明久「僕が女の子に!?」   作:白アリ1号

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ゴールデンウィークが終わりましたね。
あっという間だった気がします……。

ですが、作者なりには楽しめましたし、2話分の更新もできたので、
おおむね満足でした。(*´ω`*)


56話 学園祭開催

sideアキ

 

 

「いらしゃいませ、何名様ですか?」

 

「2名です」

 

「かしこまりました、こちらへどうぞ」

 

学園祭開始早々お客さんが、ここFクラス経営の中華喫茶『ヨーロピアン』に来店してきた。

 

僕は対応に当たり、人数確認と席への誘導など、基本的な接客仕事を務める。

 

それにしても、このチャイナドレスは動きにくいな…………。

動きやすいデザインにするように頼んでおけばよかったよ。

 

それか、スッパツでも履いておけばよかったと思いながら、店のあちらこちらを回る。

 

「あの子、めちゃくちゃ可愛くね? すごい好みなんだけど」

 

「だな……しかも、衣装も似合ってるし……エロスを感じる」

 

「スリットの深さがいいね~、あの綺麗な足がたまんね~」

 

うぅ……客からの視線が痛い…………。

僕ばかり見てないで、他の女子を見たらいいのに。

 

恥ずかしさと緊張で、僕の精神的な体力も大量に消費している。

これはかなり根気がいる仕事だ。

 

「アキぃ! 2番と6番のテーブルに注文の品を運んでちょうだい」

 

「了解、美波」

 

厨房班から胡麻団子やウーロン茶などが乗ったトレイを受け取る。

 

えーと、2番がこれで、6番がこれか。

 

各テーブルに分けて注文の品を配る。

 

よーし、2番も6番も完了。

 

配り終えて次の仕事に向かおうとした時、

 

「あのー、ちょっといですか?」

 

「はい?」

 

後ろから声が掛かったので振り向くと、6番のテーブルに座っている女子生徒が声を掛けていた。

 

「どうかされましたか?」

 

もしかして、配った料理に問題でもあったのかな?

 

内心不安になりながら要件を聞いてみる。

 

「ご一緒に、写真を撮らせてもらってよろしいですか?」

 

「写真……ですか?」

 

どうやら要件は、一緒に写真を撮って欲しいそうだ。

 

撮影は禁止されている訳じゃないから……撮っても問題ないよね?

 

「いいですよ」

 

「ありがとうございます」

 

女子生徒は嬉しそうにポケットからカメラを取り出す。

 

カメラを常備しているとは、よほど写真好きなのかな?

 

「それじゃあ、西野さん。お願い」

 

「あ、了解」

 

女子生徒は隣に座っている西野さんという人にカメラの撮影を任せる。

 

「よし、撮るよー」

 

西野さんの声と共に女子生徒は僕の横に並ぶ。

 

ん? なんか、やけにべったりとくっついている気がするんだけど?

一緒に撮るとはいえ、ここまで密着する必要があるのだろうか。

 

「はい、ポーズ」

 

撮影人の西野さんはシャッターを切る。

 

「ん~……上出来」

 

1枚目にして、撮影成功のようだ。

 

「ありがとうございます、お時間取らせて申し訳ないです」

 

「いえいえ、お気になさらず」

 

僕はそう言い残し、次の仕事へ。

 

なんでいきなり写真撮影なんか頼んできたんだろうな……まぁでも、あの女子生徒、すごく嬉しそうにしてくれて、よかったな……。

 

「さて~、次の仕事は……」

 

「お前ら、しっかりやってるかー?」

 

「あ、西村先生!」

 

西村先生がFクラスに来店してきた。

視察かただ単に担任として、自分のクラスの出し物を見に来ただけなのだろうか?

 

「お、吉井か。学園祭でも相変わらずの格好だな」

 

「ははッ……いつも通りですよね」

 

いつも授業中だろうが、こんな格好をしているのだ。

西村先生がこんなことを言うのは当然だよね。

 

「お前の仮装姿には年季が入っている、いい働きができると思うぞ」

 

「年季って……これは僕の仕事なんですかね?」

 

西村先生は僕のやっていることにどんな認識を持っているのだろうか。

 

「施設向上のために頑張ることだな。俺もこの薄汚い教室で指導するのは気が進まんので、頼んだぞ」

 

西村先生は事を済ませたような表情で、Fクラスから出て行く。

 

この学園祭では施設向上のための予算が掛かっている。

 

僕たちもそうだけど、西村先生も同じ気持ちなのか……。

 

「ほらアキ、ボーッとしてないで、仕事しなさい」

 

「ん……? ああ、ごめんごめん、すぐに取り掛かるよ」

 

この後も、いろいろと忙しく、自分でも数えきれないほどの接客をした。

 

そういえば、姫路さんは「大盛況間違いなしですね」と言ってたけど、予想は見事に当たっていたな。

 

 

 

 

「だいぶお客さんが集まってきましたね」

 

「そうだね、姫路さん」

 

あれからしばらく経った頃、Fクラスは多くのお客さんで賑わっていた。

 

賑わってくるにつれて、接客の仕事にも慣れてきた。

後は終わるまで、作業継続で行けば問題ない。

 

と思っていたのだが、

 

「おいおい、こんなきったねぇ机で食べ物扱っていいのかよ! どうなってんだぁ!? この店は!」

 

突然、罵声が耳に入ってきた。

 

一瞬、耳を疑ったのだが、あまりにもはっきり聞こえたため、声のした方へ目を向けると、クロスで覆い隠したみかん箱が気に入らなかったようで、クロスを剥がして文句を言っているチンピラ2人組みがいた。

 

モヒカンと丸坊主とは……。

いかにもチンピラらしいコンビ。

 

「うわ……これは酷いな…………マジで」

 

「クロスで誤魔化していたのか……」

 

「これじゃあ、いくら接客の子がかわいくても、流石に食う気がしねぇな」

 

その様子を見たお客さんが口々に呟く。

 

「どうする? これって結構まずいんじゃない?」

 

「そうじゃな……言ってることは間違っていない気がするのじゃが……」

 

「……営業妨害、迷惑極まりない」

 

僕と秀吉とムッツリーニでプチ作戦会議。

どんな状況でも冷静に対処せねば。

 

「おい、ムッツリーニ、頼みがある」

 

横から口を挟む雄二。

 

「……何だ……?」

 

「実はだな…………」

 

雄二がムッツリーニに耳打ちをする。

 

「……了解」

 

ムッツリーニは雄二の頼みを了承する。

 

こんな時にムッツリーニを使うとは、どういうことだろう?

 

「ねぇ、雄二もどうするの? ここはFクラス代表である雄二が行くべきでしょ」

 

「そう思ってたところだ……よし、始末してくる」

 

雄二が指をポキポキと鳴らしながら、チンピラクレーマーコンビの元へ。

 

「まったく、責任者はいないのか! このクラス代表――ゴペッ!?」

 

「私が代表の坂本雄二です、何かご不満な点でもありましたか?」

 

丸坊主のチンピラを殴り倒し、責任者らしい口調で尋ねる。

 

あれは雄二の『パンチから始まる交渉術』だ。

常識的にあり得ない交渉術だが、こういった場合には最適な対応だ。

 

これで問題解決……だよね?

 

そして、1分も経たない内に……

 

「お、覚えてろよー!?」

 

倒れた相棒を抱えて、走り去って行く、モヒカンのチンピラ。

 

最後までチンピラらしかったです……めでたしめでた――。

 

「なぁ店、変えようぜ」

 

「そうだな、どんなに可愛い子が接客してくれても、これじゃあな」

 

「いい店だと思ったのに……残念だ」

 

し、と言いたかったが、全然めでたくなかった。

 

次々とお客さんが席を立って、店を出て行こうとする。

 

どうしよう、これじゃあ、悪評が広まって営業どころじゃなくなる。

 

「失礼しました。こちらの手違いでテーブルの到着が遅れてしまったので、暫定的に

このような物を使ってしまいました。ですが、たった今本物のテーブルが届きましたので、ご安心ください」

 

教室にいたFクラスの誰もが冷や汗を流していたところ、出て行こうとする、お客さんに深々と頭を下げながら謝罪をする雄二。

 

その後ろにはムッツリーニやFクラスの男子生徒の一部の人が立派なテーブルを運んでいる姿が見受けられた。

 

どこで手に入れたんだ? あんなに立派なテーブル。

 

いろいろと気になるが、問題は多分解決したことだし、あまり深く考える気にはならなかった。

 

「雄二、そのテーブルはどこで調達してきたの? あんな短時間でよく用意できたね」

 

「まぁな、ムッツリーニのおかげだ」

 

「え? ムッツリーニが?」

 

そういえば、さっき、雄二がムッツリーニに頼み事をしていたな。

 

「他のクラスから借りてきたんだよ、なぁムッツリーニ」

 

「……アキちゃんの写真と交換で、あっさりと……」

 

…………僕の写真との交換条件で……?

 

その……言いたいことは沢山あるけど……万事解決ということで、見逃しておこう。

なんだか、僕の写真が初めてまともなことに使われた気がするよ…………。




次回はあの人物が登場しますよ!
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