デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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これが超次元サッカーです! (後編)

これが超次元サッカーです!

 

Side空

 

ポジションとメンバーの変更をしてから後半戦に臨む。

相手も俺達と同じようにメンバーの変更をしてきた。

 

 

 

チーム・リアス

 

FW ヴァーリ ()

 

MF アリシア リアス ティアナ 明日奈 フェイト

 

DF はやて あかり リコリス

 

GK 雄人

 

 

 

チーム・アリサ

 

FW アリサ フラン 美雷

 

MF 夜空 星奈 愛衣 すずか ユーノ

 

DF なのは ユーリ 

 

GK 朱乃

 

 

 

「フラン、サッカー出来るの?」

 

「蹴ればいいだけでしょ? 楽勝よ!」

 

コートに立ったフランが俺の問い掛けに自信満々に答える。

元々幻想郷という魔境から来たせいか、普通のサッカーをしたところで彼女が満足しそうにないだろう。逆にこれくらいぶっ飛んだことの方が合ってるのかもしれない。

 

うーん、けど、やっぱり心配だな……。

 

今はお昼前でお日様が出ている時間帯だ。それなのにフランが平気そうにしているのは、聖杯を使ってフランの吸血鬼の体質を変えたからだ。

これによって朝が平気になったし、太陽の光を浴びても問題ないようにはしている。

それでも今日知ったばかりのサッカーをやるというのは心配だ。

 

「ご主人様、頑張ってくださーい!」

 

タマモはフランとは違い、今回は見送るようだ。

ベンチから(俺限定で)応援してくれるのは嬉しいが、敵味方関係なく皆の視線が鋭く突き刺さる。

 

……味方からパスという名の攻撃とか来ないよね?

 

「それじゃあ、後半戦スタート!」

 

内心ヒヤヒヤしながら後半は俺達からのボールで試合スタート。

リアスに視線を送ると察してくれたようで頷き返された。

 

「ヴァーリ」

 

「ああ、見せてやろう」

 

ヴァーリと拳を軽く合わせてからボールを蹴りだした。

後ろに下げることはせずに二人で攻めていく。

 

「『分身ディフェンス』!」

 

フォワード三人を抜き去ってすぐに夜空が分身してボールを奪おうとしてくるが、ボールを高く蹴り上げてやり過ごす。

 

「(ミスか? ……いや、違う! これは……)パスか!」

 

「正解」

 

誰よりも真っ先に反応したのはヴァーリだった。

夜空がワンテンポ遅れて跳ぶが、すでにヴァーリは空中でボールを受け止め、着地。相手の陣地へと突き進む。

 

「『スノー―――」

 

「空!」

 

「―――エンジェル』! 躱された!?」

 

すずかの必殺技を察知したヴァーリが踵でバックパスを俺に出す。

ヴァーリはパスを出すと同時に駆け出した。おかげですずかの必殺技は失敗に終わった。

ボールを持って攻め上がると愛衣、なのは、ユーノの三人がかりで阻んでくる。

愛衣をフェイントで、なのはとユーノをまとめてヴァーリとのワンツーで抜いた。

 

「ヴァーリ、頼んだ!」

 

「任せろ!」

 

必殺技を持たない俺では朱乃の必殺技を破って点を奪えそうにない。

ハーフタイム中にヴァーリは必殺技を持っていると聞いたので彼にボールを託した。

ヴァーリがボールを蹴り上げて自分も同じ高さまで跳び上がる。

空中で脚を振るうと白銀の龍がボールを中心にとぐろを巻いていく。

そこに勢いをつけたヴァーリがライダーキックの要領でボールを踏みつけた。

 

「『ドラゴンブラスター』!」

 

白銀の光線と共にボールがゴールへと一直線。

シアのシュートも凄いものだったが、ヴァーリはそれ以上だった。

 

これなら……!

 

朱乃から点を奪えると期待を込めてボールを見送る。

俺の目を向けた先には―――ユーリがいた。

 

受け止める気か?

 

キーパーでないユーリに止められる術があるのか考えにくい。

そう考えた矢先、黒い影が彼女の背中から溢れ出た。

 

「来なさい―――『暗黒神ダークエクソダス』」

 

やがてそれは人の形となった。

黒い大剣を持ち、黒い髪にところどころ赤と白が入り混じった黒い肌の巨人だ。

あれはなんだ?と誰かに問いかける間もなく、暗黒神ダークエクソダスと呼ばれた巨人とユーリが動いた。

 

「『魔王の斧』」

 

ヴァーリの必殺技にタイミングを合わせて、暗黒神ダークエクソダスが右手に持っていた大剣―――ではなく斧―――を振り下ろしたのと同時に、ユーリは高く跳び上がって踵落としをボールに叩き込んだ。

ユーリの必殺技によって白銀の光を呑み込み、闇を纏ったボールが俺達のゴールに向きを変えた。

ユーリはヴァーリの必殺シュートを必殺技で蹴り返したのだ。

予想だにしない防ぎ方に頭の処理が追い付かなかくなる。

 

……サッカーはキーパーやスローイン以外だと基本的に触るのは脚。必殺技のインパクトが強すぎて忘れかけてたけど、シュートを蹴り返すのもよく考えてみれば普通か。

 

「すずか!」

 

「アリサちゃん!」

 

俺が呆けている間にユーリが蹴り返したボールは俺の横を通過し、ハーフライン辺りにあった。

そこに待ち構えていたアリサとすずかが互いに名前を呼び合ってボールに接近する。

アリサは右足に炎を、すずかは左足に吹雪を纏わせながらシュートを打つモーションに入った。

 

『『ファイアブリザード』ッ!!』

 

後ろからやって来たボールに合わせてダイレクトで二人がツインシュートを放った。

闇を纏ったボールに炎と吹雪がその周りに纏わりついた。

ユーリの必殺技にそのまま二人の必殺技のパワーが加わったことでより強力なシュートとなったのだ。

 

「『ゴッドハンド』ッ!」

 

雄人が巨大な手を前に突き出して止めようとする。

しかし、三人のパワーが込められたシュートの前には巨大な手は呆気なく砕け散ったのだった。

 

0-1

 

「雄人、大丈夫!?」

 

点を決めて喜ぶ相手チームを余所に、俺達はシュートの衝撃で吹き飛ばされた雄人の下に駆けつけた。

完全に相手チームにしてやられた。

 

「あ、ああ、なんとかな。それよりも、皆ごめん……。止められなかった」

 

「落ち込んでる暇なんかないわ」

 

「そうそう! でも向こうもやるね。まさかシュートブロックで跳ね返して、そこにシュートチェインまでしてくるなんて」

 

「まだ逆転は出来るチャンスはいくらでもあるからね。頑張ろう!」

 

「そうやで! 空君とヴァーリ君のゴールデンコンビに任せとけば勝利確定なんやからドーンと構えとけばええねん!」

 

悔しそうに呟く雄人を皆が励ます。

 

ヴァーリはともかく、俺は必殺技一つないのに期待されてもなぁ……。

 

「で、ユーリの出したあの巨人はなに? スタンド? ペルソナ?」

 

「ううん、そのどちらでもないよ。あれは―――化身」

 

化身?

 

あかりの口から出た聞きなれない単語に首を傾げる。

 

「選ばれた選手にしか使えない能力。その選手の「気」とか「魔力」が具現化した存在とでも言えばいいのかな」

 

これだけ聞いてるとやはりスタンドやペルソナの仲間じゃないのか、なんて思ってしまう。

まあ化身が何かなんて細かいことはこの際どうでもいい。

問題はあの化身とやらを使うユーリの突破方法だ。

下手にシュートを打ってもユーリに蹴り返されるのがオチだ。ヴァーリのシュートでさえ蹴り返すことが出来るのなら半端な威力では絶対に破れない。それが出来るとしたら恐らく同じ化身のみだろう。

 

「私達のチームで化身を使えるのはヴァーリのみ。ヴァーリにはユーリをお願いするわ」

 

「ああ」

 

目には目を、化身には化身をってことね。

 

幸いなことに俺達のチームのヴァーリも化身が使えるみたいだ。

ユーリへの対策会議をしてからポジションに付いて試合再開。

さっきと違い、俺が軽く触ったボールをヴァーリがティアナにバックパスをした。そこから左にいるリアスへと繋げた。

 

「フェイ―――」

 

「そのボール、頂戴♪」

 

「なッ!?」

 

リアスがフェイトにパスを出す前にフランにボールを奪われる。

見様見真似でやっているのようで彼女のドリブルはお世辞にも上手とは言えないが、吸血鬼の身体能力をフルに活かして適当に前に蹴ったボールに余裕で追いつく。

その不規則なボールの動きにDF陣は惑わされ、突破されてしまう。

そして、ゴールは目前。俺達のチームが一気にピンチに陥った。

 

フランの身体能力を考えれば普通のシュートでも十分な威力を発揮しそうで怖い。だけどいきなり必殺技なんて―――

 

「壊れなさい!」

 

フランが右手を突き出してボールに赤いオーラを纏わせる。

そのまま上空に蹴り上げると急に晴れていたはずの空が真っ暗な夜へと変わり、大きな満月がフランの背後に現れた。

 

「『ブラッディストーム』!」

 

その場で横に一回転して右足の裏でボールを強く蹴る。

すると蹴られたボールは赤い暴風と化してゴールに突き進んでいく。

 

『ウソォッ!?』

 

フランが必殺技を繰り出たことに敵味方問わず誰もが目を見開いた。

 

「これ以上点はやらせるか! レオン! リミッター1、解除!」

 

《わかった》

 

動揺があったもののキーパーである雄人はすぐに切り替え、デバイスのレオンにリミッター解除を要求した。

レオンは即座にそれを実行。雄人が放つ魔力が爆発的に上昇した。

雄人は普段からリミッターを付けている。確か、今外したのを含めて三段階くらいあったはずだ。

リミッターの理由は膨大な魔力に頼ってばかりだと魔力が使えない状況になった時に何もできなくなるのは嫌だからと本人が言っていた。

 

何もこの場で外すことの程でもないと思うんだけど、遊びとはいえ真剣ってことね。

 

膨大な量の魔力を存分に使って『ゴッドハンド』を出すのかと思いきや、モーションが違った。

なんと上半身を右に捻ってボールから背を向けたのだ。

その際、彼の眼と一瞬だけ合った。

 

―――絶対に止めてみせる! 信じて待ってろ!

 

雄人がそう言ってる気がして、俺は信じて走り出した。

 

「うおおおおおおおおっ!」

 

雄叫びと共に力を溜めた拳を突きあげると赤茶色の髪を逆立てた黄色い巨人が姿を現した。

 

「『マジン・ザ・ハンド』ッ!」

 

雄人が右手を突き出す動作に合わせて巨人―――マジンも右手を突き出した。

襲い来る赤い暴風を振り払い、見事ボールを掴み取ってみせたのだ。

 

「ソラァァァアアアアアッ!」

 

すぐさま雄人が消さないままでいたマジンがボールを投球のモーションで投げてくる。

それを胸で受け止め、足元に止めた。

 

「残念ながらここから先は通行止めです。来なさい―――『暗黒神ダークエクソダス』」

 

ユーリの化身が二度目の登場。

 

威圧感凄いな……!

 

「いいや、通してもらうぞ」

 

化身の圧倒的存在感に気圧されかけた時、俺とユーリの間に割り込むようにして現れたのはヴァーリだ。

彼の背後から黒い影が溢れ出した。

ユーリの時と同じでそれはやがて何かの形を作る。

 

「来い―――『白龍皇アルビオン』」

 

現れたのは鋭利な爪と鋼を噛み砕く牙、そして白い鱗を持つドラゴンだ。―――というかアルビオンそのものだ。

アルビオンがエクソダスを抑え込んでいる間に俺は二人の横を通り過ぎる。

 

皆真剣なんだから俺も真剣にならないとね。

 

胸の高さまで上げたボールが淡い虹色の光を纏う。

下から蹴り上げた直後に怒涛の勢いで蹴りをボールに入れてゆく。

蹴りを入れるたびに輝きを増していく光が最高潮に至った瞬間、助走をつけてから思いっきりボールを蹴り放った。

 

「『サンダーボルト』!」

 

朱乃が必殺技で迎え撃つが、ボールが黒い雲を突き破ってゴールネットを揺らした。

 

1-1

 

「ま、こんなもんか」

 

ぶっつけ本番にしては上出来な必殺技だろう。

ゴールを決めても特に喜ぶことなく、今の必殺技に対して評価を下していた。

 

「さっすが、空!」

 

「うおっ!?」

 

戦闘で使うならまだまだ改良の余地はあるだろうなと考えていたら、後ろから誰かが飛びついてきた。

こういうことする人物と声からアリシアだなと思ったら俺の予想通り彼女だった。

しばらくするとチームの皆が集まってきた。ついでにアリシアはフェイトに引き剥がされた。

 

「今のなんて必殺技?」

 

「まだ名前決めてないよ」

 

「えー!? じゃあ、今作ったってことなん!?」

 

必殺技なのだからやっぱり名前は必要か。フランも即興でつけてたみたいだし。

 

「龍が舞っていたような感じだったから―――そうね、『龍乱舞』なんていうのはどう?」

 

リアスからの命名に文句も出てくることもなく、すんなりと俺の必殺技の名前が決まった。

 

「サンキュ。その技名貰うよ」

 

所定の位置についてから試合が再開した。

ボールを持ったアリサと美雷とフランのスリートップが攻め上がる。

どうやら相手チームは同点に追いつかれたことでより燃え上がっているようだ。

 

彼女達を止めるのに骨が折れそう。

 

内心面倒だと思いながらも彼女達を止めに掛かる。

アリサを美雷は他に任せて、俺はフランにマークしよう。

付き合いの長さならこの中で一番なのは俺だ。フランの不規則な動きにも多少は付いて行けるだろう。

だが、その考えが甘いことをすぐに知る羽目になった。

 

「アリサはフランにパスをせよ! フランはそのままゴールまで持っていけ! 美雷はフォローに入れる位置取りを! 他の者達も上がれ!」

 

夜空の的確な指示で相手チームの動きに無駄が無くなる。俺達の動きすら把握して封じてくるものだからやり辛い戦略だ。

 

「今度は決めてやるわ! 『ブラッディストーム』!」

 

ゴール前までやってきたフランが必殺技を放った。

赤い暴風が再び雄人を襲う。

 

「『マジン・ザ・ハンド』!」

 

雄人がシュートを難なく止めてパスをする。

 

「ゲットだぜ♪」

 

しかし、それを美雷は読んでいたようでパスカットされてしまった。

 

「夜空!」

 

「うむ。行くぞ、美雷、星奈!」

 

美雷からボールを貰った夜空が口笛を吹くと地面から5羽のペンギンが生えてきた。

ボールを蹴るとそれを追うようにしてペンギン達も地面から飛び出していった。そこに美雷と星奈がツインシュートを加えたことでボールの勢いとパワーが更に増した。

 

『『皇帝ペンギン2号』ッ!』

 

「『マジン・ザ・ハンド』!」

 

再びマジンが現れ、その巨大な手と5羽のペンギンが衝突。

しばらく拮抗していたが、徐々にペンギン達の勢いがなくなり、マジンがボールを止めた。

 

「あ、危なかった……」

 

「決めきれなかったか……。まあよい。次だ」

 

夜空が決められなくて悔しそうにするも、ほんの一瞬。すぐに切り替えてポジションに付いた。

雄人がボールをパスしてからもアリサチームの猛攻は続く。

特に俺とヴァーリへのマークは徹底されてやりたいように動けない。

 

「吹き荒れろ! 『エターナルブリザード』!」

 

「『マジン・ザ・ハンド』!」

 

「喰らいなさい! 『ファイアトルネード』!」

 

「ッ! 『マジン・ザ・ハンド』!」

 

さーてと、どうするかなー。今のところ雄人のマジン・ザ・ハンドに勝てるのはユーリくらいだから問題はなさそうだけど。でも連続でシュートを打たれ続ければやがて疲労が雄人を襲う。今の段階でもちょっとやばそうだ。

 

チラリとコート全体を見渡して、相手チームの隙を窺う。

俺のマークはユーノとなのはの二人。ヴァーリはユーリのみ。俺達二人は相手チームに相当警戒されているらしい。

ヴァーリと視線を交わして反対方向に動き出した。当然相手もそれに反応して追いかけてくる。

 

「ティアナ!」

 

「うん!」

 

俺とヴァーリが動いたことで出来たスペースにマークが徹底されていなかったティアナが走り込み、ちょうどシュートをキャッチした雄人からボールを受け取った。

完全にフリーの状態でティアナがゴール前へと持っていく。

相手チームがティアナを追いかける。ユーリなんかは化身を出してまでだ。それでも俺とヴァーリに気を取られ過ぎたせいでティアナには追いつけない。

そして、相手がティアナに集中している間に俺はマークを外して動き出した。

 

「『スカイウォーク』!」

 

足場のあるはずのない空中でティアナが何度も跳ねる。

今の必殺技で追いかけてくる相手を更に引き離した。

 

「私だってシュートを決めてやる!」

 

勢いをつけて地面で宙返りを繰り返し、満月を背にしてオーバーヘッドキックを決めた。

 

「『バウンサーラビット』!」

 

右へ左へ跳ねるボールが誰にも予想できない動きでゴールに向かう。

これなら朱乃の必殺技を掻い潜れると思ったが、朱乃の表情を見てその判断を下すのは早かったと悟った。

 

「私が何の対策もしないと思ったら大間違いよ。『雷霆の裁き』!」

 

魔力を込めてバチバチ放電させた両手で地面を叩く。5mにも及ぶ雷の壁が朱乃の前に現れたのだ。

 

ゴールに入れなきゃ点は取られない、ってことかね。

 

たとえ不規則に動くボールだろうと壁に阻まれてしまえばそれまで。ティアナの必殺技は雷の壁に阻まれ弾かれた。

だが、まだボールは誰の手にもわたっていない。チャンスはある。

弾かれて空中にあるボールに向けて俺とヴァーリが同時に跳び上がった。

相手も跳び上がって、俺達にシュートを打たせまいとしてくる。

恐らく、俺達なら打ち合わせなんてしなくても何かしらしてくると踏んでのことだろう。

 

『せーのっ!』

 

二人で踵落としをボールに叩き込むと白いオーラと黒雷を纏いながら真下に落下していく。

だが、それだけではゴールには入らない。

 

『雄人、決めろっ!』

 

「任せとけ! 『エヴォリューション』ッ!」

 

ゴール前から全速力で走って来た雄人が落下するボールにドンピシャで右足を振り抜いた。

ボールは向きを変え、ゴールへ一直線。

朱乃が必殺技を発動する間もなく、ゴールネットを揺らした。

 

2-1

 

雄人が点を決めた瞬間、アルフが試合終了のホイッスルを鳴らしたのだった。

 

 

 

 

 

「負けちゃったけど楽しかったわ」

 

夕食後にフランが俺のベッドの上で寛ぎながら今日の出来事を振り返った。

俺としては予想外の出来事ばかりだったけど、皆が楽しめたのならそれでよし。当然俺自身もかなり楽しかった。

 

「けどすっごく疲れた~!」

 

元引きこもりのフランにはかなりいい運動になったんじゃないだろうか。

これからも定期的に修行の一環として超次元サッカーをするみたいだし、その時には連れ出そう。

 

「今日はもう寝るわ。おやすみ」

 

「うん、おやすみ。……いや、自分の部屋で寝ろ」

 

さも当然のように俺の部屋で寝ようとしたフランを叩きだしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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