雪のように白く、美しく ~like snow~ 作:海童(ワダツミ)
こちらではお久しぶりです。
「………で、なにか言い残すことはないか? 一夏。」
「――――――――すまない、刀魔。俺はもう、ダメだ。」
「まさか、1問目すら解けないなんてっ………!」
「貴様、本当に高校生なのか? 中学1年じゃないだろうな?」
補講が始まり、どうやら始めにプリントを渡してわからないところは教員に聞くなり生徒同士で協力して解くなりする流れになった。そして、一夏と刀魔でペアを組み、問題を解いていくことになったのだが――――――――
「だって分からないものは分かんないんだよ!」
「この程度のレベルで難しいとか言ってんじゃない! しかもまだ1問目じゃないか!」
開始数分にして既に修羅場である。
二人が組んでいる理由は簡単で、女子同士が牽制しあってるうちに一夏が刀魔を誘い、「まぁシルヴィエ君ならいいか」という妥協点をとったからである。それはどうでもいいのだが。
1問も解けていない一夏とすべて終わってすることがなくなった刀魔。ここまで大差がつくと誰が想像しただろうか。
「大体なんで1問目すら解けないんだよ、さすがにバカすぎじゃないか!?」
「仕方ないだろ!? この問題俺が亡国機業にいる間にした範囲だもん!」
「なおたちが悪いわ! 自業自得の極みじゃねぇか!」
「なんだと~、俺が亡国機業にいったお陰でこうして刀魔が生きてるんだからありがたく思え、そして感謝の印として教えろ!」
腕を組み合い頭をぶつけながら口論をし続ける二人。
遠目から見てもあからさまに喧嘩であり、しかし誰も止めに入ろうとしない。理由は二つ。ひとつめの理由は、単純な力量差。かたやIS殺し、かたや封殺のIS持ち、押さえに入っても意味がないと判断しているからである。
では、もうひとつの理由とは? 察しのいい人ならわかるだろう。
「あぁっ………! いい! 男同士のぶつかり合い!」
「これは新刊書きたくなるっ………、なんでこの時期に! 後少し早かったら冬に間に合ったのに!」
「二人とも攻めで、でもお互いに認めあい二人共に果てて………ああ、神様ありがとうございます!」
――――――――人には見てはいけないセカイがある。
――――――――――――――――――――――――
二人とも熱が覚め、真面目に問題を解く一夏とパソコンを使ってアスタロトの改造プランをたて始めた刀魔。
「そういえば、あの子とはどうなったんだ?」
「ん、ここにいるけど?」
一夏は腕のガントレットを差し出す。
「あぁ、そうか。――――ある意味不便というか………あ、ちょっと待って。」
刀魔はポッケから一本のケーブルを取りだし、片方をパソコンに、もう片方を白式に繋げる。そして、謎のアプリを開き、少しばかり待つと、画面に新しいウインドウが開かれ、そこに一人の女性が現れた。
「――――雪月!」
「あっ、一夏くん!」
その女性はもちろんのこと、白式のコア人格であり一夏の幼馴染みであり、一夏が好意を寄せている相手である片桐 雪月その女性であった。
「刀魔、どうやって!?」
「あぁ、束の特別作品だ。廃棄しそうになってたのを俺が無理いって貰ったんだ。ま、使い道なんてこのぐらいしかなさそうだがな。」
このようなあり得ない現象も束の名前を出したらどうにか納得してしまうのもいつものことである。
「えーっと、雪月さんでしたっけ、その、えー、俺たちの話を聞かないようになんとかなります? もしかして、今日今までずっと筒抜けでした?」
「大丈夫ですよ。聞いちゃまずいかなってときは、ちゃんとシャットアウトしてますから。………わぁー、一夏が真面目に勉強してるぅ。」
「おいおい、まるで俺が勉強してないみたいな言い方を」
「プリントの問題まだ2問しか解けてないくせに。」
「なっ、ここでいうことないだろ!」
再び刀魔に掴みかかる一夏。その姿を見て雪月はクスリと笑う。
「ふふっ、なんか不思議だなぁ、こうやって一夏くんが友達と仲良くしてる姿を見れるなんて。」
「友達じゃない!」
「そんなつれないこと言うなよ~。」
じゃれあう二人を見て、雪月はまた笑いだした。
やはは……大分前だったから話が繋がってるか不安です。
既に確認しているかたも何人かいますが、あとよければ続編でもある『創造戯曲』も是非どうぞ。