久多良木夫妻の帝国漫遊記   作:椿リンカ

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投稿作品の一部とリンクしていますが、知らなくても大体読めます。

要約すると「シュラとエンシン、どんまい」っていう話


来訪編
ワイルドハント1/3壊滅篇


帝国,帝都のとある街角にて___________

 

久多良木大地は激怒した。かの暴虐邪知の大臣を倒さねばならぬ。

帝国の政治に関しては正直、その国の民たちが選ぶべきであり自分には口を出す権利が無いと思っている。だがしかし、かの圧政を振るう大臣は幼い皇帝を傀儡としている。

子供というものは時に慈しみ時に叱りつけ、立派に育てることが大人の務めという信念を持っていた。

その信念が叫ぶのだ、『彼の悪逆非道な大臣を更生させねばならぬ』と。

 

「お父さん、私たちのクリア条件はこの帝国の革命達成まで生き延びることよ?」

 

その最初の難関が、自分の妻である久多良木陽子であった。

「しかしだな、こんな悪事を見過ごせというのか?」

「私たちはただの”部外者”よ?かかる火の粉は払えばいいけど、対岸の火事に真っ先に飛び込んでファイヤーダンスするのはいけないわ」

「なんだその例え方・・・」

「ほら!私たちの最終目標は?」

「・・・娘と息子を探すことだな」

「そうよ。でもね、その前に死んじゃったら駄目じゃないの」

「う、ううむ・・・そうだな」

 

・・・・・・話は数週間前にさかのぼる。

 

 

 

【数週間前】

 

久多良木夫妻には8人の子供がいた。いや、正確に言えば7人の子供たちだ。

その7人のうちの二人、久多良木露子と久多良木朝人の姉弟がいなくなってしまったのだ。捜索願も出したのだが、1日経過しただけではやはり成果はあげられないだろう。

 

「あの子たちったらどこに行ったのかしら・・・」

「うううう・・・うおおおお・・・」

「お父さん、ごはんぐらい食べてください」

「だがなっ、露子が!!露子が!!」

「朝人もです」

「朝人はまだ柔道もできるし、あいつだって鍛え上げた男だ。だがな、露子は女なんだぞ!?もしも何かあったらそんなお前・・・」

「あらあら、また朝人から”親父がうざくてごはんがまずくなる”って言われるわよ?」

「うう・・・」

 

そんな折、呼び鈴が鳴った。

・・・ちなみに現在の時刻は夜の12時直前である。

 

「あら、こんな時間に誰かしら?」

「まさか警察・・・もしかして露子か!!???」

 

夜中にも関わらず大きな足音を立てて大地は玄関へと向かった。

誰がいるかも確認せずに勢いよく玄関の扉を開け、呼び鈴を鳴らした相手に抱き着いた。

 

「露子オオオオオオオオオ!!!!パパは心配しちゃったんだからなああああああ!!!!」

 

「すみません人違いです」

 

「・・・えっ」

 

大地が相手を確認すると、そこにいたのは男であった。

・・・真っ黒な翼、頭から角の生えた銀髪長身の美男である。

 

 

銀髪長身の男・・・ロッドバルトの話を聞くに、どうやら久多良木露子と朝人の二人は男が経営している会社『レイク・オブ・スワン』によって異世界にいるとのこと。

本来ならば特段、顧客の家族等にそういったことは説明しないし会わない規定である。

しかし昨日、会社において顧客情報の流出が発覚し、その謝罪のために顧客及び顧客情報に含まれた人物たちに菓子折りを持参していたそうだ。

 

「信じてもらえましたか?」

 

大地と陽子の二人に翼や角を触られながらロッドバルトは彼らに尋ねた。

 

「・・・ううむ、角の生え際もまるで直に生えているようだな」

「翼も本物みたいねぇ」

「本物なんですがね」

 

「そんな荒唐無稽な話を信じろと?無理だな」

「・・・」

「それはもちろんそうだと思い・・・・・・なんです?」

 

「陽子、どうした」

「脱ぎなさい」

「「えっ」」

 

陽子はにっこりと満面の笑みで、ロッドバルトの服を掴んだ。

 

「翼の生え際も確かめないといけないでしょう?脱 ぎ な さ い」

 

その直後、陽子の腕力によってロッドバルトの服が無情にも裂かれた

 

 

 

・・・上半身の服装が襤褸切れになったロッドバルトはすでに帰りたくなっていた。それもそうだろう。謝罪に来てまさかこんな辱めを受けるとはだれが思っただろうか。

 

「翼の生え際もちゃーんと自前だったみたいね、お父さん」

「お、おおう・・・」

「それじゃああなたの話を信じてあげてもいいわ。露子と朝人に会わせてちょうだい?」

 

その言葉にロッドバルトは反応した。いや、やっといつもの本領が発揮できる状況になったことでテンションが上がった。

 

「タダとは無理ですね。そうですねぇ、異世界で目標をクリアしたら居場所を教えてあげますよ」

「ぐっ・・・この男」

「・・・いいわ」

「!」

「なっ、陽子!こんな怪しい男の提案に」

「血判状」

「「えっ」」

「こういうときは、血判状が筋でしょう?そうそう誓約の条文もしっかり確認して穴が無いようにしておかなくちゃ。一つでも逆手にとられたら約束を反故にされそうだもの」

「「・・・」」

 

 

・・・こうして、彼らは娘と息子の居場所を知るために、とある異世界・・・【アカメが斬る!】の世界で生き延びることを条件に異世界移動したというわけだ。

 

【回想終了】

 

 

場所は戻り、帝国の帝都、ある街角・・・

 

「お父さんも私も普通の人間よ?この世界って危ない生き物や悪い人が多いでしょう?」

「確かにな。露子の読んでいた漫画に似たところとは聞いたが・・・誰もいないようだな。まるでゴーストタウンじゃないか」

「どうしたのかしら?何かあるのかもしれないですね」

「・・・心配するな。お前は俺が守る」

「あらもうやだっ、お父さんったら」

 

こうして話していると、背後から「おいお前ら」と声を掛けられた。

振り返ると、褐色肌で十字傷のついた男と腰に曲刀を下げた男がいた。

 

「見たところ夫婦かあんたら」

「へぇ、女のほうは随分美人じゃねぇか」

 

「あらやだ、美人だなんて嬉しいわね」

 

久多良木陽子は年齢の割にとても若々しく見える。とても8人も子供を産んだ経産婦に見えないほどスタイルも良い。・・・まぁ、それもこれも本人のアンチエイジングへの情熱の賜物である。

 

「しっかし、こんな帝都に旅人なんて怪しいよなぁ、シュラ」

「これは革命軍のスパイかもしれねぇ。おい、俺たちは秘密警察ワイルドハントだ。取り調べさせてもらうぜ」

 

「っ!おい陽子、こいつら・・・あの」

「あらあら、そういえばそうねぇ」

 

ワイルドハントの中でも凶悪な位置にいるシュラ、エンシンに遭遇した大地は身構えるものの、陽子はのんびりとしているようだ。

 

「んじゃまぁ、まずは人妻のほうから・・・」

 

エンシンが陽子に手を伸ばそうとする。が、そうはいかなかった。

陽子がエンシンの二の腕を引っ張り、彼の体勢を崩して倒れてしまう。腕をそのまましっかりとつかんでいた陽子は・・・彼の腕を・・・

 

・・・肩が外れる音が通りにやけに響いた。

 

「っっ、ぎゃあああああ!!!」

「あらあら、悲鳴をあげちゃうなんて・・・存外可愛らしいわね」

「って、めぇ!!なにしやがんだこのクソババア!!」

「・・・ババア?」

 

陽子はそのまま彼の頭を勢いよくつかんで地面にぶつけた。一度ではなく、二度、三度・・・5回ほどぶつけたところで、少しだけエンシンの髪の毛を掴んで自分のほうに向けさせる。

 

 

「あと何回ぶつけたら、人の頭って割れちゃうのかしらねぇ。私、それはやったことないから、試してもいいかしら?その前に顔が潰れちゃったらごめんなさいね。」

 

 

陽子のにこやかな笑顔に、さしもの海賊エンシンも血の気が引いた。呆気にとられていたシュラではあったが、やっと思考停止状態から解放されたらしい。

そのままシュラが陽子に近づこうとするが、大地が立ちはだかる。

シュラは彼の胸ぐらをつかみかかるが、彼は一切引かない。

 

「お前の相手は俺だ」

「あぁ!?ふざけんじゃねぇぞおっさん!俺を誰だと思ってる、オネスト大臣の・・・」

「親の権力を笠に着るんじゃない!!!」

 

胸倉を掴んでいたシュラの鳩尾に大地が拳を繰り出す。油断していたシュラも態勢を崩しながらも急いで大地と距離をとった。

 

「・・・ハッ、いい度胸じゃねぇか。てめぇをなぶり殺しにして、てめぇの目の前でそのクソアマ犯してやるよ!」

「社会の屑が大きな口を叩くのは世界共通のようだな。親も屑なら子も屑か・・・あぁ、お前の親は屑どころか、産業廃棄物だな。社会に役に立たず、害にしかならない存在でしかない。あんなどうしようもない汚物を父親に持ったお前を憐れんでやる。・・・かかってこい」

「ッッッ!!!てめぇぶっ殺してやる!!」

 

怒りで我を忘れて、高めた技術を冷静に使う判断力を奪われたシュラは・・・大地にとって格好の獲物になった。

ただ突っ込んできたシュラを躱し、彼の髪の毛を掴んで体勢を崩した瞬間に更に腹部を蹴り上げた。地面に倒れ込む膝をつかって股間を蹴り上げる。

 

「~~~~~~ッッッッ!!??」

「・・・他愛もないな。冷静に戦えない時点で二流に過ぎんぞクソガキ」

 

「お父さーん、そろそろ行きましょう?」

 

陽子がにっこりとエンシンの頭を掴んで地面にぶつけながら大地に話しかけた。

 

「・・・お、おう。まぁ、その、そろそろやめてやれよ」

「あらぁ、金的したお父さんには言われたくないわ。ちょっと頭を地面に打ち付けるだけの可愛らしいものじゃない。そんなに私、腕力ないわよ?」

「えっ・・・」

「・・・ないわよ?」

「アッハイ、ソウデスネ」

 

パッ、とエンシンの頭を離した陽子はそのまま・・・

・・・油断せず、エンシンの体をすぐに仰向けにして股間を踏みつけた

 

「----------ッッッッ!!!????」

 

そしてすぐにダメージから回復しようとしていたシュラの足を掴んで股間に追撃する。

 

「っっっっ!!!???」

 

やっと満足したのか、陽子はそのまま大地のいる方向へ体を向けたが・・・何かを思い出したかのように、痛がるシュラとエンシンのほうへと顔を向けた。

 

 

「おろしがね、家から持って来たら良かったわ。そうすれば少しずつ摩り下ろせたのに」

 

 

そんな言葉をシュラとエンシンに残し、陽子は大地に抱き着いた。

 

 

「もうお父さんったらかっこよかったわよ!さすが警視庁の警視正ね!」

「お前もまぁ・・・・・・結構やんちゃしたな」

「やんちゃなんてしたことないわ。だって普通の女の子だったもの!」

「普通ってなんだっけな・・・」

「でも、私みたいなかよわい主婦にはやっぱりここは危ないわね」

「・・・・・・そうだな、うん、かよわいな」

「早くクリアして、露子と朝人がいる場所を知らないとね」

 

 

こんな会話をしながら、彼らは帝都の街並みに消えていった。

 

ワイルドハントリーダーであるシュラとエンシンは、巡回中のイェーガーズに発見されて詰所に運ばれた。

なお、起き上がった二人であったがしばらくの間【人妻】と【おろしがね】の単語に異様に恐怖するようになったとかなんとか

 




どうしても思いついて書いてしまったので書きました。
一応投稿作品とリンクしてたのでこちらに投稿。

おっさん主人公は時折あるけど、夫婦で主人公ってあんまり無いなって思って考えたらこの有様だよ!!!!

とりあえずシュラとエンシンに土下座しにいきたい
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