その手に握る刀は何のために   作:ユウヤ

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プロローグ
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「はぁぁぁぁぁ!!」

 

「ゴァァァァァ!!」

 

とある密林に鬼気とした叫びが響き、重い咆哮が轟く。現在、一人のハンターと陸の女王リオレイアが戦っていた。ハンターはリオレイアの攻撃を避け続け、一瞬の隙を見切って背中の太刀を一閃する。リオレイアも黙ってはおらず尻尾を振り回し、時に噛み付き、火球を吐いてハンターが近づくのを防いでいた。

 

「その尻尾、もらった!!」

 

リオレイアが尻尾を振るのに合わせてハンターは太刀を逆回転で当てて尻尾の勢いと太刀の切れ味を利用して尻尾を切断する。

 

「グオァァァァァ!?」

 

尻尾が切れたことでリオレイアは断末魔を上げて転がりまわる。その隙をハンターが逃すわけが無かった。一気に距離を詰めて太刀に気を込め大きく振り下ろす。振り下ろすたびに太刀は赤い光を放つ。太刀使いの技、『気刃斬り』だ。

 

「ふっ、はっ、せい・・・おるぁ!!」

 

最後に太刀を腰に構え、一気に振り上げた。太刀使いでも使えるのは僅かと言われる技、『気刃放出斬り』だ。太刀に込めた気を一気に開放して気の刃で斬りつける。

 

ドパァ!!

 

放出された気刃は空気を叩き斬り、凄まじい音共に気の刃がリオレイアに迫る。

 

「ガァァァァァ!?」

 

今日一番の咆哮を上げてリオレイアは仰け反った。気刃の勢いが巨体のリオレイアを動かしたのだ。ハンターはそれ以上攻撃はせず、ただリオレイアを見ていた。

 

「ゴァァァ・・・。」

 

リオレイアは呻き声のような声を発して仰け反った体勢から地に倒れた。つまり戦いは終わったのだ。

 

シャリン・・・

 

ハンターはリオレイアが倒れたのを確認して太刀を背中の鞘に納めた。

 

「さて、剥ぎ取って帰るとするか。」

 

 

そう言ってハンターは腰に挿している剥ぎ取り用ナイフでリオレイアの骸から素材を剥ぎ取る。一抱えもある甲殻や鱗、棘を剥ぎ取ってベースキャンプに戻って船で帰りの準備を始めた。

 

所変わってメゼポルタの大衆酒場。リオレイアを討伐したハンターは現在の拠点であるメゼポルタに一日掛けて戻ってきていた。

 

「これが今回の報酬です。お疲れ様でした~。それとお手紙を預かっています。」

 

「ありがとう。」

 

今回の狩猟報告を終え、受付嬢から報酬とハンター宛の手紙を受け取る。それから別のカウンターで手ごろな料理を頼んだ。

 

「お待たせしました。こちらが氷砕サーモンの刺身と北風みかんのジュースです。」

 

少し待つと頼んでいた料理が運ばれてくる。刺身の魚も飲み物も一級品だった。他のハンターとは違い酒ではなくジュースと言う選択はあまり見ない。それはこのハンターが飲酒できない年齢だと言うことだ。名をユウヤ、年齢は18。実力は通常、着ている装備で判断できるのだがこのハンターの武具はギルドが定めた汎用防具ではない。どうやらギルドが特例を認めた名工が作った一品物らしい。一品物の武具を持っていると言う事はこのハンターの実力が歳と釣り合わないほど高いことがわかる。少し経つとハンターは食事を止めて手紙を開いた。

 

「手紙の送り主は・・・ドンドルマのギルドナイト本部か・・・。」

 

なんと送り主はギルドナイト、しかも本部からだった。送り主に驚いている様子が見えないことからどうやらギルドナイトに知己がいるようだ。

 

「やっぱりガルトさんからか・・・。『東方大陸の東部で雷狼竜の番いが目撃されたそうだ。雷狼竜の番いの出現によって周辺に住むモンスターが活発化しているらしい。付近には新米ハンターが一人しかいない小さな温泉村があり、今回はその村からの救援依頼だ。だが残念なことにその村は温泉村とは言え小さい。当然報酬金は少なくなってしまう。おかげでロックラックやタンジアの港のハンターズギルドで人を募っても報酬の少なさに手を挙げなかったそうだ。おかげで海を挟んだこちらに応援要請が来たということだ。大長老様からギルドナイトに正式に依頼が来た。すぐさまドンドルマでハンターを募ったが同じように人は来なかった。悲しいことだが報酬と難易度が彼らからすれば釣り合っていないのだろう。それで申し訳ないのだがもし君が良かったら応援に行って貰えないだろうか?』とねぇ・・・ふぅむ・・・。」

 

東方大陸の東部、その地域にはドンドルマやミナガルデでは確認されていないモンスターが多数発見されおり、現在でも断続的にモンスターが発見されるという半分未開の地だ。未開と言う言葉に惹かれてドンドルマやミナガルデから新モンスターを求めて旅立つハンターも少なくは無い。発見された雷狼竜・ジンオウガは近年メゼポルタが管理する狩場でも発見されている。一応このハンターは数回ほど経験はあった。そしてもう一つ、封筒には紙が入っていた。それを見ると初めてハンターは驚きを見せた。

 

「よりにもよって発見された場所の近くにある村が・・・ユクモ村だとはな・・・。行くしかないな。」

 

どうやらユクモ村と言うのはこのハンターにとって何かしら縁のあるところなのだろうか。名前を確認したとたんすぐに料理を食べ終えると酒場から急いで自室に帰り、手紙を書いてそれを再び酒場に戻って受付嬢に早急に返送するように言って渡し、また自室に戻って荷物をまとめ始めた。加えて自宅兼工房の炉を丁寧に崩して煉瓦にし、持ち運びができるようにした。どうやらこのハンター、狩猟だけでなく鍛冶もできるようだ。一晩寝ずに荷物をまとめ終え、竜車に荷物を積み終えて酒場に戻ってみると半日で手紙の返事が送られてきてた。内容は『依頼を引き受けてくれてありがとう』と言った感じだった。それを確認してハンターは家を売る手続きを終えると東方大陸の東部、ユクモ村を目指してドンドルマを旅立った。

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