世界を越えたその先で   作:コードα

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脱出:融和の剣

「まぁ、カズマが?」

 

トーヤとカティアはそのままコックピットに移ると既に先客が居て、先ほどのくだりを聞いて可愛らしく首を傾げる。

 

「ああ、キミは俺達に人質にされたということにするとして・・・・」

 

「大丈夫よ、トーヤ君。メルアにはカズマさんがついているし・・・あの人も」

 

トーヤはシャナ=ミアの立場も踏まえてガ=ウラから無理やり連れ去れたという事にしてモニターに先ほどの建造物を拡大する。

 

亀裂からは部屋に誰がいるかはわからない。

 

「ええ、まさか・・・自ら行動を起すとはマナも思い切ったことをしてしまった。」

 

「知っているのか?」

 

「ええ、私の数少ない友人です。トウ=ヤ、マナが上げた報告が事実であると私は信じたくは無かったのです。」

 

悲しげにシャナ=ミアは語る。

 

既に二日前、マナがカズマを回収しに向かう前にあげた報告書はシャナ=ミアの目に止まった。

 

カズマが、サイトロン受信機の実験体にされた可能性があるという事実。

 

それは今、トーヤの話で現実であると思い知らされただけでなく一歩間違えればシャナ=ミアは友人も裏切ったのかと思わなければならなかった。

 

しかし、最後に見たのはメルアとマナの手を引いて走るカズマの姿。

 

「話はココを出てからだ。悪いけどシャナ=ミア、キミには一緒に来てもらう」

 

トーヤは操縦幹を握りなおして緊急出動してくる敵機を見据えて言った。

 

「ですが、彼らは?」

 

「大丈夫、カズマがついているし彼女が居れば機体の場所は分かる筈だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「分かってはいたが、対応が早いな」

 

そう言ったマナは下を駆け抜けていく諜士達を見て機体までのルートを模索する。

 

コイツの《ヴォルレント》は解析のために解体され、あの騎士機の調整に生かされている筈だ。

 

融和機《ラフトクランズ・レイス》はメンテナンスを終えている状態、何時でも出せる状態だ。

 

「お前、反逆者って言われたよな?」

 

「・・・・私はあんな行いを許せなかったんだ。例え、反逆者として殺されても悔いは無い」

 

「よし、マナの分も機体を確保だな・・・メルア、もう立てるか?」

 

配管の陰で、カズマとマナは談義する。後ろで座り込むメルアは、逃げ出すときに腰が抜けてしまったという、ココまでカズマが抱えてきたせいもあってメルアの頬は赤くなっている。

 

「あ、はい。なんとか・・・大丈夫です、マナさんも一緒に行きましょう!」

 

「・・・・私が、行って良いのか?お前等を殺そうとしたんだぞ?」

 

「良いんだよ、鋼龍戦隊にはそんな諍いを気にする人は居ないだろうから。マナ、お前の《ヴォルレント》は?」

 

メルアがマナの手を取ってそう言うと歯切れの悪いが、戸惑いを隠せないマナにカズマは言った。

 

「・・・・修理されていない。それに玉座機の一件で大抵の機体は出払って」

 

「なら、お前はあれだ。」

 

カズマが指差す先には《クストウェル・ブラキウム》があった。

 

幸いなことにメンテナンスハンガーは隣なので、融和機を奪取できればパイロットが来ない限り奪取は容易い。

 

カズマとメルアが融和機までたどり着くと迎え入れるようにハッチが勝手に開き、電子機器が明滅を始める。

 

「・・・・長らく待たせたな」

 

待っていたのだと聞こえた気がして、カズマは呟いてメルアと供にコックピットへ入るとコックピットレイアウトに見覚えがある。

 

《ヴォルレント》と同じで、操縦幹やペダルは新調されている。

 

「起動の仕方は言うまでもないなっ!?」

 

腕を引かれ、カズマに受け止められるマナは目をぱちくりさせ、銃声で我に返るとカズマは舌打ちして言う。

 

「チッ!もう一機はあきらめるか・・・マナ、メルアの方に。少しばかり荒れるぞ!」

 

融和機《ラフトクランズ・レイス》の双眸が光を放った。

 

 

 

 

 

 

 

牢獄でアル=ヴァンとルクは天井を仰ぐ。

 

「動き出したか」

 

「・・・玉座機とは違う意味で象徴になる未来を背負った騎士機が動き出したんです」

 

「仕上げたのは、お前か?ラ=ルク」

 

「ええ、まぁ。あの《ヴォルレント》から取れたデータが役に立ちましたよ。マナの奴ホント化け物に惚れたんですね」

 

自嘲気味に呟くルクをアル=ヴァンは正面から見据えた。いや、ルクが正面に居たのでしっかりと目を合わせる。

 

「そう卑下するな、お前も融和の担い手だ。」

 

「恐縮です。先ずは、あの突撃バカが上手く脱出することを祈りますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ですの!?」

 

フー=ルーは驚いた。

 

《バシレウス》が玉座機と合体してラースエイレムを無力化したのは先ほどの事だ。

 

グ=ランドンの「皇女は取り返せれば良い」と言う台詞に不信感を覚えたが、兎に角ラースエイレム発動中に決着が付けばと思った。

 

しかし、真の姿を取り戻した玉座機にラースエイレムは通用しない。ましてや、《グランティード・ドラゴデウス》と出撃した自分達を挟み込むように閃光が数機の《ドナ・リュンピー》の脚部を飲み込んでいった。

 

「融和機!?と言うことはカズマが・・・・手引きしたのはマナですわね」

 

フー=ルーは思っていた通りになった事、マナの行動力が羨ましかった。

 

そこまで入り込める相手が見つかっていた彼女の想いに彼はどう答えるのだろう?

 

「カズマ、貴方は本当に責任問題を抱えてしまいましたわね」

 

モニターの先で《ラフトクランズ・ファウネア》を挟み込むように立つ《ラフトクランズ・レイス》へ呟く、答えはオルゴンソードの打ち込みだった。

 

『・・・・マナは人質です。最もそちらさんの上司には対して意味がないでしょうが』

 

続く連続攻撃にフー=ルーは一瞬驚き、隙が出来てしまった。

 

オルゴナイトシールドは先端がオルゴンクローとして機能するのが従来機の装備である。が、対して《ラフトクランズ・レイス》のシールドはオルゴンクローを展開すると掌のようなパーツが見て取れる。

 

従来機のシールドと比べ僅かに大きいことに納得がいく、その掌に、砲口を備えてお

り、オルゴン結晶(クリスタル)の杭が精製されていく。

 

《ラフトクランズ・ファウネア》のオルゴンソードが弾かれてバランスを崩す。其処へ《ラフトクランズ・レイス》の特長的な武装が放たれた。

 

「オルゴナイトバンカー!」

 

それは、オルゴンステークの発展系の武装で、ルクが《アルトアイゼン・リーゼ》をヒントに作り上げた武装だ。

 

放たれる杭は、問答無用で《ラフトクランズ・ファウネア》の左足を貫いた。

 

『なっ!?』

 

「少しじっとしてろ、あんたを討ちたくはない!」

 

バランスを崩す《ファウネア》にカズマは吐き捨てる。

 

『カズマ、だよな?』

 

《グランティード・ドラゴデウス》から通信が入って、ウインドにトーヤが、カティア

とシャナ=ミアが映る。

 

「そうだとも。それはそれとして、融和機は確かに受け取ったぞ。シャナ=ミア」

 

『ええ、こんな授け方は些か本意ではありますがマナも乗り合わせているのですね?』

 

「トーヤがキミを人質としただろう?それと同じだ。最も、グッさんは直ぐ切り捨てたが」

 

「カズマさん、左から来てます!」

 

通信をしながらも二機は追撃に出てくる敵機を蹂躙して行く。

 

元々性能面では《ドナ・リュンピー》が敵うわけもない《グランティード・ドラゴデウス》と《ラフトクランズ・レイス》の二機は敵の四肢や武器だけを吹き飛ばして脱出口を目指して駆け抜ける。

 

「分かってる。」

 

左から来た《ガンシャール》が、オルゴンライフルに両足を撃ちぬかれて転がる。

 

「カズマさん!」

 

「トーヤ、兎に角飛ばせ!ハッチは吹き飛ばす!!」

 

『あ、ああ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二機を止めることは、一機の騎士機と量産機には不可能だった。

 

トーヤは経験をつみ、玉座機を扱いきれるまでに成長して、カズマは本来の力についてこれる機体を手にした。

 

「・・・・カロさんか」

 

月面に出ると一機の《ラフトクランズ》が待ち構えていた。

 

『こっちには、シャナ=ミアが居るんだぞ?』

 

トーヤが交渉できるだろうとカードを切る。が、カズマは通じるとは思わない。

 

『ふん、皇女が無事出なければならぬということは無い。ただ()()()良いのだからな』

 

『なっ!?』

 

案の定と言うか見えていた返答を返されてトーヤは言葉を失う。

 

『それに父の仇を目の前にして、冷静で居られるか?』

 

「それ以上喋るなっ!」

 

オルゴンソードを展開し、カズマはペダルを踏み込む。

 

スラスターを吹かし、突撃する《ラフトクランズ・レイス》が《ラフトクランズ・カロクアラ》へ打ち込む。

 

『何を焦る?』

 

「他人の古傷を穿り返すようなことはするなと言っている!」

 

「カズマさん!」「カズマッ!」

 

同乗するメルアとマナが、ほぼ同時に叫んだ。

 

敵の随伴機が攻撃を仕掛け、それを舞うように避けてもう一度打ち込む。

 

カロ=ランの言う通り、焦っている。

 

トーヤが知れば、怒りに囚われる。それは誰にでも言えることだ、カズマも例外じゃない。

 

『しかし、頑丈だな?唯痛めつけただけではない筈だが』

 

「生憎生まれつき頑丈でね!」

 

《ラフトクランズ・カロクアラ》へ攻撃を仕掛け、吐き捨てるカズマ。

 

『ほう?頑丈とはよくも言う。』

 

『お前が!お前が父さんをッ!!』

 

「うぉ!?」

 

オルゴナイトの塊が《ラフトクランズ・レイス》を掠めるかと言うところを通過し、

《ラフトクランズ・カロラクア》を捕らえた。

 

『トーヤ君、落ち着いて!』

 

『トウ=ヤ、怒りに飲まれてはなりません!』

 

モニターの先で、カティアとシャナ=ミアがトーヤを制止する声が聞こえるが、《グラ

ンティード・ドラゴデウス》の様子を見るにトーヤは聞き入れていない。

 

《ラフトクランズ・カロラクア》を追いかけ、攻撃を繰り出している。が、どちらかと

言えばのらりくらりと避けられ、消耗させられているようにも見える。

 

「メルア、鋼龍戦隊の識別信号を出して。マナ、少し揺れるぞ!」

 

カズマは操縦幹を押し込み、ペダルを踏み込むと同時にそう言った。

 

玉座機を守るように融和機が舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言おう、トーヤ救出に向かってきていた《クロガネ》が到着してフューリーが退いていく。

 

いや、正確には《グランティード・ドラゴデウス》と《ラフトクランズ・レイス》を格納後に全力で離脱した、と言うのが正しいだろう。

 

四人は格納後直ぐに医務室に運び込まれた。

 

特にカズマは酷いらしく、どうして動けていたのかと不思議でならないと医務官は語る。

 

「記憶が戻ったのか?」

 

医務室を訪れていたギリアムが聞き返す。

 

「ええ、ですから俺の知る限り全てをお話します」

 




・マナの機体

後に《クストウェル・ブラキウム》に乗ってもらう予定。現在はシャナ=ミアと同じく軟禁状態になります。

・乗り換え後の機体

・ラフトクランズ・レイス

・搭乗者:祠堂カズマ/メルア・メルナ・メイア

・オルゴンソード

・オルゴンライフル

・オルゴンキャノン

・オルゴンクロー

・オルゴナイト・バンカー(エネルギーチャージ式最大六発ストック)

・オルゴナイト・バスカー・インパクト(バスカーモード使用時最大技)

「出来うる限り協力する」と言うカズマの言葉を信じ、シャナ=ミアの指示で仕上げられた機体。

ラフトクランズを譲渡するのはシャナ=ミアなりの友好の証である。(メルアの位置がマナの予定だった。相談されたエ=セルダ合意の上・暫くお蔵入りになっていた)

脱走時にマナの手引きによってカズマ・メルアの手に渡り、武装面がヴォルレントから得たデータを元に新造されたオルゴナイトシールドを備える。
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