上司が猫耳軍師な件について   作:はごろもんフース

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書きたくなったので書きます。8年……約10年前?取り敢えず、反董卓連合は終わらせたい。


九十九、仕事をする

 おはこんばんちは……九十九です。

何やら何年も時間が経ったように思えますが、現在は千里が去ってから数日後の清らかな午後です。

窓に外を見上げれば美しい青空に、自由に飛び立つ小鳥達……実に平和でございます。

そんな午後の日に私は地獄にいます。

 

「何で手が止まってるわけ?何時止めていいと言ったかしら、止めていいのは心臓だけでしょ?」

いえいえ、誤解ですってば……ほらほら元気に動いてるでしょ?心臓もばくばくと危険を感じて鳴っています。

「何も持ってない手を動かしてどうするのよ。あぁ……役立たずの手は要らないって訳ね」

ごめんなさい!直ぐにお仕事終わらせます!

 

 相も変わらず私の上司は人の心をもとい、男性にたいして厳しい猫耳軍師です。

些細なジョークだったのに、この人本気で腕を切ろうとしましたよ。怖い。

 

 普段に増して文若様がカリカリしています。

と言うのも自分が楊修と名乗りだしてから、普段の仕事と平行して軍師としての勉強もさせられるようになりました。

勿論、先生は文若様です。

そう言った経緯もあり、普段の仕事も付いていくのに大変だと言うのに輪にかけて忙しさが倍増し文若様のストレスもマッハでございます。

正直言うと身の危険と疲労で何度も脱走をしようと思いましたが、そう言う時は頭の中でミニ華琳様を思い浮かべるようにしています。

 

『へー……真の仇はこの時代だ。と言った人物が逃げるの?ぷぷぷ、ダッサー』

 

とミニ華琳様に、ニヤニヤと笑われれば、ぐぎぎとなりながらも頑張らねばなりません。

これ以上の嘘つきにはなりたくありませんので……いや、待て……誰だ、貴様!?

やだー、年数が経ちすぎて私の華琳様の解像度が低すぎやしませんか?

 

「今度は頭も要らなくなったわけ?」

すみません。頭の中の華琳様があまりに似てなくて。

「はぁ?変な事を言ってないで、さっさと仕事しなさい」

 

 むむむっと力を入れて頭の中の華琳様の解像度を徐々に上げつつも仕事をこなす。

華琳様は小悪魔系でなく覇王様で、この書類はここをこうして、髪の毛がドリルの……。

 

「それと……字が汚い」

グハッ……鬼ですか!?勉強の時間を作ろうと一生懸命頑張ってる部下に向かって!

「その割には口から出る言葉が一向におかしいのだけど?まぁ、アンタは最初からおかしかったけど」

ひどい!

 

 パワハラだーと抗議しようとするも、自分の書いた文字を見て眉をひそめてしまった。

確かに速さ重視となり、文字が汚くギリギリ読めない事も無い文字となってしまっている。

その事に気付き、ゆっくりと深呼吸をします。

時間がないのにやる事がいっぱいある。

それでも焦っても良い事が起きる訳もなく、急いては事を仕損じるであろうと心で思い直す。

 

気を付けます。

「……せめて私が読める字を書きなさい」

はいっす。

 

 注意をされた事を深く受け止め、文字を丁寧に書いていく。

その横では上司である文若様が、此方の何倍もの速さで綺麗な字を書き続けている。

 

「慣れ」

はい。

 

 そんな彼女を見つつも、どうすれば良いのだろうかと考えていれば、文若様は此方を一切見ずにそう言い切った。

思いが先立つも、体と頭は追いつかず。

まだまだ、文若様達のお隣に並び立つには何もかもが足りなかった。

 

 

 

 

 

 

 

お、終わったー!

「……まぁ、最初よりかはましね」

 

 日が暮れて、落ちきる前に仕事を終わらせる事が出来た。

最初に補佐官としてやって来た時よりも内容も量もグレードアップしているが、何とか追いついてはいる。

 

と言うか、戦をしている時よりも忙しいのですが。

「当たり前でしょ、戦が終わった後こそが、もっとも大事な時期なのよ?」

そうでした。一刻も早く平穏を取り戻さないと。

「……」

 

 黄巾の乱が終わったが、まだまだ平穏からは遠くあり、民達の緊張も解けてはいないのが街を見てみれば分かる。

ここから立て直すのが上に立っている者たちの使命であり、文若様や自分の役目でもあるのだ。

仕事が多くなるのもしょうがない事である。

それと同時にその作った平穏も長くは続かないだろうと言う事も同時に理解していた。

この後に来るのは、黄巾の乱と同じ位の大きな戦いだ。

その事を誰にも話してはいないが、華琳様達は薄々と分かっているのあろうと感じた。

まぁ、千里にお願いして探らせている時点で「あっ(察し)」と言う感じなのだが。

 

「丁度いい時に来たみたいね」

「華琳様!」

お疲れ様です~。

 

 疲れとばかりに机の上に体を預けていると、上司の上司である華琳様が姿を現した。

文若様は、感激した!とばかりに両手を組み拝む。

此方は既に疲労一杯であり、申し訳ないが体を起こす気力もなく、手を上げて何とか答えた。

 

あいてっ!

「華琳様の前でしょ!しゃんとしなさい!」

ふぐぐ……失礼いたしました。

「別にいいのだけど、あなた達は変わらないわね」

 

 頭をべしべしと叩かれて、残った力を振り絞り、背筋をピンと伸ばす。

ちゃんとしなければとは分かってはいるが、ここ数日の間の忙しさのせいで頭はパンク寸前である。

その事を華琳様も分かっているのだろう。

少し呆れつつも、特にお咎めもなしで終わる。

 

課題ですか?

「そうよ。今日はこれね」

どれどれ。

 

 軍師としての勉強を教えてくれるのは文若様であるが、こうして華琳様も課題と言う名の追加のお仕事を持って来てくれる事も多々あった。

まぁ、一人でこなすようなものでなく、文若様と華琳様の二人が見守る中での補佐ありの課題だが。

良く考えれば覇王と王佐の才を持つ二人の補佐と言う何とも贅沢だ。

もっとも、見当違いの事を言えば、容赦ない文若様の罵倒を筆頭に華琳様の呆れたとばかりの溜め息が待っている。

地獄なのか天国なのか何とも言えない微妙なラインであった。

 

警備隊による治安向上に関して……ですか。

「そうよ。人は増やす予定ではあるのだけど、それを効率よく使う方法を考えなさい」

ふむふむ……。

 

 渡された書簡の中身を見てみれば、そこには街の治安に関する事が丁寧に書かれていた。

一日にどれだけの出来事が起こっているのか、現在の警備隊の仕事の内容に人員の数などなどだ。

それを見てさて、どうしようかと考える。

 

整いました!

「……今日は早いわね」

 

 数分ほど考えて幾つかの案が思い浮かび元気よく手を上げる。

はいはーいと天高く上げれば、文若様が不安そうな表情で此方をじっと見て来た。

何とも失礼な目線であるが、思い浮かんでしまったのだ。

仕方がないではないか。

 

まずは街を四つに分別して、それぞれの中心に物見台を設置しましょう。

「ふむ……」

「……」

夜はどうせ見えないですし、昼だけの二人組で合計八人です。上から見渡せば人が多く居ても問題ないでしょう。

「なるほどね。それで……見つけた後は?」

伝達方法も考えてますよ。手旗信号とか笛を使います。

事件が起きた時に笛で知らせ、赤と白の目立つ小さな旗の振り方で何処で事件が起きているかを下に居る警備隊に伝えます。

「手旗で知らせる……あまり数が多かったり難しいと覚えられないわよ?」

文若様、そこは四種類でいいと思います。街を四つに分けましたが、そこから更に物見台を中心に四つに分けて赤旗を上げた時は左上の地域とかで大雑把でいいかと。

笛の音も民を守る一因となると思いますし。

「その心は?」

笛の音が響けば事件が起きたと言う事、民もそれを知っていれば周りを警戒し身を守る行動を取る事でしょう。

何よりも、笛の音の数が治安の良さに繋がる訳で分かりやすい指標となります。

 

 そこまで喋ると文若様と華琳様はひそひそと此方に聞こえない音量で話し合いを始める。

粗が無いか、本当に使えるのか、合格ラインなのかと言う話し合いなのだろうが何とも居心地が悪い。

何時になってもこういった発表は、慣れないものである。

 

「他には?」

二つ目は、警備隊の一人を民に扮装させ警邏させることです。

 

 特に突っ込まれる事も無く、次を寄越せと来た。

どうやら合格ラインであったようで胸をなでおろす。

 

「なるほど、草と同じような事をさせるのね?」

はいっす。警備隊の格好は目立ちますからね。あれはあれで相手を警戒させて事件を防止できますので効果がありますが、此方は此方で相手も油断しますしね。

「釣り上げるか」

釣らずに泳がせるのも手かと。

 

 スリなど窃盗が起きた際に後ろをついていくだけでいいのだ。

近くに警備隊が居た時などの捕まえる算段を付け、応援を出せば逃げられる可能性も少なくなるだろう。

 

最後は、皆で絵の練習をしましょう!

「絵?あぁ……人相書ね」

「……相変わらず変な発想するわね」

文若様、誉め言葉です!

 

 最後の提案は、ぶっちゃけていえばモンタージュである。

人相書は今でもあるが、それを皆である程度出来るようにしましょうと言った提案であった。

 

質問の内容や仕方などを徹底的に細かく決めて、手引き書の作製も必須かと思います。

何よりも警備隊の人が全員人の顔を描ければ、逃げられても直ぐに指名手配できます。

「練習をする際に掛かる経費は?紙などのお金はどうするつもり?」

はい、文若様!そこはさらさらした砂を詰めた箱とかで良いと思います!

小さな棒などで練習できますし、砂であれば経費も掛かりません。

ある程度の特徴を書けるだけでも、効果はあるかと……あとはありません!

「そう……ふむ」

「……」

 

 そこまで考え付いた事を言い終われば、二人は揃って黙り込み考え始める。

 

「まぁ、いいでしょう。細かく詰めなければいけない所もあるけど、試す程度にはいい案ね」

「此方も問題ないと思います。ちっ……」

いや、褒めてよ!?舌打ちはご褒美ではないのですが!

 

 今日は調子も良く、特に突っ込まれることもなく終える事が出来た。

華琳様は満足気であるも、直結の上司の文若様は露骨な舌打ちで此方を睨むばかりである。

 

「罵倒し損ねたじゃない、馬鹿のうえに場も読めないわけ?頭爆発すればいいのに……」

罵倒をし損ねる!?いや、罵倒してますよ!?

 

 不機嫌そのものの文若様に対して、パワハラだーと両手を上げて華琳様に対してアピールをする自分。

 

「本当に……変わらないわね」

 

 そんな自分達に対して、華琳様はどこか安堵する様なため息をついた。

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