その手に握る刀は何のために   作:ユウヤ

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第十話 別れの意味

ユウヤ親衛アイルー五人衆が来てからの初の狩猟から数日。ユウヤ一行は川原で釣り糸を垂らしていた。

「ニャーレイナ嬢はよほど気に入られているようニャ」

とこぼしたのは筆頭アーノルドだった。

 

「・・・なんのことやら」

 

「刀神と言われ数年。声をかけて来た女性は数知れず。なのに部屋にすら入ることすら叶わぬ仕舞。だけど」

 

「部屋にあがってさらに食事を共にするとはどういった心境の変化ニャ?」

 

「・・・俺が一番知りたいくらいだ」

 

「ほほう。つまり恋「そんなんじゃないと思う」ニャ?」

 

「なんかな、ただ今を共にしないと後悔する・・・そんな気がしたんだ。両親が死んだと聞いたあの時のもっと色々なことを教えてほしかったという後悔・・・に似た何かなんだろう。全く分からないから困るばかりだ

 

「だからそれがこ、フギャ「まぁご主人の気持ちもわからなくないニャ確かにご主人は上からの指示で離れるかもしれないニャ。そうなれば今は未熟な狩人が残る。後を託す、というより放り投げるとあれば心配するのも仕方ないニャ」・・・それと、まだ探しているのニャ?」

 

「・・・何時かボヤいたのが失言だったか」

 

振り返る過去。おぼろげな記憶。ただこの両親に連れられてやってきたユクモ村で出会ったリンと名乗る少女。

『お互いハンターとして名を上げて再会しよう』今はどこで何をやっているのだろうか・・・。

正面から聞くのも今更だがこっぱずかしいからと探り探りだが全く情報が無い。

それこそ年の誓い同年代はレイナ以外にいないらしい。村を出たか、それとも・・・。

「ニャー。しかしこの川、サシミウオの産地かニャ?釣れるこちらとしてはありがたい事ニャンだけど・・・釣りすぎるのもダメだニャ?」

 

「いんや。上流はさらに数が群生している。心配はいらんだろうが、釣りすぎも良くないだろう」

 

「おや、噂をすればニャ」

 

いつの間にかレイナが来ていた。

 

「さて、どっちが取るか、賭けるニャ?」

 

「サシミウオの大身、じゃこのところ味気ないニャ」

 

「ニャらガーグアのモモはどうニャ?」

 

「おぉ、いいニャ」

 

「・・・なんか賭けが勝手に始まってるんですが、放っておいていいの?」

 

「いいだろ。賭けるってことは言いかえればお前が俺についてこれている証拠ってわけだろ?」

 

「・・・そう、なら本気も本気で行くわよ!!」

 

そうして日常とかしたユウヤとレイナの立ち合いが繰り広げられた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・なんで勝てないのよぉ・・・」

 

「そりゃ経験の差だろ。技量は追い付いてるだろ。後は経験を積んで上手く立ち回ることだな」

 

「そう涼やかに言ってくれるけど、無理難題に聞こえるんですけど?あともう一つ」

 

「なんだ?」

 

「ハンターが対人戦闘力を身に着けるのって違法じゃない?」

 

ハンターはモンスターを狩るのが生業であって人殺しなどもってのほか。なのにユウヤは立ち合いでレイナの修行を行っていた。

 

「確かに本格的な立ち合いでそれこそ人を殺めるための修行となればいずれお沙汰が出るだろう。だが俺たちがやっているのは レイナの太刀筋の確認だ。外から見るのと実際に受けるとでは感じ方が違うってもんさ」

 

「ならいいけど。それとこの後・・・」

 

「あぁ。少し汗流しに浸かりに行くか」

 

そう言って二人は川原もとい稽古場を後にした。

 

「やっぱり二人とも少なからず意識してるんじゃないかニャ?」

 

「ご主人もだけど、レイナ嬢も幼いころに両親を失ってるそうニャ。大切な人を失った痛みがあるからこそ、楽しめる今を楽しんでいるんだろうニャ。気づいて無いようだけど」

 

だが当の本人たちは当然温泉にて少なからず因縁というには穏やかな一面があった。

「「プハァァァ!!」」

 

「「ん?」」

 

「「・・・。」」

 

「なんか・・・最初のころと違って・・・」

 

「なんと言えばいいのやら・・・」

 

最初こそ同じ動作で風呂上りの一杯を目の前で飲み合って、そのまま一触即発の雰囲気であったが、いつの間にか別の意味でなんとも言えない空気であった。

だが当人たちからすれば嫌な気分の反対の、安。、今日も生きていたという一時の安堵を確かめる一杯に変わりつつあった。

 

しかし平穏は続かない。

 

「巨大なドスファンゴ?」

 

「えぇ。実物を見た方は通常のドスファンゴを見たことがあると言っていました。その方が異常と票数ほどの巨体。群れをなしているかは不明ですが、そのドスファンゴとジャギイなどが縄張り争いをすれば渓流の幸を得ることは難しくなるでしょう」

 

「しかし異常に巨大化したドスファンゴ・・・何か心当たりはない?」

 

「メゼポルタでの記憶でなら一つ例がある。老齢、もしくは群れをはぐれた末、幾重にも苦難を乗り越え異常なまでに発達した肉体を得た個体。まぁ特異な個体を特異個体と分類されるな」

 

「対処法は?」

 

「巨大な図体から繰り出される突進。これがかなりの地響きを起こすんでな、ヤツが突進の態勢に入ってから対処するのはほぼ間に合わん。だからこちらは機動力を持って相手するしかない」

 

「わかりました。では討伐は私たちが引き受けます」

 

「・・・特異個体。少々早いでしょうが、これも常駐ハンターを心がけるとなれば仕方のない事。ですが無理はしないこと。よいですね?」

 

「はい!!」

 

ガーグアで移動する最中、レイナは色々と考えていた。ユウヤがいれば何とかなる。だけど、いなくなった後、異常事態が起きたら残されているのは私だけ。だからこそ、学べるときに学び、力をつけなければならない。

 

「そう眉間にしわを寄せるな」

 

「・・・でも」

 

「未来のことなんて何もわからない。まずは今起きていることを片付けるのが最優先事項だ」

 

「わかっては、いるんだけど・・・」

 

「ともかく、狩猟開始だ」

 

キャンプからでて見た渓流は一段と静かだった。水場をうろつくガーグアも、巣に近いジャギィも以上に大人しかった。

 

「これが、特異個体・・・」

 

「デカいな。足痕からして森の中に進んだか」

 

ユウヤを先頭に森を進むとその先には普段の二回り以上の体格を持ったドスファンゴがいた。

 

「あれが・・・本当にドスファンゴ?」

 

頭部の体毛は赤く染まり、通常よりも巨大化した一対の牙。そして並みの建物ほどの高さを持った巨体が目の前にいた。

 

「よし、往くぞ!!」

ユウヤの号令の下、一気に私たちは仕掛けた。アイルーたちが投げナイフや爆投砲を使い狙いをあやふやにしたところで私とユウヤの一閃が効いた。当然、最初の狙いは巨大な牙。

少し練気が操れるようになってから私の刀の鋭さも冴えを見せていた。

 

だが牙を折られたドスファンゴは何も気にしないのか、そのままノータイムでその巨体をぶつけ私たちを弾き飛ばした。

 

「問題ないか?」

 

「えぇ、鈍いのを貰ったけど、まだ戦える」

 

「なら次は足だ」

 

「機動力ね」

 

ドスファンゴは体格と比べれば足は細いほうだ。だが目の前のドスファンゴは体格に見合った足を持っている。

私はここ数か月で学んだ足さばきを活用して一瞬で間合いを詰めた。ドスファンゴは突進すべく準備に入っていたのが幸いしてか、前足を切断とまではいかないけどダメージは与えられた。

 

だが突然、ドスファンゴは逃げるようにして足を引きずりながら移動し始めた。

 

「ローラ、準備は?」

 

「既に仕掛けてあるニャ」

ドスファンゴが逃げた先には無数の罠があった。シビレ罠に周囲の木々を利用した紐による束縛。

そして私がトドメに動けなくなったドスファンゴの首を落とした。

 

こうして初の特異個体との狩りが終わった。デカイ図体なだけあって村には運びこまれたらすぐに村を上げての祭りとなった。そんな中、一人寂しげに座っているヤツがいた。

 

「混ざらないの?」

 

「何時かはわかれることになるだろう。離別、死別・・・馴染みすぎるとと思ったらな」

 

「と、とにかく今は楽しむべきよ!!」

 

そう、変なところで根暗なアイツを引っ張って私は祭りの中心地に躍り出たのであった・




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