雪のように白く、美しく ~like snow~   作:海童(ワダツミ)

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EX3

「………」

 

その日の一夏の目覚めは、最高で最悪だった。最高なのは、結局あの夢の中でずっと雪月とはなし、最後に最高の笑顔が見れたこと。そして、最悪というのは――――――――

 

「Zzzz ...」

 

「Zzzz ……んへへ………とーくーん。」

 

「(なんで朝からこの二人のイチャイチャを見せつけられなきゃいけないんだ………こっちは苦労してるのに……)いや、ちょっと待って、昨日束さん確かベッド出してなかったっけ?」

 

事実、刀魔のベッドの隣には束が準備したベッドがおかれてある。が、その上は訳のわからない液体の入った容器や金属柱、基盤などで埋め尽くされている。

 

「ん……? もう朝、か?」

 

「刀魔、まさか昨日の夜俺がいるのにそんなことなんてしてないだろうな?」

 

「は? 何を言って…………ああ、起きろ束。」

 

思ったよりも冷静に対処している刀魔。恐らく一夏なら慌てるだろう。

 

「むにゃ…………あれ、とーくん?」

 

「いつのまに入ってきたんだ、とっとと出てくれ、邪魔。」

 

刀魔は思いっきり毛布を引っ張り、束をベッドの上から落とした。ゴウンと重い、人体で鳴ってはならない音が聞こえた気がする。

 

「イテテ……ひどいよとーくん。束さんの頭はもっと大切に扱ってくれないと。」

 

「あんたなら唾でもつけときゃ治るだろ。」

 

「ま、対して痛くないんだけどね。おはよーとーくん、それにいっくん。」

 

あれほどの音を出したのに変わらず笑顔でいれるのは恐らくドMか束ぐらいだろう。そんな朝だったのだが、

 

「……束、10分ほど部屋を出ていてくれないか? もちろん盗聴器なんて仕掛けるんじゃねぇぞ。ちょっと一夏と話がしたいからな。」

 

その言葉を素直に受け入れた束は、「そのかわり今日は研究ずっと手伝ってね!」とだけ残し、部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

「さて、見たところ何かあったようだな。しかも女性関係で。」

 

「待て、刀魔お前そんなキャラだったか?」

 

「悪いが俺はあんたと違って唐変木なんかではないからな。それで、何があった?」

 

「――――――――俺は、もう一度雪月を好きになる資格なんてあるのかなって。」

 

それから、過去に何があったか、ポツリポツリと話し始めた。自分が今までどんなことをしてきたか、どういう状況にあるか。

 

一通り話したうえで、刀魔は口を開いた。

 

「なるほど、あんたは馬鹿だな。」

 

「はぁ!? 人が真剣に話したのに馬鹿ってなんだよ!」

 

「なんでそれだけで資格がないなんて決めつけられる? 少なくとも、今お前はそいつのことが好きなんだろ? なんでその気持ちを隠そうとするんだ。確かに立場とかはかなり複雑なのはわかるが、それがお前の感情を押さえつける理由にはならない。それは単なる自己満足だ。そうだな――――――――」

 

 

バキャァッ!

 

 

刀魔は、これでもかというほど一夏の顔を殴った。一夏は吹き飛ばされないように足に力を入れようとしたが、少し遅かったか後ろに倒れてしまう。

 

「目は覚めたか? 臆病者。」

 

一夏は自然と笑い出す。

 

「あぁ、ありがとな。――――それにしても、まさか刀魔からそんな言葉が出るなんて、刀魔って本当にコミュ障?」

 

「コミュ障とは関係がないだろうが。もっとも、この言葉は受け売りだけどな。」

 

「へぇ、誰の?」

 

「知らなくていい。そろそろ朝飯食べに行くぞ。」

 

こうして、男二人のちょっとした会談は終わった。

 

「(翔真……おれは、うまくできてるか? あんたの言葉、ちゃんと覚えてるさ。『大好きに嘘はつかない』、か。小1のやつが考えたなんて世も末だな。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、刀魔は参加するのか?」

 

「何にだ。」

 

「明日から始まる補講だよ。ほら、さすがに春まで休業っていったって全く勉強しないわけにはいかないってことらしい。それで、刀魔だって春から授業には参加するんだからちょっとは勉強しとかないと。」

 

「はぁ………言っとくが俺に勉強なんて必要ないぞ。例えば、そうだな…………なんか適当な文字記号を紙に書いてみな。」

 

刀魔は適当な紙とペンを一夏に渡す。一夏はとりあえず書こうとするが、

 

「書くときは数字とアルファベットのみで、最低でも100文字は書いてくれ。」

 

「ひゃ、100!? それはさすがにダメじゃないのか!?」

 

とはいえ、もしこれができるのなら本当にすごいことである。一夏は思い付くままに英数字を書いていく。さすがに100以上と言われて100キッチリ書くのはどうなのかと思ったのか、結局500文字も書いた。紙が足りず追加で9枚足したのは言わずもがな。

 

そして、刀魔はそれを受け取ったあと、三十秒もたたないうちに一夏に返した。そして、また別の紙に書いていく。

 

「ほら。あってるだろ。」

 

「嘘だろ…………!? 全部あってる……」

 

そこにかかれていた文字は、一文字も間違えることなく綴られていた。

 

「――――体質なんだよ。これのせいで学校の授業なんて受ける意味がわからなかった。しかも、ただ単に記憶力が高いだけじゃなくてそれを応用した理論だってできる。大学のレポートだって三十分もあればすぐに理解できる。ISの分厚い本、あっただろ。」

 

「あぁ、あのタウン〇ージレベルの教科書だっけ。」

 

一般的には一ヶ月程度で普通の人は覚えるようなものである。もっとも一夏は1週間で詰め込まなければならなかったが。

 

「あれなら半日もあれば十分だ。」

 

「ま、マジかよ………」

 

「だから俺には補講に参加する意味なんて――――――――」

 

「よし、こい! んで俺に教えてくれ!」

 

刀魔は深いため息をつく。はぁ、これならこの体質見せるんじゃなかった、こっそりサボりゃあよかったな、と後悔した刀魔である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こんばんは!海童です!

なんかすごいことになりましたが、今回はここまでなんです。

それにしたって、刀魔がヤバイ。でも、この設定は後々効いてきたり……?


また来週!
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