デート・ア・リリカルなのは   作:コロ助なり~

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VRゲーム体験します!

VRゲーム体験します!

 

Side空

 

「―――せいッ!」

 

『グギャアアアアアッ!』

 

両手で握りしめた黒い大鎌を横から振るった。俺の攻撃を受けた猿のような敵は胸のあたりがバッサリ切り裂かれ、体力が尽きてポリゴンとなって目の前から消えていった。

 

「……よくできてるなぁ」

 

戦闘後に大鎌をバトンのように軽く振り回しながら感想を呟く。

 

「そろそろ皆と合流しようかな」

 

敵と戦っていた森を抜けて皆がいるであろう街に向かった。

 

 

 

 

 

「あ、空! こっちこっち!」

 

街に入ると、俺を見つけた美雷がここにいるとわかりやすくするようにその場でピョンピョン跳ねていた。彼女からすれば楽しむことに一杯でそんな意図は全くなさそうだが。

 

「他は?」

 

「皆はお店の中だよ」

 

そう言って美雷が指差した方向にあるお店の中に皆はいるらしい。扉を開けてそこそこ広い店内を見回すと、割と目立つ髪色のメンバーだったことと人がそんなにいなかったことですぐに皆が見つかった。

 

「……遅いわよ、空」

 

「ごめんね、七罪、美九」

 

「私は全然大丈夫ですよー。好きな人を待ってる時間も悪くないですから!」

 

メンバーの一人である七罪と美九に謝り、美九の隣に座る。美九が抱き着いてくるがいつものことだから気にしない。

俺が来たことによってメンバー全員が集まり、一度情報交換をすることにした。

そして、情報交換して改めてわかったことがあった。

 

「……ホントにこのゲーム―――SAOはすごいね」

 

 

 

 

 

ティーダさんとティアナが地球に来てから数日が経ち、季節は冬に変わった。ティアナはまだまだ人見知りが激しいようだが、歳の近い白音や一葉と会話をある程度はするようになったそうだ。

そして、今日は龍神家にいつもの仲良しメンバーが集まっていた。ただし、今回はアザゼルさんに召集されたのだ。

 

「今日はとあるゲームをお前らにやってもらう!」

 

『お疲れさまでしたー』

 

満場一致で俺達は碌な目に合わないと悟った。

 

「しょっぱなから酷ぇなおい!」

 

「……この間、お前の実験に付き合っただろ? しかも割と甚大な被害をもたらしたな」

 

実際に被害を被ったのは俺一人ぐらいだが、精神的に皆も被害を受けたのかもしれない。

 

「安心しろ! 今回はそんなヘマはしねぇ!」

 

『……どうだか』

 

これまでの行動を振り返るとアザゼルさんがすることの大半は碌なことじゃないと学んでいる。今回も何かしらハプニングが起こるに違いない。

 

「鞠亜にも協力して―――」

 

『で、ゲームがなんでしたっけ?』

 

「掌返しが早いなおい!? そんなに俺の信用度は低いのか!?」

 

『え? 逆に高いと思ってるんですか?』

 

「うぐっ……」

 

俺達の正論に言葉を詰まらせ唸ることしかできない堕天使総督。だが、それを一切合切跳ね除け、強引にゲームを紹介しだした。

 

「……とある人間が面白そうなもん作ってたから、俺が協力した。細かいところは鞠亜にも手伝ってもらってる。だから問題はないはずだ。そして! これがそのゲーム―――SAO(Sword Art Online)だ!」

 

アザゼルさんが展開した魔法陣から一人の男性とゲームの筐体と思われる機械が出てきた。

 

「この男がゲームを作った人間―――茅場晶彦(かやばあきひこ)だ」

 

「初めまして、茅場だ。君達のことはある程度アザゼルから聞いているよ。異世界どころか悪魔や堕天使がいると聞いたときは思わず腰を抜かしそうになったよ」

 

表情がほとんどないと言ってもいいくらいの顔で饒舌に話し出す茅場さんに対して、初対面だが子供心を忘れていないという印象を持った。

 

……その隣には万年厨二病のヒトもいるからおかしくはないか。

 

「作ったと言ってもまだ試作品の段階だ。そこで君達にはテストプレイヤーをお願いしたい。もちろん、それなりの報酬は払う。アザゼルがな」

 

「俺かよ!?」

 

「契約では資金に関してすべてアザゼルが負担するとなっていたが?」

 

「あー、そういやそうだった……」

 

今回はその要件でここに来たというわけか。

誰よりも先に新作のゲームが体験できるのなら、その手の人は逆にお金を払ってでもやりたがるかもしれない。

 

「試運転で機体もそこまでない。四人程でいいだろうか? 時間制限付きで交代でやっていこう」

 

「そこらへんが妥当だろ。おい、お前ら、くじ引きで決めろ」

 

「あ、俺パスで」

 

『え!?』

 

俺が手を上げて不参加を申し出ると皆が驚いていた。

 

「……君は興味がないということか?」

 

「そういうわけじゃないです。むしろすごくやりたいです。でも、ちょっとやりたいことがあるので」

 

「そうか。いきなり不評だったら作っている側としてはショックだったのだが、忙しいなら仕方がない」

 

ゲームをしない俺はその場から離れた。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side明日奈

 

「なーんか、最近の空って付き合い悪くないかい?」

 

アルフさんの言うことは最もだった。

最近の空君は私達と一緒にいることが少ない。十香さん達かドライグ達と一緒かと思えば、そうでもないらしい。それどころか家にいないことも多くなったそうだ。しかも学校に影分身で来ることも増えていた。 

 

「……女じゃねぇのか?」

 

『それはない』

 

アザゼルさんの呟きに誰もが一斉に否定した。

 

空君が女の子と……? ハッ、アザゼルさんの厨二病が治るレベルくらいで有り得ないことだよ!

 

(二次元の)彼女が出来ました事件があったけど、高校までは彼女を作らないという約束は守るはずだ。

 

「俺も俺だが、アイツもアイツで色々可哀相だな……」

 

……でも、空君が何だか遠くに行っちゃったみたいで嫌だな……。

 

「そろそろくじ引きをしないか? 時間は有効に使うべきだと私は思う」

 

私達から生まれた寂しい空気を払い飛ばすかのように茅場さんがゲームを促してきた。くじ引きの結果、最初はあかりちゃん、星奈ちゃん、すずかちゃん、私が体験することになった。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

修行でクタクタになって家に帰ってくれば、皆が楽しそうにはしゃいでいた。

スキルやアイテム、敵という聞こえてきた単語から大方、茅場さんの作ったゲームのことだろうと連想した。

 

「茅場さんのゲームは楽しかった?」

 

と聞けば、皆は声を揃えて「楽しかった」と返してきた。

なんでも今までにないVR(バーチャルリアリティー)型のゲームだそうだ。

 

「空も今度やってみてはどうだ?」

 

「機会があったらね」

 

「……なあ、空」

 

「ん? なに?」

 

「……いや、なんでもない。気にしないでくれ」

 

いつもは自分の意見ははっきりと言う十香だが、今日は変だった。

本人が気にするなとのことなので俺も気にしないことにして夕飯を作る事にした。

 

 

 

 

 

後日、強制的にゲームをやらされることになった。

流石に一度も体験しないのは茅場さんに申し訳ないし、十香達に一緒に遊びたいとお願いされたら断ることも憚られた結果、俺もSAOをやることにしたのだ。

 

根を詰め過ぎても修行は捗らないから息抜きもアリか……。

 

ベッドの上で頭全体を覆う灰色のナーヴギアを装着した。

フルダイブシステムがどうのこうのと茅場さんが俺の知らない日本語で言っていたが、安全面は鞠亜がいるので心配はないことだけはわかった。それだけも十分だろう。

 

「えっと……始めるときは……―――『リンクスタート』」

 

俺の初めてのフルダイブが始まった。

 

 

 

 

 

『待ってましたよ、空』

 

フルダイブして最初に出会ったのは鞠亜だった。

 

『ここではアバター作りとチュートリアルを行います。チュートリアルはスキップ出来ますがどうしますか?』

 

「一応聞きたいな」

 

『わかりました。それではまずアバター作りから説明していきますね』

 

鞠亜に一から教わりながらアバター作りを始めた。

 

 

 

 

 

「ほえー! これが仮想世界かー!」

 

この世界での自分となるのアバターを作って、鞠亜からチュートリアルを聞き終えると、噴水のある広場に転移させられた。

パッと見では現実世界と間違えても可笑しくないくらいに精緻に作られていた。

次に、気になって試しに自分の体をペタペタ触った。すると、現実世界での感触と違和感が全くなかった。ただ、体温は感じなかった。

 

「うーん、体が重いな……」

 

他の皆もそう思ったことだろう。だが、それを差し引いても楽しかったと言えるのなら、このゲームはかなりの完成度に違いない。

 

「さて、そろそろ冒険でもしようか」

 

完成版では百層の浮遊城―――アインクラッドを作る予定らしいが、この試作版では一層だけだ。

 

「……その前に武器やアイテムを揃えるのが良いんじゃない?」

 

「あ、七罪!」

 

俺よりも少し背の高い緑色の髪の少女がアドバイスをくれた。

 

「七罪のことだから姿変えるかと思ってたけど、自分そっくりにしたんだね」

 

「……その方が互いに分かりやすいから。これは皆で話し合って決めたことよ」

 

アバター作りの際に現実の姿とそっくりにする選択肢もあった。俺もオリジナルを作ることを面倒臭がってそのままの姿にした。

 

「そっか。でも、いつもの七罪の方が断然いいよ」

 

「…………っ! と、ともかく! 他にも一緒にプレイしている人がいるから合流するわよ」

 

七罪に手を引かれて連れてかれた。

ゲーム内だとレベルが上がるごとにステータスも上がるというRPGにありがちな仕組みだ。だから、現在のレベルが1の俺では、先にプレイしていた七罪に太刀打ちできないということになる。

ましてや、―――

 

「だーりんっ! 待ってましたー!」

 

美九に抱き着かれても抵抗する術がないということだ。

本来ならハラスメント防止コードがあるはずと聞いているのだが、この程度では発動しないのか、もしくは鞠亜が意図的に切っているかのどっちかだ。

 

「筋力値が私より下だと分かってるから抵抗しないんですか?」

 

「まあ、そういうこと」

 

「じゃあ今日はだーりんにあんなことやこんなことをし放題ですね!」

 

「……ほどほどにしなさいよ? あんまりひどいと鞠亜が強制ログアウトさせるって言ってたわ」

 

七罪は美九の標的が自分から俺に変わったことに安心したのか、軽い忠告をして優雅に紅茶を飲んでいた。

 

「ログアウトさせられても現実で無防備なだーりんに抱き着きますから大丈夫です!」

 

「それは俺が全然大丈夫じゃないよ!」

 

見えないところで何かされるくらいなら目の届く場所にいてもらった方が良いに決まっている。

 

「美九、俺の傍にずっといてね」

 

『…………』

 

あれ? 二人が固まった。俺、可笑しなこと言ったかな?

 

「だーりん」

 

「なに?」

 

「結婚しましょう」

 

「なんで!?」

 

笑顔でいることが多い美九が珍しく真面目な表情だったが、いきなりの求婚でビックリだ。七罪は驚きすぎて紅茶を噴き出していた。

 

「このゲームには異性との結婚が出来るシステムがあるんです。片方が申請して、もう片方が承諾すれば結婚成立となります」

 

「へぇ、そんなのがあるんだ…………じゃないよ! 俺が聞きたいのはいきなりプロポーズした理由!」

 

「そんなのだーりんがプロポーズしたからじゃないですか! そして、私はだーりんが好きです! つまり結婚しかありません!」

 

「あれはそういう意味で言ったんじゃないから! 俺がゲームをしてる間だけ傍にいてってこと!」

 

結婚申請のメッセージが美九から送られてきたが、即座に拒否した。

 

「それならこのゲーム内だけでも結婚しましょうよー!」

 

「俺の年齢知ってる!?」

 

「見た目は子供ですけど実年齢は問題ありません! それにこの仮想世界に現実世界の法律なんて存在しませんから!」

 

茅場さん、なんて世界作ってんの!? 

 

「さあさあ!」

 

再度、美九から結婚申請のメッセージが送られてきた。当然―――拒否だ。

 

「なんでですか!?」

 

「軽々しく結婚は出来ません。たとえ仮想世界だろうと何だろうと、大事なことはキチンと決めるべきだよ」

 

「ぶぅ~! だーりんのイケズ……」

 

拗ねた美九は頬を膨らませて文句を垂れていた。

 

「……私も反対よ。それもルールでダメって決まりでしょ?」

 

「七罪ちゃんまで……。わかりました。ゲーム内での結婚は諦めます」

 

七罪に諭され、美九は若干まだ不満そうにしながらも納得してくれた。ついでに腕の力が緩んだので抜け出した。美九が名残惜しそうな声を不意に漏らしたが、十分抱き締めただろうから気にせず七罪の隣に座った。

 

「で、そろそろゲームをしたいんだけどいい?」

 

「……そうね。まずは空の装備を整えましょうか」

 

七罪の案内の下、NPCが運営しているお店に入った。

お店の中には色々な武器や防具が置かれていて、いかにもRPGらしい特徴があった。

 

「……武器や防具に触れれば、名称や能力値、値段とかが見えるから」

 

「へぇー」

 

説明を受けてから触ってみると、七罪に言われた通りにステータス画面が表示された。

しかし、如何せん数が多い。剣だけでも片手剣、両手剣、曲剣、細剣などに分類されているからどれが良いのかわからない。

武器と違って数がある程度に限られている防具は適当でいいとしても、武器はどうしても悩んでしまう。

 

「……良いのが無いならドロップアイテムでも渡そうか?」

 

「どんなの?」

 

「……この大鎌とかどう? 結構レアで初心者でもすぐに使える強い武器なんだけど、誰も欲しくないみたいで売ろうかなって思ってたの。いる?」

 

「そうだね、折角だからもらうよ」

 

七罪からプレゼントとして大鎌を送ってもらった。

開封すると大鎌のステータス画面が表示された。

名称は《黒龍鎌(ブラック・サイズ)》。名称通りに石突から刃先に至るまでの全てが真っ黒な鎌だった。

 

「結構気に入ったかも。名前にドラゴンがあるのもいいね」

 

「……それは良かった」

 

続いて防具も決めて、街の外でモンスターと戦うことになった。

 

 

 

 

 

「あれ? あそこで戦ってるの……美雷?」

 

「みたいですねー」

 

街を出てすぐの場所で、青髪の少女が大きな剣を豪快に振り回して猪型のモンスターを蹴散らしていた。

 

「アハハハハ! 楽しいー! やっぱり僕って最強!」

 

楽しんでいるところを邪魔するわけにはいかないので、戦闘が終わったのを見計らって美雷に近づいた。

 

「やっほー、美雷」

 

「空! それに美九に七罪!」

 

声をかけるとこちらに気が付いて、ダッシュで近づいてきた。

俺達よりも先にプレイしていたらしく、誰かが来るまで街の周辺で戦っていたそうだ。結局、あまりに夢中になり過ぎて俺達が街にいたことに気が付かなかったみたいだが。

 

「これで今日のメンバーが揃いましたね。初心者のだーりんのために簡単なクエストでも受けますか?」

 

「討伐系のがいい!」

 

美九の提案に美雷が真っ先に返した。

 

「……だそうよ? 空は?」

 

「それでいいよ。慣れるなら実戦が一番だと思うから」

 

反対する理由は無かったので、一旦街に戻って討伐系のクエストを受けることにした。

依頼内容は《コボルド》五体の討伐だ。

敵の出現場所は洞窟のため徒歩で向かう。洞窟に着くまでに出現する敵を倒して、俺が少しでも戦闘に慣れておくように七罪達がサポートしてくれた。

 

『戦い方がエグイ……』

 

だが、俺の戦いを見ていた三人からドン引きされた。

例えば、猪型のモンスター《フレイジーボア》と戦う場合、真っすぐに突進してくるのをタイミングよく横に回避して、大鎌を縦に振り下ろして頭を斬り落とす。武器の性能が高いので一撃で相手を倒すことが出来る。

 

戦い方としては間違ってないんだけど、確かにエグイな……。

 

もしも現実世界でも同じ武器を使っていたなら相手を倒すために確実にこの戦い方をしていただろう。

今更武器を変更するのも億劫なので、そのままの戦闘スタイルで洞窟に乗り込んだ。

入ってから数分もすれば、コボルドと遭遇した。

 

「最初は空に譲ってあげるよ」

 

「ありがと」

 

俺が一番槍となってコボルドに接近。コボルドがジャンプして両手に持った木槌を振り下ろしてきた。

覇気が使えなくてもこれまでの戦闘経験で攻撃の予測はなんとなくで出来る。

体を横にずらして回避、からのコボルドが着地した瞬間を狙って足払いをかけて転ばせた。さらにコボルドの木槌を蹴飛ばし、防ぐ術を完全に失ったところで頭を切り落とした。

 

『だから戦い方がエグイって!』

 

皆に二度目のドン引きを頂きました。

その後も皆のおかげでコボルドを順調に倒し、クエストクリアとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






次回はボス戦を書く予定です。あとソードスキルですね。

アニメは見ましたが、原作知識がないので、指摘があればぜひお願いします。
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