久多良木夫妻の帝国漫遊記   作:椿リンカ

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ロッドバルト「そうはならんやろ」
ご都合主義という概念「なっとるやろがい」


久多良木夫妻は悪魔と再会する

話がまとまってからはトントン拍子にことが進んだ。

エスデスとブドーの主導により嫌疑のかけられた悪徳官僚たちが軒並み捕縛され、宮殿の一角に取り調べと称して軟禁された。

 

「どうしてですか!?」

「私はなにもしていない!」

「やめろ!私を誰だと思っている!?」

 

無論、反感も反抗もあったが帝国最強に勝てるはずもなく・・・

さらに皇帝陛下が【オネスト大臣のみ】を傍に置いたため、オネストも巻き込まれないために全員見捨てたのだ。

 

「ふふ、どうだ?オネスト。誉めてくれないか?」

「さすがは陛下です。国の腐敗を嘆いて自らお調べになるとは(誰がこの馬鹿に入れ知恵したんでしょうか・・・手駒が減るのは仕方ありませんが、替えはいくらでもききますからね)」

 

「オネスト」

「なんです陛下。なんなりとお聞きください」

 

「お前にも取り調べがある」

「えっ」

 

「安心しろ、一番見晴らしの良い部屋を頼んでおいた」

「えっ」

 

・・・最終的にオネスト自身も取り調べのために軟禁させたわけだが。

 

あまりにも、鮮やかなまでの流れに陽子はニコニコと笑い、大地は頭痛がし始めた。

 

いや、愉快痛快な久多良木夫妻よりも頭を抱えていた者が他にもいた。

 

 

____________株式会社レイク・オブ・スワン、社長室にて

 

「ねぇ、なんてことしたんですか!なんてことをしでかしたんですか!いやですよ?!身バレしてて待ち構えてるところに行くとか嫌ですからね!」

 

そう、諸悪の根元であるロッドバルトである。

 

「契約書にあるなら行かないといけませんよ」

 

ソファで我が物顔で寛ぐのは、彼の双子の片割れであるメフィストフェレスである。

今回の久多良木夫妻の珍道中を見学しないかとロッドバルトに誘われ、社長室の部屋で中継を視聴していたのだ。

 

「エスデス将軍と戦うことになりかねないので行きたくないです」

「勝てないんです?」

 

「勝てますよ。悪魔ですよ?当たり前じゃないですか」

「なら、なんでそんなに嫌なんですか」

 

メフィストに問われ、ロッドバルトは苦々しそうに顔を歪めた。

 

「・・・今度、人間と戦ったら残った翼も切り落とされそうで」

「そんなの飾りみたいなもんじゃないですか」

 

「アイデンティティー!!なんです!!あと下手したら角まで持っていかれかねません!!」

「・・・確かに、人間って限界値越えてきますからね。特に人外(我々)相手には」

 

そんな雑談をしている間にも事態は動く。

取り調べがあまり進まないために、エスデス将軍が直々に取り調べを開始した。

 

取り調べという名の拷問である。

 

「・・・契約書にあるんですから行かなければいけませんよ」

「くっ・・・もっと悲劇的なことになるかと思っていたのに・・・どうして・・・」

 

「いつもなら貴方も楽しむでしょう?」

「完全に戦うつもり満々の戦闘狂の人間がいるところに行かねばならない辛さのほうが勝ってますね!!」

 

恨むべきは久多良木夫妻の豪運だろう。

よほどの豪運がなければ、こうもご都合主義のような展開にはならないものだ。

 

ましてやダークファンタジーと分類される、シビアな世界である。

たまにおかしな並行世界もあるにはあるが・・・それを差し引いても、夫妻が訪れた世界線はとてもイージーモードだったらしい。

 

「これもまぁ、人間ならではってことで。諦めてください」

「・・・それじゃあ、行ってきます!行ってくればいいんでしょう!?」

 

「骨は拾い・・・あ、でも我々って死なないですし。倒れたら回収はしてあげます」

「倒されること前提なのやめてくれません!?」

 

 

~それからどしたの~

 

____________帝都宮殿、謁見の間にて

 

 

「契約書通り、呼ばれましたよ」

 

そうロッドバルトが言い切る前に、彼に氷柱がいくつも飛んできた。慌てて避けながらも防御壁を展開するも、驚くほど速くエスデスが背後へと回り込んで切りつけてきた。

 

「召喚直後にやめてくれませんかね!?」

「ほぉ、これにも反応するのか。確かに悪魔と自称するだけはあるな」

 

レイピアで猛攻し、時に体術でフェイントをかけてこようとする戦闘狂(エスデス)。

ロッドバルトもガードするが・・・はっきりと言ってしまえば、彼は魔術特化タイプなので近接戦闘はあまり得意ではない。

 

「やめてください!死んでしまいます!」

「バカをいえ!こんなにも反応がいいのは初めてだ!実に楽しいぞ!」

 

「私は平和主義者なんです!」

「見え透いた嘘を言うな!先ほどのガードは攻撃展開しようとしていただろう!」

 

「(バレてる、どんな反射神経なんですか!これだから人間越えてる人間は!)」

「ははっ!楽しいなぁ!」

 

「楽しくないです~~~!!!」

 

 

そんな光景を眺めて、ウェイブたちは戦闘の参考にしようとしっかりと見ていたし、大地は更に頭痛がしていた。

 

「陽子、さすがに止めないか?」

「あらぁ、露子たちを勝手に拐かしたんだから・・・まだ駄目ね。半殺しされたぐらいで止めてあげましょう」

 

「・・・怒っていたのか」

「当たり前よ?殺さないだけ穏便にしたわ」

 

女って怖い

 

横にいたブドーと皇帝陛下、そしてシュラを筆頭としたちをワイルドハントはそう思ったのであった・・・

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