拝啓、妹が出来ました   作:biwanosin

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第五話 処分

「ふぅ……おいしそうなものが多くてつい目移りしてしまいました」

「確かに、ヴィキは色んな食材に目を奪われてたなぁ」

「お恥ずかしい限りです」

 

スーパーからの帰り道、買った食材とその他必要で買った日用品を7対3くらいの分配で持ちながら帰路へついている。俺としては全部持ってしまうべきだと思ったのだが、それは全力で拒否された。うーむ、アニキって難しい。

 

「それにしても……自分で言うことでもないかもしれませんが、目立ってましたね」

「その金髪かなりきれいだし、目の色も肌の色も違うしな。日本人の中に混ざってたら目立つだろ」

「ヤー。ですがどうしようもないので、諦めます」

 

きっぱりこう言えちゃうの、かなりカッコいい。もしかすると、向こうにいたころからモテモテで注目されるのになれているのかもしれない。美少女だし。……ドイツの基準だとどうなのかはわからないからあれなんだけど。

 

「んじゃま、帰ってお昼ご飯作りますかね。朝食作ってもらっちゃったし、俺がやろうか?」

「そう、ですね……丸投げしてしまうと心苦しいので、私もやります」

「……なんだか難しいよね、その辺りの距離感って」

「ヤー。家族になるのだから遠慮しなくていいと思ってはいるのですが、実践するには、こう……まだ距離がある、と言いますか」

「戸籍的にはほぼ確定とはいえまだ他人だし、そもそも初対面からまだ一日たってないんだしなぁ……」

「不思議ですねぇ……」

 

ホント、人生って不思議なもんだなぁ……

 

 

 

 ♢

 

 

 

「よし、っと……これで全部であってる、よな?」

「ヤー。どうもありがとうございました」

「いいよ、気にしなくて。俺一人で運べないものは手伝ってもらったんだし、俺は男だし。そう言うもん、ってことで行こうぜ」

 

あの後、二人で台所に並んで仲良く(出来てたと思う)昼食なんぞ作って、予定通り送られてきたヴィキの荷物を運びこんだ。基本的には俺一人で運べたんだけど、大きすぎるものとか情けないことに重いものとかは手伝ってもらった。一応辛い方は俺がやったわけなんだけど……まあ、仕方なかったよねあれは。そうだといってよ。

 

「荷ほどき……は、さすがに手伝えないか」

「ヤー。本や小物などであれば気にしないのですが下着もありますので。恥ずかしい、ですね」

「ま、そうだよな。んじゃ、俺は基本リビングにいるから何かあったら呼んで」

「ヤー。ありがとうございました」

 

その声と共に向けられた笑顔にちょっとドキッとしつつ、俺は階段を下りる。あー、普段表情が読めないだけにああいうのはかなりクる。もし今後義兄妹になるのだとしたら俺にはかなりの覚悟が必要になるだろう。いい子だし、母さんが気に入ってるってことは俺が見抜けてないとかじゃなくてマジだ。……だからこそ、俺が変な気を起こして傷つける展開だけは全力で避けないと……

 

「……エロ本とか、全部処分しようかな」

 

お色気シーンのある漫画やラノベは……たぶん、ヴィキが読んだものの中にもあるだろうから、きっと許容してくれるはず。そう信じたい。でもあのエロ本だけは早いとこ処分しよう。見られたら俺が死ぬ。

 

「……マジの趣味のやつは、見られるわけにはいかないしな」

 

そう呟きながら押入れに向かいビニール紐を取り出す。古本屋にでも持っていきたいところなんだけど、年齢的に親の承認が必要になる。そんな立場で承認を求めて、しかもその本が年齢指定本。アウトだな。次の資源ごみの日、朝早くにそーっと起きて捨ててこよう。

 

「あー……勿体ない。勿体ないけど……仕方ないよなぁ」

 

本棚の奥に隠されている囮1、ベッドの下の収納棚を二重底にして入れてある囮2、クローゼットの奥に残っているランドセルの中の本命まで全て取り出して一番上と下に真っ白な紙を挟みながらまとめていく。紙をはさんだのはまあ、単純に丸出しにしとくのが恥ずかしかったのだ。

 

「これでよし、と……一束だけか。こうしてみると案外少ないもんだな」

 

まあ、年齢に達していないんだからそんなものかもしれない。そう考えつつ万一にも途中で崩れたりなどしないようにもう一度紐をかけて、縛ってクローゼットの奥にしまい込む。次の資源ごみの日は月曜日だ。この短期間ならなんとでもなるだろう。

 

「……なんかお菓子、作ろ」

 

妙な罪悪感が、俺の中に生まれた。ちょっと時間かかっちゃうけど、今日は一日丸っとオフでまだ昼間って言っても間違ってない時間だ。大丈夫でしょう。

 

 

 

 ♢

 

 

 

「ふぅ……疲れました」

「お疲れさん。麦茶飲む?」

「ヤー……いただきます」

 

あれからしばらくして……というか俺の予想の二倍くらいの時間がたって、ヴィキが降りてきた。うーん、男より女の方が時間がかかるってのは、こういうのにも成り立つんだろうか?そう考えながら冷蔵庫へ向かい、麦茶を二杯入れてソファへ戻る。お、ヴィキがなんかぐでー、ってなってる。面白い。

 

「はい、麦茶。どう?終わった?」

「ヤー。なんとか終わらせました。分けようかとも思ったのですが、絶対やらなくなるだろうな、と」

「あー、分かる。勢い乗った時にやらないと一気にやる気がなくなるんだよな、ああいうの」

 

なお、俺にとっては課題なんかも同じくくりだったりする。夏休みの課題なんかさ、妙な勢いに乗った時はそのままやって楽しい夏休みを送れるんだけど、その勢いを殺しちゃうと最終日に死ぬ気でやる羽目になるんだよなぁ・・・

 

「まだ体力が残っていたら散歩でもしようと思っていたのですが……これはあれですね。二日間ゆっくり休んで転校にそなえるべし、と見ました」

「ま、ヴィキの見た目なら質問攻め大会とか起こるだろうしな。休んどけ休んどけ。街の案内くらいはするからさ」

「その時はどうぞよろしくお願いします」

 

もしかするとクラスメイトが案内してくれるかもしれないから杞憂になるかもだけど、それならそれで問題はない。転校してくる都合上友人なんていないだろうから、友人が出来るのは喜ばしいことだ。綺麗すぎて近づかれない・・・なんていうフィクションの出来事が起こらないと断言できないのは、俺が小心者だからでしょうか?

 

「疲れたんならそのまま休んどけばいいぞ。味付けがざっくりしちゃうけど、晩飯作るし」

「…………少々心苦しいのですが、お願いしてもいいでしょうか?」

「ヤー、任せなさい」

 

おっと、口癖がうつってしまった。

 




うーん、こんな感じでいいのでしょうか?迷走しつつ手探りしつつ頑張ります。
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