デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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今回のタイトルは槍師匠の戦闘開始のセリフを使ってみました。




本気は出しません! ええ、きっとです!

本気は出しません! ええ、きっとです!

 

Side空

 

管理局の地上部隊の訓練場に、俺とクロノを含めた管理局の人達五人が向かい合って並び立っている。観客席には三提督とティア、シエラがいて、少し離れた所にはいつの間にかなのは達がいた。

 

「えっと……君が私達五人と戦うのかな? 大丈夫?」

 

遠慮がちに青紫の長髪を緑色のリボンでまとめた女性が心配そうに尋ねてきた。

 

……普通はそう思うよね……。傍から見ると子供一人を寄ってたかっていじめてるみたいだもんな。

 

「クイントさん、問題ないですよ。彼は強い」

 

クロノがクイントさんと呼ばれた人の質問に答えた。

 

強いって言われても、神器(セイクリッド・ギア)や精霊の力を使わないから本気ってわけじゃないし、魔法だけの全力ってそうでもないんだよね。

 

「……あの歳でそこまで言われるのね。うちの子供とそんなに変わらないのにすごいわ……」

 

ん? 今聞き捨てならないことを聞いたぞ。

 

「一つ良いですか? えっとクイントさんでしたっけ?」

 

「ええ、そうよ。あ、私はクイント・ナカジマっていうの。よろしくね。それで聞きたいことはなにかしら?」

 

「クイントさんって子持ちなんですか?」

 

「ええ、娘が二人いるわ」

 

マジか……マジなのか……。この世界の大人ってやっぱおかしくない? 桃子さんといい、プレシアさんといい、リンディさんといい、年齢と見た目が合致しなさすぎ!

 

「あ、自己紹介が遅れました。俺は龍神空といいます。この度はお忙しい中、自分と戦って下さることに感謝します」

 

「私はメガーヌ・アルピーノよ。よろしくね。クイントとは同僚よ」

 

薄紫色の長髪の女性が俺に続いて、柔和な笑顔で自己紹介してくれた。

 

「俺はティーダ・ランスターだ。子供だからって容赦はしないぜ」

 

次は爽やか茶髪イケメンのお兄さんが自己紹介。デバイスを構えている姿がとても画になっていた。

 

「ゼスト・グランガイツ。クイントとメガーヌの上司だ」

 

槍を携えた体の厳つい男性が短く自己紹介。

 

……この中で一番強いね。

 

「ここは流れに乗って、僕も一応自己紹介を―――」

 

「あ、結構でーす。とっとと始めましょうか!」

 

「昨日のことをそんなに根に持っているのか!?」

 

「さー、なんのことだかさっぱりです」

 

クロノを適当に流して、バリアジャケットを展開する。

 

『六人とも用意はいいですか?』

 

『はい(ええ/ああ/うむ)!』

 

今回の審判役を務めるエイミィさんの声が訓練場に響く。

 

『それでは、試合開始!』

 

開始の合図が出ると、六人全員が一斉に動き出す。

 

最初に狙うなら―――――

 

「俺の戦い方を知ってるクロノからだよね!」

 

クロノも俺が真っ先に向かってくることが分かっていたのか、大量の魔力刃―――スティンガーブレイドを俺に向けて一気に放つ。

俺はブレイブを鍵の形をした双剣に変形させ、見聞色の覇気と武装色の覇気を使って躱し、受け流し、弾く。

徐々にクロノに近づいていき、剣が届く範囲に入った―――――

 

「私を忘れないでくれないかしら?」

 

――――ところでクイントさんの邪魔が入る。

 

「忘れてませんよ。――――他の三人も」

 

後ろから来る橙色の魔力弾を回し蹴りで蹴り返し、その回った勢いを利用してメガーヌさんの脇腹に剣を薙ぎ払う。

 

あとは……上か!

 

――――エリック! 上だ!

 

…………? 何だ今の? 変な電波を受信したぞ……。

 

「フンッ!」

 

って! そんなことよりあの巨体からは想像できないほどの速さだ! これが直撃すればただじゃ済まない! ―――――――ま、直撃すればのはなしだけどね。

 

槍を真正面からではなく、少しずらして受け流す。

 

「受け流したか……」

 

「地球には“柔よく剛を制す”ってことわざがあるんですよ」

 

「なるほどな。ならば―――――」

 

槍型デバイスに魔力を込めて力任せに横薙ぎに振るう。

 

「―――――剛よく柔を断つ、ただそれだけのことだ」

 

ッ!

 

たったの一振りで風が吹き荒れ、暴風が体重の軽い俺の体勢を意図も容易く崩す。

 

「四人とも、今だ!」

 

『了解!』

 

ゼストさんが作り出したチャンスに四人が動き出し、各々が高密度の魔力を集め始めた。恐らく次の攻撃で終わらせようとしているのだろう。

 

そう簡単には負けるつもりはないよ。

 

「〈ブレイブ、全力で防御魔法展開。俺の魔力をあるだけ使って〉」

 

《〈了解です、マスター〉》

 

特大の蒼い防御魔法が俺の四方八方に展開される。更にスフィアプロテクションという球状の防御魔法も発動させる。

スフィアプロテクションは空間攻撃や全包囲攻撃に対するための魔法だ。今回は複数からの砲撃だから丁度いい。

防御魔法と大量の魔力弾や砲撃魔法がぶつかり激しい煙と轟音を生み出す。

 

耐えるのシンドッ! しかも何もわからない!

 

俺の視界が煙で遮られ、耳が轟音で塞がれ、周囲の確認が目と耳では確認できない。

 

右から誰か来る……!

 

見聞色の覇気を全開で使い、感じた反応は一つ。煙に紛れて何者かが攻めてきた。

 

「はぁぁぁああああああッ!」

 

攻撃してきたのはゼストさんだった。返り討ちにしようとブレイブを銃にして魔力弾を撃ち放つ。

 

「えッ!?」

 

しかし、撃った弾丸はそのままゼストさんの体を貫通したが、元からそこにいなかったかのように消えた。

 

なにあれ!?

 

そして、驚いている間に背中に攻撃を受けて地面に叩きつけられた。

倒れた瞬間、目に映った青紫の髪で理解した。

 

近づいてたのはゼストさんじゃなくてクイントさんの方だったのか!

 

見聞色の覇気ではしっかり反応できていた。でも、それがゼストさんではなくクイントさんだった。俺がゼストさんの幻影(?)に目を奪われているうちに背後に回り、攻撃。この煙の中じゃ近くにいてもわからないのは当然だ。

 

管理局にもなかなか強い人いるもんだね! 

 

いつまでも寝転んでいてもただの的でしかない。すぐに起き上がり、体勢を立て直す。

煙が晴れて、俺の数mさきに五人が揃っていた。

 

どうやって攻めるかな? さっきの幻影みたいなやつはクロノ以外の魔法のはず。でも、影分身とは違って、見聞色の覇気で偽物かどうかは見破れるから二度と騙されない自信はある!

 

「その顔つきからすると降参はしないようだな」

 

「たかが一撃もらっただけですからね。まだまだ余裕ですよ。二度とさっきの幻影みたいなのに騙されないでしょうし」

 

「へぇ、言うじゃんか。だったらさっきよりもスゲー幻術魔法を見せてやる」

 

過剰に反応したティーダさんがあの幻影を作った犯人のようだ。

 

さてさてさーて、これは早めに決着をつけるべきかな。ただでさえ人数で不利なんだから、長期戦は厳しいことになるからね。

 

「(九喇嘛、力使うね)」

 

『……構わんが、いいのか?』

 

「(眼の色が変わる程度なら誤魔化せるから大丈夫)」

 

『お前がそう言うなら任せる。存分にやれ』

 

「(ありがと)」

 

九喇嘛の魔力を引き出すと、体から力が溢れる。

 

よし、いける!

 

目標――――クロノに向かって直進。

 

「クッ……!」

 

側頭部めがけて蹴りを入れるがギリギリで防がれた。しかし、衝撃を受け止めきれず横に吹き飛んだ。

 

「次!」

 

防御魔法を踏み台にして高く跳躍。落下しながら回転して勢いをつけてティーダさんの頭に踵落とし。ティーダさんが展開した防御魔法を壊して地面に叩きつける。

 

やられたのはクイントさんだったけど、一応幻術のお返しってことで。

 

殴りかかってくるクイントさんの拳を避け、その勢いを利用してメガーヌさん目掛けて一本背負いで投げ飛ばす。

 

『キャアッ!?』

 

投げ飛ばされたクイントさんとメガーヌさんがぶつかって二人そろって倒れる。

 

残るはゼストさん! 

 

縦に振るってくる槍を半歩横にずれることで躱し、槍の上を伝って蹴りを入れる。

 

「甘い!」

 

そう簡単にはいかず、片腕で防がれる。

一度距離をとってから再度接近。ゼストさんの足にローキック。

 

(かた)ッ!

 

まるで岩盤を蹴っているような感じがする。……実際蹴ったことないから知らないが。

防いだ腕とは反対の方の手で俺の足を掴んで来ようとしてきたのを魔力弾をその手に撃って逃げる。

 

ゼストさんを倒すなら……螺旋丸がいいかな?

 

螺旋丸は乱回転させた魔力。それだけなら管理局に知られても問題なさそうだし、知ったところで習得は困難を極める。俺の場合は九喇嘛がいてくれたからすんなり覚えることが出来たのだ。

 

「行きま――――」

 

『はい! 試合はそこまで!』

 

「……え?」

 

突然ストップがかかって、地面をズザザッ、と音を立ててから止まる。

 

「時間切れか……」

 

ゼストさんはどこか名残惜しそうに呟いていた。

 

「ど、どういうことですか、エイミィさん!」

 

『どういうことって……この試合は時間制限付きの試合でしょ? 聞いてないの?』

 

「聞いてません!」

 

初耳なんですけど!

 

『ごめんなさいね。あなただけには敢えて言わなかったの』

 

なぜに俺だけ?

 

「君に時間制限付きだと言えば、逃げ続けるだけで実力を隠すかもしれないと思われたそうだ。……一応、僕はそんなことしなくても君が全力を出すと言ったんだがな」

 

クロノの言う通り、確かに時間制限付きなら俺が実力を隠さないとも限らない。実力を見定めるためにも俺に伝えなかったのなら納得がいく。

しかし、これでは――――

 

「不完全燃焼だよぉ……」

 

『ワシも同じだ。随分と舐めた真似してくれるじゃねぇか』

 

決着がつかなかったことに俺と九喇嘛の口から不満が零れる。

 

あとで誰かに相手してもらおっと。

 

「それで、今の試合で十分ですか?」

 

五人が治癒魔法を使っているのを横目に三提督と話す。

 

『ああ、よくやってくれた。お主の実力大したものじゃ』

 

「そうですか。あ、先に言っておきますけど管理局には入んないですからね?」

 

『わかっている。わざわざこちらの世界に足を運んでくれたのだからな、それ以上のことは要求するつもりはない。だが、今の試合の労いぐらいは構わんな?』

 

「はい、それぐらいなら」

 

『では、今から先ほどいた場所に戻ってきてくれ。ゼスト・グランガイツ達五人もだ』

 

『ハッ!』

 

五人が三提督に向かって揃って敬礼をする。

俺はティアとシエラと合流してクロノの後を追う。

 

 

 

 

 

高級なホテルの一室に戻るとテーブルの上には大量の料理が置かれていた。

 

「あのーこれは……?」

 

「労いだ。先ほどの試合のな。好きなだけ食べるといい」

 

「でも、試合しただけですよ?」

 

「君は自分がどれほどすごいか分かってないようだな」

 

クロノが呆れてため息交じりに説明してくれる。

 

「僕たち五人に対して攻撃を一撃しか受けずにいた。それどころかこちらが君に攻撃を受けた。その上、10分間も戦い続けたんだぞ。これをやってのけた君のことをすごいと言わず何と言う?」

 

「えーっと、そっちが弱い……とか?」

 

「これでも魔導師ランクがA以上の人ばかりなんだが」

 

「その基準変えたら?」

 

「できるか!」

 

「冗談だよ。ま、あのまま続けて勝てたかどうかはわからないけどね。ゼストさん強いし、他の四人も相当な実力持ってるから」

 

長期戦だったら絶対に負けてるね。

 

「試合の話はそこまでにしてね? 美味しい料理が冷めちゃうわ」

 

ミゼットさんからストップがかかり、話をやめて料理を食べることにした。

 

「なあ、空」

 

「何ですか、ティーダさん?」

 

料理に舌鼓を打っていると、ティーダさんが傍にやってきた。

 

「無理を承知で頼む! 俺のことを鍛えてくれないか!?」

 

「いいですよ」

 

「そこをなんと―――――……え、いいのか?」

 

「はい、俺でよければ」

 

「あ、ありがとう!」

 

「じゃあ、早速修行開始です」

 

「いきなりか!? い、いや、なんでもバッチコイだ!」

 

「焼きそばパン買ってきてください」

 

「……は? や、焼きそばパン? なんだそりゃ? ――――ってかそれってパシリじゃねぇか!」

 

焼きそばパンがわからなくても買ってこいというのでパシリと理解したのだろう。

 

「ナイスツッコミです」

 

「意味が分からんわ! 修行はどうした!?」

 

サムズアップをすると肩をグワングワン揺らされる。

 

「これだから最近の若者は……」

 

「ホントね……。ティーダ君は違うと思ってたのに残念ね」

 

「ティーダ、お前はその程度か?」

 

「ゼストさん達何言ってるんですか!? お、おいクロノ! 助けてくれ!」

 

ゼストさん、クイントさん、メガーヌさんに見捨てられ、クロノに助けを求める。

 

「空はきちんと指示を出したのに、それを断った君がどう考えても悪い」

 

「嘘だろおい!? 俺に味方はいないのか!?」

 

クロノにバッサリ切り捨てられ、頭を抱えて床に膝をつくティーダさん。三提督も少しだけ苦笑いしてた。

 

そろそろ可哀そうになってきたからやめようか。

 

「俺がここにいるのはあと二日かそこらなんで、その間だけ付きっきりで教えます。そのあとは、ティーダさんが忙しいと思うんで、一週間に一回アースラに来てもらえば教えます。それでも構いませんか?」

 

はやてと一緒に謝りに行くから教えるのは影分身だけど。

 

「あ、ああ! 全然いいぞ!」

 

ティーダさんと連絡先を交換してから三提督やクロノ達としばらく雑談したのち解散した。

 

 

 

 

 

ホテルを出てクロノの案内の元、とある場所に向かっている。

 

「空、ティーダには何を教えるつもりなんだ?」

 

「戦闘面に関してはそこまで教える必要はないかな。だから、覇気とかでいいんじゃないかな?」

 

ティーダさんの射撃魔法と幻術魔法のレベルは相当なものだ。それなら別の部分を鍛えてあげればいい。

 

「なるほどな。それなら僕も少しだけ教わってもいいか? 武装色の覇気はある程度まで出来るようにはなったんだが、見聞色の覇気がまだいまいちでな」

 

実を言うと、なのは達のついでにクロノにもジュエルシード事件の時に教えてる。

 

「うん、了解」

 

「ありがとう。おっと、話しているうちに目的地に着いたぞ。ここが無限書庫だ」

 

「ほうほう、これが以前言っていた例のあれですか!」

 

俺達の前にある大きな建物――――無限書庫。俺がクロノから聞かされた時から行きたかった場所だ。

今回ミッドチルダに行くついでに来ようとしていたのだ。

以前までは局員しか入れなかったが、今では一般開放されている。

クロノに引き続いて中に入る。カウンターの近くにはヴァーリ、雄人、ユーノ、ザフィーラさんがいた。

 

「あれ? 四人ともどうしてここに?」

 

「ヴァーリ達がいてくれたから思ったよりも準備が早く終わったんだよ。で、時間つぶしのためにここに来てみたんだ。なのは達は本局の方で手続きをするってさ。もう少ししたらこっちと合流するって言ってたよ」

 

「教えてくれてありがと。ささ、早く中に入ろうよ!」

 

「急かさなくても書庫は逃げないぞ」

 

「時間は逃げるんですー!」

 

「はぁ……わかったわかった。おい、フェレットもどき、案内を頼む」

 

「だからフェレットもどき言うなって言ってるだろ!?」

 

「お、おいおい、喧嘩すんなって。ここには他にも人がいるんだぜ?」

 

雄人が二人を窘めようとするも口論は白熱していく。

 

「雄人の言う通り、マナーは守るべきものだ。こういう公共の場ではなおさらのことだ」

 

「盾の守護獣だけに、か?」

 

「お、ヴァーリ上手い! 座布団一枚!」

 

「……ノーコメントだ」

 

たまたま口に出したことがそうなるとは思ってなかったのか、ザフィーラさんは恥ずかしさからそっぽを向いた。

結局、二人の喧嘩は司書さんらしき人に止められるまで続いた。

 

 

 

 

 

俺達は無限書庫の一般区画の奥にある未整理区画の一部――――古代ベルカ区画に足を運んだ。

聖王や覇王について書かれた本を探すためだ。

あわよくば、新しい技を作ってみたい、なんてことも考えてたりする。

しかし、ここで大きな問題が発生した。

先ほど言ったが、ここは未整理区画。つまり本の完全には整理がされてないわけだ。

となると、ただでさえ広く、本の数が多いここで目的の本を探すのは至難の業になる。

 

「いきなり心が折れそう……」

 

「アハハ……頑張れ。僕も手伝うからさ」

 

ユーノから励まされ、頑張って探すことにした。

というか探すのが途中から面倒になってきて、ユーノから教わった複数の本を同時に読む魔法で片っ端から読んでいく。

ベルカ文字を習って日が浅いので、知ってる単語から大雑把にその本の情報を読み取り、すぐに別の本をとる。

そして、約一時間後。

 

「―――――お、これか?」

 

ついに聖王―――オリヴィエについて関りがあるらしき本が見つかった。

 

……戦争……聖王の、ゆりかご? 

 

ページをめくるとオリヴィエ・ゼーゲブレヒトが生を終えるまでの話だった。

どうやら、彼女は戦争を止めるために聖王のゆりかごと呼ばれる巨大兵器に乗った。結果的に戦争は終わったが、彼女は代償として若くしてその命を散らした。

 

「……昔は戦争なんて当たり前か。地球でも多くの戦争があったんだから」

 

読み終えた本を閉じてから呟く。

 

「この人は……所謂、英雄ってやつだよね」

 

『私が英雄ですか……。自分ではそうは思いませんがね』

 

「自分で英雄だって言ったところでただのアホ。偉業を成して、周りから英雄って言われてこそ、その人は英雄なんだよ」

 

『……確かにそうですね。周りから認められてなければ意味をなさない』

 

「だから、戦争を止めたこの人は英雄だと思う。多くの命がなくなったけど、それ以上に多くの未来の命を守った。……誰にでもできることじゃない。それはきっとすごいことなんだよ」

 

『ありがとうございます。あなたのおかげで私がしたことは間違いでないとわかって良かったです』

 

「それはよかっ――――――ん?」

 

ちょっと待って。俺はさっきから誰と話してたんだ?

 

本の内容を整理してたから一切相手に顔を向けなかった。そもそも相手はユーノだと思っていたが、よくよく考えると全く知らない声だ。

 

『どうかしましたか?』

 

俺は声のした方に振り向き、話していた相手の顔を初めて見る。

頭の後ろでお団子にされた金髪。右眼が緑、左眼が赤のオッドアイ。両腕には銀色の籠手があった。

 

えっと……この人、どっかで…………―――――――あっ。

 

手にしていた本を開き、とあるページを見る。そこには一枚の写真があった。

その写真と俺が会話していた相手を見比べる。何度も見比べてから問いかける。

 

「つ、つかぬ事をお聞きしますが……あなた様はオリヴィエ・ゼーゲブレヒトさんでございますでしょうか?」

 

彼女は微笑みながら教えてくれた。

 

 

 

 

 

『はい、私が―――――オリヴィエ・ゼーゲブレヒトです』

 

 

 

 

 

 

 

 




神器使ってないから本気じゃないよね!
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