ゲーム至上主義の世界にゲーム苦手な男が迷い込んでみたら・・・ 作:amamamama
設定の矛盾、感想、誤字脱字等ありましたらぜひご報告ください。
この世界は変だ。
「くっそぉ!また負けか……」
「そういうわけなんで今回の仕入れ値も据え置きって事でよろしく」
世の中のあらゆる揉め事をゲームで決めるこの世界……
「そこの兄ちゃん、ここを無事に通りたかったら俺達とゲームしな!」
そんな世界に突如飛ばされたらどうなるだろうか?
俺はオンラインゲームはよくプレイする。しかしそれといって強いわけではない。
オセロ、チェス、囲碁、将棋などの零和ゲームはルールは分かるが絶望的に弱いのだ。故にこの世界で暮らしていくのは絶望的……
「……分かった、盟約に従ってゲームは俺が決めさせてもらう。ゲーム内容は――――」
☆
「ボーナスが入ったな……」
俺は無事に街へとたどり着いた。そこそこの額の金と3人分の衣服を手にして……
取り敢えず服を古着屋に売り払う、これで少しの間生活できるだろう。
この世界は全てゲームで決まる。あの唯一神の言っていたことは本当だった。
酒場や飯屋、果ては道端でゲームに興じている。何かしらの賭けをしているのだろう。
使われているのはチェスやトランプなど、俺の苦手分野だ。此方から勝負を仕掛けることは出来そうにないな……
腹から悲鳴が聞こえた。俺は朝からなにも食べていないことを思い出す。
近くの飯屋は無いものかと街を歩いていると小さなパン屋を見つけた。
「すみません、パンをください」
代金を支払い紙袋を受け取る。店を出ると袋からパンを1つ取り出して一口齧る。
「……味気ないな」
決してマズいわけではない、とても味が薄いのだ。甘いわけでもなく塩辛いわけでもない、砂糖や塩などが少ないからだろう。
バターとかマーガリンはこの世界に無いだろうか?
「何処でもかしこでもゲームやってんなぁ」
さすが盤上の世界だなんて感心していると……
「当たり前よ、今は次期国王選定の真っ最中なんだから」
背後から声を掛けられた。
振り返ると一人の女性が立っていた。
黒装束で顔はベールで隠されてよく見えない、ミステリアス……というかとても怪しい。
「もしかしてその国王選定もゲームで?」
「当たり前じゃない、それ以外にどうやって決めるというの?」
俺達の世界のトップがこの世界を見たらどう思うだろうか……
「それで、貴方は出場するの?」
「俺はゲーム苦手だから」
ベールの奥で彼女は目を丸くした。
「……まぁいいわ、私としては敵が減って万々歳よ」
「まぁ頑張れよ、アンタが次期国王になったら……そうだな、パンには砂糖をふんだんに使うよう決まりを作ってくれ」
俺の言葉に彼女はふふっと笑みを漏らした。
「なにそれ、まぁ考えておいてあげるわ。私の名前はクラミー・ツェル、次期国王になる名前よ」
そう言い残すと彼女は去っていった。
「クラミー…ねぇ、俺と年齢変わら無いほどなのに大した野心を持ってるんだな……ん?」
誰かからの視線を感じた。辺りを見回してみると建物影からローブを着た人が此方を見ている。
その不審人物は俺の視線に気付いたのか足早に去っていった。
「何だアイツ、まぁいいか」
ゲームが苦手な俺が迷い込んだ盤上の世界、この世界での生活はまだ始まったばかりだ。
そして俺はまだ知らなかった。
元居た世界で都市伝説とまで言われている天才ゲーマー、『