拝啓、妹が出来ました   作:biwanosin

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ちょっと視点を変えてみて。


第十二話 決意

「あ、そう言えば兄さん。今日の晩御飯は何にしましょう?」

「あー……そう言えばまだ考えてなかったな。なににしようか?」

 

と、六人で歩きながらそんな話になる。この後買い物をして作る予定だったのはいいんだけど、そう言えばまだ何にするかまでは決めてなかったな……

 

「二人でメニューを考え、買い物をして、並んで調理をし、そして同じテーブルで食べる……なんていうか」

「新婚さんみたいだね、二人とも」

 

と、浅間さんと永遠がコンビネーションを放ってきた。や、浅間さんについては何を言おうとしてたのか確定じゃないんだけど、でも間違いないと思う。この短い時間でそれははっきりとわかった。後……

 

「とりあえず君野さん、身を乗り出すのはやめようか」

「あっ……す、スイマセン……」

 

ムッツリかどうかはともかく、君野さんが一番こういう事柄に興味津々だということも。うーむ、ヴィキは本当にキャラの濃い友人を作ってるなぁ……俺が言えたことじゃないけど。

 

「さて、バカ二人はほっといて」

「「バカとは失礼な」」

「晩飯については決めとかないと買い物の時困るよな……」

「実に困りますね……効率的な問題が」

 

そう、そこなのだ。あまり長時間スーパーにいるのも正直面倒なのだ。食材の都合上仕方ないのだが寒いし、あとヴィキが結構目立つのだ。言うつもりは無いけど、ヴィキの隣にいる俺への視線も結構いたい。なので、決めていくべきなのだが……うーむ……

 

「これといって思いつかないし、焼き魚に味噌汁、あと何か野菜でも炒める?」

「そんなところでしょうかね。美千留さんにも同じものを残しておきましょうか?」

「んー、それでもいいんだけど……薬味を適当に準備して、あとだし汁も出しとこう。たぶんだけど、そろそろマジでクッタクタになって帰ってくるから、お茶づけの方が食べやすいだろうし」

「ではその方向で行きましょうか」

「「「「新婚さんかよ」」」」

「なんなんだその異口同音は」

 

ったく、妙に波長があってるんだよなぁ、このメンバー。奇妙なもんだ。

 

「あ、そうだ。よければお前らも食ってくか?」

 

と、ふと思いついたので誘ってみる。弘樹と永遠は正直ついでなのだが、君野さんと浅間さんにはせっかくだからもう少しヴィキと一緒に話していってもらおうかなぁ、とか言うおせっかいである。

 

「んー……いっていいなら行く。けど、手間じゃない?」

「そうですよ。さすがにその、ご飯をごちそうしていただくのは……」

「そこは気にしなくていいよ。外食奢るのに比べれば全然だし、下世話な話だけどウチの親片親なのに不思議なくらい稼いでるから」

「手間も増えてしまいますし……」

「ナイン、二人分も六人分も変わりません」

 

さすがに二から六は結構変わると思うんだけど、ここでそれを言ってしまうわけにはいかない。あとヴィキの料理レベルが高くて実際に変わらないという可能性もある。口出しするのはあれだな。

 

「ふむ……では遠慮なく、二人分お願いします」

「ちょ、美鈴!?と言うか今サラッと私の分も含めなかった!?」

「気にならないの?」

「気にはなるけど!」

「なら問題ない。どうしても気にするならまた今度お礼をすればいい」

 

うーむ、対極に見えるけどいい感じのコンビだよな、この二人。ここにヴィキが入ると……なぜだろう、君野さんが流され続ける未来が見える。

 

「で、そっちのおまけ二人はどうする?」

「ふむ、確かにおまけだな。だが遠慮なくいただこうか」

「私も同じく。こんな面白もとい美味しい展開を見逃すだなんてありえないだろう?」

 

この二人は安定なようでいっそ安心した。

さて、そうと決まればスーパーに向かいますか。鮭とかいい感じのがあるといいなー。

 

 

 

 ♢

 

 

 

結局、美鈴に流されて、場の流れに持って行かれてしまった……

 

「み、美鈴。今からでも、」

「もう食材買ってきちゃってるし、調理も始まってる。むしろ迷惑」

「あぅ‥‥‥」

 

確かに、ここまで来てしまったらもう帰る選択肢は迷惑だよね……うー、なんでもっと早い段階で言い出せなかったんだろう……

 

「まーまー、アーちゃん。アイツはアイツなりに企みがあって誘ってるんだから、気にしなくていいんだよ」

「企み……ですか?」

「ま、だろうな。おおよそ、ヴィクトリアと話す時間を長引かせよう、と言うところなのだろう」

 

あー、そう言う……急に誘うことにはちょっと違和感あったけど、そう言うことだったんですね……

 

「因みに私は誘われた時にはもうわかってた」

「だったら言ってよ!?」

「言わない方が反応が面白いかなぁ、って」

「実際面白かったしね」

「うむ、実に面白かった」

 

あぅ‥…先輩方の前で、私はなんて反応を……

 

「しかし、うむ……何と言うか、妙に息があっているな」

「確かに。お互いに料理をしているからなのかもしれないけど、いい感じだね」

 

と、先輩二人が言うのでキッチンの方を見てみると、確か二なんだか、こう……いい感じです。ギクシャクしてない感じが。……あれですね。お料理勉強しなきゃ、って思います。

 

「さて、お二人はどう見ます?あの二人」

「ふむ……それは、そう言う話、ってことでいいのかな?」

「個人的にはそのつもりです」

「なるほど、では俺も参加させてもらおう」

「…………ほへ?」

 

と、そんな乙女としての決意をしていたら隣で何かが始まろうとしています。なんでしょう、何を話そうとしているのか全くわからないのに、嫌な予感しかしません。不思議ですね。

 

「さて、そうだな……俺の意見としては、出会って間もないうえに唐突に義兄妹だ。それどころじゃないのではないか、と言うところだな」

「ふむ、なるほど。考えてみればそれもそうだね」

「事実、まだ出会って四日目かそこら。時間にしてみれば三日たっていません。……でも、それにしてはなんだか家族っぽく見えます」

 

???

 

「確かに、ミリーの言うとおりだ。説明できるものではないのだが、妙に家族っぽい」

「そう考えると、何かお互いに距離感を消せるか、もしくはそれどころじゃない何か、事情なのか出来事なのかがあるのではないかな、と」

「なるほど、では美鈴は家族っぽさがあり、そして期間が短いからこそ何かある、と」

「そう推測しています」

 

んー……?なんだか話の方向性がどこかおかしいような……

 

「では最後に私の意見だが、ヴィッキーの方はともかくとして、ミーの方は何かあるのではないか、と思っている」

「ほうほう、してその心は?」

「それはさすがにミーのプライバシーだ。おいそれと話せるものではないさ。ヒーは知っていると思うがね」

「ん?……あー、あれか」

 

というか、間違いなくこれは取っても失礼な、ぶしつけなあれなのでは……

 

「なるほど、確かにあれを考えれば十二分に可能性があるな」

「だろう?というわけで、私はこの説を押させてもらおうよ」

「だから何なんですかそれ。気になるじゃないですか、葵が」

「って、私!?」

 

急に矛先がこっちに!?

 

「?だって葵ムッツリだし、今の話もキッチンの方を向きながらしっかり聞いてたんでしょう?」

「この距離で話されて聞こえないと思うの!?」

「その上であの二人を見て頭の中が『にゃんにゃん』な事態になってるんでしょう?」

「変な言葉の隠語みたいな言い方しないで!」

「あ、知ってるんだ」

 

つい墓穴を掘ってしまって、恥ずかしくて顔を伏せます。うー、嵌められた……顔が熱い……

 

「と、こんな子なので。私も気になってるのもありますし、どうかここは一つ」

「うーん、だってさヒー。どうする?」

「ふむ。正直この光景に罪悪感はあるからな。謝罪の意味も込めて言ってしまっていいのではないか?」

「なるほど道理だ。謝罪であれば仕方ないね」

 

なんででしょう、妙に言い訳臭いのは……

 

「では、言ってしまおうか」

「ほう、何を言おうとしてるんだ?」

「それはほら、ミーの……やあミー。調理の方はいいのかい?」

「なに、後は最後の一工程だけでな。ヴィキに任せて茶の準備でも、と思ってこっちに来たところだ」

 

あ、永遠先輩と弘樹先輩の後ろに、腕を組んだ幹也先輩がいます。あ、後ろから二人の頭をわしづかみにしました。

 

「さて、お前たち二人と、あと浅間さんに対して色々と言いたいことがあるんだけど、もしかして心当たりあったりする?」

「うーん、そうだね。私の思い当たる節は一つだけかな」

「偶然だな鈴、俺の中にも一つだけ思い当たる節がある」

「先輩方と同様、私も一つだけです」

「はっはっは、そうかそうか。多分それは同じ内容なんだろうな、うん」

 

自分に向けられていないので冷静に言えますけど、笑顔で怒っていると人ってここまで怖くなるんですね。初めて知りましたけど、実践できる気はしないです。美鈴なんかには怒っても『うん、あざと可愛い』とか言われてしまいますし。

 

「さて、まずタメ二人。それについて話したら次はないからな」

「「イエッサー!」」

「で、浅間さん含めた三人。このまま無罪放免だと俺の気が済まないから、ちょっと風呂掃除済ませて来い」

「「「サー、イエッサー!」」」

 

あ、三人ともリビングを出ていきました。美鈴は場所が分かるのかなとか思いましたけど……案内をしなかったということは先輩方は知ってるんでしょうし、大丈夫ですかね。

 

「はぁ、ったくあの二人は……悪いな、君野さん」

「あ、いえ!大丈夫です。美鈴もあんなでしたし……私も興味があったのは事実ですし」

「あの言い方にこの状況で興味を持たない方が無理だし、そこは気にしなくていいよ。そろそろメシできるから、これでも食って待っててくれ」

 

と、小さな器にスプーンと、これは……あ、アイスだ。

 

「うわぁ、いいんですか!?」

「もちろん。俺の手作りだから細かいところは目をつむってくれな」

「え、手作り!?アイスを?!」

 

……よし、明日からお母さんに料理教えてもらおっと。お菓子作りも。

 




決意、から何かちょっと重めの話だと思いましたか?残念、そんなわけがなかった。
余談ですが、この時点での葵の料理スキルは家庭科の授業だけ経験している、というレベルです。今後に期待。
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