久多良木夫妻の帝国漫遊記   作:椿リンカ

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久多良木夫妻はイェーガーズに頼る

 

帝国の帝都、中央通りから少し外れた格安の宿にて________

 

「それにしてもお父さん、路銀もあまり無いわね。どうする?」

「そうだな・・・働くのが一番だが、不況でどこも雇いそうにない。なおかつ、今はあの”馬鹿ども”(ワイルドハント)がいるから店も開いてないところが多い」

「そうよねぇ・・・そろそろ宿を引き払わなくちゃいけないのに困ったわ。あぁ、そうだ。スラム街とかどうかしら」

「・・・・・・俺だけならかまわんが、お前の身の上に危険があるかもしれん。却下だ」

 

久多良木陽子と久多良木大地、その二人が今後の方針について話し合っていた。

悪魔ロッドバルトからのサービスとして、この世界で使用できる路銀を受け取って使っていたものの、長期滞在できるほどの額では無かった。

 

生き残るのが目的なのだから、それはそれでかまわない。そう夫妻は考えていた。

・・・次の一手からは自分たちの判断で生死が分かれる。

 

いなくなった娘の露子が持っていた【アカメが斬る!】を読んでいた二人は、その知識を基に方針を固めていくことにした。

 

「あまり帝都にいると、最終決戦に巻き込まれちゃいそうね」

「あぁ、あのロボットの攻撃とかか」

 

「お父さん、ロボットじゃなくてシコウテイザーよ。確か原作は護国機神シコウテイザー、アニメでは帝都守護シコウテイザーらしいけれど」

「・・・お前詳しいんだな」

 

大地が嬉しそうに語る陽子に対して苦笑いを浮かべる。

彼は一応、娘や息子たちの趣味嗜好は把握しており、ある程度理解を示している。だが、そこまで突っ込んだものまでは踏み入れない。

 

そういったものに差別的な感情はないのだが、あくまでも娘たちや息子が楽しんでいる趣味なのだ。

同じ趣味でない限りは下手に踏み入れすぎると子供としては複雑だろう。

彼はそういった考えの持ち主だった。

 

「露子や朝人たちと見たもの。結構アニメも面白いわよ」

「・・・・・・そういうものか?」

 

「そうそう。それで、あのシコウテイザーの攻撃を考えたら帝都にいるのもちょっと危ないのよね。それで私、考えたの」

「なんだ?」

 

「このあいだ、あのかわいい坊やたちをお仕置きしちゃったわよね?」

「・・・かわいくはないぞ、決して」

 

「私からしたらかわいいものよ。ちょっと言葉遣いが悪いのは考えものだけれど。それで、あぁいう子たちってしつこいわよね?」

「・・・そうだな」

 

陽子の言葉に大地は頷いた。

警察に勤めている彼は、そういった手合いの犯罪者に関しては詳しい。

彼の知り合いはよくそういった連中から”お礼参り”をされたことも多々ある。

 

・・・まぁ、その知り合いはそういう連中を全員返り討ちしたが。

 

「だからね、特殊警察イェーガーズのあの子に助けてもらおうと思うの」

「あの子?」

 

「ウェイブちゃんよ」

 

 

 

 

_________帝都の城下町にて

 

 

秘密警察ワイルドハントの暴虐によって、帝都は住民たちが息をひそめるようになり、とても静かになっていた。

そんな街を特殊警察イェーガーズの一員であるウェイブとランは巡回していた。

 

「・・・エスデス隊長がいねぇと、やっぱりあいつらに相手するのは難しいな」

「そうですね・・・ですが、今はまだ我慢してください」

 

「・・・わかってる。でも、大臣の息子ともう一人がこの間担ぎ込まれたのは驚いたな」

「えぇ。ナイトレイドではないようですが、何かしら妙齢の女性を見て怯えているそうですね」

 

「犯人か何かか?まぁ、静かになってよかったけどさ・・・」

「・・・・・・そのうち調子を戻すかもしれません。その間にもエスデス隊長が戻りますよ。あちらの防衛戦では鬼神の如く西の王国軍を撃退しているそうですからね」

 

そんな会話をしていると、彼らは宿から出てきた夫婦を見つけた。

一人は屈強な男であり、体の動きには何かしらの武術を身に着けているであろうということが推測された。

女性はかなり若く見える。おっとりとしている雰囲気がこちらにも伝わってくる。

 

「旅の方でしょうか?どうやら宿から出たようですが・・・」

「一応声かけてみようぜ。あの!すいません!」

 

「おっ」

「あら・・・噂をすればなんとやらねぇ」

 

 

 

久多良木夫妻は先日のことをウェイブとランの二人に伝えた。

最初は驚く二人であったが、先日のワイルドハントの二人の状況を思い出してある程度は納得した。

 

「それでお二人は旅の方で、お子さんを探している、と・・・」

「しかもワイルドハントに喧嘩を売っちまった、と」

 

「喧嘩を売ったのはあちらだ。だが、これからの宿もとれそうにない。スラム街に行ってもいいが、やはり妻に何かあるかもしれない」

「そうねぇ・・・それで頼みだけれど、イェーガーズのウェイブ君は頼りになるって町の人に聞いたの。頼ってもいいかしら?」

 

そんな風に頼られてしまえば、ウェイブは迷いながらも「俺もなんとかしたい」と答えるしかない。

ランとしてもワイルドハントに報復される危険性を考えれば、二人を保護する方向で動きたい。

 

・・・しかし、決定権を持っているエスデスは帝都にはいない

 

「どうしたもんかな」

「どうしましょうか」

 

「すまないな。頼ってしまって・・・だが、俺は大事な娘の、露子のために生き残らないといけないんだ・・・!」

「あなた、朝人もですよ」

 

「・・・宮殿の中に入れるのも・・・いやでも、とにかく俺はほっとけないぜ!またあいつらが来たら・・・」

「そうですね。武術の嗜みがあっても彼らは一般市民ですから」

 

ウェイブの言葉にランはにっこりと笑う。

 

「・・・ラン、エスデス隊長に一緒に怒られてくれるか?」

「えぇ、仕方ありませんね」

 

「・・・陽子、どうやら大丈夫なようだぞ」

「よかったわねぇ」

 

 

 

 

 

 

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