上司が猫耳軍師な件について   作:はごろもんフース

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今回は桂花はお休みです。
桂花メインだけど他の魏の子も書きたいので!
あと微R-15


九十九、金庫を破る

こんばんは、九十九です。

今回は荀彧様はお休みです。

というか、殆どの人が外に出てて留守番してます。

 

「うー……」

……。

 

 そんなお留守番してる間、何処にお邪魔をしてるのか言うと曹操軍の『金庫番』の曹子廉(そうしれん)――曹洪(そうこう)様のところです。

曹操軍の会計を全て引き受ける責任者さん。

数字を扱う関係で、この人のお仕事を手伝う事もあるので付き合いがあったりします。

荀彧様が物凄く怒るので荀彧様が居ない時しか手伝えないのですが……相性最悪なんですよ、うちの上司と。

この人が頷かないと予算が下りません。

そのせいで毎回毎回、荀彧様とバトルを繰り広げてたりするので敵対してます。

 

 ちなみに容姿は、とても綺麗で可愛らしい人です。

曹操様と同じ金色の髪の毛をツーサイドアップでまとめ、先っぽをくるくる巻きにしてます。

……曹操様といい子考(しこう)といい、何で皆ドリル的な髪の毛なんでしょう? 遺伝?

あとは……とても胸が大きくて、いつも縫ぐるみを持っています。

曹操様はぺったんこなのにこの人だけ大きいです。フシギダナー。

 

 とまぁ、そんな子廉様のところに予算を下ろして頂く為に参りました。

本来であれば、自分は計算だけでこう言ったのは荀彧様がするのですが、居ないので代理です。

あ……ちなみに子廉様には(あざな)で呼ぶことを許してもらえてます。

この城だと、仲康と子考ぐらいからしか許されてないので珍しい人です。

ちなみに真名で呼べる人は未だに一人しか居ません。

 

「……はぁ」

……ずず。

ため息付くと幸せが逃げるらしいですよ。

「誰のせいでため息を付いてると思ってますの?」

最近活発になった奴等のせいですかね。

「……むむむ」

 

 水を飲んで眺めているだけでは暇なので声を掛けてみました。

何やら不機嫌そうに睨まれたので正論を言えば、唸り始める。

流石に自分のせいにされたら堪ったもんじゃないです。

 

「はぁ……」

ほら、また。

「う゛ー……いつもの猫耳は何をしてますの?!」

活発に動く奴等の討伐に出てます。

「……あーお姉様、昇進しましたものね」

ですです。

曹操様が州牧へと昇進して、治める地域が広がりましたからね。

守る所が増えてみんな大忙しです。

「九十九は一緒に出ませんでしたの?」

俺?

 

 のんびりとそんな事を言っているとそんな事を言われます。

計算しか出来ない俺が戦に出て何をするのでしょうか?

放った矢の数でも数えてればいいんですかね……なにそれ拷問?

 

俺なんかが付いて行っても何にも出来ませんよ?

「んー見てる限りだと指揮もそれなりに出来そうだと思いますわ」

あー……無理ですね。

「言い切りますのね」

 

 無理だと言い切れば、少し不愉快そうに目を細められました。

何だかんだ言って真面目なお人ですからね、不真面目に見えて怒ったのでしょう。

 

や、駄目なんですよ。

「やる前から諦めるのは関心しませんわね」

……賊徒相手だけは駄目なんですよ。

「賊徒だけ……?」

 

 繰り返し聞かれた言葉に軽く微笑み答えます。

あまり口に出したくない言葉なのでそれだけで済ます。

すましたいなー、無理かな?

 

「そういえば、九十九の住んでいた村は……ごめんなさい」

いえいえ、とまぁ……相手にすると多分冷静でいられないと思います。

指揮官が冷静でないと従う兵士達が可哀想ですからね。

自分が今回の戦で活躍する事はないでしょう。

「なら……一緒にお留守番ですわね」

はい。

 

 にっこりと笑いかけてくれる曹洪様に此方も笑い返す。

あぁ、平和です。

何だろうか、この癒し空間は……。

自分に非があった事を察し、空気を変えてくれる機転の良さ。

流石は、上に立つだけのことはあります。

 

それで下りませんか?

「う~ん……この数は」

商人さんと連携を取ってましてその値段で抑えてます。

矢や武具はどうしてもこの先必要な物ですし、兵士の……民の命を守ってくれる物です。

「……」

皆の安全性を保つ為の必要な出費……そう取ってくれませんか?

「……はぁ」

 

 必要性を説き、頭を下げ頼めば子廉様は大きくため息を付きながらも判子を押してくれた。

これで武具や矢の補充が出来、これから先の戦で存分に戦えるでしょう。

自分の知識だとこの先、黄巾党が更に活発に動くので今回の事は必要な事です。

 

ありがとうございます。 子廉様。

「はぁ……他の方も九十九みたいでしたら」

 

 そんな事を言ってくる子廉様。

俺が大量発生したらやばいことになると思うな。

あちら此方で煙が上がり、カオスが出来上がりそう。

 

褒められて嬉しいですけど……そんなにですかね?

「九十九は予算を取るときに最低限で通してくれますもの」

まぁ、言わば血税ですからね。 無駄にはできんとです。

 

 自分には日本で培った価値観がある。

税金も色んな所で引かれ、色んな用途で使われることを知っている。

無駄に使う政治家をテレビなどで見るのが日常だったので、民を思いしっかりと管理してくださる子廉様に感謝しかない。

そう思うため最低限の礼儀として商人などの交渉を頼んだり、最低価格を調べてから通すようにしてます。

 

「それが分かってない輩が多くて、多くて……!!」

「曹子廉様、今月の予算のほうを……」

……ずず。

 

 そんな事を話していれば、扉から一人の文官の人が入ってくる。

文官の人が予算を貰う為に子廉様に竹簡を渡し、それを子廉様がしっかりと見始めた。

それを見ながら、来るかなと構える。

 

「予算のほうを――「何言ってますの?」……へ?」

 

 あぁ、やっぱりか。

俺にとっては付き合いやすい方なのだが、この時代の価値観だと子廉様は少々相性が悪い。

賄賂で上に上がり、私腹を肥やす輩が多い時代だ。

例によって文官の中にはお金の価値が少し狂っている人もいる。

そんな輩とお金の価値をしっかりと分かっている子廉様が会うと……

 

「この物品の使い道は?」

「えっと……それは」

「この品の最低の金額は幾らで?」

「え?」

「……この値段で書かれてますけど、前の時はもっともっと安かった筈では?」

「あー……」

 

 こうなるのだ。

次々に質問される内容に相手は顔を赤くしたり青くしたり、忙しく表情を変える。

そして――

 

「よ、予算を……」

「その股間にぶら下がってる焦げて腐った果実、ブチもぎますわよ!」

「ひ、ひぃ~~~!!!」

 

 わーぉ。凄い迫力。

流石は男子文官ランキングで上司にしたくない人NO.1。

この人も荀彧様同様『男嫌い』なんですよ。

しかも、趣味が可愛らしい少女という……。

荀彧様は曹操様専用のレズ。

曹操様は老若男女構わず美しい人を。

……なんでこの軍こんな人ばかりなん?

 

 それにしても曹操様に似てる容姿と迫力が重なって、プレッシャーが半端ないです!

正直、見ているこっちの物もきゅんと縮こまります。

哀れ文官君は泣きながら、回れ右して去って行っちゃいました。

曹操様以上の毒舌家ですからね、南無南無。

 

「ふぅ……」

お疲れ様です。

これ置いとくので食べてくださいな。

「あっ……」

 

 久々に見た子廉様の罵倒を懐かしみながら立ち上がる。

流石に忙しいでしょうし、あまりお暇してると後が怖いですからね。

懐からドライフルーツが入った小瓶を渡して外へと出ます。

 

「ま、また来てくれます?」

取り合えず、荀彧様居ないですし暇があれば来ます。

 

 普段?

会うと荀彧様に敵扱いされるので会わないです。

裏切り者扱いされるんですよね。

あとは……『綺麗な花にトゲがないとは限らないわよ』とかよく言ってます。

トゲって男嫌いな事ですかね? 正直荀彧様の方が……げふんげふん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 バタンと音がして閉じた扉を暫しの間見つめる。

少しの期待を込めるも結局、彼は戻ってこなかった。

 

「……休憩しましょうか」

 

 そのことに少しガッカリし、閂で扉を閉めると辺りを見渡す。

部屋の中には、誰も居らず、私しかいない。

それを確認すると、先ほどまで九十九が座っていた長い椅子へと倒れこむ。

 

「ん~……はふ」

 

 思いっきり匂いを吸い込み満足した。

実際、匂いがするわけでもないのだが、それだけで満足だ。

 

「……んっ、あっ」

 

 暫くそのまま堪能すれば、手が少しずつ下へと下がり下着を触る。

そして……暫くの間、欲望に身を任せた。

その際に脳内で思い出すのは先ほどの男性。

 

 本来美しい少女が大好きな自分の中にスルリと入って来た男性。

お金の価値観が合い、他の男みたいに派手な遊びもしない。

たまに馬鹿っぽい行動をとるもそれもまた可愛らしくて好みだった。

そんな彼を愛しく想い、今日もまた耽る。

 

 

 

「……ふぅ、んっ」

 

 行為が終わり、満たされた心。

暫く気だるげにしていれば、机の上の小瓶を見つけた。

 

『食べてくださいな』

「……んっ、甘い」

 

 彼がそう言って置いていった果物の干し物。

最初はわざわざ保存食にして勿体無いと思っていたが、食べてみて感想が変わった。

普通の干し物より甘く、美味しい。

しかも聞けば、しっかりと保存すれば三ヶ月から半年もの間保管できるという。

好きな時に食べれて、手軽で美味しいと来た。

そんな物を作り出す彼を――

 

「やっぱり欲しい……でも猫耳が邪魔ですわね」

 

 最後に指を舐めそんな事を思った。




~なぜなに三国志 間違ってるときもあるよ!~
《名前》
姓 名 字 の三つで構成されてます。
桂花でいくと
姓:荀 名:彧 字:文若 真名:桂花ですね。
本来、名を呼ぶことは親、兄弟、主君しか呼べません。
気軽に呼べるものではなかったりします。
荀彧様と言ってる九十九君は実はアウトです。

上司の呼び方は、姓に官職をつけて呼ぶのが正しいみたいです。
字は、名の変わりに呼ぶもので大人になったら付ける物です。
親しい人には字を許すのが一般的みたいですね。
正し、恋姫には名の上位版の真名が存在します。
なので文章としても読みにくいのでこの小説では名を軽めにしております。
桂花>文若>荀彧>姓+官職 の順で親しい間柄となってるとお考え下さい。

九十九「荀尚書令様?」
荀彧「文章で読むと混乱するわね」


《ドライフルーツ》
三国時代にも干し物はあります。
しかし、砂糖がなかったりします。
サトウキビはありましたが、お酒の口直して齧ってたようです。

ちなみにドライフルーツは砂糖と一緒に鍋に入れて煮込み、水分を飛ばし
天日干しにすれば水分の多い桃でも簡単に作れます。
しかも物によっては三ヶ月~一年ほど保存が続くという。
更には、普通に食べるより栄養素も高いそうな。

《お酒》
桂花が飲んで酔ったお酒。
実は……庶民で飲んでるお酒はほぼ度数がなかったりします。
なので演義などで樽ごと飲んで凄い!とかありますけど実は……

ちなみにちゃんと度数が高い物もあったらしいです。

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