世界を越えたその先で   作:コードα

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無くした絆、消えぬ想い2

二年以上も前になる。

 

ガ=ウラ・フューリアで一つの奇跡は起きたのは。

 

シャナ=ミアは、縋るような思いで玉座機を眺めていた。

 

いや、祈っていたのだ。

 

「創造神フューリアよ、許される願いでは無いことは承知しています。」

 

そう言った。

 

確かに、シャナ=ミアはそう言って目を閉じた。

 

誰かに頼るような事じゃいけない、フューリーの民、皆が一丸となって立ち向かわなけ

ればならないのだ。

 

理解はしている。

 

「我が父とエ=セルダ・シューンが成したように、ヴォーダを打ち倒す力のある者

を・・・どうか!」

 

強く、本当に強く切望したのは覚えている。

 

皇帝になった、歳若いシャナ=ミアにとって毎日が苦痛でしかなった。

 

友人達もどこか一線を居ている。

 

マナだって・・・、だからヴォーダと言う未知の存在を蹴散らしてくれる存在を願っ

た。

 

地上では、ソレを英雄(ヒーロー)と言うらしい。

 

トウ=ヤが言っていた。

 

そうだ、彼は覚えていないだろう。

 

「?」

 

軋む様な音が聞こえ、シャナ=ミアは見上げた。

 

玉座機が見下ろしている。

 

それだけじゃない、玉座機が勝手に動き出してその掌に収まる人物を降ろす。

 

「こ、ココは何処!?」

 

驚いてはいる物の冷静さを失っては居ない祠堂カズマ。

 

そして、玉座機は再び直立不動の格好へ戻る。

 

「シャナ=ミア様!」

 

「おのれ!何処から侵入した!?」

 

「捉えろっ!!」

 

騎士達が駆け寄って、カズマに銃を向ける。

 

「大丈夫ですか!?皇女よ」

 

シャナ=ミアの前に立ちふさがったエ=セルダが、優しい表情で尋ねる。

 

「いや、俺も良く分からないんだけども・・・とりあえず敵意は無いから!マジ

で・・・・って言っても通じないよね?あんた達」

 

シャナ=ミアの印象に残る、最初のカズマは取り押さえられることに抗議しつつも、一切抵抗せず逃げ出す姿だった。

 

 

 

 

 

 

(やべぇ、マジで訳が分からん!声に沿って言ったら大型機の手の上?しかも下ろされたら襲ってくるマントの一団ってどんな状況!?)

 

それが、当時逃げならがカズマの考えていたこと。

 

そして、挟み撃ち。

 

これが、後に知るマナの部屋に逃げ込むことになった瞬間だった。

 

 

 

 

 

マナがカズマに抱いた最初の印象は最悪だった。

 

「んなっ!」

 

当時、準騎士の地位に着いたばかりのマナは失敗が続いていた。

 

ジュア=ムには先に《ヴォルレント》を取られ、フー=ルーの出す課題は、指定期間にはこなせない。

 

ため息しか出なかった彼女の息抜きは地球で言う風呂だった。

 

そう、風呂上りに珍侵入者は現れて慌てていた。

 

「す、すまん!しかし非常事態なんだ。直ぐにで「とっととくたばれっ!!」ふぉはっ!?」

 

そう、あたふたとするカズマの股に思いっきり蹴りを繰り出しクリーンヒット。

 

「ひっ!」

 

マナは直ぐに短い悲鳴を漏らした。

 

何故なら、扉を開けた男共は視線がピクピクと身震いし、それでいて起き上がる気配の無いカズマに集中している。

 

そして開口一番にこう言った。

 

「良くやったぞフィ・リース!これ・・・・」

 

これ?

 

「出て行ってください!」

 

アル=ヴァンは後に語る。

 

顔面を押さえ、悶絶する諜士が数名と部屋で赤面して顔を手で覆うマナ、その間で気絶するカズマの姿にどんな状況なのか分からなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

数週間が過ぎた頃、捉えられて投獄されたカズマに来客が訪れるようになった。

 

尋問の為の諜士ではない、シャナ=ミアその人だ。

 

カズマはその話を黙って聞いて、こう返した。

 

「つまるところ、俺が居るのは宇宙船であんた等は宇宙人ねぇ・・・・大差ないけどな、人類と」

 

「何故、そんなに早く飲み込めるのですか?」

 

「何故って・・・・強いて言うなら何処でも反応は一緒かなってことか」

 

シャナ=ミアは、少し首をかしげて思い出したように言う。

 

「マナのことですね。貴方が隠れた部屋の主の」

 

「いきなり金的とか鬼かって話だ。お蔭で俺は死んだかと思ったぞ、男として」

 

「混乱もしないのですね、貴方は私達フューリーの民を変わらぬと言ってくれて、こうして話してくれる、接してくれるのに」

 

「ああ、アンタが皇女様で他がかしこまってて側近のオッサンが殺意の波動を放っているのは理解できた・・・・でも“俺の知る世界”と何にも変わらないのさ」

 

そうして、シャナ=ミアとの対談は他の反対を押し切って続いた。

 

 

 

 

投獄から一ヶ月後、カズマの行動見張りに外界との接点を持つアル=ヴァンとエ=セルダが付いた。

 

「つまり、お前は知らずとマナの部屋に逃げ込んだと言うのか?」

 

「そう!まさか一発KO貰うとは思わなかったんですけど」

 

アル=ヴァンと話すカズマ。そこに微笑むエ=セルダが現れる、少し席を外していたのだ。

 

「そうしているとアル=ヴァン、彼とお前は仲のよい遊び仲間に見えるな」

 

「遊び仲間・・・ですか?」

 

「ああ、まるで息子とその友を見ているようだ」

 

困惑するアル=ヴァンにエ=セルダは笑いかけるだけだった。

 

この時は、一児の父としての顔が表に出ていたように思える。

 

「カズマ君、キミも何かを志していたように思えるよ。」

 

「どうして、そう思うんです?」

 

「実に良い目をしている。先を見据えていると言えば良いのか・・・・ソレは置いておくとしよう」

 

「置くんですか!」

 

思わずノリツッコミを出来るほどカズマはリラックスしていた。

 

それこそ、この二人が監視であることを忘れるほど。

 

 

 

 

カズマの誰とでも話し、接する人柄はいつの間にかシャナ=ミアから電波して多くの騎士も話を振ったりするようになっていた。

 

融和計画に賛同する騎士が増え始めたのもこの頃だ。

 

フー=ルーは、マナと同年代くらいの競争相手がジュア=ムだけだというのがいけないのかと思ったのか、こんな一場面もあった。

 

「で、フー=ルーさん?」

 

「何ですの?」

 

「何故、俺は木刀などを持たされてマナさんと向かい合っているの?」

 

「それはマナが気が治まらぬと言うので、私も潜らぬ関門を突破したのですから誇るべき「師匠!」とこの調子ですので所謂制裁ですわ♪」

 

間違いなく楽しんでいるフー=ルー。

 

しかし、トマトのように赤く赤面したマナが合図を待たずに木刀を振り被り、間合いを詰めた。

 

「ふぁっ!?」

 

変な声を上げて防御に入るカズマ。

 

「アンタが!覗いたりっ!するから!!」

 

「それについては本当に悪かった!でも俺についても非常事態であったことを理解して・・・っ!?」

 

癇癪を起こした子供が、ブンブンと腕を振るような打ち込みを受けては弁解するカズマ。

 

それを遠めに見ていた監視役二人。

 

「アル=ヴァン様、マナの奴何してんですか?あんなゴミ相手に」

 

この頃から、ジュア=ムは地球人を見下す傾向にあった。

 

「そうだな、お前も手合わせしてみると良い。彼はふざけているようで中々やると見える」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

捉えられ、接するうちにカズマはフューリーの純血に固執する一部を除いて信頼を勝ち得ていた。

 

単純に思い出話を自己完結してみたりしているだけなのだが、外界を知らぬフューリー人にとって実に興味をそそられる話だったのだろう。

 

そして、マナも最初の悪い印象から人当たりの良い、明るく周りの人間を惹きつけるカズマに惹かれて行った。

 

「では、良いのですね?」

 

「ああ、出来うる限り協力する。高が知れてるけどな」

 

シャナ=ミアが融和計画を持ちかけたその時までは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマ機がマナ機の攻撃をカウンターの要領で蹴り飛ばす。

 

殺さずに終わらせる、それは単に撃墜すれば良いというものではないのは分かっていた

が、何発か蹴りを入れれば終わると勘繰っていたカズマは完全に甘かった。

 

「この程度でぇ!」

 

マナの気迫に完全に飲まれ、攻めあぐねていた。

 

(マズッた。この娘かなりやり手だ、冷静になったら確実に落とされる!)

 

オルゴンダガーが、カズマ機の頭部を掠める。

 

すると、似たような光景がフラッシュバックした。

 

それは木刀だ、その刃を繰り出す少女を・・・・知っている?

 

「カズマさん!」

 

「ちぃっ!」

 

メルアの悲鳴に近い甲高い声で現実に引き戻され、機体を駆る。

 

カズマ機はオルゴンステークで応戦、マナ機の四肢を狙った。

 

『何故コックピットを狙わない!?』

 

「言ったろっ!?殺さず終わらせるってっ!!」

 

『・・・記憶だけじゃなく誇りも失くしたか!!』

 

()()()()()そうなんだよ!急かすなアホっ娘!!」

 

見えないはずの左側にスナップ写真のように現れては消えるその光景にを確かに知っている!

 

そして、何故だろうか。

 

マナ機がどう動くかも容易に想像できる。

 

《ヴォルレント》は元々量産機指揮官機に位置する、既存のフューリー機に比べ出力が高いのは勿論、その武装も同じ名前の物にしても威力は段違いだ。

 

それでも搭載武装の少なさからパイロットの技量が要求される機体でもある。

 

『アホとは何だ!?そもそもそんな甘っちょろい考えで私を止められると「るさ!止めてみせる!!」っ!!』

メルアがシートごしにモニターに映るカズマの顔を覗きこむ。

 

必死だ、必死の表情で説得している。

 

「カズマさん、記憶が?」

 

「ああ、点としてだけどね!メルア、この音声データだけをハガネに!」

 

「は、はい!」

 

答えるカズマには、以前から感じられている迷いと言えば良いのか、そう言った蟠りは

感じられず、メルアは言われたとおりに操作する。

 

 

 

 

 

 

 

「思い出せそう?まさか、記憶が!」

 

ハガネの艦橋でギリアムはその単語に驚いた。

 

幾度となくフューリー機とは戦闘しているカズマ、今までにそう言った傾向は見られなかった。

 

つまり、あの機体のパイロットは思い出させるだけの人物であるという事か。

 

「《ヴォルレント》側からロック!?映像、届きません!」

 

オペレーターが報告すると同時にメインモニターに上がっていた映像に変化があった。

 

「ESパターン、フューリー!転移してきます!!」

 

 

 

 

 

マナ機の左腕をオルゴンステークが捉え、撃ち貫く。

 

マナ機の突き出したオルゴンダガーが、カズマ機のオルゴンガンを捉えて一拍置いて起爆する。

 

「ぐっ!」

 

『このっ!』

 

それでもマナ機は前進を止めなかった。

 

そんな空中で縺れる二機を狙うのは決闘を申し付けたグ=ランドン、騎士たちではなく、グ=ランドンと共謀した諜士長カロ=ランが使わしたジュア=ム駆る《クストウェル・ブラキウム》だ。

 

「手伝ってやるよっ!マナァァァ!!」

 

 

突き刺さる殺意、初めて感じたのは最初のアル=ヴァン戦、そしてコレまでの感じた違和感はそう呼ぶべきものだ。呼んでも差し支えは無いだろう。

 

『離れろ!死にたくは無いだろう!?』

 

「何を!?」

 

カズマ機だけではない、マナ機のコックピットにも警告音は鳴り響いていた。

 

飛来する結晶弾による攻撃はフューリー機のもであると直ぐに推測できるし、何よりマナは知らない反応に冷静に戻された。

 

何発か、その一発はマナ機のコックピットを直撃するコースだったのだ。

 

蹴り飛ばし、自身はシールドで急所だけを防ぐカズマ機を見ると“あの時”を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

当時はまだ、準騎士の仲間たちとも馴染めていなかったマナ。

 

ジュア=ムからはバカにされ、ほかの連中からは「あんなゴミと一緒にいて何が楽しい!?」と罵られる。

 

「で、そのゴミに直接向かってこないお前等は何だ?」

 

その一言で血の気の多い準騎士達はカズマに襲い掛かった。

 

その時は驚きし、頭が真っ白になった。

 

カズマは、一対多数の状況で勝って見せた。

 

バカにしていたのはグ=ランドンの思想に賛成していた準騎士だ。

 

「お前、何であんなことができる!?」

 

「ん?誰でも出来るようになる。勿論、マナも」

 

そう言って手を差し出すカズマを(マナ)は忘れない。

 

「何事か!?」

 

其処に姿を現したグ=ランドン。

 

萎縮する準騎士達を他所に(カズマ)はこう言い放った。

 

「何、貴方が気にする事じゃない。些事だよ」

 

「・・・・大きな態度を取るようになったな、実験体(モルモット)!」

 

「アンタが俺をどう呼ぼうと気にする事じゃないがね、今のアンタは地球人をゴミと見ているなら協力は出来ない」

 

「ほう、あの言葉は虚偽だと?」

 

「シャナ=ミアさんに言ったことに偽りは無い。出来うる限り協力はするが、その考えに賛同できないといったんだ」

 

ああ、思えばあの後直ぐだった。

 

カズマが植物人間になったという報が届いたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

「損傷率が50%を超えました!」

 

「推移力20%低下?出力も50%ダウン!?ふざけんな、殺しに掛ったな・・・仲間ごと!」

 

「エクストラクター出力低下!このままだと停止しちゃいます!!」

 

「帰艦したいが、逃がしてくれるとは思えないんだよね・・・・特にジュア=ムが」

 

『死ねよカスが!』

 

合体したモジュールを腕にドッキングさせる《クストウェル・ブラキウム》がノイズの走るモニターの仲に見て取れた。

 

「メルア、ステークは生きてるか!?」

 

「はい、でも充填が出来ません。後二発だけです!」

 

カズマも諦めては居なかった。

 

メルアに現状、生きている武装を確認すると生きているスラスターで姿勢制御を行い、反撃を試みる。

 

 

 

 

 

「コレがフューリーの言う決闘か!?」

 

ハガネの艦橋付近で押し合う《サーベラス・イグナイト》と《ラフトクランズ・ファウネア》、《サーベラス・イグナイト》のコックピットでヒューゴが吼えた。

 

次々と発進する仲間達が転移を終えて攻め立てようとする《リュンピー》と戦ってい

る。

 

沈黙を守って応戦するフー=ルー、言い返せるわけがなかった。

 

私はこんな指示を出していないなどと。

 

マナも、気持ちの収まりがつく物ではない。

 

腕に中破し、動いているのは奇跡に等しい状態のカズマ機は《クストウェル・ブラキウム》と対峙して、押されている。

 

「不味いな、あの状況では!」

 

遅れて出撃していた《アルトアイゼン・リーゼ》のコックピットでキョウスケは口走る。

 

「カズマッ!」

 

そんなキョウスケの目の前で、カズマ機は一撃を貰って孤島に落ちていく。

 

「メルアちゃん!!」

 

キョウスケと同じく、空から援護に向かっていたエクセレンもその光景を目の当たりにした。

 

「ジュア=ム!ふざけるな!!」

 

憤りを隠せないのは何も鋼龍戦隊のメンバーだけでは無い。

 

マナも激情をジュア=ムにぶつけていた。

 

『うるせぇよ、お前がさっさと殺さないからだろ!?それにお前には討てないだろうが!』

 

「なっ!どういう意味だ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ヴォルレント》は、孤島の山間に落ちた。

 

孤島と言っても連なる島々の一つだ、戦闘中の鋼龍戦隊からは反応が消えた島くらいし

か情報が無いだろう。

 

「いてて、カズマさん!?」

 

目を覚ましたメルアは前部シートで項垂れるカズマを見てパニックになりかけた。

 

顔面左半分は出血で赤く染まり、素人目にもかなり不味いのではと思える。

 

「嫌、目を覚ましてください!何時もみたいに冗談を言って!!」

 

揺すり、目を覚まさせようとする。

 

頭に傷を負ったものを動かすのは医療の知識があれば避ける行為だが、今のメルアに其処まで考える余裕はなかった。

 

死んで欲しくない!

 

その一心がメルアを動かしていた。




時間軸的には「進撃のジュア=ム」直後です。

一つくらい閑話を挟んで乗換えまで書きたいな。

メルアよりマナのほうがヒロインぽいって感想貰ったけど、そこはほら。

マナはトーヤで言うシャナ=ミアポジですし?

カズマの空気が読めてない感は、彼の持ち味、仕方ない。

書いてるとこうなる、どうしてでしょう?

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