなく、アストルフォもジャンヌに悪い感情を抱いているわけではない。

 ただ、お互い、誰よりも大切な人、大好きな人が共通というだけ。

 もちろん、その人には自分を一番に見て欲しい。誰よりも構ってほしいし、一番傍にいて欲しい。そんな、当たり前の想いが重なっているだけ。

「はー、マスターと一緒がよかったナー」

 早速畳でごろごろし始めたアストルフォ、ジャンヌにとっても畳は珍しい。撫でている。

「同感です。……というか、お互い、二人部屋がいいという思いだけ見事に的中するとは。…………何なのでしょうか、この残念感」

「ぽんこつだねー」

「そうですね。ぽんこつライダー」

 最近よく言われる言葉に、若干頬を引きつらせてジャンヌは応じる。

「でさー、ルーラー」

 ごろん、と寝転がってジャンヌに視線を向けるアストルフォ。

「これからどうするの? 旅に出る、って言ってたけど」

「まずは、天草四郎時貞。彼の事を知ろうと思います」

「そ、……まあ、ボクは二度目かな。

 で、大本営にはかかわらない、と」

「雪風の心労を増やすわけにはいきませんから」

「あー」

 ごろん、とアストルフォが寝転がる。

「ライダー?」

「漣、いるでしょ、彼女」

「貴方に好意を寄せていますね」

「会った時さ、いろいろ壊れてたんだ。

 信じられる? ぼろぼろで、俯いてて、何もしゃべらないで、部屋の隅っこで膝を抱えて座るだけの姿」

「は?」

 信じられるか? という問いに、ジャンヌは否定するしかない。

 アストルフォに負けず劣らず賑やかな彼女の姿を思い浮かべ、ジャンヌは首を横に振る。アストルフォは溜息。

「提督だっけ? そいつに暴行されたんだってさ。

 そんな泊地がいくつかあったよ」

「そうですか」

 管理の目が届いていないという事だろう。ジャンヌは暗澹と溜息。

 深海凄艦の発生は本当にあっという間だったと聞く。発生地点は日本の全海域。発生規模、発生パターン、発生数は不明。

 確かに組織の急速な拡大が必要だ。何よりも手が足りない。……のだが。

 急拡大した組織を完全に管理出来るか。かつて、軍を率いて戦ったジャンヌにはカリスマがあり、支えてくれる仲間がいて、付き従うのも志をともにする者たちだった。だから大きな問題はなかった。

 けど、ここは?

 ジャンヌからすれば深海凄艦だけでなく、大本営も非常に歪だ。仮に雪風の代わりに軍を統率しろと言われても、過去の経験を活かせるとは到底思えない。

 様々な歪みを抱えているのだろう。その結果が、ぼろぼろだった漣や、解体されそうになった翔鶴。そして、一時は捨てられた暁たちか。

「大本営に関わっていった方がいいと思いますか?」

 問われて、アストルフォは首を横に振る。

「気に入らなかったら叩きのめせばいいじゃない? ボクはそうしていくつもりだけど?」

「…………そうですね」

 大本営を潰せば、それこそ深海凄艦を止める術はなくなる。イタチごっこの戦いから敗北確定の戦いに変わる。

 それとも、泊地を自分たちが監視して回るか? それは論外だ。全海域防衛のため海に囲まれた日本の至る所に泊地や基地があり、数多くある離島にも配置されている。

 だから、

「声が聞こえたら、差し出された手が見えたら、その手を掴みに行きましょう」

「ま、それを無視するなんて、出来るわけないしねー」

「そうですね」

 ジークの、……死にかけたホムンクルスの、あまりに脆弱な一言。それを聞き届けたのは彼だ。

 英雄の誇りにかけて無視するなんて出来ないのだろう。

「そういえば、ライダー、最近は日本にいたのですか?」

 問われてライダーは頷く。

「うん、あの後いろいろ回ってね。ヨーロッパの方は大体回ったから、日本を見て回って、で、次はインドかなーって思ってたところ。

 マスターとルーラーは、日本に来たって事は天草四郎を追ってみるんでしょ?」

「ライダーはインドに向かって構いませんよ」

 強いて、素っ気なく言うジャンヌにアストルフォは頬を膨らませる。

「そんな事するわけないじゃん。ボクも一緒に行くよ」

「まあ、そうでしょうね」

 当たり前の回答にジャンヌは苦笑。絶対に、アストルフォはジークから離れたりはしないだろう。

 その気持ちは、よく、解る。

「それで、日本はどうでした?」

 ジャンヌの問いに、アストルフォは首を傾げる。

「内陸、……まあ、大本営とかいうんじゃない、普通の人、っていうのならいい所だよ。

 ええと、ほら、経済ピンチってやつ? いろいろ貧しくなっちゃってるけどさ。皆が身を寄せ合ってなんとか暮らしてるって感じ」

 貧しい、というのは仕方ないだろう。深海凄艦により国交が閉ざされているのだ。小さな島国である日本にとって、それがどれだけのダメージになったか計り知れない。

 だからこそ、

「暴動とかないのですか?」

 貧しくなれば不満も募る。そして、それは暴動につながる。

 ましてや、いつ終わるとも知れない貧困だ。不安の爆発など当たり前のようにあるだろう。けど、

「ぜーんぜん、ないない。

 なんていうの? 国民一丸となって素朴で質素な生活ってやつ? 前に泊まった村で太っちょがへろへろしながら鍬振り回してたけど、もともとはどっかのでっかい企業の重鎮だったんだってさ。

 官僚とか、重鎮とか、そういう人も泥まみれになって畑耕してたり、労働にいそしんでたよ」

「…………それは、また、」

 疲弊した経済を立ち直らせるために、富も権力も投げ打ち体を動かして働く人たち。

 確かにそれは必要だろう。食料の確保は生きるために絶対に必要なのだから。けど、

「理想的、といいますか」

 アストルフォの語る現状は、確かに理想的だ。…………正直、出来過ぎているとさえ思えるほどに、

 けど、お国柄、というのも首を傾げざるを得ない。

「そういう国、……っていう風にも、見えないんだけどねえ。

 提督の中には遊んでるのも結構いたし」

 アストルフォも首を傾げる。陸では貧しくても手に手を取り合っての素朴で質素な生活。けど、海、泊地では提督という階級を利用して豪遊している者もいた。

 あまりにも極端な姿は理性が蒸発しているアストルフォにとっても、奇異に映る。

「それだけ軍部が歪んでいるという事ですか」

「いやいや、歪みすぎっしょ。ほんと、全然違う感じしたもん」

「あの、軍部の状況がそうさせたのでしょうか?」

「そんなもの? よくわからん」

 理性蒸発しているアストルフォにとって、その手の機微は解らない。

 対して、ジャンヌはかつて軍を率いて戦った経験がある。軍人の心理は、ある程度分かっているかもしれない。

 けど、

「私にも想像できませんよ」

 想像できない。最前線で命を奪い、奪われ、血を撒き散らしながら戦った自分たちと。前線に出れず安全圏で指揮を執る事しかできない提督とは、その在り方が違いすぎる。

 だから、

「困ったものですね」

 ジャンヌは真剣に溜息をついた。

 

//.旅館

 

「…………ん、……」

 ふと、目を開けた。

「あ、……蒼龍、か。

 すまない、眠ってしまったようだ」

「ぜ、ぜぜ、全然っ! 全然気にしなくていいですっ、あ、いや、……あ、ありがとうございましたっ!」

「……ああ、どういたしまして?」

 なぜ感謝をされるのだろうか?

「……………………」

「……時雨、ええと、大丈夫か?」

 体を起こす。で、

「時雨」

 軽く肩を叩いてみた。彼女の肩が跳ね上がる。

「ひゃうっ? ……あ、じ、ジーク君っ?」

「大丈夫か?」

「あ、……ぼ、僕は大丈夫っ、大丈夫だよっ、うんっ」

「そ、そうか?」

 まあ、当人が大丈夫というのなら、大丈夫か。

「それで、時間は?」

「もうちょっとで夕食ですね。

 旅館見て回るついでに、向かいますか?」

 蒼龍の問いに、頷いた。

 

 旅館内を軽く見て回り、夕食少し前に到着した。まだ料理は並んでいないが。

 けど、俺たち以外は皆集まっていた。最後に入ってきた俺たちに向けて足柄は軽く手を振る。

「お部屋はどうだった?」

「ああ、広くて落ち着ける内装だった。……多摩が昼寝をしたいといっていた気持ちもわかる」

「共感出来て何よりにゃ」

「そうだな。さっきまでうたた寝していたようだ。偉そうなことは言えないな」

「大丈夫にゃ、…………にゃ? ジークはさっきまで寝てたのかにゃ?」

「情けない事にな」

 苦笑。……で、大和と足柄が、ぐるん、と視線を向ける。

「む?」

「蒼龍、ちゃんと、寝顔は撮影した?」

「ど、どうでしたか? ちゃんと、保存しておいてくれましたか?」

「ああ、いや、すまない。

 蒼龍には膝枕をしてもらっていた。拘束をしていた事になってしまったな」

「はひっ?」

 ぐるん、と一斉に視線が向けられて、蒼龍が慄く。

「それで、蒼龍。どうだった?」

 足柄が重々しく問いかける。蒼龍は頷く。

「完璧でした」

「いや、何がどういう意味だ?」

 寝顔に完璧とか、何かあるのだろうか?

「ぐ、……ま、まだ私もジーク君に膝枕をしたこと、ないのに。

 なんでしょうか、この敗北感」

 なぜか渋い表情のジャンヌ。

「まあ、機会があればな」

 やる事は構わない。頷く。

「僕も見てたけど。……うん、凄いよ。

 ジーク君って、ほんとに男性なんだよね?」

「そうだが。……そう、見えないか」

「あ、いや、見えないってわけじゃないんだけど。

 ジーク君、顔立ちも整ってるし、…………そうだね。寝顔は、ちょっと女の子っぽくも見えたかな」

「そうか」

「ん、マスターって男らしくなりたい?」

「そうだな。あまり外見は気にしたことがなかったが。……どういうのがいいのだろうな。

 やはり、”赤”のバーサーカーのような偉丈夫でないとだめか」

「ああなった方がかなりだめだよ。っていうか、偉丈夫レベル高過ぎじゃないそれ?」

「ほら、ジャンヌっ、ジャンヌっ、貴女の出番よっ!」

「へ? え? 私ですか?」

「当たり前でしょ? 貴女はジーク君の恋人なのよ。

 ほら、ジーク君の悩みを聞いてあげなさいっ、具体的には、どんな男性が好みか?」

「え? え? こ、好みの男性と言われましても、……あの、…………じ、ジーク君以外は、思い付かない、です。

 外見だけで判断するつもりはありません。けど、……その、が、外見も、今の、ジーク君が、一番、です」

「…………隙がないわね」

 慄く足柄。と、大和が、ぱんっ、と手を叩いた。

「お洋服を買いに行きましょう」

「ん?」

「明日です。ほら、皆で一緒に遊ぼうってお話ししてたじゃないですか。

 それで、町を散策したりで、その時にお洋服を買いに行くってどうですか? ええと、ジーク君たちも、必要じゃないでしょうか?」

「そうだな」

 旅を続けるのなら代えの服も必要だ。

「そうしてくれると助かる。……が、いいのか? 皆で遊ぶ機会に、買い物に付き合わせてしまって」

 あまり、そういう機会は少ないだろう。けど、

「あら? ジークは解ってないわね」

 足柄は笑顔で親指を立てて、

「女の子の遊ぶっていうのはね。皆で一緒にお買い物、も含まれるのよ」

「そうだったのか?」

 知らなかった。俺の問いに艦娘の皆は頷く。

「ジークはどんなお洋服が好きとかあるの?」

 暁の問いに俺は首を横に振る。

「いや、考えた事もない」

「じゃあ、マスター、ボクとおそろいなんてどうっ?」

「…………ない、が、女装するつもりはない」

 アストルフォを追い払う。が、

「大丈夫っ、じゃあ、ボクも男物の服着るよ。マスターとおそろいなら、多少は可愛くない服でも許すっ!」

「私も、お、男装も、いい、ですよ」

 おずおずとジャンヌが手を上げた。けど、

「ジャンヌ、それは、さすがに厳しいと思う」

「だよねー」

「うぐ? そ、……そう、ですか?

 けど、昔は私も男装していました、し」

「ジャンヌ」

 ぽん、と金剛がジャンヌの肩を叩いた。

「男装のジャンヌも素敵そうだし、すっごく興味ありマス。

 けど、無理デス。……そのおっぱいが収まる男物の服なんて、物理的に、あり得まセン」

「…………どうして、……どうしてこんな事に」

 しゅんとするジャンヌ。申し訳ないのだが、慰めの言葉が何も思いつかない。

「ま、まあ、……じゃあ、おそろいのアクセサリとかでいいんじゃないですか?」

 慌てて口を開く大和。ジャンヌは手を組んだ。

「そうですね。……ここに、天啓は下りました」

「あはは、喜んでもらえたようで何よりです。……と、料理も来ましたね」

 大和が視線を向けると障子が開く。楚々と頭を下げる翔鶴と、おそらく彼女と同じように引き取られたのだろう。艦娘がいる。

「ふふ、お食事をお持ちしました」

「ああ」

「あ、……えーと、すいません。大騒ぎしてしまって」

 不意に、ジャンヌが困ったように言う。ああ、そうか。

「そうだな。外まで響いていなかったか?」

 皆と話をするのは楽しいが、外まで響いてたらほかの宿泊客の迷惑になる。

 故の問いに、翔鶴はくすくすと笑う。

「ご安心ください。宿泊客は皆さましかいません。

 貸し切りです」

「そうか。それはよかった」

「それと大和さん。明日の朝食でよければ、厨房は開けておきます。

 必要なものがあれば教えてください。一通りそろえておきますから」

 穏かに微笑む翔鶴。大和は彼女の手を取って、

「ありがとうございますっ、翔鶴さんっ」

「どういたしまして」

 笑顔を交わす翔鶴と大和。と、

「それにしても、……綺麗ですね。

 泊地で食べた大和の料理も見事でしたが、見た目も丁寧に作ってあって、素晴らしいです」

「そうだな。これは翔鶴が作ったのか?」

「はい。……ほかの娘たちにもお手伝いしてもらいましたけど」

「そうか」

「ふふ、気に入っていただけたならよかったです」

 むむ、と大和が対抗心を燃やしたようだが。……さて、

「ではっ、旦那様曳航ーっ」

「ちょ、ちょっと待ってよ漣っ! ボクはマスターの隣がいいっ!」

「させませんっ。具体的に言えば旦那様にあーんするのは、この、漣ですっ」

「それボクもやりたいんだけどっ?」

「大丈夫だ。アストルフォ。心配する事はない。

 俺は一人でも食べられる」

「そういう事じゃなくてっ」

「漣、旦那の世話をするのは妻の役目。

 任せた」

「了解大旦那様っ! この漣っ、誠心誠意尽くしますっ!」

 びしっ、と敬礼してアストルフォを曳航する漣。で、

「さて、と」

 俺は空いている席に腰を下ろす。す、と。ジャンヌは俺の隣に腰を下ろして、

「じゃあ、お隣失礼するわね」

 すとん、と、ジャンヌとは逆隣に足柄が腰を下ろした。そして、それぞれ座る場所を決め、軽く手を合わせる。この時は一応、アストルフォも静かになり、

 

 いただきます。と、声が重なった。

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