ラブカツ -ラブライブ・カツドウ-   作:直田幸村

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第1章  前半

 私たちの熱いラブライブ活動、ラブカツ。始まります!! フヒヒッ

 

 前回までの、ラブカツ!!

 

 私は矢沢にこ。

 

 ラブライブへのリベンジを果たすべく意気込んでいたニコたち。

 

 そんな最中、

 

「我々スターライトは、ラブライブへの参加を決定しました」

 

 アイドル学校、スターライト学園の現役アイドルが、ラブライブに出場することが記者会見で発表されたわ。しかも、今回のラブライブには、今までニコたちが使ったことのない、アイカツシステムまで導入される始末。もう、どうなっちゃうのよこれ。

 

 でも、こんなことではへこたれない。

 

 宇宙一のトップアイドル、にこにーは、今日も元気に練習頑張るニコ

 

 

 

 

 

 

 

「さて、みんな集まったわね。じゃあ、早速議題についてだけど」

 

「ちょっと待って。朝練習を休みにしてまで話すことなんてなにかあったっけ?」

 

 絵理が話を始めようとするのを遮って、穂乃果が声をあげた。

 

 どうやら、まだ眠気がとれていないようだ。ほのかに目は充血し、ときどきあくびをかみ殺している様子が見て取れる。

 

 その様子は、起きてから急いで来たことを物語っていた。

 

 部室に一番に駆けつけていたにこは、そんな穂乃果を見て目を細めた。

 

「ま、まさか。今朝のニュースを見てないんじゃないでしょうね」

 

「う、うん。でも、仕方ないんだよ、にこちゃん。いつもの集合時間より早く集まってって言われて急いで来たんだから」

 

「まあ、普通の日でも、ニュースをみたり新聞を読んだりしているとは思えんけどなぁ」

 

「希ちゃん。や、やだなぁ。そんなこと・・・・・・」

 

「仕方ないわ。整理もかねて、もう一度現状を確認しましょう」

 

 笑ってごまかす穂乃果に呆れながら、絵理は主に穂乃果に向けて説明した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぅ。そんなことがあっただね」

 

「呆れた。知らないのは、穂乃果ちゃんだけよ」

 

「真姫ちゃんの言うとおりにゃー。凛もちゃんと知ってたよ」

 

「言いにくいですけど、スクールアイドルとしてもうちょっとニュースも気にするようにしたほうがいいかもしれません」

 

「そんな……」

 

 3年生に続いて真姫、凛、花陽の一年組にも言われてしまう。

 

 μ's内に先輩後輩の垣根は存在しない。とはいえ、2年生が1年生にまであきれられてしまうことは、穂乃果にも堪えるものがあったようだ。

 

 助けを求め、穂乃果の視線は、自然と二人の親友のもとへと泳いで行った。

 

「う、海未ちゃーん」

 

「……穂乃果」

 

「ええと、どうしたのかな。……海未ちゃん」

 

 うつむいていて、表情は見えない。でも、重い気迫がひしひしと感じられた。

 

「私はことあるごとに言っていたはずです。スクールアイドルたる者、日々世間の状況に気を配るべきであると」

 

「それは、スクールアイドルとはあまり関係ないんじゃ……」

 

「だまらっしゃい! アイドルなのですから、様々なものの流行を敏感にキャッチして、皆さんが喜ぶパフォーマンスを日々模索することが必要なのです。そうは思いませんか、穂乃果?」

 

「……いえ、その通りでございます」

 

 海未が顔をあげた瞬間に現れた形相に、穂乃果は思わず小さく悲鳴を上げた。

 

 いつの間にか海未の気迫に押されてその場で正座していた穂乃果。ついに、頼みの綱はもう一人の親友のみ。

 

 不安と期待を胸に、恐る恐る彼女のほうを見る。

 

「み、みんな。いくら何でも、そんなみんなで責めるのはかわいそうだよ」

 

「こ、ことりちゃん……」

 

 やっぱり、ことりだけは自分の味方だったと、穂乃果は目を潤ませる。

 

「まあ、ニュースは見たほうがいいと思うけどね」

 

「う、裏切られた!」

 

 が、優しい言葉から一転、突然の切り返しに穂乃果は、床に手をついた。

 

「もう、穂乃果が悪かったってことはわかったから、話を進めようよ。ね?」

 

「ええ、・・・・・・わかったわ」

 

 一方的に責められる穂乃果は、自分から逸らすため、話を進めようとする。

 

 絵里は、穂乃果の魂胆などお見通しだったが、ジト目で見つつも話を進めることにした。今は、穂乃果の生活指導よりも重要なことがあるのだ。

 

「さっき説明したみたいに、ラブライブに現役の高校生アイドルが出場することが発表されたわ。とはいえ、もともとラブライブは私たちスクールアイドルのもの。彼女たちの出場を望まない声があまりにも多い場合は、彼女たちも出場を撤回するって言っているわ」

 

 だから、聞かなければならない。スターライトが出場することをどう思っているか。

 

「だから今回は、私たちで意見をまとめておこうと思って集まってもらったの。彼女たちの出場を認めるか否かを」

 

「・・・・・・」

 

 みんなが各々思考する中、

 

「え、だめなの?」

 

 穂乃果だけは、ほとんど間を空けずにきょとんとした顔で聞いた。

 

「いえ、だめというわけではありませんが。・・・・・・何しろ突然の事ですから。もうすでにラブライブへ向けて様々な計画を立てているところもあるでしょうし」

 

「でも海未ちゃん。出場する人数が増えたって、やることは変わらないでしょ?」

 

「それは・・・・・・」

 

 穂乃果の純粋な問いに、海未は口ごもる。しかし、それは返すことができないと言うよりは、言おうか言うまいか考えあぐねてるように見えた。

 

 その心境を察したのは、真姫だった。

 

「変わるわよ」

 

「え、何か変わる事ってあったっけ?」

 

 本気で何も変わらないと思っている様子の穂乃果に真姫はため息をもらす。もっとも、真姫が初めに思いついた事に気づいている者は少ないだろうが。

 

「大ありよ。出場人数が増えるって事は、予選でのライブ回数が増える可能性があるわ。そうなったら、その分必要な曲数も増えてくる。ラブライブで使う曲は、今までに公に発表していない新曲が必要って知ってるでしょ? その曲と歌詞を、いったい誰が作っていると思ってるの?」

 

「そ、それは・・・・・・。真姫ちゃんと、海未ちゃんです」

 

「別に、私もスターライトの出場反対って訳じゃないけど、そういうところをもっと考えて発言してほしいわ」

 

 皆が、はっきりとした発言をできない中、初めての反論らしい反論だった。

 

 μ'sでは、作詞は主に海未が、作曲は真姫が担当している。作らなければならない新曲数が増えるということは、彼女たちの負担が大きくなると言うことだ。

 

 真姫は、幼いことからピアノに触れており、作曲についてもそこまで負担を感じることはない。

 

 しかし、ラブライブで披露する曲ともなれば話は別だ。ラブライブの評価は、もちろん歌やダンスのパフォーマンスが重視されるが、いいパフォーマンスをするためには、よりよい曲と歌詞が必要となるのは明らかだ。

 

 定期発表で使われる曲が手を抜いているとか言うつもりはないが、当然ラブライブに使う曲の方が重要度は上。

 

 ラブライブようの曲を作成するには、通常曲の何倍もの時間が必要になる。

 

 真姫は、ちらりと同じ不安を抱えているであろう海未の方に視線を送った。歌詞だって同様にラブライブの為のものを作るためには相当の労力がかかる。むしろ、歌詞のイメージを元に作る曲よりも、無から世界観を作り出す歌詞作りの方が難しいのではないかと真姫は考えていた。

 

 真姫の視線に気づいた海未は、うちの穂乃果が申し訳ありませんと言わんばかりに頭を下げた。

 

 穂乃果の代わりに謝る姿は、ただの保護者だ。

 

 別に責めるために視線を送った訳ではない真姫は、妙な罪悪感に駆られて穂乃果へ視線を戻した。

 

 すると、今にも泣きそうな顔が見えた。

 

「・・・・・・それは。私にできることなら、何でも手伝うし・・・・・・」

 

「・・・・・・もう。だから、別に反対なんて言ってないでしょ。作らなきゃならない曲数が1つ2つ増えたってどうにかしてみせるわよ」

 

「ま、真姫ちゃん・・・・・・」

 

 真姫が慌てて穂乃果をフォローすると、さっきの涙を浮かべた顔は一転、一瞬で華やいだ。

 

 これだから穂乃果はずるいと思う。

 

 誰だってさっきのような顔をされたらフォローせざるを得ないのだ。しかも、それを無意識にやっているのだからたちが悪い。

 

「まあ、穂乃果ちゃんがせっかく何でも手伝ってくれるってくれたわけだし、曲が増えることになったら、一曲ぐらい作ってもらおうかしら?」

 

 その一方で、すごいとも思うのだ。それは、穂乃果の魅力であり、放っておけなくさせるもの。そして、人付き合いの苦手だった真姫ですら意地悪したくさせてしまうもの。人の壁を壊す彼女の魅力の鱗片なんだ。

 

「が、がんばるよ・・・・・・」

 

「じょ、冗談よ。・・・・・・そんな深刻にならないでよ」

 

 不安に震えながら、それでもどうにか頑張ろうとする穂乃果を見て真姫は苦笑した。

 しかし、冗談だと伝えたものの、穂乃果は納得していなかった。

 

 作曲をしている真姫がこういうということは、作詞をしている海未も同じようなことを考えているかもしれない。海未の真意を聞かないわけにはいかなかった。

 

「・・・・・・海未ちゃんも、やっぱり大変?」

 

「そうですね。確かにラブライブ使用する曲は、いつもより時間がかかるでしょうね」

 

「そっか・・・・・・、そうだよね」

 

 穂乃果は、海未の返事を聞いて肩を落とした。自分は何の考えなしに発言していたことを痛感する。

 

 しかし海未はそこで、でもと話を続けた。

 

「私は挑戦してみたいと考えています。私たちは、初めは不可能だと言われて、挑戦することを諦めるなんて、私らしくないと思います」

 

「ことりも、海未ちゃんの意見に賛成だよ」

 

「ことり・・・・・・」

 

「みんなで力をあわせれば、きっと大丈夫だよ。それに、ライブが増えるって事は、それだけいっぱい衣装が必要って事でしょ? ことり、よりたくさんの衣装を披露できるって思ったらわくわくして来ちゃった」

 

「ふふふ。ことりらしいわね。・・・・・・ほかはどうかしら」

 

 創り出すものにしか分からない苦しみもあれば、喜びもある。

 

 絵理は、普段おとなしいことりが目を輝かせる姿を見て微笑んだ。

 

 

 

 これまでは反対しないと言う意見と

 

「凛は賛成にゃ。」

 

「私も賛成です。いままであこがれでしかなかったアイドルと同じステージに立てるなんて、夢みたい」

 

「うちも、特に反対する理由は無いな」

 

 

 

「それじゃあ」

 

「私は、反対よ」

 

「にこちゃん?」

 

 てっきり二言返事で賛成するだろうと思っていたにこが、予想に反して異を唱えた。

 

「あんたたち、信じられない。いきなりにこたちのステージに土足で入ってきたのよ。侵略してきたの。現役のアイドルだかなんだか知らないけど、スクールアイドルなんてどうって事ないってこと? ふざけんじゃないわよ。にこが、にこたちがやっとの思いでたどり着いたところに突然現れて出させてくれなんて、許すわけないじゃない」

 

 にこは、息継ぎなしに不満をぶちまけていた。一気にまくし立てて息も絶え絶えになっている。

 

 にこの突然の激昂に息をのむ一同。その言葉に込められた言葉以上の思いに圧倒されていた。

 

 にこは、穂乃果がスクールアイドルを志す前から、アイドル研究部に所属していた。ここに集まった誰よりも早くスクールアイドルを志すも、にこの本気の思いに着いていけなかった同期メンバーはやめて行き、にこ一人になっていた。しかし、それでもにこは、アイドル研究部を守っていた。自分の夢を叶えるために、たった一人で。

 

 穂乃果がアイドル部を作ろうとしたところ、すでにアイドル研究部が存在することを知り、入部したいと駆け込んだのが、にことの初めての邂逅となった。

 

 誰よりもスクールアイドルになりたいと願い、何よりも同じ夢をめざせる仲間を求めていたにこ。しかし、最初は穂乃果たちの入部を認めなかった。

 

 自分の本気の思いについてこれないのではないか。離れていった同期のように離れていってしまうのではないかと言う恐怖があったからだ。

 

 最後には、にこは穂乃果たちの熱意を認め、入部を認めた。

 

 そんな経緯があったからこそ、穂乃果たちには分かったのだ。にこにとって、ラブライブ(そこ)は、スクールアイドルしか立ち入ってはいけない聖域なのだと言うことを。

 

「でも、きっと私たちを見下してるとか、そんなことないんじゃないかな?」

 

「穂乃果に何が分かるのよ。」

 

「だって、私たちのことを考えて、参加するかどうかを私たちスクールアイドルに委ねてくれたわけでしょ?」

 

「そんなの、私たちはあなたたちと仲良くなりたいのっていうポーズでしょ」

 

 

 

「それに、スターライトの人たちがなんのためにラブライブに出たいって言ってるのか私には分からないけど、そんなのどうだっていいって思うんだ」

 

「なんでよ」

 

「だって、私がスクールアイドルになりたいって思ったのは、私たちの学校の廃校を阻止したいって思ったのがきっかけだよ。それって、ほかのスクールアイドルからしてみたら、目指す理由としたらすこしずれてると思うの」

 

 

 

「穂乃果、スクールアイドルになるきっかけなんて何でもいいんだって思うんだ。都合のいい言い方かも知れないけど、大事なのは始めたあと、どれだけ本気で、楽しんでやれるかだと思う」

 

 

 

「穂乃果、テレビとかに出てるアイドルとライブできるって考えたとき、すごいわくわくしたんだ。確かに優勝することは大事だし負けたくない。でも、それ以上にスターライトの子たちのダンスを間近で見て、歌を直接聞いてみたい」

 

 

 

「そうね、スクールアイドルも年々増加の傾向にあるわ。新しいスクールアイドルが生まれ、ラブライブに参加するなら当然ライブする回数は増える。それがたまたまスターライトによって引き起こされるか知れないって

 

 だけで、遅かれ早かれ起きていたことだと私は思うわ。だから、私はスターライトの参加に反対はしない。あとは にこだけよ」

 

 そして、しばしの沈黙。

 

 にこは、目をつむって腕を組み、うんうん唸る。

 

 しばらくの間考えあぐねているにこをみんな見守っていると、突如にこは目をカッと見開いた。

 

「・・・・・・施設を解放するって言ってたわよね」

 

「ええ、でもいったいどうすーー」

 

「ーー敵情調査よ」

 

「え?」

 

 にこの瞳には、炎が灯っていった。

 

 それは怒りだとか敵対心とか、いろんな感情がない交ぜになったものを糧に、煌々と燃えていた。でも、にこの中に燃えていたのは、それだけではない。

 

「スターライトがどういうつもりでラブライブに参加するなんて言っているのか知らないけど、にこは真意も分からないままいいですよなんて言えないわ。・・・・・・でも」

 

 にこは、少し口ごもって口をとがらせてそっぽを向く。別に起こっているわけじゃない様子のにこは、ためらいながらも言葉を紡ぐ。

 

「何も知らないまま反対するものよくないと思う。だから、直接行って確かめるのよ」

 

 そう言って、にこは勢いよく立ち上がった。

 

「ふふふ。にこちゃんらしいかもね」

 

「にこちゃん」

 

 にこの姿を見て、皆は笑ってしまう。

 

 結局、にこはスクールアイドルであり、アイドルオタク。アイドルのことが大好きなのだ。

 

「スターライトの真意。このにこが直接行って確かめてあげるわ」

 

 にこの中に燃えていたもの。それは怒りだけじゃない。その中には、穂乃果たちも感じている押さえきれないほどのどきどきがあることをみんな感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

「アイカツ、アイカツ・・・・・・」

 

 問題の記者会見が行われてから初めての土曜日。

 

 スターライト学園のランニング場で、いちご、あおい、蘭の三人は、アイドル間では一般的になりつつある「アイカツ」の掛け声とともに走っていた。

 

 アイドルに休みの日などない。一般的に休日だろうが、テレビに雑誌の撮影、インタビューにラジオとアイドルが活躍する仕事は日を問わず存在する。たとえ仕事が無い時間があったとしても、その時間はすべて自分を磨くために使われる。アイドルにとっては、休みがないことは人気の証であり、その人気を維持していくためには、日々の特訓が大切なのだ。

 

「はぁー。そろそろ休憩にしよー」

 

 いつもはリボン型カチューシャを付けるのみであるいちごは、トレーニング中でじゃまにならないようその金髪を二つに結わえている。

 

 学園指定のジャージを着た彼女は、芝生に大の字に身を投げ出した。

 

 疲れた体を、伸ばしているとそこへ、少し遅れてシュシュでサイドに髪を束ねたあおいと、腰に届くほどの長い茶髪をなびかせた蘭が、いちごの両隣に腰を下ろした。

 

「そうだね。あの会見があってから、最初の週末だもん。今日は結構気合い入っちゃったよ」

 

「まあ、昨日の今日だからな。エントリーする前だって言うのに、気だけ焦っちゃうよ」

 

 おもしろそうなオーディションやライブ企画があったらすぐにエントリーする三人。その速さたるや、周りの人がもう少し考えた方がいいんじゃないかと思うほどだ。

 

 そんな彼女たちが、エントリーできていない事実。

 

 それが、彼女たちをやきもきさせていた。

 

「ラブライブかぁ。早く出場決められないのかな?」

 

「はやる気持ちはわからないでもないけど、会見でも言ってたろ? スクールアイドルたちの反応を見て、最終的な決定を下すって」

 

「そう、蘭の言う通りだよいちご。ラブライブっていったら、私たちにとってのスターライトウイーンカップと同じくらい重要な大会。いいえ、全国のアイドルが競い合う大会だから、それ以上かも知れ得ない」

 

 スターライトクイーンカップは、スターライト学園伝統行事の一つ。一年に一度開催されるその催しでは、アイカツで活躍しているアイドルたちが、スターライトのトップを目指し日頃の成果を披露する場だ。その大会での優勝者に与えられるのは、スターライト学園トップの証、スターライトクイーンの称号だ。

 

 スターライトクイーンには、専用の寮が用意されるほか様々な特典があるが、そんな特典よりもスターライトクイーンというのは大きな意味がある。

 

 多くの伝説にも残るアイドルたちを排出してきたスターライトのトップ。そのネームバリューはすさまじく、スターライトクイーンになったアイドルは、その日からテレビで見ない日はなくなるという。

 

 このスターライトクイーンカップ。いちごは1度、あおいと蘭は2度経験している。そして各々、大きな壁に阻まれスターライトクイーンの座を逃している。

 

 その時の悔しさをバネに、現在もアイドルとして自分に磨きをかけているのだが、自分のすべてを掛けてもなお手にすることができない悔しさを知っている彼女たちは、ラブライブの重要さを理解していた。

 

「スクールアイドルの子たちにとって、すごい大切な大会なんだね」

 

「そう。だから、そんな大会にいきなり参加した言っていっても、誰しもが受け入れてくれるとは限らない。中には、快く思っていない人もいるかも知れない」

 

「所詮、私たちは突然ひょっこり現れただけだからな。いきなり出てきて何を言ってるんだって思う人がいても仕方ないだろう。もしはんんたいいけんが多いなら、引かざるを得ないだろうな」

 

「でも、やっぱり出たいな。一緒のステージで歌いたい」

 

 いちごたちは、ラブライブに掛けるスクールアイドルたちの思いがだからこそ、ラブライブに出たいと思っていた。スターライトクイーンカップで彼女たちは、全力を出して負けたときの悔しさを学んだ。でも同時に、全力を出して競える仲間が居ることの喜びも学ぶことができたのだ。

 

 一緒に歌えば、ライバルであり友達。いちごたちは、スクールアイドルたちともそうやって仲良くなっていけたらいいなと考える。

 

 いま、彼女たちの周りにいる友達(ライバル)もそうであったように。

 

 

 

「いちごたん、あおいたん、らんたん!!」

 

 いちごたちがラブライブに出場するためにはどうすればいいかなど話し合っていると、鈴が鳴るようなかわいらしい声が鼓膜をふるわせた。

そこにいたのは、2本の角のようにまとめた髪が特徴的な少女、有栖川《ありすがわ》おとめだった。

 

「ああ、おとめちゃん。おはよう」

 

「おはようございますなのです。・・・・・・ってそんなことしている場合じゃ無かったのです。たいへんなのですぅ」

 

 いつも結構反応がオーバーなおとめだが、今回はいつにもまして慌てている様子。

 

 いちごは、どこかで実たこと合る光景だなと思って、あおいたちが記者会見について知らせにきた時の事を思い出した。

 

 確かあのときも、同じような慌て具合だったなとデジャヴを感じていた。

 

「大変っていったい何があったんだ?」

 

「それが・・・・・・」

 

 おとめはそこで言葉を切る。慌てていたせいで息が切れたのか、呼吸を落ち着かせている。

 

 少し空いた間に、いちごたちは生唾を飲み込む。

 

 何度か深呼吸をして息を整えたおとめは、再び口を開いた。

 

「大変なのです。らぶゆーな女の子たちが、ここに乗り込んできたのですぅ」

 

「・・・・・・、はぁ?」

 

 思わず蘭は、声を漏らす。

 

 いちごたちは、いったい何が大変なのか理解できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「こ、ここがスターライト、学園かにゃ」

 

「さすがにでかいわね・・・・・・」

 

「まさか、スターライトの校門をくぐることができるなんて。感激」

 

 一年生組は、門をくぐるなり感嘆の声を上げていた。

 

「で、それはいいんだけど・・・・・・」

 

「なんで、にこはそんなところに隠れてるの。それにその格好・・・・・・」

 

 絵理は、近くの茂みでこそこそ動いている陰を見た。

 

 ちょこんと左右ではねるツインテールの彼女は、奥が見えないほど真っ黒いサングラスとマスクで顔を隠し、ベージュの引きずるくらい長いコートを羽織っている。一昔前の刑事ものでも参考にしているのか分からないが、その姿は変質者以外の何者でもなかった。

 

「あんたたちこそ何堂々と歩いてるのよ。さっさと隠れなさい。それじゃ、潜入にならないじゃない」

 

「いや。別に、潜入しに来たわけじゃないわよね。ちゃんとアポだって・・・・・・」

 

「おい、おまえたち誰だ?」

 

 絵理が背後からの声に振り向く。

 

 そこには、スーツを来た男が立っていた。

 

 絵理は、その男をいぶかしげに見つめた。

 

 その原因は、彼の持った箒にあった。

 

 その男はスーツをきっちりと着こなしており、絵理たちから見ても格好いいと思うほどの端正な顔立ちをしている。

 

 女子校であるスターライトがもし男子部を持っていたなら、アイドルの一人なのではないかと勘違いしただろうと思ったほどだ。

 

 そんなスポットライトが似合いそうな彼に、砂埃とゴミを連想させる箒は何ともミスマッチな組み合わせだったのだ。

 

「ええと・・・・・・、あなたは」

 

 本来、名前を聞かれれば、絵理はすぐに答えていたであろう。しかし、浮かんだ疑問から、名前を聞き返してしまっていた。

 

「ここの教師の涼川だ。で、おまえたちは?」

 

「先生?」

 

 先生だという発言を聞いて、さっきよりも疑問が深まってしまった。

 

 先生なのに箒を?  

 

 疑問は解消されないものの、このまま黙っているのも失礼だ。

 

 絵理は、ひとまず疑問は置いておいて、答えることにする。

 

「私たちは、音の木坂学院高校でスクールアイドルとして活動している者です。今日は、スターライト学園を見学させて頂けると言うことで来ました」

 

「ん? 音の木坂・・・・・・、学園長からはそんな話聞いてないんだが」

 

「そんなはずは・・・・・・。確かに急ではあったけど、ちゃんと今日来るって・・・・・・」

 

「というか、今日来ようって決めたの、絵理ちゃんじゃなかったの?」

 

 顎に手をやり考え込む絵理は、ちょんちょんとつつかれ振り向く。

 

 すると、穂乃果はどうしたの? と絵理をのぞいていた。

 

「違うわ。今日行くって決めたのは・・・・・・」

 

 そういって、絵理は後ろの方へ視線を泳がせる。今回の訪問をセッティングした立役者(はんにん)へと。

 

 その視線の先には、変質者のような格好をしたにこの姿。

 

「ちょっと、にこ」

 

「な、なに。絵理?」

 

 植木の陰に隠れて、そろそろと逃げようとしていたにこは、絵理に名前を呼ばれて、びくりと体をふるわせた。錆び付いたロボットのように顔だけ絵理の方へ向けると、絵理の影のか掛かった笑顔が見えた

 

「あなたが決めたのよね。ここに来るのを今日にするの。もちろんちゃんと許可は取ったのよね」

 

「もう、いやね。・・・・・・とってる訳ないじゃない。にこが見たかったのは普段のスターライトなのよ。事前にアポなんて取ってたら、抜き打ちにならないじゃない」

 

「そう、確かにその通りね」

 

「そうでしょ? それなのにあなたたちと来たら、堂々と歩き出すんだもん。そりゃ見つかるって・・・・・・」

 

 絵理が肯定したことで調子に乗って愚痴りだしていたにこだったが、途中で肩をがしりと捕まれ、口を止めた。

 

 絵理の顔が、笑っているのにぜんぜん笑っていなかったからだ。

 

「ちょっと、にこ!!」

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

 絵理とにこの絶叫がスターライトに響きわたる。

 

 その絶叫に、校門付近にいたスターライトの生徒たちが全員注目する。そして、何事かと騒ぎ出した。

 

 それ光景を誰よりも一番間近で見ていた涼川は、まためんどくさいことの巻き込まれたとため息を付いたのだった。

 

 

 

 

 

 




どうも、幸村です

今回のラブカツはいかがだったでしょうか?

とはいっても、まだアイカツ陣営とラブライブ陣営は、直接は顔を合わせていません

今回で、合わせられたらなと思っていたのですが……。

プロローグでは、どちらかといえばアイカツ陣営の方を厚く書いていた印象だったため、今回はラブライブ陣営にスポットを当てて書いたつもりです

しかし、何しろどちらの陣営も人数が多い。

まだ、ほんの一部の人物にしか触れられていないので、これから触れていければいいなと思います。

評価、感想お待ちしてしてます。
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