隼の決闘   作:ごくでヴぁる

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前回のデュエルの続きとなっています!
決着はどうなるのか……


第二話『超銀河の新生』

 カイト 手札:1枚

     LP:4000

場: 《銀河眼の光子竜》 《フォトン・スラッシャー》

        伏せ2枚

 

  隼  手札:2枚

     LP:4000

場:《フォース・ストリクス》ORU:なし 《ライズ・ファルコン》ORU:3

伏せ2枚

 

 

 「いくぞカイト!俺は《ライズ・ファルコン》の効果発動!」

 

 隼の宣言と同時に、《ライズ・ファルコン》の周りを浮いていた紫色の玉が割れ、紫色の光が《銀河眼の光子竜》を包み込む。

 

 「《ライズ・ファルコン》は、オーバーレイユニットを一つ使い。相手の場の特殊召喚されたモンスター一体の攻撃力分、攻撃力をアップさせる!」

 

 「《銀河眼の光子竜》の攻撃力は3500……」

 

 「そう、つまり《ライズ・ファルコン》の攻撃力は3500アップする!」

 

 《銀河眼の光子竜》を包み込んでいた光が、《ライズ・ファルコン》へ向かう。

 その光を受け、《ライズ・ファルコン》の体は炎に包まれる。

 

 《ライズ・ファルコン》

 ATK:3600

 

 「……さらに、《ライズ・ファルコン》は特殊召喚されたモンスターに一度ずつ攻撃できる」

 

 「なに?」

 

 今のカイトの場にいるのは、特殊召喚されたモンスターのみ。

 《ライズ・ファルコン》はすべてのモンスターに攻撃できる。

 

 「(だが《銀河眼の光子竜》の効果を使えば、《ライズ・ファルコン》を除外できる)」

 

 その効果を使えば、《ライズ・ファルコン》の攻撃をかわすことができる。

 しかし、それは隼もよくわかっている。

 

 「……リバースカードオープン!」

 

 隼は、カイトを倒すために一枚の伏せカードを発動する。

 

 「《フォース・ストリクス》をリリースして、トラップカード《ナイトメア・デーモンズ》発動!」

 

 すると、カイトの場に黒い影への姿をしたモンスターが三体出現する。

 

 《ナイトメア・デーモン・トークン》×3

 ATK:2000

 

 「俺の場にモンスターを……なるほど、《ライズ・ファルコン》の攻撃対象を増やすためか」

 

 「そうだ、そしてその《ナイトメア・デーモン・トークン》は破壊されたときプレイヤーに800のダメージを与える、特殊召喚されたモンスターである以上《ライズ・ファルコン》で殲滅できる」

 

 今の《ライズ・ファルコン》の攻撃力は3600。

 《ナイトメア・デーモン・トークン》三体と《フォトン・スラッシャー》を攻撃すれば、効果ダメージも含め8700のダメージ

 カイトに勝つことができる。

 

 「いくぞ、バトルだ!やれ!《ライズ・ファルコン》!」

 

 炎に包まれたからだで宙を舞う。

 そして、敵を自らの鍵爪で切り裂くため空中から敵へと突進する。

 

 「ブレイブクロー・レヴォリューション!」

 

 まず、《ナイトメア・デーモン・トークン》に攻撃が向かう。

 ……その攻撃が来ると同時に、カイトは自らの手札に手をかける。

 

 「俺は手札の《クリフォトン》の効果発動!」

 

 「ッなに!?」

 

 それと同時に、カイトの周りに透明な壁が現れる。

 《ナイトメア・デーモン・トークン》は破壊されるが、カイトにダメージはない。

 

 「このカードは、手札から墓地に送りLPを2000支払って発動する。このターン、俺が受けるすべてのダメージは0となる」

 

 カイト LP:4000→2000

 

 たった一枚のカードによって、隼はこのターンカイトを倒すことができなくなってしまった。

 

 「……だが、バトルフェイズはまだ続いている!トラップ発動!《ブレイク・スルー・スキル》!こいつで、《銀河眼の光子竜》の効果を無効にする!」

 

 もう一枚の伏せカードによって、《銀河眼の光子竜》の効果が無効にされる。

 これによって、《銀河眼の光子竜》の効果で逃げることはできない。

 

 「やれ!《ライズ・ファルコン》!すべての敵を破壊しろ!ブレイブクロー・レヴォリューション!」

 

 《ライズ・ファルコン》の鍵爪がカイトのモンスターを襲う。

 《ナイトメア・デーモン・トークン》は、その鍵爪に引き裂かれ消滅する。

 《フォトン・スラッシャー》は攻撃を剣で防ごうとするが、そのまま破壊されてしまう。

 そして、《銀河眼の光子竜》……

 

 「トラップ発動!《光子化》!モンスター一体の攻撃を無効にする!」

 

 攻撃が届く前に、光が《ライズ・ファルコン》をさえぎる。

 

 「なに!」

 

 「さらに、攻撃してきたモンスターの攻撃力分。《銀河眼の光子竜》の攻撃力を次の俺のエンドフェイズまでアップさせる」

 

 《銀河眼の光子竜》

 ATK:3500→7100

 

 「ッ……攻撃力7100……俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

 

  カイト 手札:0枚

     LP:2000

場: 《銀河眼の光子竜》

        伏せ1枚

 

 隼 手札:1枚

    LP:4000

場:《ライズ・ファルコン》ORU:3

伏せ1枚

 

 

 「(……強い。俺の攻撃をすべて防いだ)」

 

 カードアドバンテージを取らせないように、《フォース・ストリクス》を無力化させ、《RR-ネスト》を除去する戦術。

 次のターンの攻撃も、防ぎきり返しのターンで逆転する手立ても用意してある。

 カードパワーの差はあるだろうが、それをプレイングで補い敵を倒す。

 それが、天城カイトのデュエルスタイルなのだろう。

 

 「(でも、だからこそ勝ちたい。ここまで楽しいデュエルは久々だ)」

 

 まだ勝敗は決まっていない、隼は前を見据えてデュエルを続ける。

 

 「(俺の伏せカードは、《エクシーズ・リボーン》。たとえ《銀河眼の光子竜》

で《ライズ・ファルコン》が破壊されても、墓地から守備表示で蘇生する事で次のターンにつなげられる)」

 

 少なくとも、次のターンで負けることはない。

 隼はそう思っていた。

 

 「(俺の伏せカードは、《フォトン・サンチュクアリ》。これだけでは意味がない。……)」

 

 カイトは感じていた。

 目の前のデュエリスト、隼は強い。

 そして、その中にはデュエルを楽しむ気持ちもある。

 少なくとも、敵にはならない。

 そう感じていた。

 これ以上は続ける理由はないのかもしれない。

 だが、一度はじめたデュエルをデュエリストとしてカイトは止める気はない。

 ゆえに……このターンで決着をつける。

 

 「俺のターン、ドロー!」

 

 デッキから力をこめてカードを引く。

 伏せカードがある以上、決めきるには一撃でライフを削りきる必要がある。

 そのためのカードを……カイトは引いた。

 

 「リバースカード発動!《フォトン・サンチュクアリ》!この効果で、《フォトントークン》を二体特殊召喚!」

 「そして俺はこの二体をリリース!来い、《フォトン・カイザー》!」

 

 自分の場にいる、厄介なトークンをリリースすることによって除去をする。

 そして召喚されたモンスターは、LV8のモンスター。

 

 「《フォトン・カイザー》の効果発動!このカードが召喚に成功したとき、デッキから同名カードを特殊召喚!」

 

 デッキからまったく同じモンスターが現れる。

 そのモンスターも当然

 

 「LV8のモンスターが三体……まさか!」

 

 「先ほどの攻撃は見事だった。今度はこちらの番だ、いくぞ隼!」

 

 その言葉と同時に、カイトの体を赤いオーラーが包み込む。

 それは、カイトの切り札が召喚される合図だった。

 

 「俺は、LV8の《銀河眼の光子竜》と二体の《フォトン・カイザー》でオーバーレイネットワークを構築!」

 

 光子の名を持つ竜が、光の竜となりそれを追うように二つの光が金色の渦の中に吸い込まれる。

 そして、カイトの手元に槍の形を持つ物が現れる。

 それをカイトは片手で握る。

 その槍を構えると、カイトは宙にあいた穴に向かってそれを投げる。

 

 「逆巻く銀河よ、今こそ、怒涛の光となりて姿を現すがいい!」

 

 槍が穴に吸い込まれると、膨大な光の爆発を起こす。

 そして、その光の中から赤い光を纏う三つ首の光子龍が具現化する。

 

 「降臨せよ、我が魂!《超銀河眼の光子龍》!」

 

 主に答えるかのように、雄たけびを上げその龍はフィールドに舞い降りた。

 

 《超銀河眼の光子龍》

 ATK:4500 ORU:3

 

 「……《超銀河眼の光子龍》」

 

 カイトのエースモンスターが持つ迫力、それに隼は圧倒されていた。

 

 「《超銀河眼の光子龍》の効果発動!《銀河眼の光子竜》を素材にエクシーズ召喚に成功したとき、このカード以外の表側表示のカードの効果を無効にする」

 「フォトン・ハウリング!」

 

 《超銀河眼の光子龍》の咆哮が、《ライズ・ファルコン》を無力化される。

 《ライズ・ファルコン》は、堕ちまいと飛んでいるがまとっていた炎が吹き飛ばされる。

 

 《ライズ・ファルコン》

 ATK:3600→100 ORU:2

 

 「ッ……効果が無効になったことで、《ライズ・ファルコン》の攻撃力は元に戻る」

 

 効果は無効になり、攻撃力が下がった。

 ……だが、カイトの猛攻はまだ続く。

 

 「《超銀河眼の光子龍》の効果発動!オーバーレイユニットをひとつ使い、相手フィールド上のオーバーレイユニットをすべて取り除く!」

 

 《超銀河眼の光子龍》は、自身の周りに浮いていた光の球体を噛み砕くと同時に《ライズ・ファルコン》の周りに浮いていた、紫色の球体が《超銀河眼の光子龍》に引き寄せられるかのように向かう。

 そして、《超銀河眼の光子龍》はその紫色の球体二つを二つつの首で噛み砕いた。

 

 「この効果で取り除いたオーバーレイユニットひとつにつき、攻撃力が500アップ。二つ取り除いたため攻撃力は1000ポイントアップ!」

 

 《超銀河眼の光子龍》

 ATK:4500→5500

 

 「攻撃力……5500!」

 

 「さらに!《超銀河眼の光子龍》はこの効果で取り除いたオーバーレイユニットの数だけ攻撃できる!」

 

 「なんだと!?」

 

 つまり、《超銀河眼の光子龍》はこのターン2回攻撃を行える。

 隼の今のライフでは、到底耐え切れる数値ではない。

 

 「……負け、か」

 

 悔しい気持ちはある。

 デュエルは勝つことで楽しむこともあるからだ。

 しかし、今はそれ以上に楽しいという気持ちもあった。

 

 「次は負けないからな!」

 

 笑みを浮かべ、隼はカイトに言う。

 その言葉を聞くと、カイトは頬を緩ませる。

 

 「そう簡単に負ける気はないがな。……いけ!《超銀河眼の光子龍》、《ライズ・ファルコン》に攻撃!アルティメットフォトン、ストリーム!!」

 

 三つの首の口から赤い光が集まっていく、そしてそれは赤い光線となり射出される。

 ……だが、せめてもの抵抗はさせてもらおう。

 

 「迎え撃て!《ライズ・ファルコン》!ブレイブクロー・レヴォリューション!!」

 

 再び体に炎をまとうと、《ライズ・ファルコン》は赤き光線に突進する。

 どのような力にも屈しない、そんな強さを見せる攻撃。

 しかしそれは、赤き光線に貫かれ大きく爆発を起こす。

 

 「ぐあああああああああ!!」

 

 隼 LP:4000→-1900

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 攻撃の勢いによって、隼は吹き飛ばされ地面に倒れる。

 それと同時にライフがつきフィールドのARビジョンが解除される。

 

 「……負けた、か」

 

 そうつぶやいた後、隼は残った手札を見る。

 《タンホイザーゲート》

 そしてオーバーレイユニットとして、墓地に送られた《ファジー・レイニアス》の効果でサーチができる。

 次のターンがあったなら、引き次第ではあるが勝つことも可能だっただろう。

 だが、結果はカイトの勝ちであった以上負け惜しみにしかならない。

 

 「……立てるか?」

 

 隼が顔を上げると、目の前には手を差し出すカイトがいた。

 少しの間をおき、隼はカイトの手を借り立ち上がる。

 

 「ああ、大丈夫だ。後、楽しいデュエルだった!」

 

 そういって、カイトに笑みを向ける。

 カイトも少し笑みを浮かべた。

 

 「ああ、俺も楽しかった」

 

 そういった後、カイトは真剣な表情を浮かべる。

 ……元々のデュエルを始めた目的、その結果を伝えるために。

 

 「お前は、俺が見たことのないカードを使っていた。別の世界から来た、というのもあっているのだろう」

 

 カイトは少なくとも、今のカードプールについては知り尽くしている。

 そのカイトでも見たことないカードとなると、きわめて特殊なカードになってくる。

 それこそ、『No.』や新たに『生み出されたカード』になるだろう。

 

 「それに、ARビジョンに対して慣れていない反応をしていた。お前のデュエリストとしての腕を踏まえれば、おかしいといえるほどにな」

 

 このハートランドでは、ARビジョンによるデュエルが普及している。

 少なくとも、デュエルの腕が高いものでARビジョン内でのデュエルをしたことないというのは少ないだろう。

 そして、隼のプレイングは扱いにくいとされる《ナイトメア・デーモンズ》などを有効的に使っている時点で高いと取れる。

 

 「ゆえに、俺はお前の言うことを信用しよう。……それに」

 

 「それに?」

 

 「……いや、なんでもない」

 

 デュエルをしている間、楽しそうにしていたお前が悪いことなどできないだろう。

 そんな言葉にする必要のないことを言おうとしていた。

 

 「……とりあえず、今日は休んでおけ。もう子供は寝る時間だからな。部屋を一室貸し出そう」

 

 そう言うと、カイトは隼を客室へ案内するために歩き出す。

 

 「あ、ああ。わかった、ありがとう!」

 

 隼も、疲れているのは確かであるためその好意に甘えることにした。

 休めると思ったため、疲れが一気にきた気がした。

 

 「(今日は大変だったし……早く休もう)」

 

 疲れがあったためか、隼は気づかなかった。

 

 「……No.を持っていても、影響を受けていない……か」

 

 そう言った、カイトのつぶやきに。




というわけで、隼は負けてしまいました。
はっきり言うと、相手が悪かったですね。
……隼もわりと殺意の高い戦術を取っていたのですが。
ちなみに、次のターンが回っていたら……あれが出ていましたね。
なので、1ターンの差が勝負を分けたのは事実です

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