デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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オカルト研究部にお邪魔します!

オカルト研究部にお邪魔します!

 

Side空

 

スカサハ先生の課外授業の翌日、その日も早朝からヒロインXさんに鍛錬の相手になってもらった。

もちろん、試合を十回やって十回負けてもおかしくない英霊が相手になっているのだから、相当疲れる。

でも、その分やりがいがあるし、勉強になるとさえ思えた。そして何よりも英霊と戦えることが楽しくて嬉しくて仕方がない。

朝食を食べ終えた後は英霊達が暇潰しの相手になってくれることにも感謝だ。

藍さん曰く、「英霊達も私が授業の間は暇で仕方がないんだよね。空君がこの世界に来てからは、ほとんどの英霊があなたとの交流を楽しんでるから、こっちとしても助かってる」だそうだ。

お互い暇な者同士で楽しく時間が潰せるのなら幸いだ。

 

「―――――集中しろ」

 

後ろから叱咤の声が上がる。余計なことを考えていたことがバレバレのようだ。

一度、持っている弓と矢を下ろし、目を閉じたまま深呼吸。そこからまた構える。

俺にとっての気を引き締め治すには一番の方法だ。

 

「…………!」

 

目をカッと開き、的に狙いを定めて番えた矢を放つ。

俺が放った矢は的を―――――射ることはなかった。

 

「ぐぬぬ……!」

 

「フフッ、外したか。まあ、余程の才能か強運の持ち主でなければ初心者は当たらんだろうな。この私だって最初は上手くいかなかったさ」

 

後ろを振り返れば、先程俺に叱咤を飛ばした女性―――――アタランテさんが小さく笑っていた。

彼女はギリシャ神話で有名な女狩人の英霊だ。

そんなわけで今日は弓道場でアタランテさんから弓術を習っていた。

 

「貸してみろ」

 

弓を彼女に渡すと、彼女自身の魔力で矢を作りだして番える。

迷いなく一瞬で狙いを定めて矢を放った。見事に的の中心を射ていた。

 

「ぐぬぬ……!」

 

彼女の腕に尊敬する。それどころか尊敬せざるを得ないほどだ。

 

「さっきからそれしか言ってないぞ?」

 

「もう一回やります!」

 

「ホレ」

 

弓を受け取り、今度は俺もアタランテさんを真似て、自身の魔力で矢を作り出し番える。

そこに集中力向上のルーン文字を刻んで放つ。

的の中心には当たらなかったが的にはどうにか当てることが出来た。

 

「ルーンか……」

 

「ズルいですか?」

 

「いいや。自身の力を使ったのだから文句は言わん。むしろ上出来だ」

 

アタランテさんは褒めながら俺の頭を優しく撫でてきた。

頭を撫でられることはあまりない事だったので、恥ずかしさで顔が熱くなる。

 

「照れているのか?」

 

「……こ、こういうことあまりされたことなかったので」

 

十香達だと抱き締められたり、膝枕が多い。今更だがスキンシップが激しすぎると思う。

 

「……そう言えば、家族がいないと言っていたな。…………ああ、そうだな、そうしよう」

 

アタランテさんがブツブツと一人で呟き始めた。

 

「私は汝を立派な狩人にする」

 

「……………………はい?」

 

「実はな……私は私を産んだ両親に捨てられたんだ」

 

「王族……でしたよね?」

 

「ああ」

 

捨てられた理由は王が男の子を望んでいたからだそうだ。

 

「だから私は子供が辛い目にあうのはどうしても放っておけない」

 

自分の境遇故に同じ目にあって欲しくないからだろう。

 

「汝も例外じゃない」

 

「えーっと、アタランテさんは一つ勘違いしているみたいなので言わせてください」

 

「なに?」

 

「俺、血縁者はいないですけど家族はいます」

 

「強がらなくても良いんだぞ?」

 

「いやいや強がってないですから」

 

証拠として十香達を呼び出した。

 

「この人達が俺の家族です。ね?」

 

十香達に尋ねると揃って頷いてくれた。

 

「将来的には結婚する予定」

 

「折紙さーん、そんな予定はありませんよー」

 

「私達は告白した。空は結婚したいと言った。つまり両想い。結婚しても問題ない」

 

「いやっ、だから、その……えっと…………それについては保留で!」

 

不満たらたらの十香達を自分の体の中に無理矢理入れ戻した。

 

「ふぅ……と、まあ色々ありましたけど証拠になりましたよね?」

 

「あ、ああ。汝も大変なんだな」

 

あれ、なんか同情された!? あ、確か多くの男性に求婚されたんだっけ?

 

「私とは違って彼女達の好意が嫌そうではないな。彼女達の満足のいく、自分の納得がいく答えを見つけ出すといい」

 

それはいつか答えるつもりだ。いつになるかはわからないけど。

結婚云々は頭の隅に追いやり、引き続きアタランテさんから弓術を習うことにした。

 

 

 

 

 

「ようこそ、オカルト研究部へ」

 

放課後、清浄星花という転生者に呼び出され、オカルト研究部の見学に誘われた。

暇である俺の答えは当然肯定だ。

そして、今はオカルト研究部の部室に案内されたところだ。

部室の中には見知った顔もいたが、一言で言えば第一印象でキャラが濃そうな人ばかりだった。

 

「知ってる人も知らない人もいるだろうから紹介しておくよ。彼はつい先日異世界からやって来た龍神空君だ。皆仲良くしてあげてね」

 

「はじめまして、龍神空です。今日はよろしくお願いします」

 

「ねぇねぇ~、あなたに渾名付けてもいい~?」

 

俺の自己紹介が終わると、制服の袖を余らせているのほほんとした女子生徒が話しかけてきた。

 

渾名……そういうの無かったなぁ。

 

皆から名前で呼ばれることが多いので渾名は新鮮だ。

快く承諾して渾名を付けてもらうことにした。

 

「じゃ~ねぇ~、龍神だから~……タッツー、でど~かな~?」

 

「良いと思います」

 

「そっかそっか~。ありがとね~。あ、私は布仏本音(のほとけほんね)っていうんだよ~。皆からは本音とかのほほんって呼ばれてるんだ~」

 

のほほんという渾名は名前を省略しただけでなく、本人の性格からも来ているのだろう。

 

「私はオカルト研究部の顧問を務めているアイリスフィール・フォン・アインツベルンよ。皆からはアイリ先生って呼ばれてるわ」

 

次に話しかけてきたのは銀髪の女性だ。どことなくイリヤと似ている気がする。

 

アイリスフィール……フ(・)ォ(・)ン(・)・ア(・)イ(・)ン(・)ツ(・)ベ(・)ル(・)ン(・)?

 

驚くことにまさかのイリヤと全く同じ苗字だ。

 

「あの、失礼かもしれませんけど聞いてもいいですか?」

 

「なにかしら?」

 

「アイリさんはお子さんいらっしゃいますか?」

 

「いないわよ。私、子供どころか結婚もしてないもの」

 

どうやら俺の思い違いらしい。

イリヤと兄さんのお母さんがどこかにいるということは知っているが、流石に異世界ではないだろう。

 

「そうですか。変なこと聞いてごめんなさい」

 

「いいのよ。気にしてないから大丈夫よ」

 

そこから他の部員達の自己紹介をしてもらい、普段の活動内容を教えてもらった。

なんでも世界各地の事件や謎を解明する部活だそうだ。

 

「それで今日は空君との顔合わせと、明日調査に行く『不帰(かえらず)の館』の会議をするつもりさ」

 

ほほう、早速明日には調査開始ですか。

 

「その不帰の館っていうのはどんな場所なの?」

 

水色の髪に眼鏡をかけた女子生徒―――更識簪さんが星花に尋ねた。

 

「ネットの情報だともう誰も住んでいない古い屋敷だったよ。ただ、奇妙なことに入っても普通に帰ってこられるらしいんだ」

 

『?』

 

全員の頭に疑問符が浮かぶ。

帰ることが出来るのなら不帰(かえらず)とは言わないはずだ。

 

「しかも帰ってきた人のほとんどが無事」

 

全員じゃないところに何かあるのだろう。

 

「ほとんど、ということは何人かは……」

 

「そうだね。空君が気が付いた通り、何人かは……性格が変化したらしい」

 

元の性格が変化する(帰らない)から不帰、ということから不帰の館となったのかもしれない。

 

「中で起きたことは載ってなかったの?」

 

「ああ。念写を使ったけどわからない。直接性格の変わった本人に聞くのがいいかもしれない」

 

会議は進み、明日はグループごとに分かれて調査をすることになった。

俺、星花さん、簪さんが不帰の館の現場調査。

藍さん、のほほんさん、アイリ先生が聞き込み調査。

その他の詳細なことも決めて、本日の部活動は終了となった。

 

 

 

 

 

翌日、星花さんと簪さんと共に現地に到着した。

 

「ここが不帰の館……」

 

何十年もの間放置されてきたのか、庭の植物は錆び付いた柵からはみ出し、庭は小さなジャングルと化していた。

鍵の掛かっていない門を潜り抜けてかろうじて通ることのできた道を辿っていくと、古びた館の前に出た。

ボロボロの玄関扉にが警察が使う黄色いテープが巻かれていたが、無造作に破られた跡があり、もうすでにその役目をはたしていなかった。

ここにやって来た人達が邪魔だと感じて破ったのだろう。

上を見上げれば、館の窓は打ち付けられた木の板で開かないように塞がれていて、日の光がほとんど差し込まれないようになっていた。

 

「それじゃ、お邪魔―――――」

 

「オラァッ!」

 

扉を開けようと手をかけた瞬間に扉は館の中に吹き飛んでいった。

 

「おっと、僕は扉があったから普通にノックしただけだぜ。悪いのは僕じゃなくてノック程度で吹き飛ぶ弱っちい扉の方だ」

 

男前なセリフを吐きながらやれやれといった感じに立っている星花さんの傍にはスタープラチナが存在していた。

その隣では簪さんが呆れていたが。

 

「さあ、とっとと中に入ろうぜ」

 

星花さんを先頭に館の中に入っていった。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side藍

 

私達三人は再度集まる時間と場所を決めて、各自で館付近の近所に住む人に質問して回っていた。

今は時間になったので二人と合流したところだ。

 

「そっちはどうだった?」

 

先生が最初に切り出してきた。

 

「う~ん、私はどれも微妙かな~」

 

「私もです」

 

しかし、私達二人の応えは成果の得られないものだった。

 

「私もよ」

 

それはアイリ先生も同様だ。

館付近を中心に近所の人に質問していったものの、大昔はお金持ちが住んでいた、人が住まなくなってからは不良達のたまり場や肝試しの場所になっていたそうだ。

私達が得られた情報はそこまでだ。

もちろん性格の変化したという当事者の下にも訪れた。

だが、不(・)帰(・)の(・)館(・)に(・)つ(・)い(・)て(・)の(・)記(・)憶(・)が(・)一(・)切(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)のだ。

 

「あとはジョジョ達を待つしかないわね」

 

ジョジョがいるなら心配はいらないだろうけど、嫌な予感がする……。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

調査開始から数分が経った。

誰も手を付けていないことはわかっていたので家中が埃まみれだった。

今はお昼頃だが、電気は付かず、日の光が入らないので館内はかなり暗い。

しかし、それだけで一向に謎らしきものはないし、不思議な現象も起こっていない。

 

 

 

―――――…………見つけた。

 

 

 

「ん? 今誰かしゃべりました?」

 

「いや」

 

「何も言ってないよ」

 

『俺達も何も言ってないぞ』

 

星花さんも簪さんのどちらも、ましてやドライグ達でさえも何も言ってないようだ。

ただの空耳だと思い、館内の探索を続けた。

 

 

 

「……何もありませんね」

 

一時間程調査したが館内には何もなかった。

 

「うん。ジョジョ、今回は引き上げる?」

 

「悔しいけど時間も遅いから今回はここまでにしよう」

 

入った時と同じく、星花さんを先頭にして館から出るために玄関に向かった。

植物が好き放題に伸びる庭を通り、門をくぐる―――――直前に、俺の体は後ろから“何か”に引きずられていった。

 

「ッ!? 空君!」

 

「追いかけるぞ、簪!」

 

二人が気が付いて追いかけてくるが、すでに門をくぐった二人の前に不可視の壁があるのか、門をくぐることができないでいた。

そして、引きずられた俺は館内に連れ戻された。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side星花

 

「クソッ!」

 

何もないと油断していた自分に腹が立って仕方がない。

苛立ちの余り、館全体に張られている不可視の壁をスタープラチナで殴りつけるがビクともしなかった。

 

「ジョジョ、先生達と合流しよ?」

 

「だが!」

 

「スタープラチナの力が通用しないのなら今の私達には無理だよ」

 

「…………わかった」

 

簪の提案に頷き、アイリ先生と連絡を取って合流することにした。

 

 

 

『空君(タッツー)が館内に閉じ込められた!?』

 

三人と合流して起きたことを説明すると三人が驚きの声を上げた。

 

「しかもジョジョの力が通用しないだなんて……」

 

藍が険しい顔つきで呟いた。

その言葉がその場にいる全員を俯かせた。

 

『おい雑種』

 

「……何? ギルガメッシュ」

 

若干苛立たし気にギルガメッシュに返事を返した。

空君が館内に閉じ込められたという非常事態に焦っている所為でそういった反応になってしまったようだ。

 

こんな非常事態になんのようだろうか? いや、英雄王の宝具なら!

 

「藍、ギルガメッシュに頼んで―――――」

 

『あの者を心配するだけ無駄だと思うぞ。そもそもこの我(オレ)の宝具を使うなどと万死に値する』

 

僕の言おうとしたことは頼もうとした本人に遮られた。

 

「……無駄ってどういう意味?」

 

『あやつは英霊(オレ)達に近しい存在だ。こ(・)の(・)程(・)度(・)の(・)こ(・)と(・)苦にもならんだろうよ』

 

『英雄王と同じ意見なのは気に入りませんが、私もそう思います』

 

ギルガメッシュだけでなくアーサー王まで心配は必要ないと言ってきた。

 

 

 

『というかアイツ、アルテミスやゴルゴン三姉妹と同じ―――――神(・)だぜ?』

 

 

 

『…………………は? はああああああああああッ!?』

 

オリオンのセリフに英霊以外の僕達は度肝を抜かれた。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

“何か”に引きずられて館内に連れ戻されてしまった。

無理矢理解こうと思えば出来た。だが、―――――

 

謎が解明出来るチャンス! だったらこれはもう解くしかないでしょ! じっちゃんの名に懸けて! あ、俺じっちゃんいないや。うん、ここはゼルレッチおじさんの名に懸けてにしておこう。

 

おふざけはそこまでにして周りを見回す。しかし、星花さんが吹き飛ばした扉が元に戻ったくらいで、それ以外は最初に来た時と何ら変わりはない。

 

 

 

―――――……ようやく二人きりになれた。

 

 

 

「声?」

 

館内に不気味な声が木霊した。声の主を探すが見当たらない。

 

―――――……あなたを待っていたの。

 

「俺を……?」

 

―――――……あなたの心、とても素敵よ。

 

良くわかないが褒められたようだ。

 

―――――……だから―――

 

後ろにあった扉が開き、部屋から少女が姿を出した。

 

 

 

 

 

「―――――あなたの心を壊させて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







ミステリーとかホラーって難しい……。


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