デレすぎっ!と思ったためにボツに!
お好きなほうをお選び下さい。
どもども!
今日は、荀彧様と街に来ています!
分かってると思いますが、デートとか甘い感じのものではありません。
むしろ近づくなと追い払われました。
「まったく……なんで私があんたと回らなくちゃいけないのよ」
そういわれましても、むしろ何で俺が呼ばれたのか分かってないぐらいなんですけど……。
前を歩く荀彧様に付いて歩けば、そのような事を言われた。
ことの始まりは、仕事部屋でのんびりと計算をしている時です。
『桂花……と九十九。あなたも来なさい』
はい?
突如やってきた曹操様に呼ばれ付いていけば、街の視察をすると言われた。
一つ目の道を夏侯淵様。
中央の道は曹操様と夏侯惇様。
最後の一つが荀彧様と自分だ。
三通りをそれぞれが通り、視察し入り口の合流地点で落ち合う話となっている。
「うー……私も華琳様と回りたかった」
大ハズレ引きましたね。
「ハズレもハズレね……はぁ」
……あからさまにため息付かれるのは少し堪えます。
「知らないわよっ! 何で私がアンタに気を使わないといけないのよ!」
よほど曹操様と歩けなかったことにお冠らしい。
いつも以上にツンケンしてます。
それでも怒りながら、辺りをしっかりと見渡し視察を終えてる所は流石です。
「ちっ」
それにしても何で俺なんかも視察に?
呼ばれる理由が分からず聞いて見ると、少し気だるげに睨まれ首を横に振られる。
そんな対応をされるも後ろを黙って着いていけば、荀彧様は口を開いてくれた。
質問をすれば色々と罵倒されたりしますが、なんだかんだ最後には教えてくれます。
男性に厳しい方ですが、優しい所もある人です。
「あんた……って、時折変な物を思いつくじゃない」
変なの……。
「この前の燻製肉もそうだけど……その前にもそろばんとか作ってたわよね」
あー……ありましたね。そろばん。
荀彧様の言葉に頷き、手を叩く。
計算の仕事が大変過ぎて、そろばんを依頼して作ってもらった事があった。
この時代は紙が貴重で高く、計算用紙になんか使えません。
竹簡などはかさ張り邪魔ですし、結局は全ての計算を暗算で行ないます。
そのお仕事が大変だったので、何か計算を残しておける物は無いかと考えて思いついたのがそろばん。
『なにそれ』
そろばんですよー!
この動く所を一桁二桁と桁分けて数字を記録し、計算も楽にしてくれる物です!
『へー……便利ね』
そうでしょう!
『でも……これがあったらアンタ要らなくなるわね』
……へ?
『計算も楽になるし、文官の質も上がるから計算しか出来ないアンタは要らなくなるでしょ?』
……。
まぁ、思いついて見せたらそういうことを言われて、嫌な思い出しかないんですけど。
封印しようとしたら荀彧様に取られ、そのまま曹操様に見せられ量産されました。
今ではいつ取って代わられるか怖い毎日です。
「その時折思いつく変な思いつきでもって視察しなさいという事でしょ」
なるほど!
「……はぁ、本当に馬鹿ね」
荀彧様の言葉でようやく納得できた。
他の人とは異なる視点を持つ自分に何かを期待していると言う事なのでしょう。
特に平凡に生き、政治に興味がなかった自分に何処まで出来るか分かりませんが、頑張ってみます。
ふむふむ……なるほど。
「……」
ほうほう……ふむ……。
「……」
辺りを見渡して、頷きながら歩きます。
こうしてみれば色々と見えてくるものもありますね。
「……さっきから五月蝿いんだけど、息の根を止めたら?」
すみません!
「……それで何か分かったのかしら?」
えぇ!
俺は経済関連のお仕事は出来ないなと分かりました!
「……ねぇ、切り捨てていいかしら?」
あっ痛い、痛い!
蹴らないで殴らないで!?
さっぱり何も見えてこないことを伝えれば、蹴りや拳が飛んでくる。
本気で殴っているのか真面目に痛く、その場で頭を抱えて丸まる。
「っ~~~~!! このスカタン!」
いや、無理ですって!
俺が風が吹けば桶屋が儲かる的な事を考えられるわけないです!
「……桶?」
はいっす。
経済ってのは、一つの政策を行い、その結果がどういった利益に結びつくか考える事ですよね?
「……大雑把に言えば、そうね」
風が吹けば、土埃が立つ。
土埃が目に入れば、盲人が増える。
盲人は盲人が付ける職に付く為に三味線を買う。
「……三味線?」
楽器ですね。
それで……その楽器の材料が猫皮なので猫が殺される。
「……」
猫が減ればネズミが増える。
ネズミが増えれば桶をかじる
桶が壊れれば需要が増え、桶屋が儲かる。
つまりは、最終的にどこが立ち、何処がへっこむのかを考える事が経済。
残念ながら、俺にそんな未来を見通す頭はないです。
そんなことを言えば、手足の暴力が止んだ。
不思議に思い顔を上げれば、何やら難しい顔で考え込んでいる荀彧様が見える。
「今日からあんたに経済の本を渡すから読みなさい」
はい?
……まじですか。
荀彧様はそれだけを言うとさっさと先に歩いて行ってしまう。
それを少し唖然としながらも見送りながら首を傾げた。
一体何の何処に見出したのだろうか、無駄になる確率の方が高いのになと思い後を走って追いかけた。
「いらっしゃ~い」
ほほぅ……。
「何よ……頭から被る籠でも欲しいわけ?」
いや……被る趣味ないですからね?
「この間は被ってたじゃない」
……それは荀彧様が被せた奴ですよね。
そんな感じでぶらぶらと歩いていれば、籠売りを見つけた。
籠は他にも売ってる場所があったが、そこは一層に人目に付く所だったのでついつい寄ってしまう。
これなんです?
「よくぞ聞いてくれました! これは全自動籠作り機や!」
「全自動?」
先ほどからすっごい肌を露出した胸の大きな女の子がハンドルを回して籠を作っていました。
女の子の持っている木で出来たカラクリを弄れば、籠が編み出されます。
手動で行なってる部分もあるので半自動なのですが、この時代でこんな物を作る人がいるとは驚きです。
「何処が自動なのよ」
「いやー……その、は、半自動やな!」
無粋ですよ、こういうのは黙って頷いて聞いてあげるものです。
「兄さん……ええ奴やな。気に入った! 一つ安くしたる!」
わーぉ、なら買います。丁度欲しかったので。
荀彧様はいかがですか?
「何で私が……」
お得な気分にさせられ籠を一つ買うことに決めました。
ついでに荀彧様もどうかと聞いてみれば、途中で言葉を区切り腕組をして何かを考え始めます。
そんな荀彧様を見て籠売りの子と顔を見合わせて、少し近づいてみれば何かが聴こえてくる。
「……籠、籠……そういえば落とし穴とかで使えるかしら」
……落とし穴?
「桃を置いておけば九十九が……」
……。
何か凄い事を考えてます。この人。
桃は大好物ですが、さすがの俺もそこまで馬鹿じゃないです。
荀彧様の中での俺は何処まで馬鹿な存在なのでしょうか……。
というか落とし穴に嵌める理由はなに?
嵌めて俺をどうする気なの?
この人、頭はいいのに時折変な行動するんですよね。
「一つ買うわ」
「毎度!」
あっ……買うんだ。
何やら黒い笑顔でニヤニヤと笑う荀彧様に冷や汗が溢れ出す。
これって罠にわざと嵌らないといけないのだろうか。
接待しなきゃいけないのだろうか……。
「そこの若いの」
へいへいー、俺ですか?
「……そうじゃ」
ふらふらと籠を持って歩いていれば、何やら変な人に話し掛けられた。
「ぷぷっ……あんたも怪しいし、引き寄せられたのね」
……。
声の主は、目が見えないぐらいに深く布を被った人であった。
声は低くしわがれたもので、お婆さんにも若い男が無理に声を作ってるようにも聞こえる。
そんな怪しい人に声を掛けられた俺が面白かったのだろう。
荀彧様は口元を隠し笑った。
はいはい、俺に何か御用ですか?
「いや、何……お前さんの行く末が少し気になっての」
行く末?
「なによ……アンタ占い師だったの」
特に何か商品を広げているわけでもなく、不思議に思って見ていれば荀彧様が相手の職業を言い当てつまらなそうな表情をした。
老人と思わしき相手はそれに頷き、此方を指差してきた。
荀彧様は相手が占い師と知り、興味をなくしたのか先に行ってしまう。
「御主……死相が出ておる」
歯槽膿漏?
「死相じゃ死相……近いうちに死ぬってことじゃ」
え? 俺死ぬの?
「死ぬな、確実に」
なんか行き成りお前は既に死んでいる、並なことを言われました。
何か近いうちに死ぬらしいです。
凄いショックです。
そうかー死ぬのかー。
それなら……。
お婆さんや。
「なんじゃ?」
俺が死ぬ未来が視えたとして……そのときの俺は――
「どんな表情をしてる?」
一番気になる事を聞いて見れば、占い師の婆さんは押し黙った。
無言の空気の中、笑顔で次の言葉を待ち続ける。
「ひっひっひ、面白い奴じゃ。そうじゃの……笑っているかの」
そうですか……ならいいです。
これ御代です。
「毎度」
聞きたいことが聞けて満足し、少し多めに御代を渡す。
そうすると老人は、素早い動きで御代を取り人ごみへと消えていった。
それを見送り満足すると先に行ってしまっている荀彧様に追いつくために走りだした。
「あんたね……何してたのよ」
少々占いを聞いてました。
「あんなの嘘に決まってるでしょ……馬鹿ね」
あはははは。
死ぬと言われて怖いとは思った。
やりたい事は多い、可愛い奥さんも欲しいし、美味しい物も食べたい。
いい思いもしたい、未来も視たい、現代に戻れるならば戻りたいと思う。
何より荀彧様が結婚できるのかが非常に気になる。
しかし、現実は近いうちに死ぬようだ。
そしてその時に自分は笑っているという。
つまりそれは、満足して自分は悔いなく逝くのだろう。
それだけ分かれば十分……十分なのだ。
荀彧様。
「なによ……」
命亡くなる時までお仕えします。
そう口に出してみれば、荀彧様は非常に気持ち悪そうなものを見る目で此方を見てくる。
「気持ち悪い」
というより口に出して言って来た。
「近寄るな、気持ち悪い!」
そんなこと言わずに!
荷物持ちしますよ!
その後、罵倒されたり怒られたりしながら曹操様達と合流を果たした。
……籠好きなんですか?
「いや……何か買ってたのよね」
「私は籠に穴が空いてたからな」
「落とし穴作る」
「華琳様へのお土産をいっぱい買ったからな!」
その際に全員が何故か籠を持っており、皆して不思議そうに首を傾げた。
若干一名ほど買った理由が酷い人が居たが、そこは気にしないで置こう。
《デレ多め》
「そこの若いの」
へいへいー、俺ですか?
「……そうじゃ」
ふらふらと籠を持って歩いていれば、何やら変な人に話し掛けられた。
「ぷぷっ……あんたも怪しいし、引き寄せられたのね」
……。
声の主は、目が見えないぐらいに深く布を被った人であった。
声は低くしわがれたもので、お婆さんにも若い男が無理に声を作ってるようにも聞こえる。
そんな怪しい人に声を掛けられた俺が面白かったのだろう。
荀彧様は口元を隠し笑った。
はいはい、俺に何か御用ですか?
「いや、何……お前さんの行く末が少し気になっての」
行く末?
「なによ……アンタ占い師だったの」
特に何か商品を広げているわけでもなく、不思議に見ていれば荀彧様が相手の職業を言い当てつまらなそうな表情をした。
老人と思わしき相手はそれに頷き、此方を指差してきた。
「御主……死相が出ておる」
歯槽膿漏?
「死相じゃ死相……近いうちに死ぬってことじゃ」
「なにそれ、大雑把過ぎて訳分かんないわね」
「ワシは未来を視ておる、確実に死は来るぞ」
なんか行き成りお前は既に死んでいる、並なことを言われました。
何か近いうちに死ぬらしいです。
「はぁ……戦も良く起きるし。人が死ぬのは当たり前じゃない。行くわよ」
……お婆さんや。
「九十九?」
腕を引っ張られるもそれを押し留め、お婆さんに話しかける。
少し気になることがあり、聞いて見たいのだ。
「なんじゃ?」
俺が死ぬ未来が視えたとして……そのときの俺は――
「どんな表情をしてる?」
一番気になる事を聞いて見れば、荀彧様も占い師の婆さんも押し黙った。
無言の空気の中、笑顔で次の言葉を待ち続ける。
「ひっひっひ、面白い奴じゃ。そうじゃの……笑っているかの」
そうですか……ならいいです。
これ御代です。
「ちょっ、こんな奴にお金を渡さないの!」
「毎度」
聞きたいことが聞けて満足し、少し多めに御代を渡す。
その際に荀彧様が慌てて止めさせようとするも相手の方が早かった。
老人は素早く御代を受取るとそのまま人ごみの中に紛れ消えていく。
「あんたね……何渡してるのよ!」
満足できたので!
「普通近いうちに死ぬぞ。って言われて御代出す馬鹿が何処にいるのよ!」
ここに!
「っ~~~~!!!!」
死ぬと言われて怖いとは思った。
やりたい事は多い、可愛い奥さんも欲しいし、美味しい物も食べたい。
いい思いもしたい、未来も視たい、現代に戻れれば戻りたいと思う。
何より荀彧様が結婚できるのかが非常に気になる。
しかし、現実は近いうちに死ぬようだ。
そしてその時に自分は笑っているという。
つまりそれは、満足して自分は悔いなく逝くのだろう。
それだけ分かれば十分……十分なのだ。
……なんで蹴るの!?
「馬鹿! アホ! 華琳様から頂いたお給金を変な事に使うんじゃない!」
あっはっはっは!
俺が貰ったものです!
好きなことに使います!
「死ね、今すぐ死ね!」
その後、自分の意見が通らなかったことに不機嫌になった荀彧様に追い掛け回されながら、曹操様達と合流した。
……籠好きなんです?
「いや……何か買ってたのよね」
「私は籠に穴が空いてたからな」
「落とし穴作る」
「華琳様へのお土産をいっぱい買ったからな!」
その際に全員が何故か籠を持っており、皆して不思議そうに首を傾げた。
若干一名ほど買った理由が酷い人が居たが、そこは気にしないで置こう。