その手に握る刀は何のために   作:ユウヤ

7 / 18
第六話 刀神の由来

「にっしても、これは派手にやってたようだな。」

 

持って帰ってきたアオアシラをほとりに持って帰り、ついでに他の人たちに今までレイナが狩ったモンスターの死骸を同じようにほとりに持ってきてもらった。そして今はユウヤがそれぞれの死骸を見て使える素材を切り出していた。だがユウヤが来る前に倒したアオアシラは異常に焼け焦げていたのだ。

 

「あ~それはね・・・かなり爆弾使ったのよ。撃退するだけじゃ変わらないって思ってさ。」

 

焦げ具合を見る限り大タル爆弾Gも使っているようだ。それほど必死だったと言うことだろう。討伐時のことをレイナと話しながらユウヤはドスジャギィ4頭とアオアシラ2頭の解体を終えた。

 

「で、できそう?」

 

いつもと違って不安そうにレイナがユウヤに結果を聞く。

 

「まぁ、数があるから問題は無い。ここにギルド支部が無くて正解だったな。あったらこの半分ほどギルドに持っていかれるからな。さて、素材を荷車に積んで作業開始だな。」

 

「でも、もう日が傾いているわよ?」

 

レイナの言うとおり既に夕刻、空は茜色に染まっていた。

 

「どの道お前は明日狩りに出れない。それに防具を作るとなると半日はかかる。だから早めに作っておくに限る。」

 

「わかった。でも無理はしないでよ。」

 

「もちろんだ。」

 

そう言って素材が満載の荷車をユウヤが引き、レイナが押してユウヤの工房まで運び込んだ。

 

「ふぅ・・・後は作るだけだな。レイナ、ユクモノ装備を。」

 

「よろしく頼むわ。」

 

「承った。あぁ、ハカマはそのままの形では使えないんだが・・・その、形を崩しても良いか?」

 

「うん、新しい装備に生まれ変わってくれるならユウヤのやりやすいようにして良いわ。」

 

「わかった。あぁ、レイナはもう休んでくれ。俺が防具を作っている間村を守れるのはお前だけだ。休める時に休んでいてくれ。明日の朝にはできる予定だからそん時に取りに来てくれ。」

 

「わかったわ。」

 

そう言ってレイナは自宅へ帰っていった。

 

「さて、始めるとしますか。」

 

そう言ってユウヤは作業を始めた。まずはどんな防具にするかを決めるためスケッチブックに部位ごとに分けて描いていく。今回はユクモノ装備の面影を残したまま、実戦に耐えうるようにするのが目的だ。

 

「・・・っとまぁ、こんな感じか。」

 

大体の完成予想図が描けると、防具の下地になるユクモノ装備の修繕をする。しかしよく考えたらこのユクモノ装備は本来、狩猟用防具ではない。ユクモ村では新米ハンターの装備として扱われているようだ。

 

「それにしてもこれは酷い。かなり破けているな。」

 

そう言って先の戦闘で破れた胴着を手馴れた手つきで縫っていく。酷いとは言っても破れたのは胴部分で周囲で当て布をして縫うだけですぐに完了する。

 

「まずは・・・胴だな。」

 

そう言ってアオアシラの甲殻をいくつか選別して胴当てと背当てに丁度良さそうなのを複数選ぶ。選定した甲殻の裏を平らになるように削っていく。削り終わると甲殻を小札に加工していく。幸いにもアオアシラの甲殻が曲がりやすいようになっていたので切断にはさほど苦労しなかった。切り出すと一枚一枚丁寧に紐で結んでいく。これがかなり時間がかかった。

 

「ふぅ・・・久しぶりに小札なんて作ったから時間がかかっちまったな。」

 

自分の装備にも複数の部位に小札を使っているのだが、ユクモ村に来てからは一度も新しい紐に交換ために分解していなかった。レイナの防具ができたら自分の防具もメンテナンスしないとな、と思っていると胴当てと背当てを組み合わせて胴が完成する。完成した胴組み立てて置いた防具用飾台に仮置きして次の作業に移る。

 

「次に羽織には・・・アオアシラの毛皮を使うか。」

 

羽織りにある程度毛を切って平らにしたアオアシラの毛皮を縫い直した胴着に当てながら時には裁断し、時には縫い合わせて調整していった。レイナの正確な体格は測っていないが預かったユクモノ装備の大きさで大体の体格はわかるのでさほど苦労することは無かった。

 

「飾りに襟の部分を毛で装飾っと。これで羽織は完成だな。」

 

羽織は脱着のことを考えて袖なしタイプにした。ユウヤは飾台に胴着を着せて胴を付けてその上から羽織を着せて具合を確かめる。

 

「ふむ・・・肩鎧には棘を少々削った腕甲をそのままで十分だな。案外アオアシラの腕甲は飛竜種レベルの固さがあるからな。」

 

ユクモノ装備の色に合わせてドスジャギィの皮をセンショク草・黒で染めていく。染まり終わって、さわっても色移りが無いのを確認して胴着の肩になるように縫い合わせる。肩当にも紐を通して着脱式にする。

 

「次は籠手だな。」

 

そう言ってユウヤはユクモノコテに合わせて袖を作っていく。使うのはセンショク草・黒で染めたドスジャギィの皮だ。袖を縫い終わると次は前腕を守るための甲を作る。甲にもアオアシラの甲殻を使う。何分、アオアシラの甲殻は薄いのだが小札のように加工すれば下手な飛竜防具レベルになる。

 

「ふぁぁぁぁ・・・眠いが仕方が無いからな・・・。」

 

そう言ってユクモノコテにアオアシラの甲殻でできた小札の甲を付ける。ユクモノコテを基にしたので袖を新たに作る必要が無かったので時間はそこまでかからなかった。次に腰当てを作る。

 

「コイツもユクモノオビを使うか。当て布にドスジャギィの皮を当てて、草摺りを付ければ良いかな。」

 

そう言って再び小札を作り始める。その間にユクモノオビの腰布をセンショク草・黒で染色する。合計八枚の小札ができると黒く染まったユクモノオビの腰布の上からアオアシラの小札を取り付けていくと腰当てが完成する。完成した腰当てを飾台に飾る。

 

「さて、次は足だな。」

 

そう言ってユウヤはユクモノハカマを具足の下地に縫いかえる。裏地にドスジャギィの皮を使って基礎耐久を底上げする。次に腿を守る佩楯・膝を守る立挙にはアオアシラの甲殻を、足を守る臑当にはアオアシラの腕甲と、今回の装備製作にはアオアシラの素材を大量に使用している。個人的にアオアシラの素材が好きだからと言うのもある。そう考えているうちに具足も完成する。

 

「残るは頭だけだな。流石にカサは使えないからな・・・。」

 

ユウヤはユクモノカサを離れた場所に置き、倉庫から複数の鉱石を持って工房に戻る。モンスターの素材の大半はドンドルマを立つ時に売却したが、希少なモンスターの素材や鉱石系は全て持ってきている。おかげで倉庫は素材だけで埋まっていた。その中からレイナの現在のHRに合わせた二種類の鉱石を持ってくる。鉄鉱石とマカライト鉱石だ。まずは鉄鉱石をいくつか炉に入れてひたすら鍛錬する。鉄鉱石は鉱石の中では硬度は最下位レベルだが、大量に使って鍛錬すれば話は別だ。他の鉱石は硬すぎることや入手し難いのが原因で鍛錬がし難いのだが、鉄鉱石は鍛錬しやすいので軽量かつ硬くすることができるのだ。

 

「原型はこれくらいだな。」

 

最初は20個に及ぶ数があった鉄鉱石は鍛錬が終わったときにはユウヤの手に収まるくらいになっていた。だが硬さは上位のカブレライト鋼に及び、重さはマカライト鋼よりも軽いと言うものになっていた。これに今回の装備素材の大半をしめるアオアシラの青色に合わせてマカライト鋼で額部分を装飾する。それから肌に当たる部分に当て布を忘れずにつけ、最後に額の裏から紐を通して完成する。

 

「さて・・・完成だな。」

 

最後に完成した半首を飾台に飾って一息つく。流石に無いとは思うが一応塵などが付かないように布を被せた。完成したことへの安堵なのかそのまま椅子に座って寝てしまった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。