『yasu0573』様お気に入りありがとうございます。また前回評価とお気に入りを入れてくださった『レミレイ』様、お気に入りと感想をくださった『万年デルタ』様。そして感想(催促)をくださった『りょうかみ型護衛艦』様、そしていつも読んで下さっている皆さま。御礼申し上げます。
「……なんとか間に合ったな」
死屍累々となった課員を見ながら山崎は見ながら呟く。
あれから、なんとか通常の始業時間までぶっ続けで紙爆弾の処理をしそして追加の雑務等等を終わらせ、遂に閣議の時間を彼らは迎えた。
取り敢えずはそこから先は政治家達の裁量である。山崎は一時の休憩を楽しむ事にし、目を瞑りすぐに彼は微睡んで行った。
彼らが目覚めたのは午後7時。ボードには「事務次官会議不通過」の文字があった。山崎は朦朧とした頭でなんとかその言葉を解釈する。
「そうだ、今日打ち上げしてやるか」
山崎がそれを呟くや否や課員全員がガバッと起き上がり、「はい!お願いします!」と見事にハモる。
「くっ、はははは!なんだよ、起きてたのかよ!じゃあ行くか!」
それぞれが残務整理を済ませて、帰宅の用意を始める。久し振りの定時上がりであった。
例え、深海棲艦に制海権が奪われている、シーレーンがめちゃくちゃになろうとも、民間企業の奮闘、数々の政策、自衛隊海保の尽力、官僚の踏ん張りにより嘗ての配給統制までとは行かないレベルで日本経済は保たれていた。逆にちょっとの楽しみすら確保出来るレベルであった。
山崎行きつけの店の座敷で彼らは打ち上げを始める。
「今回はよく、頑張ってくれたな!まだまだ先の見えない戦いは続くが取り敢えずはお疲れ様と言ったところだ。よし……乾杯!」
「乾杯!」
普通の光景ではジョッキ一杯のビールを打ち付けているところだが彼らは透明な日本酒を掲げて打ち付けあっていた。そして手元のメニュー表に踊っている価格は普段じゃ考えられないような3、4倍の価格であった。
「全く嫌な時代になったもんだな!」
「そうすっね、物価高騰、物流の縮小等々……」
一気に呷った守田が言う。高松も頷きながらそれに重ねる。
「そうだな。けどな、俺たちがそれを変えていかなきゃいけないんだ」
ツマミの定番野菜ステックを口に放り込みながら言う。因みに味付けは塩である。
「まだ、食料自給率は低いままだ。それに海外からの輸送船団の成功率もまだまだ低い。何もしなかったら先細りして行っちまう」
既に顔が赤い山崎若干大きなモーションを付けながら言う。
「けど、俺たちが英雄になる必要はない!」
「まぁた始まりましたか?課長さんの国防論?」
「あぁ、よく考えてみたら新人には言ってなかったですからね。よく聞いとけよ?」
ビシッと山崎は高松に指をさして言う。
「あ、はい」
よく流れがわかってない高松は取り敢えず頷く。
「聞き流しても問題ないからな」
ボソッと守田が耳打ちする。
「聞こえてるぞーゴリマッチョ守田!」
「本当に課長さんは他省の出向者にもフランクですな!」
「当たり前だ、うちの課にいる奴は仲間だ! 言うならば戦友だからな」
快活に言い放ってから再び山崎は喋り始める。
「官僚って言うのはな裏から国を支えるべきだ。そして、政治家のためでなく、国のために奉仕するそんな人種だ」
彼は既に二杯目の酒を呷って、顔を朱に染めていた。
「そして、さらに言うならば官僚は国民の為じゃない、国と言う組織の為に動くべきだと言うのが俺の持論だ。国民や政治家は国民の為に動くが俺たちはその原理は通用しないのさ」
「はぁ」
「ま、イマイチわからないと思うが、な。そのうちわかる日が来るだろう……さてと、話は変わって資運室の事だ。歴史をざっと言ってみろ」
急に降られた事に動揺しつつ高松は一度頭で資運室の史実を並べてから口を開く。
「まず、資運室構想は深海棲艦との争いが始まってから2年目。シーレーンの破壊により段々と資源不足に陥ることがあり、一時期設置が検討されましたが政権交代があり有耶無耶に……」
「そうだ、続けろ」
「えっと、3年前『厄災』の影響で政権交代。また現在の与党が政権を取り戻し、資運室の案が再浮上そして約2年前に資運室が設置されました」
「そうだ、大体はそんな流れだ。資運室が経産省に設置された理由を説明してみろ」
もっぱらツマミを摘むだけになった山崎は質問を投げかける。
「……経産省、防衛省、国交省、内閣官房。後は財務省でしたけ……? あぁ総務省ですね。候補や表明がありました。当初の職務は日本中の資源状況の事態の把握、情報提供そして各省庁間の資源に関する利害調整で、エネルギー庁のアピール等々があり経産省の一部局として設置されたとだけは知っています」
山崎は頷きつつ口を開く。
「完璧な答えと言ったところだな。そんな感じでここは作られ、仕事は増えて今に至ると言うわけだ」
一旦、言葉を切り三杯目の日本酒を飲む。
「課長さんよ、そろそろデッドラインですぞ?」
それを見ていた守田はからかう様な声音で言う。
「あぁ、わかってる。新人、質問あるか?」
「あっ、はい。何故、資運室は『室」と呼称するんですか?」
「そうだな。官公庁では『室』は『課』より小さいセクションのはずだが、今の資運室は四つもの部をも内包している。『室』なままの主な理由は他省庁の出向者が多い事やあくまで『室』とすることで強い力を持たせない表明とか言う微妙なバランスゲームの所為だ」
「はぁ……」
イマイチ高松は要領を得ない風に相槌を打つ。
「まっ、ウチはとっても危ういバランスの中で存在しているという事が総括できるな!」
山崎がそう纏めると課員から「それを更に危うくしてんのは誰なんだか」とかいったヤジが飛んでくる。
「うるせー!俺はただ筋を通してるだけだ!」
その勢いで焼酎を呷る。
「ま、頑張っていこうな、新人」
「なんですか、また改まって?」
「Quuuuu」
いきなり山崎は変な声を上げて倒れる。
「ちょっ!ちょつ!課長?!」
「あ、これ度数高い焼酎だったな」
「えっ?えっ?」
高松はひたすらアタフタしていたが対照的に他の課員は全くオドオドせず冷静に山崎を看護していく。
「あーそこのバック?課長の?よしそれ枕にしろ」
「誰かおしぼりもらってきてー?」
「私はお冷取ってきますね」
「チッ、またいつものかよ」
「はいよっと、どいたどいたっと」
すぐ様に山崎は座敷の隅に移動され寝かされていた。
「よっしゃあ、課長倒れたが」
「予定調和」
「呑もう。再び乾杯!」
目の前の事象に置いてけぼりになってフリーズしていた高松は守田に手招きされ二つ目の酒席へと入っていった。
何となく高松は上司の新たな面を見た気がした。
因みにだが山崎はお開きになるまで転がされていたのは言うまでもない。
様々な方に励まされつつ、シン・ゴジラのビッグウェーブに乗る為に更新出来ました。(作者はまだ!まだ見れてないのです)
因みにですが課員全員分のエピソードが作者の頭の中にあるのですよ?頃合いを見ながら登場人物を増やしていきたいと思っております。
さて次回は少し趣向を変えた内容を考えおります。作者自身初めての試みでもしかしたら今の読者層半分ぶっ飛ぶのでは?と思ったり今からハラハラしております。その為、若干次回の更新が遅れるかもしれませんが次回もよろしくお願いします。