―黒と緑の物語― ~OVER LORD&ARROW~ 作:NEW WINDのN
飛ばしても話はつながるようにしていますので。
王都を包む炎の壁へと、冒険者たちは緊張の面持ちで進んでいくそして、炎の壁へと近づくにつれ顔色がどんどん悪くなっていく。それも当然だろう。近づけば近づくほど死地へと向かうことになるのだから。
「なんだって、こんな時に王都に来ちまったかな」
「そんなこと言っている場合じゃねえだろう!」
立派な体格の
「……もしこの王都が堕ちたら、次は俺たちの街エ・ランテルが狙われるかもしれないんだぞ」
「そうだよ。それに僕たちだって王国の冒険者だ。今は王国の危機なんだよ。アローさんやモモンさんだけに任せておけない。僕だって……アローさんに褒めてもらった弓の腕前で役に立ってみせるんだ」
先日エ・ランテルで行われた“漆黒との触れ合いイベント”。その中で、アローの弓矢教室に参加した
「おしゃべりはそこまでだ。来るぞ! 覚悟決めろよ!」
「はい。コタッツさん!」
たまたま一緒に王都へと遊びに来ていた
臨時パーティの前に獰猛な獣が現れる。大型の犬のような姿をしており、口からは赤い炎のようなものが見えている。その数は見える限りで10体。当然ただの獣ではない。
「
「おう!」
「
次々と放つ矢が的確に
「すげえ……」
「弓の才能があるっていうのは、本当だったらしいな! 続くぞ!」
「「はい。コタッツさん」」
彼らは被害を出すことなく
「油断するな! 気を引き締めていくぞ!」
「おうっ!!」
今度は先程の倍を超える20体以上の
◆◇◆ ◆◇◆
「でりゃああああああっ……」
“蹴って唱える”
「私の蹴りを受けて起き上った
笑みを浮かべて
「相変わらずその靴は強烈ですね。しかも自分で支援魔法かけて強化しているのだから、タチが悪い」
両手にはめたガントレットを鮮血に染めた筋骨隆々な男が声をかけてきた。彼もカタッターレと同じく
「タチが悪いとは失礼だな。誰かと思えば“ナグロスじゃねえか」
「お久しぶりです」
「おう。しばらく前に合同チームで一緒に冒険して以来じゃねえのか? あれ以来なかなか合同チーム組んでくれなかったしなー」
「ははっ……あなたが酔うと歌うあの“褒め殺しソング”を聞きたくなかったんでねえ」
ナグロスは日焼けした顔をクシャクシャにして笑う。
「ちっ、酒場のおねーちゃんたちには、評判がいいんだけどな」
「ははっ……、カタッターレ、右へ飛んでください!」
「おうっ!」
カタッターレが飛んだところへ、ナグロスが突っ込み右のガントレットで、噛みつこうとしていた
「ぎゃうっ……」
今度こそ絶命した
「あなたの蹴りを受けて起き上った
「ふん。そいつは人間じゃねえからなっ!」
二人は笑いあう。戦場での束の間の笑いだった。
「ところで、お仲間はどうしたよ?」
「治療の為に下がっています。今この戦線はかなりキツイ戦いですからね」
ここで唸り声が聞こえてきた。どうやら、今倒したのと同じ
「チッ、またいらっしゃったようだぜ」
「“
ナグロスが両手のガントレットを打ち鳴らす。
「いくか!」
「ええっ! 王都のために!」
二人のストライカーが、突撃を敢行する。
「そうは行かない、突撃は俺の専売特許だぜ!」
右に漆黒モデルの直剣、左に刀を持った二刀流の
「うおおおおおおおおっ!!」
右の直剣で
「しゃあああっ!!」
さらに戻した剣で
「リュウマか。さすがにやるな」
「ああ。二刀流の戦士だったよな。もうすぐ
こんな会話をしながらも、カタッターレは蹴りで
(それにしても両刀使いか……ちっ、俺もやりたかったなぁ……)
ナグロスは元々剣を使っていたのだが、まだ冒険者に成りたての頃に武器を失い、仕方なくガントレットで殴ってゴブリンを殺す羽目になった。その時つけられた二つ名が“鉄拳”である。
(俺はカッコイイ魔剣使いになりたかったんだけどなぁ……こっちの方が馴染んでしまったんだよなっ!)
突っ込んできた
「まだまだやれるぞっ! 着いてこい!」
「おーっ!!」
この戦線は3人の冒険者たちに引っ張られて押しているが、相手は次々に湧いてくる。
冒険者たちは一人、また一人と傷つき倒れ、後方で衛兵たちが維持している防衛ラインへと退いていった。
前話に引き続き今回登場のゲストキャラの紹介です。
”蹴って唱える”カタッターレ(毒々鰻様 提案)
”鉄拳”のナグロス(炬燵猫鍋氏様 提案)
”両刀使い”のリュウマ(丸藤ケモニング様 提案)
上記3キャラクターは、以前募集させていただいた新シーズンの登場人物案にて応募いただいたものになります。
またコタッツはシーズン3第11話『展示』にも登場しています。