逆境覆します!
Sideなのは
夜天の魔導書を完成させると現れた綺麗な銀髪の女性と空君、ヴァーリ君が戦い始めた。
その一方で、私達もいくつかのグループに分かれて、女性からの命令で動く守護騎士達と戦うことになった。
操られているとはいえ、ヴィータちゃん達といつも以上に本気で戦うのは辛い……。
戦うことを躊躇していたら、隣に来ていた愛衣ちゃんが声を掛けてきた。
「戦うの辛い?」
「……うん、やらなくちゃいけないってわかってはいるんだけど……」
そう答えると、愛衣ちゃんは小さく笑った。
「それでいいんじゃないかしら。私だってなのはと同じ気持ちだもの」
愛衣ちゃん……。……そうだ、別に私だけが悩んでるわけじゃないんだ。
「まあ、それでもダメならいつもの模擬戦程度に考えればいいさ。それぐらいなら君だって悩まず攻撃できるだろ?」
「そっか……うん。そう考えれば出来る気がする!」
いつも通りにやれば、こっちは四人だからいける!
「それに動かせない程度にするだけだから、何もスターライトブレイカーを撃てって言ってるわけじゃないからね?」
「そ、そんなことしないよ!?」
あかりちゃん酷い……。いくら私でもそんなことは……ば、場合によっては撃つかもだけど……基本的には撃たないから!
だけど、今の会話で私の覚悟は決まった。
「力を貸してね、レイジングハート――――ううん、レイジングハート・エクセリオン!」
《もちろんです、マスター》
私の呼び掛けに、プレシアさんの手によって進化したレイジングハート・エクセリオンが答えてくれた。
「絶対にはやてちゃんを救ってみせる!」
そして、私はレイジングハートの新しい機能――――カートリッジシステムを使ってアクセルシューターを十二個放った。それに対して、ヴィータちゃんは鉄球を出して相殺した。
その後に、ヴィータちゃんは私に接近してきた。
「―――――ハウンド!」
けど、それを遮るかのようにあかりちゃんが目標を自動で追尾する魔力弾―――ハウンドを撃った。
「チッ……」
ヴィータちゃんは避けきれないことが分かったのか、防御魔法を発動して防いだ。
魔力弾とバリアがぶつかって爆発が起こり、ヴィータちゃんは煙に包まれた。
「愛衣ちゃん、クロノ君! 今だよ!」
『ええ(ああ)!』
煙が晴れるのと同時に私と愛衣ちゃん、クロノ君の三人が砲撃を打ち込んだ。
いきなりやって来た砲撃にヴィータちゃんは声を上げる間もなく吞み込まれていった。
再び激しい爆発が起こり、その中からヴィータちゃんが落ちていくのが分かった。
「よし、こっちは終わったな。念のため四人でバインドを掛けておこう」
ヴィータちゃんにバインドを掛けて、まだ戦ってる皆の状況を確認することにした。
Sideout
Sideフェイト
私と姉さん、そして明日奈を含めた私達三人でシグナムと対峙していた。
「……さあ、掛かって来い」
……どことなく眼がキラキラして見えるのは私の見間違えかな?
本当に操られているのかが疑わしいんだけど……。
「なんだか、シグナム楽しそうにしてない?」
「うん、私もそう思っちゃった……」
どうやら二人も私と同じことを考えていたようだった。
「と、とにかく! シグナムを止めるよ!」
二人だけでなく自分にも言い聞かせるように声を出した。
「そうだね! 早めに倒して防衛プログラムとか言うのにも備えておかないとだし!」
私達はデバイスを構え直して、シグナムとの戦闘を始めた。
先制攻撃は私と姉さんが新たに手に入れた力――――カートリッジシステムを使ってハーケンセイバーを放った。二つの三日月型の刃は高速回転してシグナムへと真っ直ぐ向かった。
「ロードカートリッジ」
シグナムのデバイスから空薬莢が排出され、レヴァンティンは連結刃――――シュランゲフォルムへと形を変えた。それを振るうことでハーケンセイバーは二つとも撃ち落とされた。
「そう簡単には倒せないか……」
「だねー」
「次は私が行くよ!」
明日奈の動きに呼応するかのようにシグナムが連結刃を振るってきたが、明日奈の高速の突きで弾いていた。
「やるな! だが、甘い!」
シグナムが剣を元の形態に戻すと、カートリッジを使った。すると、剣が炎を纏った。
アレは!
「(来る!)」
互いの手の内を知ってるので、明日奈もシグナムが何をするのかが分かっている。
「紫電一――――くッ!」
炎の斬撃が明日奈を襲う―――――よりも先に明日奈はすでにシグナムの背後にいた。
…………え? 今何が起こったの?
「……今のは何だ? 全く動きが視えなかったぞ」
「今のは私の
むぅ……明日奈ばっかり空と一緒でズルい……。
「……そうか。しかし、威力はそこまで無いみたいだな」
「うん、それが今のところは改善点かな。また、空君に協力して貰おっと♪」
楽しそうにしている明日奈を見ていて少し――――いや、かなり羨ましかった。
フン! あとで一杯甘えるからいいもん!
そんな言い訳をして、戦闘に集中することにした。
「あれ? そういえば姉さんは?」
さっきから声がしないことが気になって辺りを見回すと私の後方にいた。
いつの間にか両手にはハンドガンが握られていて、魔力をチャージしていた。
そして、魔力を集めるのが終わったのか何も言わずにシグナムに打ち放った。
後ろにいた明日奈も巻き込んで。
「ちょっとアリシアちゃん!? 私がいたんだけど!?」
直撃したシグナムは気絶して、巻き込まれたと思っていた明日奈は何とか避けていたみたいだ。
「あーごめんごめん。手元が狂っちゃって。決して空と一緒にいたのが羨ましいからとか、ムカついたからとかじゃないからねー。……チッ……」
今の舌打ち、明日奈には聞こえない距離だけど私にははっきり聞こえたんだけど……。
それに棒読みだし。姉さんも羨ましかったんだね……。
「あ、それよりもバインドで拘束しておかないと」
二人にも伝えてシグナムを拘束した。
Sideout
Sideすずか
私とアリサちゃん、リニスさん、プレシアさんの相手はシャマルさんだ。
さっきから攻撃をしようとはしているんだけど、シャマルさんの魔法―――旅の扉で死角から砲撃や振り子型のデバイスの攻撃が来るから、その対処が大変で全然攻撃が出来ない。
「ムキーッ! やりずらいったらありゃしないわ!」
「アリサちゃん、焦ってもいいことないよ」
「じゃあ、どうしろって言うのよ!?」
うっ……それを言われるとちょっと返答に困るよ……。
「だったら、私とリニスで死角からの攻撃を防ぐわ。その間に倒してちょうだい。リニスもそれでいいかしら?」
「ええ、問題ありません。二人は防御を気にせずに攻めて下さい」
やっぱりこの二人は頼もしい。その一言に限る。
「そうと決まれば、行くわよすずか!」
「わかってるよ、アリサちゃん」
私達がシャマルさんに突っ込んで行くと、シャマルさんは旅の扉を使った。
「させないわ! フォトンランサー!」
何かが衝突する音が後ろから聞こえた。プレシアさんがシャマルさんの攻撃を相殺したんだろう。
「喰らいなさい! 緋拳!」
アリサちゃんは刀を握っていない方の手に拳の形をした緋色の炎を纏わせ、シャマルさんへと先程から攻撃出来ていなかったイライラも込めて殴りつけた。
あれって空君の技を真似したのかな?
「すずか! とっとと決めちゃいなさい!」
余計なことを考えていたらアリサちゃんの攻撃を防いだもの威力が高かったのか隙が出来ていた。
「うん!
自分の体よりも巨大な大砲を作り出し、シャマルさんに狙いを定めて引き金を引いた。
シャマルさんに当たると当たった部分から凍り付いていった。最終的には、全身氷漬けにされて動けなくした。
ふぅ……なんとか終わったね……。
私は神器の練習ばかりしていた所為か魔法はまだそんなに出来ないのでプレシアさんとリニスさんにバインドでの拘束をやってもらった。
Sideout
Side雄人
俺とリーゼ姉妹の相手はザフィーラだ。特徴としては防御が堅い。
そして――――
「せいッ!」
「ヤベッ! レオン、バリア!」
単純にパワーが強い。
魔力強化されたパンチだけでも十分な威力があるのだ。
一度殴られたことがあるが、あの時ほど体が丈夫であったことに感謝した日は無い。
はぁ……帰りたい……。というか俺いなくてもリーゼ姉妹だけでもいけんだろ。
原作ではすごいコンビネーションでザフィーラ倒してたんだし。
試しに聞いてみるか?
「なあ、俺いるか? 二人だけの方がやりやすいんじゃねぇの?」
「私も最初はそう思ってたんだけどねぇ……」
「管制人格の力の所為かかどうかは分からないけど
マジか!?
じゃあ、他の皆もか? と思って周りを見れば、他の守護騎士達はバインドで拘束されていた。
あれぇ!? 皆余裕で終わってんじゃんか!
「他の奴らは終わってるぞ!」
「え? あ、そうみたいね」
「おー、クロ助やる~」
いやいやいや、関心してる場合じゃないからな!?
「俺らも早く倒そうぜ!?」
「そんなの言われなくても分かってるわよ」
「じゃあ、何でそんなにゆったりしてんだよ!」
俺が怒鳴ると、二人そろって溜息を吐かれた。
「……あのですね、私達二人なら連携は完璧ですよ」
「それがどうかしたのか?」
「でも、あんたが入った即席チームでの連携なんて出来るわけないでしょ?」
「だったら、二人で倒せばいいだろ?」
そう言ったら再び溜息を吐かれた。
「アンタねぇ……さっき相手が強いって言ったばっかでしょうが!」
あ、そうだった。
「ってそれは分かったけどそしたらどうやってアイツ倒すんだよ!?」
「ああ、それならもう問題ないです」
「へ?」
「さっきまででアンタの動きや癖は全部分かったから好きに動きなさい。私達がそれに合わせるから」
「そ、そんなんでいいのか?」
メッチャ簡単じゃねぇか!
「ええ、どうぞお好きに」
「分かったぜ!」
俺は作戦を理解するなりザフィーラに突撃をかました。
当然、向こうも俺に攻撃を仕掛けてくる。
俺のガンブレードでも攻撃が弾かれると、今度はザフィーラの拳がやってくる。
咄嗟にバリアを張ろうとしたが、ザフィーラの背中に魔力弾が当たったことで怯み、攻撃はやってこなかった。
「今よ! 全力の一撃をやんなさい!」
俺は返事をするよりも先にカートリッジを使って、その場で独楽のように一回転した。
「フェイテッドサークル!」
剣先から放たれた波動がザフィーラを斬り裂いた。
「グハッ!」
これで倒れるかと思ったら、ザフィーラはまだ持ちこたえていた。
『これで! 終わりだ!』
二人はもう一度砲撃を浴びせ、アリアが蹴り上げ、ロッテがトドメに叩き落とす。見事なコンビネーションの連撃でザフィーラに反撃を許さずにそのまま気絶させた。
あぁ……ザフィーラ、ごめんな。お前のことは一生忘れないぜ……。
ボコボコにされたザフィーラを見ていて、心の中で謝った。
頭の中に「勝手に殺すな!」とザフィーラの声が聞こえた気がしたが、ザフィーラは気絶しているので有り得ないと思い、すぐに忘れることにした。
Sideout
Side空
「(どうする? 様子見で九喇嘛の力からでいいかな?)」
今使える俺の力の中では最速の動きが出来る九喇嘛の力なら相手の力量はある程度測れるはず。
『そうね。いきなり精霊の力を使うのはあとのことを考えると遠慮したいわ』
「(分かった。九喇嘛、行くよ)」
『……様子見で使われるのは癪だが仕方がねぇ。遠慮なく使え』
「(ありがと)よし、準備万端! ヴァーリもいい?」
「ああ、いつでも行ける」
俺が九喇嘛モードに入ると同時に、ヴァーリも
「……それは九尾と白龍皇の力か」
「あれ? 何で知ってんの?」
「……主に記憶の中からその情報を得たにすぎない」
なるほどね。
「知っていようが関係ない。お前が強いなら俺はお前を越えるだけだ」
「そういうこと。じゃあ、早速―――――」
「……ッ!?」
「螺旋丸ッ!」
夜天に接近し、螺旋丸を腹に当てて吹き飛ばした。
「いきなりだな……」
「さっきの空間攻撃のお返しだよ」
でも、見る限り全然効いてないみたいだけど。
「……その程度で止められると思うな」
体勢を立て直した夜天がその場で魔法を発動させた。
「……穿て、ブラッディダガー」
夜天の周囲に幾つもの赤い短剣浮かび、ものすごい速さで向かってきた。
回避を試みたが、追尾型の魔法らしく追い掛けてきた。
《Half Dimension‼》
追いつかれて回避が間に合わないと思っていたが、ヴァーリの半減の力で速度が落ちたおかげで、ブレイブの魔力弾ですべて撃ち落とせた。
「俺を忘れてもらっては困るな」
夜天はその言葉を特に気にすることなく手を前に翳して、同じ魔法を発動させた。
……? 何で同じことを? さっきので防がれることは分かっているはずなのに……。
もう一度ヴァーリは半減の力を使い速度を落とし、俺が撃ち落とそうとした瞬間――――
「……倍加」
『なッ!?』
短剣の速度が上がり、俺とヴァーリは夜天の攻撃をもろに受けた。
「な、何でドライグの力を使えるの!?」
『俺にも分からん! どうなっている!?』
「まさか……」
『はやてさんの記憶や空さんの魔力から赤龍帝の力を
「魔法でドライグの力を使うってアリッ!?」
「……その通りだ。だからこういうことも出来る」
消えた!?
夜天が俺達の目の前から消えたと思ったら、突如目の前に現れ、蹴りを入れられた。
「がッ!」
吹き飛ばされて体勢を立て直したが、突然力が抜けていくような気がした。
これは……!
「……半減」
アルビオンの力!
『私の力もか! 空、ここはドライグの力で戦った方がいい!』
「うん!
《Welsh Dragon Balance Breaker‼》
俺はヴァーリとアイコンタクトをとって、二人で攻めた。
「……今度は赤龍帝の力か。だが、無駄だ。――――盾+倍加」
俺とヴァーリの拳は強化されたたった一枚のバリアに阻まれた。
いくらこっちが倍加してないとはいえ、今までで一番堅い!
「……吹き飛べ」
夜天の手の中には乱回転する黒い球体があった。
螺旋丸も使えんのか!
俺の魔力を吸収し、二天龍の力を再現できるならこれぐらい出来るのは当然と言っていい。
そして、俺達はその螺旋丸を受けて吹き飛ばされ、そのまま地面に叩きつけられた。
『〈空、こっちは守護騎士全員拘束状態だ。そっちはどうだ?〉』
夜天に吹き飛ばされてから立ち上がると、クロノから念話で守護騎士達を倒したことを教えられた。
「〈お、そっかー。思ったよりも早かったね。……こっちは結構苦戦してるよ〉」
『〈……手助けはいるか?〉』
「〈ううん、いらない〉」
『〈……分かった。だが、いつでも助けられるように近くで待機するからな〉』
「〈りょーかい〉」
そこでクロノとの念話を切り、戦闘に集中し直した。
「それにしても、強いね」
『感心してる場合じゃないでしょ!?』
「こうなったらアレをやるしかないか……」
アレ……? ってアレのことか!?
「でも、アレは失敗すると確実に負けるよ?」
『だが、今のままでも負けるぞ』
うーん、確かにドライグの言う通りなんだよね……。このままでいても確実に負ける。
「よし、わかった。やろう。〈クロノ、さっき断ったばっかで悪いけど時間稼ぎして〉」
『〈それは構わない。どのくらいあればいい?〉』
「〈三十秒あればいいかな〉」
『〈たったそれだけか!?〉』
「〈いや、夜天は強いからそれだけでも大変だともうよ〉」
『〈ッ!? ……わかった。僕達に任せてくれ。到着するまでは耐えろよ〉』
そこで念話を切ってクロノ達が来るまでの間、出来るだけ体力や魔力の消耗を抑えながら戦うことにした。
Sideout
Sideあかり
クロノ君から時間稼ぎをすることを伝えられたあと、急いでヴァーリ君達がいる場所に着いたのだが、
「す、すごい……」
「一体、何がどうなって……」
「動きがほとんど視えないよ!」
三人の動きが速過ぎて目が追い付かない。戦闘の衝撃で地面にクレーターが出来ていた。
光が動いてるようにしか見えない……。
「この中で時間稼ぎとか無理ゲーだろ……」
「だが、やるしかない。行くぞ!」
雄人君が弱音を吐くがクロノ君は空君とヴァーリ君に託すために動き出した。二人が離れた瞬間を狙って戦闘に割り込み、時間稼ぎを始めた。
「……お前達がここにいるということは守護騎士達は倒されたか。まあいい。大方、お前達の役目は時間稼ぎだろう」
……バレバレだね。私達の実力じゃそんなもんか。あの二人は遠いな……。
「総員、バインド!」
私達はバインドを使って管制人格を拘束したものの、一秒経たずに解除された。
「……やはり、あの二人でなければ相手にすらならないか」
その言葉に私達の頭の中に不安という単語が浮かび上がる。
「でも、私は空君達が勝つって信じるの!」
「そうね。“私の”空君ならきっと勝つわ」
やけに“私の”ってところだけ強調してたね……。まあ、言いたいことは分かってるんだけど。
「愛衣ちゃん、寝言は寝て言うものだよ?」
「そうそう! 空は私のだって言ってんじゃん!」
「あんたも何言ってんのよ!」
愛衣ちゃんの一言から話が段々変な方向に行く。
「お、おい、お前達! 今は戦闘中だぞ! 無駄話は後にしてくれ!」
『無駄話……?』
あーあ、クロノ君、やっちゃったね……。
「無駄話ってどういうことかな? かな?」
「い、今は管制人格を止めることが優先だろ!?」
確かにその通りなんだけどね。この話題に入ったら止めるのは至難の業だよ。
「…………」
あれ? 管制人格が止まってる?
不思議に思っていたら不意に口を動かした。
「……お前達より、主はやての方が家庭的で彼に相応しい」
『あぁン?』
ウワー……年頃の女の子が絶対に人に見せられないような顔してる……。クロノ君なんか後ろで怯えきってるし。
「……もうすぐ世界は滅びる。今更そんなことはどうでもいい」
管制人格が手を私達に手を向けると、桜色の光が集まりだす。
「あれって……スターライトブレイカー?」
自身が使う魔法だから一番早く気が付いたなのはちゃんが呟いた。
「マズイ! 全員距離を取れ! あの魔法の前では防御なんて無意味だ!」
「……倍加」
十分な距離を取ったところで届かないと安心しきっていた私達は途端に恐怖に駆られた。
届かないと思っていた砲撃が眼前に迫っていたからだ。
突然のことで何をすればいいかわからず絶望しかかっていた時、誰かが私達の前に躍り出た。
『あとは俺に任せておけ』
その人物は身長から見て私達と同じぐらいの年齢だろう。
服装は青いシューズに縦に赤いラインが入った七分丈のゆったりとした白いズボン。
上は袖無しの黒いパーカーといった格好。
そして、銀と黒が混ざり合ったような何とも言えない色をした髪が逆立っていた。
「誰だか知らんが危ないぞ! 今すぐに逃げろ!」
『まあ、見てろって』
クロノ君の忠告を無視して少年が両手を前に突き出すと、蒼い光が両手に集まる。
『ビッグバン―――――』
少年から膨大な魔力とそれとは全く違った何かを感じた。
『――――かめはめ波ァァァアアアッ!』
蒼色と桜色が衝突し、閃光が視界を覆う。均衡していた光は数秒して完全に相殺された。
あの技って漫画の技だよね!?
『ウソ……』
その光景に、私達はそれしか言えなかった。あの一撃を防ぐとは誰も予想だにしていなかったからだ。
『こんなもんか……』
「……お前は一体何者だ?」
今の結果にどこか不満がありそうな少年に、管制人格が問いかけた。
『ん? 俺か? 俺は――――――』
少年は不敵に微笑むと自信満々に言い放った。
『―――――――お前を救う者だ!』