デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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区切りのいいところが見つからず、気づけば一万文字……。
戦闘シーンも若干適当です。

本当にごめんなさい。



これが俺達の全力です!

これが俺達の全力です!

 

Side空

 

夜天の魔導書の防衛プログラムが暴走した姿―――ナハトヴァール。

それに加え、俺を転生させた神様が何か細工をしたらしく、防衛プログラムもとい、シエラが知らないという黒い蛇が八つも地面から生えてきた。

 

「これから作戦を開始するわ! 黒い蛇を倒す人以外は後ろの本体をバインドで動きを止めて! 最低でも一分はお願い! 別に倒してもいいけど、無理は絶対にダメよ!」

 

『了解!』

 

シャマルさんの指示に俺達は返事をすると、各々の役目を果たすために動き出した。

当然相手は見ているだけでなく、蛇が巨大な火球を放ってきた。

 

直径20mはありそう!

 

「全員退避して!」 

 

火球の速さはそこまでのものではないので簡単に避けることが出来る。

それが一つなら、という条件付きでだが。

 

「これじゃ近づけねぇぞ! どうすんだ!?」

 

雄人の焦りが皆にも伝わり、動きが悪くなる。

 

「……斬る?」

 

『そのぐらい楽勝だ。あんな蛇如きに天龍(この俺)が負けるなんてありえん』

 

道が無いなら自分で切り開くまで! ってね。

 

「切り裂け―――――〈灼爛殲鬼(カマエル)紅天(クリムゾン)〉ッ!」

 

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost‼‼‼‼‼》

 

俺が吼えると、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)と〈灼爛殲鬼〉が融合して出来た〈灼爛殲鬼・紅天〉はその刃は体積を何倍にも大きくし、広範囲にその身を伸ばした。その上更に倍加を加えた。

そしてそれを薙ぎ払うように振るうと、火球全てを切り裂き、消し去った。

 

「ほら、ボーっとしてないで! 敵は待ってくれないよ!」

 

呆気にとられていたなのは達に呼び掛けると慌てて動き出した。ただ一人、ヴァーリだけは俺が火球を切った瞬間に飛び出して蛇に一番に接近していた。

 

「先越された!? 負けてられっか!」

 

急いで後ろを追い、ヴァーリが狙う奴とは別の蛇に近づくと噛みついてきたが、

 

「蛇如きが図に乗んな!」

 

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost‼‼‼‼‼》

 

一気に倍加をして、蛇の下顎を戦斧で切り上げた。

 

蛇は下顎が切り裂かれた痛みでまともな判断が出来なくなったのか、狂ったように頭を振り回していた。

 

「灰と化せ! 切り裂け――――〈灼爛殲鬼・紅天〉ッ!」

 

先程と同じように戦斧を大きくし、倍加を加えて、蛇の頭から地面ギリギリまでを一刀両断した。絶命した蛇は両断された頭の部分から左右に分かれた後、完全に燃え尽きて灰となった。

 

周りは……よし! 俺が一番!

 

「〈俺、一匹終わったよ!〉」

 

『〈俺もちょうど終わった。二匹目は譲らないぞ〉』

 

皆に念話を送ると、ヴァーリよりもほんの僅かな差で早く倒したようだ。

 

? ヴァーリが持ってるあの赤い大剣は何だろう?

 

ヴァーリとは若干距離があるのであの大剣が何なのかはわからない。

 

あとで聞くか。今はフェイト達が優先だね。

 

『〈二人共、終わったのなら他の所に回ってあげて!〉』

 

『〈了解〉』

 

シャマルさんからの念話が入り、周りを見渡す。

 

俺からしたらフェイト達が近いな……。

 

「〈俺はフェイト達のところに行くよ。ヴァーリは二匹目任せた〉」

 

『〈いや、ヴィータが危なさそうだ。そっちに行く〉』

 

ヴィータが? あ、ホントだ。大きい一発が蛇のしつこい攻撃の所為で決めきれてないな。……相手が不規則に動くせいで当てにくいっていうのもあるのかな。

 

「〈了解〉」

 

ヴァーリとの念話を切って、フェイト達の方に倍加を使いつつ向かった。

 

『! 空(君)!』

 

俺に気が付いたフェイト達が俺の方に視線を向けた。

 

「戦闘中によそ見しない! 攻撃来るよ!」

 

『ッ!』

 

三人は何とか回避が間に合った。

 

まったく、危ないなぁ……。

 

「〈あれ? フェイトとアリシアっていつの間にかバリアジャケット変えたの?〉」

 

戦闘中だったが気になったことを蛇の攻撃を防ぎながら聞いてみた。

 

「〈あ、これはソニックフォームって言うんだ〉」

 

「〈性能は何か変わってるの?〉」

 

「〈速度が更に上がったんだ!〉」

 

名前からして速そうだしね。

 

「〈で、防御力をその分落としたと?〉」

 

明らかに速さを追求し過ぎて防御が疎かにしてるよね。露出が増えてるし。……今の俺が言えたことじゃないけど。

 

「〈す、鋭いね……。うん、空の言う通りだよ〉」

 

「〈当たったらダメージデカそうだね〉」

 

「〈当たらなければいいんだよ!〉」

 

「〈はぁ……俺は二人の将来が心配だよ。でも、今はその速さ頼りにしてるから!〉」

 

『〈うん、任せてッ!〉』

 

「〈むッ……私だって頼ってよね、空君!〉」

 

自分だけ頼りにされてないのかと思った明日奈が不満ありげに言ってきた。

 

「〈そりゃもちろんだよ〉倍加!」

 

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost‼‼‼‼‼》

 

「からの、赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!」

 

《Transfer‼》

 

腕輪から赤い波動が広がり、三人に当たると赤いオーラに包まれた。

 

『ッ! 力が溢れて来る!?』

 

「さあ、決めて来い!」

 

『うんッ!』

 

三人は元気よく返事をすると、一気に攻めに出た。蛇が放つ火球を全て躱し、懐に入った。

 

『はぁああああああああああああッ!』

 

二人が息の合った高速のコンビネーションで蛇を翻弄しつつ、たくさんの傷を付けていく。

 

「これで止め!」

 

二人の攻撃で完全に弱り切ったところを明日奈が頭を刺し貫いた。

蛇は暴れていたが少しずつ力をなくしていき、倒れた。

 

「お見事! もう一匹は三人だけで行けるね?」

 

『うん!』

 

それなら俺はもう一匹狙うとしますかね!

 

Sideout

 

 

 

 

 

Sideシグナム

 

私は蛇と交戦しているのだが、中々攻めきれないでいた。私にも空やヴァーリのように一撃で倒せる技は一応ある。だが、それを使うにはアイツの注意を逸らさなければならない。それが上手くいかないでいる為に攻めきれないでいたのだ。

 

……空とヴァーリに先を越され、空の補助があったとはいえテスタロッサ姉妹と結城にも負けてしまうとは……それでいいのか、烈火の将シグナムよ。

答えは断じて否だ! 私は騎士だ! このままで終われるはずがない! 終わっていいはずがないのだ!

 

「おおおおおおおおおおおおおッ!」

 

私は蛇に近づき右目を潰す。

潰された痛みで蛇が苦しんでいる内がチャンスだ。

 

「レヴァンティン! ロードカートリッジ!」

 

《Load Cartridge》

 

レヴァンティンから薬莢が排出されると、私は剣と鞘を結合させ弓の形――――ボーゲンフォルムに変形させた。

 

「翔けよ、隼!」

 

《Sturmfalken》

 

更にカートリッジを使用して矢を作り、すぐさま蛇に放った。

矢は加速しながら火の鳥に変化したが蛇が口を大きく開けて吞み込んでしまった。

その時蛇は勝ち誇ったような顔をしていた。

まるで、お前の技は俺には効かんぞとでも言っているかのように。

 

フッ、甘いな……。

 

「――――私の矢はお前如きに止められるものではない!」

 

私の叫びに呼応するかのように蛇の口の中が急激に膨れ上がった。

そして、火の鳥が蛇の後頭部から姿を現した。

炎で喉を焼かれたのか、蛇は叫び声をあげることもなく倒れた。

 

「次の蛇だ……。私はまだ戦える!」

 

次の目標に向けて進みだした。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Sideヴィータ

 

「……チッ……やりづらいったらありゃしねぇぜ!」

 

ウザってぇ攻撃をする蛇に悪態を吐いてどうにかなるわけじゃないが、吐いておかなければ余計にイライラが募っていくだけだと思った。

 

『キシャアアアアアアアアアアアアッ!』

 

だが、攻め切れていないのは向こうも同じだった。

この小さな体に傷一つ付けられていないのだ。

 

このままじゃ耐久レースになっちまうと圧倒的にこっちが不利だな……。

 

そう思い始めた時に白銀の鎧がアタシの横に現れた。

 

「助けはいるか?」

 

鎧を着た奴の正体はヴァーリだ。

 

「ああ、助か―――いや、やっぱいらねぇ。アタシ一人で十分だ」

 

「……そうか。なら、俺は次の所に行くとするか」

 

ヴァーリはアタシの返答に特に気にすることもなく別の蛇の所に向かった。

 

「…………」

 

ヴァーリを行かせたのはただの我が儘や騎士としての誇り(プライド)だ。

 

「アタシらヴォルケンリッターに一対一での負けは()え! てめぇをぶっ潰すのはアタシ一人で十分だ!」

 

蛇に宣言すると、それに応えるかのように咆哮した。

 

「行くぜ! アイゼンゲホイル!」

 

アタシは魔力弾を一つ生成してアイゼンで叩くと、轟音を伴った光が放たれ蛇の視界を奪った。これは相手の聴覚・視覚を奪う、いわゆる目くらましだ。自身にはバリアを張っているので問題ない。

騎士にあるまじき魔法と思われるかもしれないが、

 

「てめぇみたいな化け物にはどんな手を使ってでも勝てばいいんだよ!」

 

怯んでる隙にアタシはカートリッジを二つ使い、次の魔法を発動させた。

 

「轟天爆砕! ギガントシュラーク!」

 

アタシの一番威力の高い魔法で蛇を力の限り叩き付けた。

反応はもうない。アタシの勝ちだ。

 

「ヨッシャアアッ!」

 

勝った喜びにガッツポーズをしてから、残りの蛇は他の奴らに任せてはやての下に行くことにした。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

『〈一匹倒したぜ!〉』

 

『〈こっちも二匹目倒せたました!〉』

 

ヴィータも倒したし、フェイト達も無事に二匹目を倒せたから残りは余った奴と雄人の方か。

 

『マズイわ、空。ノーマークだった一匹が本体を攻撃してる人を狙ってるわ』

 

「そうみたいだね。倍加!」

 

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost‼‼‼‼‼》

 

倍加をして一気に加速し、蛇と蛇が狙っていた標的―――なのはの間に入り、炎の壁を作って防いだ。

 

「ッ!? 空君、どうしてここに!?」

 

「蛇がなのはを食べようとしてたから護りに来ただけ。なのはは気にせずに向こうに集中して。俺はあっちを片付けるから」

 

「分かったの!」

 

俺となのはは反対方向に進み出した。

 

「切り裂け――――〈灼爛殲鬼・紅天〉ッ!」

 

三度目の同じ技で一匹目と同じように一刀両断し、最期には灰になった。

 

『これで空の勝ちだね♪』

 

あ、そうか!

 

「〈俺、二匹目取った!〉」

 

『〈そうか……って負けじゃないか!〉』

 

『〈何!? もう倒したというのか!?〉』

 

『〈んなのどうだっていいからこっち助けてくれ!〉』

 

俺達の会話を遮った雄人はピンチそうだった。

 

『〈私達が行くよ! 空達は皆のところに!〉』

 

『〈了解〉』

 

雄人の応援にはフェイト達が行くことになった。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Sideアリシア

 

二匹目を倒した私達は雄人の方に行った。

 

「〈雄人君大丈夫!?〉」

 

「〈何とかな……。でも、俺一人じゃやっぱ無理だったみてえだ〉」

 

諦めるの速過ぎでしょ! さっきまでの雄人はちょっとカッコよかったのになぁ……。 

 

「〈私達も手伝うから頑張ろうよ!〉」

 

「〈あ、ぶっちゃけ倒せるんだよね。一人でも〉」

 

『はあ!? 何それ!?』

 

雄人のカミングアウトに思わず念話ではなく声に出してしまった。もう念話を使わなくても声が届く距離だったので、雄人は私達の叫び声に耳を塞いでいた。

 

「じゃあ、さっきは何で無理とか言ったの!?」

 

「いやー、改めて近くで見るとこいつ怖いなーって思いまして……」

 

「ビビッて攻撃出来なかったと?」

 

「そういうことになるな!」

 

『胸を張って言うな!』

 

まったく……心配して損したじゃん……。

 

「でも、一人じゃないってわかったら、もう何も怖くない! レオン、リミッター解除!」

 

《了解した、マスター。モード・ライオンハート!》

 

雄人がリミッターを解除すると、普段は制限していた膨大な魔力が雄人から感じられるようになった。

デバイスであるガンブレードにも変化が起きた。銀色の刀身が青くなったのだ。

 

す、すごい……久々に雄人の全開の魔力を肌で感じた……。

サラッと死亡フラグ建てたけど無視無視。

 

「エンドオブハート!」

 

そこから繰り出されるのは、目で追うのがやっとの高速の17連撃。

 

「はぁああああああああああッ!」

 

蛇の体が斬られる度に苦しさからのうめき声を上げる。

最後の一撃が叩き込まれた時には、蛇の頭と首がバラバラにされていた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……終わったッあ~!」

 

蛇を倒した雄人は地面に降り立つと大の字に寝転んだ。

 

「そう言いたいところだけどまだ全部終わってないからね?」

 

「ホントホント! むしろこれからが本番でしょ!」

 

「ほら、さっさと立つ! 男のなんだからアレぐらいで休まないの!」

 

「うへ~マジか~……。(何だか空の気持ちがちょっとだけ分かった気がする……)」

 

私達は倒れてる雄人を無理やり起こして皆と急いで合流することにした。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

『〈こっちもなんとか終わった……〉』

 

疲れた雄人の声が念話で聞こえた。

 

「〈雄人、お疲れさん。大丈夫?〉」

 

俺が本体の方に到着すると、雄人からの念話で倒したことを大分疲れてそうな声音で告げられた。

 

『〈何か、お前の大変な気持ちがちょっとわかったよ〉』

 

「〈……? 何のこと?〉」

 

大変なことって前世関係? いや、まだ話してないからそんな訳無いし……。

 

『〈え? あ、分かんないんだったらいいや。それよりすぐにそっち行く〉』

 

「〈うん、わかった〉プレシアさん、本体はどうですか?」

 

本体を足止めしてもらっていたプレシアさんに聞いてみた。

 

「バリアが視ただけで五枚、もしくはそれ以上あるわ。しかも弱いのだと弾かれるし、連続で破壊できないとすぐに再生されて手詰まり。おまけに砲撃がやたら強力よ。……もう嫌になってくるわ」

 

プレシアさんでさえ嫌気が出てくるほど本体のガードは堅いらしい。

これは全員が合流するのを待った方がいいだろう。

 

「〈シャマルさん〉」

 

今回の作戦指揮をするシャマルさんにどうするか質問をするために念話をした。

 

「〈何かしら、空君?〉」

 

「〈本体が堅いのはもう知ってると思いますけど、倒すためには全員の協力が必要かと〉」

 

「〈私もそう思ったわ。それまでは時間稼ぎと相手の分析をしましょう〉」

 

「〈了解です。皆もそれでいい?〉」

 

『〈了解!〉』

 

「ねえ、この状態ってあとどれ位持つと思う?」

 

中にいる琴里達に聞いてみた。

 

『今のアンタは精霊と龍が上手い具合に混ざった状態よ。だから、体への負担はそんなに感じてないでしょ?』

 

言われてみると禁手(バランス・ブレイカー)と霊装を同時に使った時よりも体への負担がそこまで出てはいない。

 

『時間としてはあと十分位は持つ。もちろん使い方次第で変動するがな』

 

「そっか。ありがと」

 

まだ戦えることさえわかれば充分だ。この力がどうして使えたのかも後で考えればいい。

 

「〈全員退避を! 雄人君達も合流したので一旦回復します!〉」

 

シャマルさんからの指示で全員が本体からの攻撃が安全に避けられる距離まで下がると、ほんのしばらくぶりの全員集合となった。

 

「全員揃ったわね。今来た雄人君達にも本体の事を説明するわ。相手は五枚以上のバリアを持つと攻撃していた分かったわ。しかも生半可な攻撃では壊すことが出来ないし、一枚破壊した後にすぐに次のを破壊しないと再生されてしまうの……」

 

「そんなの一体どうやって倒すって言うんだい?」

 

「うーん、皆のカートリッジシステムに加えて俺とヴァーリが倍加した力を譲渡。あ、はやてとシエラも出来そう?」

 

「出来ると思うで!」

 

「可能です。主のように連続での倍加は無理ですが」

 

はやてとシエラは魔法で倍加が可能だと分かっただけでも充分だ。

 

「それがわかれば充分! 俺の倍加は三人と違ってすぐできるから二人分は余裕だね」

 

カートリッジがある人は一回分で、無い人なら三回分で行けるだろう。

 

「なら、サポートは任せたぞ。で、その後は?」

 

「バリアを全部破壊したらはやてちゃん、なのはちゃん、フェイトちゃんの三人にナハトヴァールのコアを露出させるほどの全力の魔法を撃ってもらうわ。最後は……ごめんなさい。まだ考えられていないの……」

 

「それならアースラのアルカンシェルでも撃てばいいんじゃないかしら」

 

「き、君はなんてことを言うんだ! そんなモノを撃てば僕達にまで被害が出るぞ!」

 

アルカンシェルって何? 

 

俺と同じくわからない人は揃って首を傾げていた。

 

クロノの反応からしてすごい威力なんだろうけど……。

 

「……だれもここで撃てなんて言ってないでしょ? 上よ、上。そこでなら何も問題ないわ」

 

「上って……宇宙?」

 

なのはが空に人差し指で差しながら聞いた。

 

「そういうこと。露出したコアを転移させて宇宙空間でアルカンシェルを撃つ。そうすれば被害はゼロよ」

 

なるほどね。良い考えだ。

 

「おお! すごいね、愛衣!」

 

「もっと褒めてくれていいのよ?」

 

俺が賞賛すると、愛衣は少しだけ嬉しそうに微笑んでいた

 

「〈いや、原作でも同じことしてたからな!?〉」

 

「〈え、そうなの?〉」

 

「〈……ええ、そうよ〉(……あとで覚えときなさいよ)」

 

まるで親の仇でも見てるかのような視線を何故か雄人にぶつけていた。

 

「と、まあこれで作戦は決まりましたね。シャマルさん」

 

「ええ! 皆行くわよ!」

 

『はい(ああ/ええ/おう)!』

 

「まずはバインド!」

 

「ケージングサークル!」

 

シャマルさんの合図でユーノが緑色の輪っかでナハトヴァール全体を囲う。

 

『チェーンバインド!』

 

アルフの橙色の鎖と雄人の金色の鎖が体中を縛る。

 

『ストラグルバインド!』

 

それでも暴れるナハトヴァールにリーゼ姉妹の青白いバインドが二重に巻かれる。

 

「囲め! 鋼の(くびき)!」

 

ザフィーラがダメ押しとばかりに白い杭を何本も投下した。これでナハトヴァールの動きを完全に止めた、と誰もが確信したところでそれを裏切るかのように簡単にバインドを引きちぎった。

 

『ウボォオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

「プレシアさん! ヴァーリ君!」

 

赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!」

 

《Transfer‼》

 

「サンダーレイジ!」

 

赤龍帝の力が譲渡されたことで紫色の雷は赤紫になり、当たった瞬間、蛇の咆哮よりも大きな轟音を鳴り響かせながらバリアの一枚を壊した。

 

「あかりちゃん! はやてちゃん!」

 

「行くで、お姉ちゃん! 譲渡!」

 

効果に大差は無いが、はやては魔法でまねているだけなので掛け声が異なる。

 

「プレリカ、ロードカートリッジ!」

 

《了解だ。Load Cartridge》

 

プレリカから薬莢が二つ排出され、あかりの紺色の魔力光が輝きを増す。

 

「旋空――――――弧月!」

 

黒い刀から放たれる居合切りがバリアを紙のように切り裂いた。

 

あれがあかりの本気か……。

 

「愛衣ちゃん! 空君!」

 

お、俺の出番か! 

 

「私達の愛の力を見せ付けてやりましょう」

 

「はい、赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)~」

 

《Transfer‼》

 

軽く受け流して一回分の倍加を譲渡をした。

 

「つれないのわね……。アスト、ロードカートリッジ!」

 

《了解です。Load Cartridge》

 

白い魔力光が赤と混ざりピンクとなった。

 

「喰らいなさい! これが私と空君の愛の一撃よ!」  

 

愛衣は拳に魔力を溜めて触手を躱してバリアを思いっきり殴りつける。

バリアはビキビキと音を立ててゆっくり崩れ去った。

 

うん、すごいね……。あの変なところが無ければもっとカッコ良かっただろうに……。

 

「…………。……ハッ、次! アリサちゃん! シエラちゃん!」

 

我に返ったシャマルさんが慌てて指示を出す。

 

愛衣の台詞に茫然としたんだろうね……。

 

「さっさと譲渡しなさい!」

 

「分かっています。譲渡」

 

アリサが偉そうに言ってきても気にすることなく譲渡の魔法を発動した。赤と赤が混ざっても特に変わりはないが、感じる魔力がケタ違いだ。

 

「緋翼一閃!」

 

背中から炎の翼を生やして上段から燃える刀を振り下ろした。

炎の斬撃がバリアに罅を入れた。

 

マズイッ! このままじゃ!

 

バリアを壊せそうにないアリサの手助けに入ろうとしたが、それよりも先に銀色が動いた。

 

「剣よ、刺し貫け!」

 

黒と白の鍵の形に似た剣が何本も現れ、罅の入った部分にねじ込むとバリアが壊された。

 

「一応礼は言っておくわ……ありがと」

 

「主のためです。勘違いしないで下さい」

 

「んなッ!?」

 

アハハ……あの二人は仲悪くならないといいけど。それよりも―――

 

『空さんが使う剣と同じ形をしてましたね』

 

「うん、何かちょっと嬉しいね」

 

「なのはちゃん! ヴィータちゃん! 空君もお願い!」

 

「おう! 合わせろよ、空。それと……高町なのは……」

 

お、ヴィータがなのはの名前をちゃんと言えた! 

 

「! うん!」

 

なのはも名前を呼ばれて嬉しそうに返事をした。

 

「行くぜ、アイゼン!」

 

ヴィータがカートリッジを使うとアイゼンが変形する。

 

「アクセルシューター、バニシングシフト! シュート!」

 

桜色の誘導弾がヴィータに追いつくと枝分かれして流れ星のように落ちていく。

 

「空!」

 

「ああ! 赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!」

 

ヴィータの呼び掛けに俺は倍加した力を渡す。すると、ヴィータの魔力が上昇する。

 

「赤天! 龍砕! ウェルシュインパクトッ!」

 

態々技名を変えてまで強化された一撃はナハトヴァールを軽く呑み込む。

 

バリアが無ければ今頃コアも潰れていたんじゃないかな? まあ、いいか。これで五枚バリアを割ったけどまだあるね。

 

「ところで何で技名変えたの?」

 

「さっき力を貰った時思いついたんだ。中々良い感じだったろ?」

 

「そ、そうだね。アハハ……」

 

「シグナム! アリシアちゃん! ヴァーリ君! 空君ももう一回お願い!」

 

「行くぞ」

 

「はぁああああッ!」

 

アリシアがフォーチュンドロップを鎌から大剣へと変え、一振り。

翡翠色の刃がバリアとぶつかるが壊すまでには至らない。

 

「あちゃ~……」

 

悔しいが嘆いている暇はない。アリシアは即座にその場を離れた。

 

「ヴァーリ、頼む!」

 

「ああ、赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)

 

《Transfer‼》

 

シグナムがヴァーリから譲渡された力を受けると、レヴァンティンをボーゲンフォルムに変えた。

 

「翔けよ、(ドラゴン)!」

 

《SturmDragon》

 

お前もか! 技名変えるの流行ってるの!?

 

シグナムが放った矢は始めは火の鳥だったが譲渡を受けた影響で炎の龍へと進化した。

龍はバリアを貫通し内部で爆発を起こした。

 

「アリシア、受け取って!」

 

《Transfer‼》

 

後ろで翡翠色の大剣を構えていたアリシアに譲渡をした。

 

「撃ち抜け、雷神!」

 

《Jet Zamber》

 

ナハトヴァールを超えるほど巨大になった大剣を振り下ろしてようやくバリアが破れた。

 

これで全部のバリアが壊せたか?

 

『まだだ! 一枚だけバリアが残っている!』

 

俺の中にいるアルビオンに教えてもらうと、ナハトヴァールが歪な翼を広げて浮いていた。

 

「俺が行く! 空はもしもの時に備えておけ!」

 

「……分かった」

 

ヴァーリに最後の一枚を任せた。

 

え!? 籠手が剣になった!? 

 

ヴァーリの左手にあった赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が消えたと思ったら先程見た大剣になっていた。

 

《Divide‼》《Boost‼》

 

あれがヴァーリが見つけた力か……。

 

ヴァーリは半減の力でバリアを脆くし、倍加で一撃を強化したことで、あっさりと最後の一枚を破壊した。

 

「はやてちゃん!」

 

シャマルさんが指示を出すときにはすでにはやては詠唱を始めていた。

 

「彼方より来たれ、ヤドリギの枝。銀月の槍と成りて、うち貫け!」

 

白い魔方陣が展開し、七つの光がはやての上空に出来る。

 

リインフォースさんの声も聞こえた気がするのは気のせい……ではなさそうだね。

 

「石化の槍――――――ミストルティン!」

 

ナハトヴァールに光の槍が当たると、当たった個所から体が石に変えられていく。体がほぼ石となり、巨体が地面に落ちる。

 

……石化ってえげつない魔法だね。

 

これで終わったかと思いきや、ナハトヴァールは石になった部分を切り離して再生した。

コアを完全に壊さない限りは無限に再生し続ける仕組みなのだろう。

 

『クロノ君、やっちゃえ!』

 

アースラにいるエイミィさんの声を聞いてクロノを見ると、クロノの周囲が冷気を放っていた。

 

あれってグレアムさんから貰ったデバイスの魔法?

 

「凍てつけ!」

 

《Eternal coffin》

 

冷凍ビームが地面を凍らせながらナハトヴァールへと直進する。

 

……一応念には念を入れておくか。

 

「すずか」

 

「何?」

 

「俺の血飲んで」

 

「……え? え、どういうことなの?」

 

俺は自分の左手の親指を嚙んで血を出した。

 

「もしかしたらクロノだけじゃ足りないかもしれないから」

 

「それはわかったけど空君の血を飲んで何か変わるの?」

 

「説明メンドイから省くけど、一時的に神器(セイクリッド・ギア)が強くなる」

 

吸血鬼であるすずかが神器を持っているならギャスパーと同じことが出来るはず。

 

「……わかった。空君を信じて飲むね」

 

そう言ってすずかは目の色を赤くして俺の親指から出る血を舐めた。

 

「……? 何も――――――!? 力が……上がった? こ、これは一体……」

 

自分の力が格段に強まったことに驚いていたが今はそれどころではない。

 

「悪いけど考えるのはあと! アイツに全力ぶつけて!」

 

「うん! アイスメイク――――戦神槍(グングニル)!」

 

左の掌に右拳を打ち付けると、凍ってもなお暴れようとするナハトヴァールの体の下から鋭く尖った氷柱が突き出した。

 

危なかった……クロノだけじゃ足りなかったか……。

 

「今のすずかが出したの!?」

 

「う、うん、そんなところだよ……」

 

自分でもあんな技が出せたことに驚きを隠せないでいた。

 

よし、計算通り! 

 

「なのは! フェイト! はやて!」

 

『うん!』

 

桜色と俺達が使った魔力の光がなのはの下に集まる。

 

「全力全開! スターライト―――――」

 

紫色の雷がフェイトの大剣に落ちる。

 

「雷光一閃! プラズマザンバー―――――」

 

「……ごめんな……お休みな……」

 

それがたとえ分離された暴走体であっても、凍り付くナハトヴァールにはやてが別れの言葉を告げる。

 

「響け! 終焉の笛! ラグナロク―――――」

 

三人の砲撃の準備が整った。

 

『――――ブレイカーッ!!』

 

桜、金、白の三色の最大の砲撃がナハトヴァールに直撃し、凄まじい衝撃波が起こる。

 

「―――――――捕まえた!」

 

「長距離転送!」

 

「目標、軌道上!」

 

『転送!』

 

シャマルさんがコアを見つけて、ユーノとアルフが協力して三人で宇宙へと転送した。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Sideリンディ

 

「ナハトヴァールの転送確認しました! 転送されながらも再生中! 速いです!」

 

エイミィが操作をしてアルカンシェル発射の用意をする。

 

「ファイアリングロックシステム……オープン!」

 

私の目の前に小さな四角い箱が展開される。ロックを解除して箱が緑から赤に変わる。あとは手を翳して“発射”と言うだけだ。

 

「―――アルカンシェル、発射!」

 

ほとんど原型を留めていないナハトヴァールに向けて発射した。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

お、一瞬光った? あれがアルカンシェルなのかな?

 

俺が呑気なことを考えた矢先だった。

 

『え!? う、嘘でしょ!?』

 

「どうした、エイミィ! 何があった!?」

 

エイミィさんの驚きの声にクロノが冷静さを欠いて聞いた。

 

 

 

 

 

『……な、ナハトヴァールまだ消滅してません!』

 

……え? マジで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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