世界を越えたその先で   作:コードα

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決着

「エレーブ1より各機へ!突入部隊を支援しつつ敵機を排除しろ!!」

 

カイが激励し、鋼龍部隊に属する機体がフューリーの防衛部隊と激突する。

 

『行くぜぇ!』

 

《サイバスター》が一閃で一般仕様の《ヴォルレント》を沈めると威勢の良いマサキの声がスピーカーから響く。

 

「カズマ!お前が突入部隊のリーダーだ、皆を生かして返せよ!」

 

『それ普通軍属経験のあるカルヴィナさんがやるべきじゃ・・・・』

 

『あら、私より判断が早い貴方が適任じゃない?』

 

『場数が違うでしょうがっ!』

 

『頼みますよ。カズマ』

 

モニターの中でカズマが不満をたれるとカルヴィナが鼻で笑う。それにツッコミを入れるカズマにシャナ=ミアが真剣な表情で告げた。

 

カイは知っている。

 

カズマはギリアムの言う通りなら、転移以前は多くの者を支える存在なのだと。折れそうな仲間を支え、拾える命は全て拾う。助けを求められれば自身を省みず助ける、その危うさを補う存在が既に居ることも。

 

『カズマ、お前だから預けるんだ』

 

『俺達でフューリーを救うぞ、カズマ!』

 

マナが、トーヤが激昂するとモニターの中のカズマは苦笑する。

 

『過度な期待をされると答えたくなるでしょう!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新西暦と呼ばれる世界は、今まさにカズマ達が激闘を繰り広げる世界。西暦と呼ばれる年号の“こちら”の世界はカズマの出身世界であり、度重なる宇宙戦争を四度経験し、地球と言う星もかなりダメージを負って地形も変わっている。

 

カズマの祖父が言う“変わり果てた現実”がこの世界だ。

 

そして、四度目の戦争を終結に導いた功労者達は後に地球外生物の技術を応用・転換して生み出された機動兵器《アッシュ》、それを駆るパイロットを育成する機関MJPの訓練校・グランツェーレ都市学園に模範チームとして伝わっている。

 

現在の防衛戦力である人型機動兵器モビルスーツ(MS)で居住用コロニーと一体化した悪魔を打ち倒した英雄として。

 

第二宇宙独立機動艦隊アークエンジェル所属MS部隊。

 

そして、この街には先祖代々MSを受け継いできた家系がある。

 

かつて日本はその当主を防人として秘密裏に当てにしていた。

 

十八代目当主西御門咲哉、そして愛機《Zガンダム》。

 

彼もまた第四次宇宙戦争で知人を亡くした人物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで言い分け出来るだろっ!?退けよっ!」

 

一機の《ドナ・リュンピー》の左腕と右足を削ぎ、蹴り飛ばす《ラフトクランズ・レイス》。

 

「アンタ達も彼女に刃を向けるのか?シャナ=ミアも居るんだぞ!?」

 

トーヤは敵兵の対応に困惑しつつもテンペストランサーを手に敵をなぎ払う。

 

「ええい、鬱陶しい!」

 

接近する敵機から落としていくカルヴィナは吐き捨て、火器管制モニターに視線を落とした。オルゴンラグナライフルの残弾が少ない、チャージが間に合っていないのだ。

 

「カルヴィナ!マーカーをっ」

 

フェステニアが先手を打ってオルゴノンレーザーの準備をしていた。間髪居れずにマーカーをロックし、カルヴィナが返す。

 

「ロックした!」

 

『その必要は無い。お前は行け!』

 

キョウスケが吐き捨て、《ベルゼルート・ブリガンディ》の進路を塞ぐ《ガンシャール》へ《アルトアイゼン・リーゼ》を突っ込ませた。

 

「了解!」

 

一瞥するとカルヴィナはモーションをキャンセルし、ペダルを踏み込む。

 

「お前等はそれで良いのか!?シャナ=ミア様に剣を向けてまで!」

 

マナも悲痛な叫びを上げながらブラキウムスラッシュで敵機を踊るように相手をする。と言っても《クストウェル・ブラキウム》は格闘戦型だ。

 

一度に相手に出来る数は高が知れている。

 

「カズマさん、《クストウェル・ブラキウム》が!」

 

「あのバカ!先行し過ぎだって・・・っ!?」

 

『任せろ!』

 

メルアがマナを心配し、悪態を吐きながらカズマが機体を駆る。が、囲む《リュンピー》と《ガンシャール》を二つの拳が殴り飛ばしていく。

 

《グルンガスト三式》のブースト・ナックルだ。

 

折り重なる機体を掬い上げる赤い騎士機が、味方を機雷の様にオルゴンライフルで射抜いて煙幕のように使う。

 

「ジュア=ム!お前は何をしているのか分かっているのか!?」

 

その行動に激昂したのはマナだった。一気に肉薄した《クストウェル・ブラキウム》はブロークンアームを連結させて殴りつける。が、それをシールドで跳ね除けた《ラフトクランズ》がオルゴンソードを振り抜いた。

 

その刀身の側面を《クストウェル・ブラキウム》が蹴り飛ばし、連続蹴りを見舞う。

 

『裏切り者を始末できなかった役立たずもこうすれば役に立つだろうが!』

 

「家族を亡くす悲しみはお前も知っているだろう!?なのにお前は同胞の命も利用するほど壊れたのか!!?」

 

『フューリーに刃を向ける貴様が語るな!』

 

「貴様ッ!!」

 

転移し、ブラキウムブローの締めを行おうとする《クストウェル・ブラキウム》を脇から狙う機体が居た。対となるクローシールドを備えた《ラフトクランズ・カロクアラ》がオルゴンキャノンを放ったのである。

 

乱戦となれば一対一と言うわけには行かない、今は従士らはそれぞれ鋼龍戦隊を押さえているので、フリーなのは突撃気味だったマナと攻防を繰り広げていたジュア=ム。

 

そして、カズマとトーヤ、カルヴィナだ。

 

気がついたのはカルヴィナ、そしてその砲撃を阻止しようとオルゴンライフルを放った《ラフトクランズ・レイス》、カズマである。

 

《ラフトクランズ・レイス》の計器が敵機を補足し、アラートを鳴らすより早くカズマは感じ取って先手を打つ。

 

背を預け、敵機を射撃している《ベルゼルート・ブリガンディ》のサブシートでフェステニアが驚愕した。

 

「嘘・・・補足するより早い!本当にマニュアル操作で!?」

 

「有り得ない・・・未来が見えているとでも言うの!?」

 

同じくカルヴィナも驚きを隠せない、モニターに映る《ラフトクランズ・レイス》は目まぐるしく動いて敵機を行動不能にしていく。

 

「カズマさん!これ以上はこの子がっ」

 

メルアが機体に掛る負荷で悲鳴を上げる《ラフトクランズ・レイス》に代わってカズマに呼びかける。メインシートのモニターにも負荷で悲鳴を上げた間接部や連続射撃で焼け付く寸前のソードライフルの銃身を示すホログラフが表示されているが、カズマには構う余裕が無かった。

 

計器が示す以外の場所から大量の情報が流れ込んでくる。

 

例えるなら大量の黄色いBB弾を一気にタライに流し込むとする。その中に幾つか色の違う物が混ざっていてソレを流し込んでいる中から見つけているようなものだ。

 

戦闘に必要な情報だけを拾い上げ、出来うる最大速度で処理する。

 

瞬間、閃光の間に一機の騎士機が乱入した。

 

「っはぁ!・・・・遅いぞ、アルさん」

 

『すまない、脱出に手間取った。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鋼龍戦隊の誰もが《ラフトクランズ・アウルン》の乱入に驚いたが、カズマだけはソレを予知していたかのような言葉を放った。

 

そして、カルヴィナを愛しているというカミングアウトで完全にジュア=ムの精神は破綻。それにより、乱戦の最中であるにも拘らず一対一の相手が確立された。

 

アル=ヴァンはジュア=ム、マナはアル=ヴァンを追うように現れたフー=ルー、カズマは先ほど不意打ちでマナを討とうとしたカロ=ランとその他雑魚である、カズマだけ相手が多いが其処は心配ない。

 

突破するにはカロ=ランの撃破は必須、なのでフリーであるトーヤとカルヴィナが援護に入っている。最も、カルヴィナはご執心の・・・と言うかプロポーズ(一方的な)をされたのでカズマは眼中にない。

 

「其処をどけ!カロ=ラン!!」

 

トーヤはカズマに加勢してドラゴ・ブラスターを放った。

 

「アリー、貴方と供に戦えるなんてね・・・」

 

感慨深そうな台詞を言うカルヴィナは、アル=ヴァンが駆る《ラフトクランズ・アウルン》を援護している。

 

SRXチームとATXチームを始めとした鋼龍戦隊所属機が汁払いを行っているお蔭で《クストウェル・ブラキウム》と《ラフトクランズ・ファウネア》の決闘を邪魔する者は居ない。

 

「師匠、この場で・・・貴方を超えます。」

 

『マナ、貴方が選んだ道に後悔など無いのですね?』

 

「ありません。グ=ランドンの体制に与することは有り得ないでしょう、私はシャナ=ミア様に協力し、融和の先にある未来を見たい。それが、フューリーに刃を向けることになろうとも!」

 

戦闘の流れはマナに向いて流れているように見える。が、マナの攻撃は全て捌かれていた。

 

逆を言えばフー=ルーの剣捌きをマナは蹴りや拳で捌いている。

 

互いの癖を知るが故の攻防だ。

 

一方でジュア=ムは一方的な展開に唇を噛んだ。

 

アル=ヴァンから戦闘の術を教わった、偽りとは言え、カルヴィナからPT操縦の訓練を受けて、一度は教官と仰いだ。

 

その二人が、自分に刃を向けている。

 

冷静なら、人格が破綻して自棄になっていなければ少しは知恵を絞っただろう。

 

「アンタも!俺を裏切るのか!?」

 

ジュア=ムが叫んだと同時に《ラフトクランズ》の両手が爆ぜた。

 

『もう終わりにしよう、ジュア=ム・・・・・』

 

アル=ヴァンが呟いた。

 

 

 

 

戦場で一つの命が散るのは誰も気に留めてはもらえない、それが一度に多くの命を散らす戦争ならなお更だ。

 

散っていく命と正面から向き合う者がその戦場に一人だけ居た。

 

命が散る間際に感じた痛みや恐怖、その濁流のように押し寄せる感情の全てを受け止める男が。

 

「ジュア=ムが逝ったか。バカ野郎・・・」

 

カズマは悲しげな表情で呟いて、操縦幹を倒してペダルを踏み込んだ。

 

一気に身体に掛るGがきつくなり、メルアはサポート管制モニターからパターンWCIS:バンカーを選択する。

 

「カズマさん、このままいけます!」

 

「ああ!」

 

《グランティード・ドラゴデウス》のフィンガー・ドラゴ・クラッシャーが空を切った瞬間、立ち代りに《ラフトクランズ・レイス》が躍り出た。

 

「甘いわッ!?」

 

カロ=ランが吐き捨て、機体を駆ってオルゴンソードを弾いてみせる。が、シールドバッシュごと撃ち抜かれ、驚いて後退する。

 

《ラフトクランズ・カロラクア》の背が扉にぶつかり、カロ=ランは背後を一瞥して舌打ちした。

 

もう、退路は無い。

 

次の一手を考えるカロ=ランは呆気に取られることになった。《ラフトクランズ・レイス》が突っ込んできたと思うと《ラフトクランズ・カロラクア》のシールドを掴んで力任せに引いた。

 

「何の真似だ?実験体(モルモット)!」

 

好機とばかりにオルゴンキャノンを向けるカロ=ランは接触通信から響く声を聞いた。

 

『早く其処から退けよっ!死にたくないだろ!?』

 

瞬間、カロ=ランの視界はブラックアウトした。

 

《ラフトクランズ・カロラクア》のコックピットを貫いた剣が横に振りぬかれ、胴を切断して起爆する。

 

「お前は何してんだ?グ=ランドン!!」

 

《ラフトクランズ・カロラクア》を貫き、引き裂いた巨大な剣を振るう主にカズマは怒鳴ってペダルを踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

バチバチとショートするコックピットでマナは一息ついた。

 

《クストウェル・ブラキウム》は慢心相違だ。左腕は切断されて肩口から無く、ドッキ

ングしたブロークンアームも随所に亀裂が見られる。

 

『超えましわね、マナ』

 

ブロークンアームの中には《ラフトクランズ・ファウネア》が納まっていた。

 

両手は拉げ、既に機能しない《ラフトクランズ・ファウネア》。後はブラキウム・ブローの〆で握りつぶすだけである。が、マナはモーションをキャンセルした。

 

「師匠、私は多くに支えられてココにいます。私からの懇願を聞いてもらえるなら・・・・供にシャナ=ミア様に、コレからのフューリーの為に尽力してもらえないでしょうか!?」

 

『・・・・ふふっ、一度は剣を向けた貴方がソレを言うのですか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

《ラフトクランズ・レイス》がオルゴンソードで巨大な剣を弾くと《グランティード・ドラゴデウス》がフィンガーグリープで殴り込む。

 

僅かな隙を突いて《ベルゼルート・ブリガンディ》がオルゴンラグナライフルを放って反撃の隙を与えない。

 

一連の連携は申し合わせたわけではなく、多くの戦場を供にしてきたからこそ行える連携だろう。

 

『お前はっ!どうして其処まで戦えるのだぁ!?』

 

グ=ランドンが吼えるのが聞こえた。

 

《ズィー=ガディン》がオルゴ=ラ・ヴァイパーを放つ。

 

散開して極太ビームを避ける四機、《ラフトクランズ・アウルン》と《ラフトクラン

ズ・レイス》はそのビームの両サイドから挟み込む形で互いの得意とする獲物を展開した。

 

「今までもそしてきたっ!」

 

『今までだと!?』

 

バシニングソードが弾かれ、入れ違いに《ラフトクランズ・レイス》がオルゴナイトバンカーを叩き込んだのだ。

 

「・・・守るために、ソレは変わらない!唯・・・守りたいと思う(メルア)が出

来た!それだけだよッ!!」

 

左腕部を失い、玉座から離れる《ズィー=ガディン》。

 

《ズィー=ガディン》とシステムを連結させ、異常を起してきたガ=ウラのシステムを復旧させるべく《グランディート・ドラゴデウス》が鎮座し、守るように《ベルゼルート・ブリガンディ》が前に出る。

 

そして、戦いは殆ど一方的に終わりを告げようとしていた。

 




暫くぶりに更新。

リアルが忙しくて、後は積みゲーの消化ですかな。

さて、グ=ランドン線は一方的に終わりを。

テイルズシリーズの小説ってそういうラスボス描写が多いんですw

さて、次からオリジナル編に移行します。

スパロボらしく、幾つか作品も出していきますよ。
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