テストが~
お~わ~ら~な~、いーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
はぁ・・・なんで理系に進んだし、自分。ハイ、文系科目が壊滅を通り越してたからですね・・・そんな気分で書いた第六話です
というわけで、俺が夕食を作ることになった。さっきの時間で(何となく謝罪の意味も含めた)超簡単なアイスを作っておいたので牛乳と一緒にそれを出してから、冷蔵庫の中を覗く。ふむ、今日買い物に行ったばかりだから食材はまだあるな。
「……カレーでいいか」
お手軽であり、残っても美味しくなったものを食べることができ、二日連続カレーが嫌ならうどんでもぶち込んで変えてみればいい。とっても便利、カレー。けどこれからはレパートリー増やそう。
そう思いながら冷蔵庫の中からお肉、たまねぎ、にんじん、市販のルー二種類を取り出す。これまでの母さんと俺が食べるだけならこれでフツーに作っておしまいなのだが、それはそれであれなのでりんごとはちみつも。ルー二種類については別々の会社の辛口と甘口がおすすめです。
「これでまあ、比較的マシに作れはするよな」
そんなことを考えながら材料をザックリ切って、ふと思い出したジャガイモも切る。大きめにザックリ切ったものとそこそこ細かくしたもの。で、炒める。なお、面倒なので玉ねぎから炒めてあめ色に、とかはやりません。めんどくさいもの。
野菜に大体火が通ったら肉とりんごも投入して炒める。
とかまあこんな手順を延々と語っていても面白味がないので割愛して、と。ひとまずカレーは完成した。お手軽な強い味方、カレー。さすがである。
「ふぅ……まあ、これでいいか」
と思いつつも野菜を手でちぎるだけの簡単なサラダを準備して、それでおしまい。いやはやまったく、美味しくできてはいると思うけど恥ずかしい限りだ。これで今後手を抜こうと思ったらしばらくの間カレーは作れない。最悪鍋だな、クソ暑い中。
そう考えながら使った調理器具を洗い終え、最後に手を洗ってエプロンで拭う。さて、これを洗濯機に放り込むついでに風呂も洗っちゃっとこうか……
「あ、お夕飯、作り終わったんですね。やっぱり手伝おうかとも思っていたんですが」
「あー、うん。つってもカレーなんだけど」
「ナイン、いいと思いますよ。量を作っておけば何日も楽をできます」
同じ文化があるようでうれしい限りだ。
「あ、お風呂あらっておきました。お湯はどうしましょう?」
「んー、食事の先に入りたいか後に入りたいか次第、かなぁ。因みに俺はどっちでもいい派」
「では、私は先に入りたい派なのでもうしばらくしたら。それからご飯でよろしいでしょうか?」
「それではそうしましょう」
言いながらソファに並んで座りテレビを付ける。これといった番組がやってるわけじゃないんだけど、何となく、というやつだ。
「あ、そう言えば風呂はどっちから入ろうか?」
「と、言いますと?」
「俺が入った後の湯に入るのが嫌か、ヴィキが入った後のお湯に入られるのが嫌か」
「さすがにそこは気にしませんので、そうですね……じゃんけんでも」
「それではお手を拝借。……じゃーんけーん、ぽん」
なお、俺が勝った。
♢
二人そろって風呂から上がり、夕食の時間。ご飯をよそってから溶けるタイプのチーズをご飯に乗せて、熱々のルーをかけて一人で食べる。それが普通だったのに今は目の前にもう一人いると考えると、ちょっと不思議な気分だ。
「どうしたんですか、兄さん?不思議な顔をしていますが」
「不思議な顔……?」
不思議な顔、って言う表現がもはや不思議である。どんな表情なのか、俺もみてみたい。って、そうじゃねえな。
「や、ちょっと考え事をな」
「考え事?」
「ああ。なんだか、こうしてカレーを二人で食べてるって不思議だなー、と」
「美千留さんと一緒に夕ご飯を食べることはなかったのですか?」
「あー……」
ちょっと恥ずかしい。けど、うーん……隠しっぱなしにできることではなさそうだよな、これ。
「今から、結構恥ずかしいことを言います。心して聞くように」
「はい、お兄様」
まさかの反撃にこっちがびっくりだよ。
「手を抜ける料理は、よっぽど時間がないとか疲れたときでもない限り、母さんと一緒に食える時は作ってないんだよ」
「……私も、結構恥ずかしいことを言います。心して聞いてください」
「ヤー、ヴィクトリア」
あ、ちっとも動揺してねえや。ちくせう。
「私も、パパと一緒にご飯を食べられるときは手をかけたものにしていました」
「……で、たまーに外食に行くってなるとうれしいんだけどちょっとモヤっとたり?」
「それでもやっぱりうれしくて、とても複雑になります」
一瞬の間を置いて、そろって小さく笑う。片親で、その親が同じ仕事についてるからだろうか。似たような境遇で、似た感情を抱くとか、似た行動を取るとか、もう笑えて来て仕方ない。
「いやー、うん。まさかここまで同じだとは思ってなかった。面白いこともあるんだな」
「ヤー。びっくりです」
「あ、そうだ。じゃあ今後四人そろって夕食食える時は二人で豪華なもん作ってやろうぜ」
「ヤー、ヤー!それはいいです。とっても!」
これまでに見た中で一番大きな笑顔。やー、うん。本当に楽しみになってきた。
「その時は何を作りましょうか?」
「んー、そうだな……どうせなら日本料理とドイツ料理両方作ってテーブル埋め尽くしてなお余るくらい出してみるとか?」
「その状態で出迎えられたらいいサプライズになりますね。あ、いっそオリジナルで日本料理×ドイツ料理とかも」
「それやるには俺の料理スキル低そうだけどなぁ」
「考えるのは難しそうですが、決めることさえできてしまえば何とかなる気がします。難しかったとしても二人がかりですし、時間をかけられますから」
「なるほど、確かに時間はかけられるな。それならワンチャン……」
話して、想像しているだけで面白い。実現できる保証は全くないのに、そもそもまだ向うの父親とは会ってすらいないのに、楽しくなってきてしまった。
「ただいま~。あー、疲れたー」
「あ、お帰り母さん。ひとまず手洗って来たら?」
「んー、そうす……おや?」
うん?どうかしたのか?
「ねえねえお二人とも、何かいいことでもあった?」
「いいこと?」
「ですか?」
んー、まあ、あったにはあったんだけど……
「お、みっくんのその顔は何かあったな。ほらほら、お母さんに話してみ?妹が出来てなにかあったな?」
「あったけど、母さんには言えない」
「ヒドッ!?」
なんかショック受けてるけど、言えないんだから仕方ないじゃないか。
「ヴィーちゃーん、みっくんがひどいー。何があったのか知りたーい」
いい大人が泣きつくんじゃないよ、まったく。
「ナイン、これは言えません」
「ヴィーちゃんも、だなんて!?ああ、これが巣立ちか……」
「大げさなんだよ……」
ヨヨヨヨヨ、とか口で言いながら崩れ落ちる母さん。おかしいな、この人今何歳だったっけ?
「……でも、子供同士は仲良くやれてるみたいで、お母さん安心」
「ヤー。まだ絶対とは言えませんが、大丈夫だと思います」
「俺も問題ないと思うよ。まだたった二日で何言ってんだ、と思うかもだけど」
「だいじょーぶだいじょーぶ!本当にどうしようもない子は初日でダメだって言うもの!」
どこ調べ何だろうか、それは。
「って、カレー!?みっくんのカレー!?」
と、今更俺達が食べているものに視線が言ったらしい。
「カレー、好きなんですか?」
「カレーが好きなんじゃないの。みっくんのカレーが好きなの!なににみっくん、『こんな手抜きをそう頻繁に作れるか』とか言うし……」
ヨヨヨヨヨ、二回目。だがしかし、今回はヴィキも反応しない。
「というわけでみっくん!カレー大盛、いつも通りに!」
「先に風呂入らなくていいのか?たらふく食ってから風呂入ると体に悪いぞ?」
「ぐっ、それは確かに……しかしみっくんのカレー……」
「カレーは逃げないから。母さんが駄々こねるのは分かってるからかなり多めに作ってあるし、行ってらっしゃい」
そう言ってもまだ悩み、悩んで、もう一声悩んでから母さんは『行水じゃー!私は烏になる!』とかふざけたことを抜かして風呂へ向かっていった。
「ちゃんとあったまってこないとカレーはやらん!」
『うわーん!みっくんが横暴だー!』
「誰が横暴か!」
と、大声で会話をしていて気づかなかったが、ヴィキが笑うのをこらえきれなくなっているようで肩を震わせている。
「どうした、ヴィキ?堪えないでいいのに」
「ナ、ナイン……さすがに、恥ずかしく、て……」
そう言いながらも、もうかなり限界。ダムが決壊しそうなんだけども……
『みっくん!十分でいいですか!?』
「せめて二十分くらい湯船につかっとけ!」
『それ普通に長くない!?』
「三十分といわないだけありがたいと思え!」
「……ブッ」
あ、決壊した。
拝啓、天国の父さんへ。
なんだかちょっと、食事が楽しみになりました。