久多良木夫妻の帝国漫遊記   作:椿リンカ

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ご都合主義とは、こういうことだ


久多良木夫妻はルート分岐を掴みとる

 

「これね、わたしがつくったの!すごいでしょ?」

「ろ、ローグ、この人は・・・」

「気にしなくても良い。子供の言葉に怒ることはないぞ」

「あらぁ、陛下も幼いですよ。ほら、おかわりもありますよ」

 

「「「・・・」」」

 

現在、皇帝陛下とボルスの妻子に陽子、そしてシュラと大地という組み合わせにイェーガーズの3人は警戒するやら緊張するやら・・・とにかく忙しかった。

 

ローグは皇帝陛下がそこまで偉い人に見えないせいか、少し年上のお兄ちゃんとして会話をしている。が、母親としては陛下の手前でどうやって娘を説得するか焦ってしまっている。そして陽子はいつもながらにマイペース対応

一種の地獄絵図に見えなくもない。

 

「おっさん、あれは止めないのかよ」

「公式の場なら強く止めたが、どうやら何か皇帝陛下も用事があるようだ」

 

「チッ。こんなにやかましいならさっさと帰っときゃ・・・」

「今から叩き出したいぐらいなのはこちらも同じだ」

 

「・・・おい、やっぱあの話だが」

「質問は受け付けん。半信半疑で聞いたところでただの蛇足だろう」

 

・・・ただ、シュラのほうはボルスの妻に手を出すこともなく何故か大地と話していることが救いだろうか。

 

「ラン、とりあえずおやつ食べた後に奥さんと娘さんは別の部屋に連れていくか?」

「それがいいですね。陛下がいらっしゃいますし・・・お二人の警護は私がします。」

「私とウェイブはこっちにいるよ。何かあったときも戦力が高いほうが安心できるしね。」

 

 

 

~それからどしたの~

 

 

 

「・・・それで陛下、何か用事があったんでしょう?エスデス隊長は不在なんですが・・・」

「あぁ、そういうことじゃない。イェーガーズに用事があるんじゃないんだ」

 

おやつの時間後、皇帝陛下はウェイブの言葉に返答してから、久多良木夫妻へと体を向き直した。

 

「余はこの国の皇帝として、お前たちに尋ねる。質問に答えねばそれなりの対応になるだろう」

 

その言葉にウェイブとクロメは緊張し、少し離れた場所でシュラはそれを眺めていた。

 

「あら、質問?なにかしらねぇ、あなた」

「それは分からないが・・・なんでしょうか、皇帝陛下」

 

「うむ。実は昨日のお前たちの会話を偶々聞いてしまったのだ」

 

その言葉に久多良木夫妻はお互いの顔を見合わせた。

”昨日の会話”という単語から彼らは察したのだ。

 

「お前たちは未来予知に近しい会話をしていた。世迷言の類かもしれないが帝具のような道具や技術を持っているのか?」

 

「そうねぇ・・・道具や技術はないわよね、あなた」

「そうだな。帝具のような便利なものは持ち合わせてないし、故郷ではそういったものは基本的には無い」

 

陽子と大地は嘘は言ってない。彼らの原作知識は娯楽作品から得たものであるのだから・・・だが、真実を知らされたシュラはともかく、皇帝陛下には分からない。

 

「・・・じゃあ、前皇帝と皇后である余の両親をオネストが殺したという話はどう説明する」

 

その言葉に、ウェイブとクロメは驚き夫妻を見やった。陽子は珍しく慌てたのか大地の腕を掴み、「どうしましょう」と小さく呟いた。

 

大地から諸事情を聞かされたシュラは・・・この状況を楽しんで口元を歪める。

 

「・・・はぁ。そこまで聞いていたなら仕方ない。本当のことは話しますが、荒唐無稽で到底信じられないと思いますよ」

「話を聞かねば信じるかどうかも判断できぬだろう。余がしっかりと話を聞こう」

 

覚悟を決めて、大地は自分たちの事情を話すことになった。

 

 

 

かくかくしかじか まるまるうまうま いあいあくとぅるふ

 

 

 

そんなこんなで一連の事情をシュラに話したように大地は皇帝陛下に話した。途中、ウェイブとクロメも気にしながらも話し切ったが・・・

 

「・・・我々が子供を探しているのは本当です。しかし、そのためには一定期間生き延びる必要がある。具体的に言えば、帝国が終わる時までですが」

「気を悪くしたらごめんなさいね。もしかしたらそうならない可能性もあるんだけれど・・・ね?私たちが知っているのはその未来だけなの」

 

説明したものの、皇帝もウェイブ、クロメも困惑した表情を浮かべるしかできなかった。彼らはある程度の大筋しか語っていなかったものの、自分たちだけしか知らない情報を知っていたのだ。

 

皇帝陛下と一部の人間しか知らない至宝の帝具【護国機神シコウテイザー】

エスデス将軍が作り出した奥の手、対軍用【氷騎兵】

帝国の暗殺部隊の存在

 

「荒唐無稽な妄想だと思うかもしれないが・・・好きに捉えてもらってかまわない。こちらは生き残ることが最低条件だ」

「・・・そういうことなの。ある程度は知ってるけど、私たちも普通の人間でしかないの。何かお手伝いが出来たら良かったんだけれど。ごめんなさいね」

 

二人はそれだけ言い終わると、少しの間部屋は沈黙に包まれた。

気まずい空気の中、クロメが「あの」と話しかける。

 

「・・・私は、お姉ちゃんが殺してくれるの?それとも私が生き残るの?」

「っ、クロメ、お前・・・何言ってんだよ!」

 

クロメの言葉にウェイブは焦り、皇帝陛下も何事かと思ってそちらへと視線が移る。

 

「それだけ聞きたいの。このままだったら、私は・・・帝国のために死ねるのかって」

 

クロメ本人の事情を知っている陽子と大地はそれに答えるか言い淀んだ。だが、陽子が「クロメちゃん」と彼女に話しかけた。

 

「私たちが知っているのは、あくまでも一つの可能性なの。もしかしたらここは違うかもしれないでしょう?」

「そうかもしれないけど、それでも・・・」

 

「・・・それにね、誰かのためや何かのために死ぬことが良いことかもしれなくても、それは少し悲しいことだと思ってしまうの。残されるのは、辛いものだもの」

「・・・」

 

陽子の言葉にクロメは少し頭を抑えて黙ってしまう。

・・・彼女に簡素な説得は通じないことは、久多良木夫妻は知っている。

 

だからこそ彼女には未来を伝えないことを陽子は選択した。

 

・・・自分たちでなくとも、この世界には彼女を思ってくれているウェイブがいる。それに死ぬことを回避したランもいるのだ。

 

「陛下、つまり我々が知っている知識はあくまでも1つか2つの過去や未来のことです。この世界がどうかは分かりません。・・・なので、荒唐無稽な妄想だと思っていてください」

「・・・」

 

皇帝は大地の言葉に答えない。

 

「・・・お気を悪くしたなら謝罪します。」

「・・・違う」

 

皇帝は小さく呟いた。

 

「違う、とは?」

「シコウテイザーのことは余以外に詳しく知っているのはオネストぐらいだ。それほどの機密なのだ」

 

・・・・・・ここで大地と陽子は、自分たちが知っていた情報の一部がどれほど貴重なものかを自覚した。

最悪、スパイ容疑をかけられてもおかしくないだろう。

 

だが、違った。

 

 

 

「その話、余は信じよう」

 

 

 

 




ウェイブの心情:えっ
クロメの心情:えっ
久多良木夫妻の心情:えっ
シュラの心情:皇帝陛下がとんでもないこと言い始めてマジやばたにえんのむりちゃづけ
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