遅くなって申し訳ございません。完成度が微妙……。
大晦日です!
Side空
「~~~♪」
鼻歌交じりにテキパキと料理を作っていく。
今年はジュエルシードに始まり、夜天の書等の事件がたくさん起きた。それに加えて色んな人との出会いと別れもあった。
多忙な時期ではあったがそんな一年はあっという間で、気が付けばもう今年の終わりが近い。
「今頃、皆は何してるかな?」
いつもは騒がしいはずの龍神家には今は俺一人だけしかおらず、静かだ。
クリスマスが過ぎたものの、アリサパパの提案でほとんどの人が年越しまではバニングス家に泊まることになったためだ。
本来なら俺もバニングス家にいるはずなのだが、年明けに食べるおせちを作らなければならないため龍神家に残っているのだ。
「さーてと、あんまり待たせると皆に怒られそうだから、早く終わらせないと」
作るスピードを上げて完成まで一気に持っていった。
『遅ーい!』
おせちを作り終えて、バニングス家に行くと皆から一斉にバッシングを受けた。
「いやいやいやいや! これでも早く来たんですけど!」
おせちを作るのに時間が掛かってしまうのは仕方のないことだ。
「空君、時間は有限なんだよ。特に一年の終わりなら尚更に一緒にいたいと思うでしょ? わかる?」
「わかりません!」
もちろん時間は有限だし、皆と一緒にいたいのはわかるが、それとおせちを作るのは別問題だ。
「わ・か・る? いや、わかれ」
すずかがまさかの命令口調!?
大人しいすずかが乱暴な言葉を使ったことが今年で一番驚いたかもしれない。
それはともかく、時間はお昼過ぎ。
テレビでは特番が多くやっているが、俺達子供にとってはあまり興味が惹かれるものは少ない。
ゲームをするにしても大人数では出来ない人が出てきてしまうから却下。茅場さんがSAOを完成させていたならまだ話は変わっていたかもしれない。
かと言って、遊び盛りな時期の(はずだけどやけに精神年齢が高かったり、修行目的で遊んだり、最近忙しいこともあり、そういったことをあまり出来て無い)俺達子供が室内でジッとするのもどうかと思われる。
でもなぁ、外に出ようにも雪が積もって…………雪?
「雪合戦……しよっか」
『へ?』
唐突な提案に皆がキョトンとする。
「雪合戦! こんなに雪が積もったのにやらないなんてありえない!」
雪合戦なら大人数でも遊べるはずだ。
皆もずっと部屋に籠っているよりかはいいと感じたのか、外に出始めた。
「チーム分けはくじ引きね」
鮫島さんが急いで作ってくれたくじを順番に引いていく。
赤と青の2つのグループに分かれ、敵味方が分かりやすいようにそれぞれの色の付いたハチマキを各々体のわかりやすいところに巻き付ける。
「ルールは簡単。制限時間は10分。勝敗を決め方は試合終了時に残っていた人数の多さ、もしくは各チームで決めた大将が当てられた時点で当てたチームの勝利。雪玉に当たった人は鮫島さんが立ってる場所に行くこと。当たったのに残り続けた場合はお年玉が減ることを覚悟してね? 〈それから一般人もいるから異能は禁止〉」
『はーい!』
元気の良い返事が返って来たところで互いのチームが別々の場所に集まる。
円陣を組んで俺が入っている青チームのメンバーを見渡す。
ヴァーリ、なのは、アリシア、アリサ、愛衣、クロノ、
対する赤チームは雄人、フェイト、すずか、明日奈、舞衣さん、エイミィさん、美由希さん、ヴィータ、折紙、耶具矢、七罪、美九、黒歌、朱乃、ネリネ、シア、はやて、あかり、ユーノ、美雷、夜空。
「さてと、大将誰にしよっか?」
「空だとたとえ大将じゃなくても嫌でも狙われるだろうから、別の奴がいいだろう」
うん、決して嫌われてるからとかじゃないって信じてる。……違うよね?
折紙や夜空辺りは俺が大将にならないことは想定しているはずだ。
となると、大将に良さそうなのは……
「青チームの大将は君にお願いしてもいい?」
不意に目に入った人物に青チームの大将を任せた。
『試合、開始です』
拡声器越しに鮫島さんの声が届いた。それと同時に俺達は一斉に動きだした。
まずは雪玉の確保だ。
足元の雪をかき集めて両手で丸める。それを作って積んでいく。
「空、発見!」
「全員で狙い撃ちよ!」
「うげっ」
数十個程作り終えたところで赤チームに発見されて狙われた。
「赤チームは俺が大将だと思ってるの?」
「ううん! 別に空が大将じゃなくてもいい! とりあえずさっさと退場して!」
最初に俺を発見したフェイトが、傍にいる明日奈が作る雪玉をどんどん投げてくる。体を横に向けながら走り、時折雪玉を作っては投げつける。
逃げていたらフェイト達に俺が作った雪玉を取られてしまったが仕方がない。
「え~? 俺って嫌われ者? ……というか気合入り過ぎじゃない?」
「空を当てれば……な、なんでもない! 気合が入ってる理由は……えーっと…………鈍感男への日頃の恨みだよ!」
「どんな理由!? 今の俺って八つ当たりの対象なの!?」
おのれ! 鈍感男許すまじ!
フェイトに続き、俺を狙う赤チームのメンバーがぞろぞろ集まって来た。
ここまで集中砲火されるのは予想外。だが、好都合だ。
「皆ー! 頼んだ!」
走りながら号令を飛ばす。
『うんっ!』『はいっ!』『ああっ!』
返事が返ってくるとともに俺を追いかけてくる赤チームの左右から青チームが現れ、雪玉を投げつける。
俺に夢中になっていた赤チームの数人が当てられて退場となった。難を逃れた人は俺を諦め、別の方向にばらけていった。
『赤チーム、3名退場です』
鮫島さんのアナウンスが入る。相手の大将は当たった人の中にはいなかったようだ。
「作戦成功!」
『イエーイ!』
青チームで集まりハイタッチを交わす。
理由はわからないが俺が狙われるのはなんとなく予想が付いた。そこで俺自身が囮となり、相手をおびき寄せることで残りのメンバーが横から狙う、というのが作戦―――
『青チーム、5名退場です』
―――なのだが、一気に青チームの戦力が減らされた。
どうやら囮だったのは俺だけでなく、フェイト達もだった。
この流れは折紙の作戦かな。
まだこちらの大将も倒されていない。逆転のチャンスはある。そのためにも狙うなら折紙や夜空といった参謀役だからだ。
「空、折紙と夜空を狙いましょう」
同じことを考えたらしい星奈が提案してきた。
星奈は三人一組を即興で5組作り上げ、そのうち4組を折紙と夜空を狙わせる。残りの1組は他のメンバーを狙うという作戦になった。
「問題点は―――美雷です」
「フハハハハハ! 僕が来たぞっ! 勝負しろー!」
星奈が懸念していた人物、美雷は巨大な雪玉を抱えて俺達の前にやって来た。
美雷が問題点になる理由は、いい意味でも悪い意味でも彼女にとって作戦など無意味に等しいからだ。
お馬鹿さんだから作戦を立てたところでその通りに動いてはくれない。であるならば、彼女は放置させて好き勝手にさせて合わせた方が味方としては多少は楽になるし、敵のこちらとしては読めない動きで作戦を潰される可能性を秘めている。
「力だけで勝てるとは思わないことです、美雷」
投げつけてきた巨大な雪玉を回避し、星奈と俺は雪玉を投げ返す。
「当たらん! 当たらんぞー!」
敵であっても思わず褒めたくなるような俊敏な動きで俺達の雪玉を躱す。
「あ、美雷! あそこ見て!」
明後日の方向を指差して美雷の視線を誘導。もちろんその先には何もないが、疑うことを知らない単純な美雷はものの見事に引っ掛かり俺達から視線を外す。
「ん? 向こうに何か―――うわっ!? 冷たっ!」
気を取られた瞬間に横から白音が美雷に投げつけた雪玉が顔面にクリーンヒット。
「今のずるい! 卑怯だぞ!」
「勝てばいいのです」
能力は使ってないからルール違反はしてない。
騒ぐ美雷を受け流し、他の人を狙いに行く。
夢中になって雪合戦をしていたら気が付けば、相手もこちらも残りは5名になっていた。
青チームは星奈、ヴァーリ、白音、ユーリ、俺。赤チームは夜空、朱乃、黒歌、シア、雄人。
強敵のはずの折紙がいないのは、十香の捨て身攻撃で相打ちとなったようだ。
うーん、ただの雪合戦なのにガチになり過ぎかなぁ。
とは言ったものの、今更考えても仕方がないことだ。
見る限りじゃ、皆楽しそうだし最後までやりきるのがベストだ。
「白音、覚悟するにゃ!」
「……姉さま、やはり私達は戦わなければならない
「そうよ。この世はいつだって弱肉強食。強い奴しか生き残れない。それがたとえ肉親だとしても!」
「……わかりました。姉さまがその気なら私も全力で戦います」
「フン、知らないようだから言っておくけどね……この世に姉より優れた妹なんていないのよ!」
「……そんなことはありません。私がそれを証明してみせます!」
姉妹の激しい戦いが始まった!
『いや、このやり取りは一体なんなんだ?』
二人のやり取りを見て誰もがツッコミを入れる。そんな隙を突いてヴァーリが朱乃を退場させていた。わざと当たったような気はするが、それは朱乃にしかわからない。
「空君! 覚悟!」
「必殺仕事人!?」
シアからの殺気が込められた雪玉が次々と俺に襲い掛かる。夜空と雄人も加わってきて逃げるだけだ。
なんか、今日は標的にされやすい日だなぁ。
「夜空、私は今日下克上をします」
「ほう? 我に向かってか。面白い。出来るものならやってみよ!」
逃げ回っていると星奈が俺からひきつけた夜空と対峙していた。
さっきからクライマックスなやり取り多くないか?
「空、俺と勝負しろ!」
「お、おお。雄人。いつになく気合が入ってるね」
「ああ、俺には絶対に負けられない理由があるんだ!」
あれ? この雪合戦に何か賭けてたっけ?
思い返してみるが心当たりは何もない。
「負けられないのはわかった。俺も全力で―――!? あっ……」
横からシアが俺が話している隙を突いて雪玉を投げつけてきた。見聞色の覇気を使っていなかったため反応に遅れたが何とか躱せた。しかし、雄人からの追撃をかわすことは出来ず、肩に雪玉が当たった。
残念ながらここで俺は退場だ。
「当たった! よっしゃー!」
「やったっす!」
大将じゃない俺を当てたのにこの喜びよう、何かが引っかかる。
聞きに行きたいがいつまでもここにいるわけにはいかないので、大人しく退場者たちが待つ場所へと向かう。
退場者たちのいる場所にはストーブを囲むようにしておかれた長椅子に皆が座っていた。
十香の隣に座って俺も温まることした。
「空、赤チームに当てられたのか?」
「そういうこと。いやー、結構楽しかった」
「そうだな。私も楽しかった」
「でもなんか赤チームが可笑しいんだよね。やけに俺を当てることに拘ってった感じがする」
赤チームだったメンバーを見渡すと露骨に目線を逸らした。
今の反応で確信したが、何かを隠してる。
「どうやら、決着がついたようですね」
双眼鏡で試合を見ていた鮫島さんが試合終了のホイッスルを吹いた。
ホイッスルの音に気が付いた残りのメンバーたちがこちらにやって来た。
「この度の雪合戦、勝者は―――青チームです」
どうやら大将は最後まで残ってくれたようだ。良かった良かった。
「一応各チームの大将を言っておきましょう。赤は夜空様。青は白音様でした」
「えっ!? 白音!?」
一番驚いていたのは戦っていた黒歌だった。
「はい。大将に指名されました。気負うことは何一つなかったので自由に楽しめました」
白音にした理由は俺達の中でも小さい体格で雪の上でもすばしっこいことから当てにくいと判断したからだ。結果として黒歌と戦っても当たらずにいた。見事作戦勝ちだ。
「さて、もう一戦する? それともかまくらでも作る?」
赤チームの疑いはまだ晴れていないが今は一旦おいておこう。
話し合いの結果、雪合戦の次は二人一組での雪を使った作品勝負となった。1位から3位のペアには賞品を用意すると鮫島さんが言っていた。
「愛衣とペアか。よろしく」
くじ引きの結果、愛衣と組むことになった。
「ええ、こちらこそ。お題は自由だけど何を作る?」
簡単なものだと勝負には勝てないだろう。でも、難しいのだと少なくともモデルとなる何かが無いと作れそうにない。
「アルビオンはどうかしら? 雪は白いから白い龍は表現しやすいと思うわ」
「それだとヴァーリと被るんじゃないかな?」
他のペアの作品は発表されるまでわからないが、俺の予想ではヴァーリはアルビオンを作ると思う。折角のいい案だったが申し訳ない。
「対抗するならもう片方の天龍にしてみるのが面白いかな。ねえ、ドライグ?」
『ハッ、そりゃいい! 是非とも作ってくれ!』
「決まりね。(これ、初めての共同作業よね……? また一歩大人の階段を上ってしまったわ)」
急に浮かれ出した愛衣に困惑しながらもドライグの雪像を作り始めたのだった。
『できたー!』
小一時間かけてなんとかドライグの像が完成した。
「(赤じゃないからドライグに見えないね)」
『構わん。良くできてる』
愛衣はこういう芸術の才能に長けていたおかげで俺が予想していたよりも大分早く作り終えることが出来た。
余程集中していたのか先に作り終わった皆が見に来てたことに気が付かなった。
「これ、ドラゴンか!? すごい完成度じゃないか!」
兄さんが俺達の作品を褒めてくれた。
大人たちの投票の結果、俺と愛衣の作ったドライグが3位。星奈と夜空が作ったどこかの城が2位。そしてエイミィさんとクロノが作ったアースラが1位となった。入賞賞品は高級ディナーへの招待券をもらった。
冬だから早々雪が溶けることはないだろうが、何かの拍子に壊れてしまうかもしれないので、その前に愛衣と二人で記念撮影をすることになった。
あとで
「―――……どうしてあなた達までいるのかしら?」
『気にしないで!』
シャッターを切る直前になのは達が俺達を囲むようにして撮影に割り込んできた。
愛衣がなのは達を睨みつけるがどこ吹く風と言った様子だ。
「まあいいじゃんか。皆で撮った後に二人で撮ろうよ」
「空君がそう言うなら我慢するわ」
渋々愛衣を納得させ、雪のドライグと共に写真を撮った。
「もう少しで今年も終わりだね」
暖房の効いた部屋で紅白歌合戦を見ながら年越しそばを食べていた。
十香と美雷はわんこそばのペースでどんどん食べていくのに反比例して料理人さんの疲れがどんどん溜まっていく。毎年十香が良く食べるのはわかっていたようだが、今年は十香だけでなく美雷という新顔がいることを想定してなかったせいできっと今頃厨房は大変なことになっているに違いない。
紅白の結果発表が終わるとテレビの電源を落とした。
除夜の鐘、聞こえるかな?
耳を澄ましていると遠くの方でゴーン、ゴーンと音がする。
煩悩の数―――108回叩くらしいが、美九や折紙の煩悩を消すには足りないと思う。
現に今も美九は七罪に抱き着いてるし、折紙も俺の太ももを触ってきてる。
直接頭叩いて煩悩消す方法って駄目かな?
除夜の鐘が鳴り止んだ。
『明けましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします!』
皆で向かい合って一斉に新年の挨拶を交わす。
そこまで子供達は大部屋でまとまって就寝。大人組は子供がいなくなったことで酒盛りだ。
明日からは皆、父親や母親の実家に行くのでしばしのお別れになる。次に会えるのは5日以降だ。
皆揃って寝始めてから一時間程経過した頃、俺とヴァーリがほぼ同時に起き上がった。
俺達は黙って頷き合うとこっそり音を立てないように外に出る。
大人たちがいる方をチラッと窺うとほとんどが酔いつぶれていた。
『寒ッ……!』
お昼の時よりもずっと気温が低かった。
僅かな抵抗として小高い丘まで走ることで体温を上げた。
「よし、新年最初の戦いやろっか!」
誰もいないのを確認して結界を張る。
互いに構える。
実はヴァーリと新年開始早々に戦うことを約束していたのだ。
多分、日が昇るくらいまではやるつもりだ。
「行くぞッ!」
ヴァーリが動き出すのを見て、こちらも動き出す。
拳と拳をぶつけ合う―――刹那、ピンク色の砲撃が俺達の間を通り過ぎる。
条件反射で砲撃がやって来た方向を振りむく。
そこにはデバイスを構えて白いバリアジャケットを着たあく―――なのはがいた。他にもフェイトやはやて達も全員勢ぞろい。俺達が抜け出したことに気が付いてついてきたのだ。
「ちょっとちょっとー。邪魔するのはいかがなものかと思うんだけどー?」
「二人がこそこそしてたから気になって来てみれば、修行? 呆れたわ……」
「なに、こういうのも面白いと思ってな。いっその事お前達も含めて全員でやるか?」
「つまり……最強決定戦ってわけか! やろうやろう!」
『やらんわ!』
悲しいかな。乗り気だったのは俺とヴァーリのみだ。
俺達は再び拳を構え、なのは達が呆れた視線を向けるのも気にせずに修行を再開した。
―――今年も一年、良いことがありますように。