聖女とホムンクルスの艦隊これくしょん   作:林屋まつり

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八話

「すまないな、話を聞くといっておきながら、これで」

「あ、あははは」

 一緒に食器を洗いながら、大和は苦笑。

「いえ、いいですよ。

 その、ちゃんと場を用意してもらって、ってなると言い難いですし」

「そうか?」

 そんなものか。首を傾げる俺に「大した話でもないですから」と、大和。

 いや、こういう方が落ち着けるのかもしれない。話す内容によって、話しやすい状況というものがあるだろう。

「ジーク君、艦娘って、もともとは軍船だって、知っていますよね?」

「ああ、時雨からもらった資料にあった。

 軍船に向けられた、信仰の形、その結晶と」

「そうです。で、私は大和、……戦艦大和が元となっています」

 大和は、苦笑。

「戦艦大和は、戦うために作られたのに、ほとんど、戦わなかったんです」

「そうなのか? …………ああ、」

 ふと、思い至った事がある。

 戦うための存在、それが、戦わない理由。

 考えればいくらでもあるだろう。けど、そのうちもっとも、わかりやすい理由。

「コストか」

 例えばサーヴァント、強大な英霊を使役するには、相応の魔力が必要になる。

「そうです。よくわかりましたね」

「まあ、心当たりがあるからな」

「ああ、魔術ですか」

「…………そうだ」

「そう、コストです。

 戦艦大和は、当代、最強の戦艦でしょう。……けど、それを動かし、戦うために必要な燃料、砲弾、は相応に必要で、戦況が厳しく、皆が貧しく、だから、戦艦大和が戦う余力は、なかったんです。

 ……まあ、もっとも、造られた当時も、似た様なものでしたけど」

 暗い、自嘲の笑み。

「戦うために作られておきながら、戦う事もなく、ただ、ただ、そこにいただけ。

 最強の威風のためか、何なのかはわかりませんけど、大和は内装も、食事とか、待遇もよくて、……そんな戦艦についたあだ名が、ホテルでした。料理が出来るのも、その名残ですね。

 結局、私は、大和は、……昔も、今も、必要なところでは、何の役にも立っていない、という事です」

 皿を洗いながら、笑みを浮かべる大和。

「それでも、俺は君が羨ましい」

「へ?」

 大和が顔を上げる。……けど、俺は自分の手に視線を落とす。

「大和が作ってくれた料理は、あの場にいた皆を笑顔にさせた。

 俺はそれが羨ましい。…………それでは、」

 きょとん、と俺を見る大和。彼女を真っ直ぐに見返して、問う。

「不満か? 戦い、勝つことだけが自分に課している事か?」

「それ、……は、」

「この国の状況は解っている。

 人々から求められるのは、誰かに安らぎを与えるホテルではなく、敵を撃ち砕く戦艦だろう。

 けど、戦いに殉じる、それだけであってほしくない。俺は、ホテルでもいいと思う。それで、誰かを笑顔に出来るなら、俺は羨ましい」

「…………そうです、よね」

 小さく、ぽつりと、一言。

「あはは、ありがとうございます。……うん、それでもいいかなって、楽になりました」

 大和は笑顔を見せてくれた。本当に、話を聞いただけだが。

「いや、話を聞いただけだ。礼を言われるほどではない」

「それだけでも、嬉しい事ってありますよ。……んー」

 不意に、大和は悪戯っぽく微笑む。

「じゃあ、ホテルとして、いつか、ジーク君が美味しい、って驚いてくれるような料理をご馳走してあげますね」

 俺の味覚の事は知っているはずだ。けど、その笑顔を見れば指摘する気も失せる。だから、

「ああ、楽しみにしている」

 そんな言葉を返した。

 

 金剛を旗艦とした艦隊で哨戒、ある程度の安全が確認されたら暁を旗艦とした艦隊で資材確保。

 今日はそんな流れで動く事になった。金剛たちのオペレーターをジャンヌに任せる。パソコンを前に半泣きでおろおろするジャンヌをとりあえず説き伏せて、

「それじゃあ、ジークっ、行ってくるわねっ!

 ちゃんと暁たちの活躍、見てなくちゃだめなんだからねっ」

 暁たちは資材確保のために出る。けど、それと同時に、

「こちらで成功したらすぐに連絡をする」

「うん、わかってるけど、ジーク君、無理したらだめだよ?」

 心配そうに時雨が問う。それは、俺の魔術による資材の変質。

 艦娘が使う鋼材とは別の、普通の鋼材を艦娘が使える形に再構築するか。

 あるいは、余った装備類をもとの形、資材に戻す事が出来るか。

 やってみる価値は、ある。…………「あまり、信用してなさそうだな」

 不審そうな時雨と暁。足柄は苦笑。

「なんか、ジーク君。結構無茶しそうです」

 蒼龍の言葉に時雨と暁がこくこくと頷く。……どうしたものか。

「そーんなジークに朗報よっ」

 ずい、と蒼龍の後ろから足柄が顔を出す。

「朗報?」

「ジークっ、私たちは軍属、軍人なのよ」

「あ、ああ、そうだな」

 頷く。足柄はしたり顔で頷き返し、

「そんな、私たちにとって、絶対に許せない事は、何だと思う?」

「許せない、事?」

 繰り返す。その言葉を聞いて、足柄も、時雨も、暁も、蒼龍も、じ、と俺に視線を向ける。

 許せない事。

「それは、民が傷つく事なのよ?」

「…………わかった」

 頷く。軍人、民を守るために戦うのが彼らなら。

 守るべき民が傷つく事は、許せない。それこそが、軍人の存在意義なら。

「無理はしない。

 貴女たちの誇りを守るためにも、ここで、無事な姿で出迎えよう」

 頷く、………………「ん?」

 なぜか、期待をするような視線で俺を見る暁たち。なにか、他にいう事があるのだろうか?

 首を傾げる。そんな仕草を見て、暁が地団太を踏んだ。

「もうっ、ほんとーにジークは鈍いわねっ!

 暁たちはこれから資材確保に出かけるのよっ!」

「あ、ああ、それは知っているが」

「なら、何かいう事があるでしょっ!」

 頷く足柄達、……そうか。

「いってらっしゃい」

「この、とーへんぼくーっ!」

 暁に殴られた。痛くはないが。

「それも、間違えてはいないんですけど。

 こう、……もっと、びしっ、とした台詞だったら、格好いいなあ、……なんて」

 蒼龍が困ったように言う。……難しいな。

「ま、それで頭抱える辺りがジークね。けど、それはそれで可愛いわよ」

「そうだね。ジーク君らしいと思うよ。

 けど、」

 時雨はウィンク一つ。

「格好いい所も見てみたいな。

 それじゃあ、行こうか」

「任務内容、資材確保、」

 彼女たちは海へ。……そして、誰からともなく、声。

 

「抜錨しますっ!」

 

 そして、駆け出した。

 

//.泊地・近海

 

「ンー、やっぱり、敵艦もほとんどイマセンネ。

 ジャンヌ、暁たちは出撃したデス?」

『ひゃっ? は、はいっ? え、ええと、したはず、です』

 なんとも頼りない声が通信から聞こえる。声の主は泊地で待っているジャンヌ・ダルク。

 名高き聖女。あと、魔術というのも何か関わっているらしい。そちらはよく知らないが。

 ともかく、パソコンは苦手なのかもしれない。

「ジャンヌさん、大変そうですね」

「半泣きでおろおろしていると姿が目に浮かぶにゃあ」

「同感ネー」

『あ、あの、……えーと、き、聞こえますか?』

「ホラーボイスが聞こえるにゃあ。謎のうめき声にゃ」

『え? へ? あ、あれ?

 これ、これで話しかければ普通に通じるって、ジーク君が言ってたはずなのに』

「冗談にゃ」

『た、性質の悪い冗談を言わないでくださいっ! こ、壊れたかと思いましたあ』

 心底ほっとした口調のジャンヌ。思っていた以上に悪い事をした、と。一応、多摩は反省。

『と。ともかく、暁たちも出撃したようです』

「了解デス。では、ワタシたちは暁たちの経路確保に移りマス。

 それでいいデスネっ!」

『それ、……いえ、そうですね。

 お願いします』

「OKっ、それじゃあ、張り切ってイキマショウっ」

 金剛の声に、小さな声が返る。『大丈夫ですよ』、と。

 

 暁たちも無事予定の集積地に到着し、資材の詰込みを開始。

 集積地周辺は蒼龍に索敵を任せ、金剛と大和は退路確保のため艦載機を発艦しながら、一息。

「順調、っぽいネー」

「そうにゃ、順調でいい事にゃ」

「敵機は、確認できませんね。

 このまま何事もなければいいのですが」

 ぽつり、大和が呟く。何事もなければいい、と。

 けど、…………「まずい、ネ」

「金剛?」

 大和同様、艦載機を飛ばして索敵していた金剛が、小さく呟く。

 作業する暁たちを見守るために艦載機を飛ばしていた大和とは逆方向、退路確保のための偵察。そこで、

「泊地に、深海凄艦、奇襲ネっ!」

 その、最悪の報に大和と多摩は青ざめる。

 泊地、帰るべき場所。資材があり、入渠施設がある、艦娘の拠点。……けど、それ以上に、

「ジャンヌっ! 応答するネっ! 深海凄艦がそっちに向かってマスっ!」

 怒鳴る。けど、

「ジャンヌっ!」

 返事は、ない。金剛は歯ぎしり一つ。

「多摩っ! すぐに戻るネっ! 大和っ! 暁たちに連絡、それと、遠距離からの砲撃援護っ!」

「了解にゃっ!」「はいっ!」

 金剛と多摩は駆け出し、大和も、暁に連絡をしながら走り出す。

 金剛は走りながら舌打ち。護らないといけない二人が害される。その、最悪の可能性を考える。

「Shit、深海凄艦が、どこから湧いて出てくるのデスカっ!」

「これじゃあおちおち出撃も出来ないにゃあ」

 金剛より、多摩の方が速い。最高速度で海をかける。……そして、

「見えた、にゃ」

 見えた。けど、多摩は眉根を寄せる。

 昨日襲撃してきた黒い少女の形をした深海凄艦。……けど、迷う暇はない。

「昨日出た深海凄艦にゃっ! 数は、合計で四っ!

 真っ直ぐ、狙いは泊地にゃっ!」

『拠点狙いなんて、そんなの、許さないんだからっ!』

 怒鳴る暁の声に、「同感にゃ」と応じて、

「後ろから、強襲するにゃ。

 金剛、砲撃支援、よろしくにゃ」

「了解ネっ」

 誰を狙おうか、視線を巡らせて、泊地に向かって艦載機を飛ばす少女を見据える。的を絞り、砲弾を叩き込む。背後から攻撃されたとわかれば転身するだろう。単艦ゆえに、集中砲火は覚悟だが。そのあたりは頑張って回避して、金剛の砲撃支援と大和たちの合流に期待すればいい。

 けど、

「どうしてにゃっ!」

 背後からの砲撃など一顧だにしない。砲撃を叩き込み続け、すでに大破。それでも、見向きもせず、

「まずい、にゃ」

 艦載機が発艦、そして、他の深海凄艦も砲を構えた。

「待つにゃっ!」

 砲を向ける深海凄艦に砲弾を叩き込む。けど、

 大破した深海凄艦が振り返る。そして、多摩の前に飛び出す。

「つっ?」

 砲撃を受け、轟沈。けど、

 

 砲撃。

 

 多摩ならわかる。砲撃の音などから、それは確実に泊地を穿つ、と。

 そして、予想通り、砲弾は泊地に届く、しかも、最悪な事に直撃する場所は執務室。ジャンヌがいるはずの場所。そこで響く、破砕の音。

 

 翻るのは、純白の聖旗。

 

「こういう形で使うのは初めてかもしれません、……が、悪くないですね」

 声の主は、聖女、ジャンヌ・ダルク。

 威風堂々、テラスに立ち、聖旗を掲げるその姿。紛れもない、英雄。

「ここは、私たちの友が帰る場所です。破壊するなど、断じて許しません。

 そして、」

 聖旗を翻し、大きく振るい。ジャンヌは声を上げる。届ける先は室内の通信機。その先にいる、友。

「私の、友に告げましょう。この、聖旗が翻る場所こそが、貴女たちの帰る場所ですっ!

 この旗がある限り、貴女たちの帰る場所はここにある、帰りを迎える人は、ここにいるっ! だから、」

 それは、安堵を約束する言葉ではなくて、

 けど、

 

「存分に、戦いなさいっ!」

 

 その声を聴いて、多摩は、自然、口の端が吊り上がるのを感じた。

「了解にゃ」

 

//.泊地・近海

 

「ジャンヌっ!」

 砲撃と爆発の音を聞いて、俺は外に飛び出す。

 そして、見た。鎧を着て、聖旗を掲げる彼女。

「ああ、ジーク君ですか、今、ちょっと忙しいですけど」

 さらなる砲撃、砲弾をジャンヌは聖旗で叩き落とす。

 妙だな、と。深海凄艦の背後には多摩がいるし、金剛の砲撃もある。さらに奥、よく見れば暁たちも駆けつけている。

 けど、深海凄艦は振り返りもしない。ひたすら泊地を砲撃している。……もっとも、

「ふっ」

 呼気一つ。ジャンヌは泊地の出窓などを足場として、高速で駆け回る。迫る砲弾を聖旗で叩き落とす。

「大丈夫か?」

「深海凄艦の大きさは人と大差ありませんから、射線は絞れますし、……正直、適当に撃っているだけのような感じがします。

 知性は確認できていないようなので、問題はありません」

「そう、……上っ」

「艦載機ですか」

 ジャンヌは跳躍のために腰を落とす。けど、

「任せて欲しい」

 眼前には砲を構える深海凄艦。上に行けば、砲弾が泊地を穿つかもしれない。

 彼女たちの帰る場所だ。傷つけたくない。俺の言葉にジャンヌは溜息。聖旗を構える。

「無茶、しないでくださいよ」

「わかってる。約束した事は、守る」

「約束?」

 走る。脚力を強化。足の周囲に紫電が弾け、魔力の加速を感じ、疾走。

 ジャンヌの問いに、応じる。

「無事な姿で出迎える、と」

「…………素晴らしい約束ですね。

 では、私も約束したことにして、それを果たしましょうっ!」

 跳躍、そして、ジャンヌが振り上げる聖旗を足場に、大跳躍。

 泊地の上、艦載機が爆弾を落とすのを見据える。……一息。

 脳は茨のイメージを編み上げ、声は、神鳴を吼える。

「『磔刑の雷樹』っ!」

 イメージ通り広範囲に広がる雷の茨。それが泊地の上を覆う。

 落とされた爆弾は雷撃に触れて誤爆。爆音が響く。けど、

「弱いか」

 艦載機にも雷撃は届いたが挙動を乱すだけ。元よりオリジナルである”黒”のバーサーカーには遠く及ばないだろう、ましてや自爆覚悟の一撃ではない。威力を捨てて範囲を広げた雷撃だ。威力は望むべくもない。

 今は、護れただけ良しとするべきか。そう思って落下。けど、

 

 爆音。

 

「そうだな、来てくれると、信じてた」

 視線を向ける。空に機銃を向ける暁と時雨。ばらまかれる銃弾が艦載機を穿ち、撃ち落とす。

「ジーク君っ」

 ジャンヌは跳躍して聖旗を振るう。そこに足を置き、膝で衝撃を吸収。落下速度を落として、着地。

 そして、

「勝利ですね」

 ジャンヌの視線の先、大慌てで皆が戻ってきた。

 

「ジークっ、大丈夫っ? 怪我とかないっ?」

 駆け寄って来る暁に頷く。

「ああ、大丈夫だ」

「よ、……よかったあ」

 暁がへたり込む。そのまま俯いて、

「も、……もう、レディーに心配させるなんて、だ、だめなんだからあ」

「ああ、すまない」

「いや、今回のは僕たちに落ち度があったよ」

 しゅん、と肩を落とす時雨。彼女は深く頭を下げて、

「ごめん、こっちの砲撃を無視してまで泊地を攻撃するなんて思わなかったから、油断してた。

 深海凄艦は海上にある動く者、艦娘とか、輸送船ばかりを狙うものだと思ってたよ。前に来た時も、僕たちを相手にしていて、泊地は無視してたから艦娘を狙うものだって思ってた」

「そうだな。……ただ、こういう事もあるとわかった。

 少し、考えなければならないな」

 俺やジャンヌは海を行く事が出来ない。遠距離から砲撃をされては、防戦一方になる。

 ジャンヌがそう簡単にやられるとは思えないが、それでも、数が増えれば防衛も難しくなるだろう。

「それに、資材の確保も失敗しちゃったわね。

 ごめん、おいてきちゃったわ」

 足柄もばつが悪そうに頬を掻く。多摩は肩をすくめて「仕方ないにゃ」

「そうですよ。私たちが優先しなければいけないのは、ジーク君とジャンヌさんの安全です。

 あれは、ああするしかありませんでした」

 大和の言葉に足柄は、深く、一息。

「よ、よしっ、それなら、また行くわよっ!

 今度はちゃんと泊地に護衛付きでねっ。もう、ジャンヌやジークが危ない目に遭うなんて、絶対ダメなんだからっ!」

 立ち上がる暁。時雨たちも頷く、が。

「だめです」

「ジャンヌの言うとおりだ。

 皆の事だから、全速力で戻ってきたはずだ」

 俺の言葉に、頷く。だから、

「疲労や、燃料は?」

 一息。暁たちは動きを止め、気まずそうに視線を逸らす。

「前に、多摩に言われたことをそのまま返そう。

 俺たちも、君たちが傷つくところを見たくない。戦うと決めたのなら、それでもいい。その意思は尊重しよう。

 それでも、傷ついてほしくない。これが俺たちの希望だ」

「…………ンー、理想論、デスネ」

 金剛は苦笑。「そうですね」とジャンヌも頷く。

 そう、理想論でしかない。戦う、と決めたのだ。それなのに傷つかないでほしいなんて、無茶だ。

 けど、

「どうか、その理想を、出来る限り、叶えて欲しい。

 それが、俺たちの希望だ」

「…………無茶ぶりここに極まる、デスネ」

 呆れた、と金剛。けど、

「にゃっ、提督の方針には従うにゃっ」

「そうねえ。……そういう命令じゃあねえ」

「…………いや、俺は「提督でいいと思います」……ジャンヌ」

「…………な、なんですかっ? 提督さんっ」

「君までそういうか」

 提督と言われても、正直、困るのだが。

 どうしたものか。

「ちょ、今のジーク君、可愛かったですねっ、あの、困ったような、すがるような視線がっ」

「……あれはもう、弟ねっ! もう一回、……いや、もうずっとお姉さんって呼んでもらおうかしらっ?」

「わ、私もお願いしようかな。お、弟くん、っとか、呼んでいいかなっ?」

「主よ、感謝します」

 大和と足柄と蒼龍が楽しそうに話し合い、なぜかジャンヌが主に感謝をした。なぜだろう、関わると損をする気がする。

「まー、あっちの邪な連中はいいにゃ。

 じゃあ、午後はお休み、件、作戦会議にゃ」

 ひらひらと軽く手を振る多摩。

「そうだな、それがいい。

 確か、周辺海域の資材がある場所の資料もあったはずだ。改めて、情報の整理と計画を立て直そう」

「りょーかいにゃ。……っと、そうそう、ジーク。

 ええと、魔術どうこうはどうにゃ?」

「ああ、そうだったな。

 装備の解体は出来そうだ。解析は終了した。あとは実行してみて結果を確認しようと思っていた」

「あ、そうなの?」

「ただ、一つにつきどの程度鋼材が得られるかはわからない。

 不確定要素も多いから、とりあえずはやってみようと思う」

「了解にゃ、……じゃあ、話し合いはその結果待ちかにゃ? 内容の優先順位も変わりそうだにゃ」

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