世界を越えたその先で   作:コードα

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ラマリスより恐ろしい物(効果はアリ)

数週間の時が過ぎた。

 

その間にも出動は何度かあり、その度に危険に晒されて《サーベラス・イグナイト》に、《アルトアイゼン・リーゼ》に救われては何とか戦い抜いて生還する日々が続いていた。

 

そんなある日、カズマは夢を見た。

 

 

 

 

 

 

《ヒュッケバインMkⅡ》や《エクゼクスバイン》に似た機体が、両肩から淡い緑色の粒子を巻きながらラマリスと戦う。

 

しかし、ラマリスはカズマや鋼龍戦隊が遭遇したような形状ではなかった。

 

顔面上、額辺りから伸びた爪、左頬・右頬の下部分から伸びる爪は無い。完全な人型になっている。

 

そして、エイのような戦艦から出てきた敵機を飛行機から変形した機動兵器が、当たり前のように撃墜していく夢。

 

同様にその中にも似通った機体がいて、ビームサーベルを抜いては切りかかってくる。

 

きっと自分(カズマ)は彼らを知っていて、忘れているだけなのだろう。

 

なぜかそう思えた。

 

何故なら、その変形した機体と出てきた機体たちは通信してきた。

 

そして皆、当然のように言うのだ。

 

「期待しています」「頼みますよ」「行きましょう!先輩っ」

 

と。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ!」

 

宛がわれた部屋で飛び起きるカズマ。

 

「夢?何の夢かねぇ・・・・当てにされるほど操縦上手くはないのになぁ」

 

変わらぬ部屋に安堵しつつ、今日の平和に何もなく、特訓だけで終われば良いなぁと考えながら部屋を後にする。

 

「あ、おはようございます。カズマさん」

 

「お、メルア。おはよう・・・・」

 

食堂に向かっていると、向かいからメルアが姿を現した。

 

「あれ?カズマさん、何かありました?」

 

「どうしてそう思う?」

 

「はい、ロシアンルーレットキャンディに当たった時のような顔してます。」

 

ロシアンルーレットキャンディ、メルアがコックピットに常備しているキャンディだ。

 

一袋に三つのキャンディが入っていて、その内一つが唐辛子パウダー入りの超激カラキャンディ。

 

カティアとフェステニア、トーヤも試して食べてみると大当たりはフェステニアだったのは記憶に新しい。

 

「そんな渋い顔してたか!?」

 

「そうですよ、カズマさんはその感じです。私はそっちのカズマさんの方が好きで

す・・・・・ふ、深い意味は無いですよ!?」

 

そう言って食券を片手に去っていくメルアを呆けてみているカズマ。

 

因みに、こういった恋バナは男女問わず鋼龍戦隊の面子は大好きである。

 

特に、

 

「朝から熱いねぇ、青春って奴か!」

 

イルム中尉とか。

 

「なんっすか、イルムさん」

 

「いや何、悩める後輩に恋の道を説いてやろうと思ってな」

 

「失敗の間違いじゃないっすか?」

 

「ぬぐぅ!?」

 

「カズマさんとイルム中尉?」

 

「どうしたんですか?」

 

そこにカティアとトーヤがやってくる。

 

肩を組むイルムとカズマ、この構図は以前ブリットが「恐喝しているように見える」と呟いたことがあった。

 

実際はバカ話をしていただけなのだが。

 

「なぁ、カズマ。メルアが顔を真っ赤にして走っていたけど何かあったか?」

 

と、其処に何も知らないジョシュア・ランドクリフが首をかしげている。

 

「あらあらぁ~これは恋の予感?恋の堕天使としては気になるわよねぇ!?」

 

間が悪い、そうとしかいえない。

 

何でこのタイミングでエクセレンがいるのか。別に、朝食を取りに来たと言えばそれだ

けなのだが面倒なメンバーが集まるのか。

 

ジョシュアは、面倒とも言えない。

 

どちらかと言うと相談に乗ってくれる先輩分といったところか。

 

「いや、エクセレン少尉の期待するような話は無いですよ?」

 

「あらん、そうなの?」

 

「ああ、俺もてっきり・・・」

 

「ええ、それで墓穴をぼらない事を今しがたイルムさんから学んだ所です」

 

「言うようになったな!このっ」

 

「ちょっ、痛んですけど!?」

 

ぐしゃぐしゃと頭を撫でられ(?)抗議するカズマ、エクセレンはそれでも「実のところは!?」と迫ってきている。

 

まぁ、この手の質問はイルムやタクスから上がっていた。

 

カティア、メルア、フェステニア。

 

それぞれタイプの違う美少女と相乗り、何かないのかと。

 

恋とまでは行かなくとも「いいな」と思う事はあるだろと迫られた時にトーヤは、

 

「今はそんな余裕無いですよ!」

 

と一蹴した。その結果、答えずに逃げようとしていたカズマにタゲが集中したのだ。

 

「で、実の所はどうなんですか!?」

 

とアキミも興奮気味だった。

 

「まぁ、メルアちゃんたちだけってわけでもねぇよな。何だかんだいって鋼龍戦隊ってレベル高い女性多いだろ?」

 

「タスク、何時の間に!?」

 

「ふっ、恋バナあるところ俺アリってな!」

 

忍者か!?と言いたい身のこなしをするバンダナを巻いた青年、タスク。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急に恥ずかしくなって逃げるように去ってしまいました。

 

カズマさんは、相変らず皆さんに弄られています。

 

トーヤさんは皆さんが気にして話しかけてくれる、そんな感じですがカズマさんは人を引き寄せ、その場を和ませるムードメーカーのような感じに思えます。

 

「おはよう、メルア。どうかした?」

 

「あ、カーラさん。いえ、特には」

 

カーラはそんなメルアの心情を汲み取るように視線の先でイルムやタスク、男共に弄られ、遊ばれるカズマを見た。

 

その輪の中にはトーヤやカティアも見て取れる。

 

「そう言う事か・・・最近落ち込み気味だったアイツを励ましたのかい?」

 

「え?あ、はい。いつも励ましてくれますし、私もって思ったんですが」

 

「まぁ、良いんじゃない?メルアのペースで。アイツは潰れそうなトーヤを引っ張ってきただけじゃなく、あんた等も気にかけてた。」

 

「朝から騒がしいわね、なんなの?」

 

そこに鬱陶しそうに眉間にしわを寄せたカルヴィナが現れる。

 

最近、ラマリスのデータ取りの合間に遭遇したフューリーの一群。

 

その中に《ラフトクランズ・アウルン》が居たことで火がついたカルヴィナを抑えるのに一手買い、色違いの《ヴォルレント》から敵音声を拾ったのも彼だ。

 

その後、キョウスケに一頻り絞られていたが。

 

「ここに無意識に支えられてる奴だって居るしさ?」

 

「何の話?」

 

心底心当たりが無いと言いたげなカルヴィナ、メルアの表情は笑顔になった。

 

「はい!」

 

そう返事をして朝食を受け取りに行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平和なひと時って言うのは続かない、それは鋼龍戦隊に参加して学んだことだ。

 

赤い閃光となってグチャグチャとグロテスクな変形を始めるラマリスに《アルトアイゼン・リーゼ》がその額のプラズマホーンごと突っ込んでいく。

 

「イグナイトパイクッ!」

 

ビルを一つ挟んで《サーベラス・イグナイト》が、その腕部に装備されたリボルピングバンカーの類似装備をラマリスに突きたて、鏃が貫いていく。

 

「カズマさん、あれあまり見たくないです!」

 

「気持ちは分かる、メルアはスプラッター系のホラー映画は駄目だな!」

 

《ヴォルレント》は、月で回収されたオルゴンガンが届き、ソレをラマリスに連射する。

 

一体につきニ発で消滅するラマリス。

 

因みに《ヴォルレント》に迫るラマリスは四体だ。

 

『はいは~い、メルアちゃんを怖がらせちゃいけませんことよぉ!』

 

「因みにエクセ姉さん。オルゴンガンだと威力不足みたいなんですが」

 

『なら、ステークよん!』

 

「俺も接近するのは勘弁で!」

 

戦場の何処かで狙撃に専念するエクセレンの通信にカズマもおどけながら答える。

 

「ふふっ、カズマさんもスプラッター系は駄目なんですね」

 

メルアの口調から察するに恐怖緩和剤になっているのは間違いない。

 

『ならば、オルゴンキャノンはどうでしょう?』

 

「・・・・アリエイルさん、それは足を止める奴では?」

 

『そうですが、貴方ならその場でモーションパターンの改善などは?』

 

「無理無理ってうぉわ!?」

 

 

 

 

 

 

「トーヤ君、四時方向に《ヴォルレント》の反応、いけない!囲まれてるわっ」

 

「くっ!カティア、オルゴンブラスターで蹴散らす!リュウセイさん!」

 

『聞いてたぜ、援護は任せろ!』

 

SRXチームと戦っていたトーヤとカティア。

 

《グランティード》が逃げまわる《ヴォルレント》の反応を捉える。

 

そして、取り巻くラマリスの反応に焦るカティア。

 

トーヤも砲撃で援護しようと試み、迫るラマリスを《R-1》に任せて狙う。

 

『トーヤ!?』

 

「避けろよっ!!」

 

放たれた緑光の筋は、ラマリスを二体巻き込んで虚空に消える。

 

身を捻るようにして避けた《ヴォルレント》は肩に担ぐようにしてオルゴンガン=オルゴンキャノンの砲身を構え、ソレの接続を解除して突き出した。

 

ごにゅ!と何かにめり込む嫌な音が響く。

 

同じように緑光が爆ぜた。

 

 

 

「無茶するわね、ソレに付き合うメルアちゃんも凄い・・・」

 

「戦闘中に新たな攻撃モーションなんて、俺は絶対に入力しない。」

 

「私もごめんだわ」

 

《サーベラス・イグナイト》のコックピットで、カズマとメルアの教官役(の一人)であるヒューゴとアクアはそう言った。

 

基本的に戦闘モーションはプログラムである程度自動(オート)に出来る。が、そのプログラムも一朝一夕という訳には行かない。

 

何百と言う文字の入力は勿論、バグチェック・武器出力調整と上げれば切が無い項目が待っているので簡単にモーション追加など出来ない。

 

なので、ある程度腕が付いて来るようになるとマニュアル操作でモーション追加を行うパイロットもいると聞く。

 

二人乗りの場合、サブパイロットがプログラミングからかにテストまで行うのだ。

 

アクアはソレをしたくは無いし、しようとも思わない。

 

ヒューゴは堅実に勝てる手を教え、アクアもメルアに対して堅実に確実にパートナーの支えになる方法を教えている。

 

乗る機体が違うし、系統も違う。なので勿論、本人が判断する所はあるが。

 

「アリエイル、あんな提案は危険を招くだけだぞ」

 

因みに、鋼龍戦隊の通信コードは微妙に違えど基本的に同じだ。なのでヒューゴも先の通信は聞いている。

 

キョウスケやカイはアサルト1やエレーブ1(ATXチームはアサルト~)と言うコールサインが、カズマとトーヤについては特別決まりは無い。

 

何時の間にかエクセレンの「キョウスケの教え子ならATXチームでしょ!」と言うのが定着したのがカズマである。

 

『分の悪い賭けですが、彼らなら乗り切るかと』

 

「あの子達を賭けの対象にしないでよ!」

 

平坦な声で返答するアリエイルに、アクアはそう返した。

 

 

 

 

 

「く、クスハ、ソレは?」

 

帰還早々にリュウセイは慄いていた。

 

理由は幼馴染であり、ATXチームで、先の出撃を見送ったクスハ・ミズハの持つお盆のコップにある。

 

「私特製の栄養ドリンクだよ?新作なの。リュウセイ君もどうぞ」

 

「あ、ああ!大丈夫、俺は疲れて無いから!」

 

ライディーンスはそうそうに自室に、アヤは先ほどの報告書作成に行ってしまった。

 

隊長は大変だと思う傍らで、トーヤ達が来るのが見えたリュウセイはフッと思う。

 

(あ、あいつらには通らせたくない難関だ。となると)

 

生贄を探すリュウセイ。

 

ブリットは目を背け、同じく慄くエクセレンもそっぽを向く。書類を持ってきたラミアは、その場で硬直した。

 

仕方ないよね?倒れたし。ラミア。

 

「あ!カズマ君、どうぞ」

 

「どうもです。クスハさん」

 

「ちょっ!」

 

自然な流れで受け取ったカズマは、その威力を知らない。

 

だからこそ、平気で受け取れるし口を付けられる。

 

「何ていうか・・・独特な味ですね。これ」

 

「私特製の栄養ドリンクなんだ。」

 

カズマはクスハの言葉を聞いて思った。

 

(栄養ドリンクってドロッとしてコポコポ気泡立つもの?)

 

と。

 

「か、カズマ!なんとも無いのか!?」

 

コップ一杯、実にジョッキほどの大きさのコップを飲み干したカズマにリュウセイは慌てて尋ねる。

 

「ん?何とも無・・・・」

 

カズマがゆっくりと倒れた。

 

「カズマさん!?」

 

「カズマ!何やってるんだ!?」

 

「大丈夫ですか!?」

 

メルアに覆いかぶさるような状態のカズマをトーヤが引き剥がす。

 

リュウセイは「やっぱりか。」と呟き、クスハは慌てている。

 

「トーヤ君。カズマさん、気絶しているわ」

 

「さっきまで何ともなかったじゃないか!?・・・・あ」

 

様子を見たカティアがそう言うとトーヤが原因に気がついた。

 

つられて気がつくカティアとメルア。

 

そして、翌日までのカズマが目を冷ます事はなかった。

 

後日談になるが、実に爽快な気分で目が覚めたとカズマは語る。

 

 

 

効果はあったようである。




訓練→実戦→遅い就寝→早朝訓練

この流れはかなり辛いと思うのです。

今回、クスハが出撃を見送った理由。

ラマリスのステージで、たまたま選択しなかった最近のプレイが元ネタ。

うん、カズマは人が良いね!アニメのクスハドリンクは見た目からしてアレでした。

飲むのには相当勇気が必要だ。間違いない。


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