こまめな水分補給は大事ですね。
「よっちゃん!!こっちこっち!!」
「よ、よっちゃん?わ、私のことですかね?」
「よっちゃんはよっちゃんよ!!あっちに つちのこ って蛇がいたの!つかまえるのよ!!」
時はいつの間にか昼下がり。 予定していたピクニックに急遽依姫さんと豊姫さんと一緒に、家の周辺の山道に僕たちは来ていた。依姫さんはチルノに手を引かれ、振り回されているみたいだ。
「あらあら、依姫ちゃんを振り回せるなんて、あの子やるわねぇ。津波もいつもあんな感じなのかしら?」
「ええ、それはもう毎日振り回されてます。おかげで最近は日中に眠気が一切しないんですよ。」
二人の姿を遠目に地面に腰を下ろしている、僕と豊姫さんは特に目的もなく世間話をしていた。
そう、チルノのテンションは寝る時間になるまで、下がることはない。だから少し目を離したら状況についていけなくなるんだ。だから眠ってる暇なんて無い。けど、だからこそ見ていて楽しいのも事実だ。
「ふふふ、毎日が楽しいのね。あの妖精ちゃんは津波に良い影響を与えてくれたみたい。」
「え、そ、そう見えますか……?」
見透かされた様な発言に少し驚く。確かにその通りなんだけど、そんなにわかり易かったかな。
「ええ、それはもうはっきりと。だって数ヶ月前までの貴方はお礼や謝罪なんてしなかったもの。」
「ヴェ!?ぼ、僕そんな失礼なこと今までしてたんですか!?も、申し訳ないです。」
記憶を掘り返す。今までのこの姉妹との会話を思い返してみる。………………あっ。
「……ホントだ。」
「でしょう?」
本当に僕は今日の今日まで、一から十まで助けて下さった二人に何のお礼も謝罪も言えてなかったのだ。
「ごめんなさ「いいわよ、言わなくて。」っ、はい…」
謝罪の言葉は途中で遮られた。
「別に私たちは津波の、感謝が欲しくて助けた訳じゃないし、謝罪が欲しくて助けた訳でもない。結局はただ今にも死にそうだった貴方を、私たちが放って置けなかっただけよ。」
気にしなくて良い、そう穏やかな顔で豊姫さんは言ってくれた。それに母親の様な暖かさを感じた。何だかそれが恥ずかしくて、逃げる様に立ち上がってチルノの方へ足を進めた。
「あらあら」
そして僕の羞恥心を見透かしたかの様に、豊姫さんはコロコロと笑った。やっぱり彼女にはどうひっくり返っても勝てないみたいだ。うん、もう諦めよう。その方が利口だ。
この後のことはもうはちゃめちゃ過ぎて、どう言葉に表したら良いかわからないから、割愛させてもらおう。いやもうホントに大変でした。ーーーーーーまさかホントにツチノコが出てくるなんて。それを見たチルノといったらもうーーーーーーいや、みなまで語るまい。
といった感じで、良い風に言えば退屈しようがない濃密なピクニックだったよ。いやわりとホントに、うん。
「それじゃあ、そろそろ私たちは帰るわ。」
晩御飯を4人で食べて少し話しをした後、2人との別れの時間が来た。それまでがとても楽しかっただけあって、やっぱり少し寂しさを感じる。
「はい、お二人とも今日はありがとうございました。とても有意義な時間でした。」
「ええ、私も久しぶりに羽を伸ばせた気がします。また暇ができたときに来ますね。」
「ホント!?じゃあまたいっしょにツチノコ探しましょ!!よっちゃんやくそくよ!!」
随分と仲良くなったようで、チルノも依姫さんとまた会う日を楽しみみたいだ。厳しい性格をしている依姫さんだけど、案外子供には懐かれやすいのかもしれない。
「豊姫さんも、今日はありがとうございました。また是非いらして下さい。」
「もちろんよ〜。次も津波のおいしいごはんを振舞って頂戴ね?」
「はい!僕で良ければ。」
豊姫さんも今日は楽しんでくれたみたいだ。少しはお返しが出来ただろうか。
「では、また。」
最後の言葉は短く、なんだかとても優しかった。2人は笑みを絶やすことなく、おもむろに後ろに下がった。
瞬間ーーーーーー
「……き、消えた…?」
「あれ!?2人ともどこ消えたの?」
そこにはもう2人の姿は無かった。
ーーーーーーやっぱり只者じゃなかったんだ、あの姉妹。
そのあり得ない現象になんだか納得してしまう僕だった。
「……ま、あの人たちは普通じゃないからね。気にしても仕方がないよ。さ、明日に備えて僕たちはお風呂に入って、寝よう。ぼくは、流石に眠いかな。」
「まだあたい 眠くない!」
未だ二人がと遊んだ興奮が冷めていないみたいだ。けど時刻はもう日を跨いでいる。後数分もすれば眠気に負けるのは目に見えている光景だ。いつもそうだしね。
「ーーーーまた会いたいな。」
それは果たしてチルノが言ったのか、それとも僕が言ったのか。眠気
に襲われていてそれが自分の口から出た言葉なのか、耳から入った言葉なのかは分からなかった。けど、それは僕ら二人とも思っていたことだと確信している自分がいる。それを自覚すると次の日も頑張ろうと思える気がする。
「さあ、今日は何をしようか。」
そして朝。何年振りなのかと考えてしまうほど久しぶりに僕は目が冴えていた。おかげで僕の方からそんなことを言ってしまった。
「あたい遊園地に行きたい!!」
もしかしなくても、この小さな親分に影響されたのだと思う。こんな小さな子に影響を受けるだなんて、僕も大概単純なのかもしれない。
けど、それはそれで少しいい気分かもしれない。
「ツナミツナミ!!早くじゅんびしなさい!!」
既に遊園地へ行くことはチルノの中で確定しているようで、僕を急かしてくる。全く以って自分勝手ではあるけど、今日なんだか僕もワクワクしてきた。
準備を早く終え、家の鍵を持ち、玄関から飛び出す。一足先に家の外にいたチルノは僕の姿を確認すると一目散に駆けていく。
「ほらほら!早くしないと置いてくわよ!!」
「ちょ、ちょっと!チルノーー!進む道方向間違ってるー!!」
間違っていると知っていたと顔を赤くしながら言い訳するチルノは少し可愛かった。
また道を間違えないように、チルノと手を繋いで山を降りていく。降りればすぐに街があるから遊園地も十分満喫できると思う。うん、今日は目一杯楽しもう。
慌てないで、妖精さん。 とも思ったけど、ドキドキが止まらない僕もだいぶ慌てているのかもしれない。けど、このドキドキは恐怖からくるものじゃない。
視界が広がり、目に映る色彩が強くなった気がした。
今までで一番まともに書けた気がします。これからも日々精進です
余談ですが、作中にも出て来たオレンジジュースが、大きくなった今でもソウルドリンクだったりします。子供っぽいですかね?