ゲーム至上主義の世界にゲーム苦手な男が迷い込んでみたら・・・ 作:amamamama
前に無人島に漂流したら何をするかみたいな本を読んだことがある。
これって異世界でも使えるだろうか。
どうして異世界に迷い込んだらどうするか書かれた本を読まなかったのかと俺は若干後悔してる。
持ち物:ノート、ペンケース、スマホ、バッテリー、本、腕時計、家の鍵、盗賊からパク……勝ち取った金、これだけだ。
これでどうしろと言うのだ神様よ。
フラフラと歩いていると豪勢な建物が見えてきた。
「はぇ~、立派な建物……」
門へと向かっていると――――
「おい、そこのお前ちょっと止まれ」
「ん、俺のこと?」
衛兵みたいな男に止められてしまった。もしかしてここって結構重要な建物だったりするのか?
「お前以外に誰が居る?今は国王選定戦の真っ最中だ、怪しいやつを通すわけにはいかん」
俺そんなに怪しいのか?ちょっとショックだ。
あれ、そういえばこの世界って殺傷を禁止されてるんだよな……
俺はそのまま門へ向かおうとする。
「あ、コラ!聞こえないのか!?」
怒号を無視して俺はなおも進む。
「貴様!これ以上の反抗は敵対行為とみなしてゲームで戦ってもらうぞ!」
やっぱりそう来たか。
「そうですか。なら受けて立ちましょう」
「フン、余裕なツラしていられるのも今のうちだぞ、俺はあらゆるゲームに対応できるように衛兵を育成する士官学校を主席で卒業したんだ。貴様のような若造なんぞ5分で――――」
5分後…
「ぐっ……参りました」
ガックリと膝を付いて頭を垂れる衛兵。
「通らせていただきます。あ、別にカチコミとかじゃないんで大丈夫ですよ」
声が届いていないのだろうか、衛兵は無反応だ。
まぁいいや。
中に入ると庭園が広がっていた。そして奥に見えるのは荘厳な城塞。
もしかしてVIPの邸宅に入っちゃったか?
ぞろぞろと出てくるさっきの男と同じ格好をした衛兵たち、ざっと数えて十数名。
やべぇな…
皆が俺を今にも殺してしまいそうな目で見てくる。まぁ実際に殺されることは無いのだが……
「貴様が侵入者か!?」
「変わった格好をしているな、大陸の者か?」
十数人の衛兵相手にするのはちと辛いな。となると現段階ですることと言ったら1つしか無いよなぁ!
「よし!」
太極拳のように手を振りながら体を180度回転させる。
「「「???」」」
見たことのない動きに目を白黒させる衛兵達。
そして俺は力強く地面を蹴った。
「逃げるんだよォ! 」
猛ダッシュ!サラマンダーより速いかどうかは別として高校時代50メートル走5秒台だった時の脚力は未だに健在だ。
それに向こうは正装で動きづらい筈だ。大して俺はTシャツにジーンズという比較的ラフな格好。
目指すは正門、そのまま街へ入って人混みに紛れたら見失うだろう。
しかし相手も軍人、正門に向かう通路からぞろぞろと衛兵がやって来た。
仕方ないので方向転換、城の中を動きまわりつつ裏口を探す作戦に変更だ。
城内は予想外な事に一般人がとても多かった。恐らく国王選定戦のせいだろう。
嬉しい誤算だ。俺は人混みの多い方に進んでいくとホールに出た。
人混みをかき分けて前へと向かう。壇上には見たことのある人物が立っていた。
「クラミー…」
彼女も此方に気付いた様子だ。それを見た衛兵たちは彼女の知り合いと思い込んで退散していった。
「他に挑戦者はおらぬか?」
審判と思しき老人が叫ぶ。ここで名乗りを上げる者が居なければ彼女が次期国王になるということか…。
「では、次期国王はクラ――――」
「異義あり!」
老人が国王の就任を宣言しようとした時背後から怒号が轟いた。
逆転する某裁判ゲームの超有名なセリフだが元ネタを理解できたのはこの群衆の中でも俺ただ一人だろう。
入り口に立っていた二人。片方は痩身の青年、もう片方は小柄な少女。
モーセの十戒の出エジプトのように人々が道を開ける。二人はレッドカーペットの上を歩いてクラミーの前へと立つ。
「異議ありありってんで空白参上~」
空白って…まさかあの『
その名前を聞いて心底驚いていたのもまた俺だけだっただろう。