と思い、勢いで書いてしまった……。
sideアキ
「おはようございます、アキちゃん」
「佐藤さん、おはよう」
翌朝、いつも通り佐藤さんと登校途中で出会った。
「学園祭どうでしたか? Fクラスはとても繁盛したと聞いたのですが」
「うん、とっても忙しかったよ。おかげでクタクタだったけどね……ホール役をやらされて、1日目はチャイナ服着させられて、2日目は水着で接客させられたりで、もう大変だったよ……」
疲れたり、恥ずかしいやらで、昨日と一昨日はあんまり思い出したくない学園祭であった。
もちろん楽しかった時もあったけどね。
「チャイナ服と水着で接客したんですか!? 行けばよかったのに……」
「そういえば学園祭で佐藤さんと1度も会ってないね。忙しかったの?」
「はい、厨房係だったので……そこまで休んだ覚えはないですね」
「そうなんだ……」
視察に行った時、あれだけ常に多くの客がいたから、忙しいに決まってるか……。
「チャイナ服と水着姿のアキちゃん……見れなかったのが残念です……」
肩を落として、しょぼーんと落ち込む佐藤さん。
なぜこんなにも残念そうにしているのだろうか。
「朝から落ち込まないでよ。そんなに見たいなら、今度見せてあげるから」
「本当ですか!?」
僕がフォローを入れると、落ち込んでいたはずの佐藤さんは一瞬でパァっと明るくなった。
「う、うん、あんまり過激なものとかは控えて欲しいけど……」
「わかりました、約束ですよ? アキちゃん」
こうして僕と佐藤さんの約束事ができた。
考えてみるとコスプレする機会が日に日に増えている気がする。
そんな状況が僕にとっては複雑な気分だった……。
「……雄二」
「何だ?」
「……この前の話、覚えてる?」(※原作小説2巻の5~6ページを参照)
「この前? もしかして『如月ハイランド』のことか?」
「……そう」
「それがどうかしたのか? まさかプレオープンチケットが手に入ったとか……」
「……正解、約束通り私と今度行く」
「な、どうやって手に入れたんだ!?」
「……召喚大会で優勝して手に入れた、優勝景品がこれ」
「召喚大会の優勝者ってお前だったんだな……道理で姫路と島田が負ける訳だ」
「……そんなことより、今度私と行ってくれる?」
「あ~……あの話は気の迷いでなかったことに……」
「……最近、格闘技を覚えた」
「ぐおぉぉぉっ! 絞め技はやめろぉ……!」
「……行ってくれる?」
「うぅ……俺はお前とダラダラ遊ぶほど暇じゃないんだよ」
「……それなら、約束を破った罰として、この婚姻届に判を押す?」
「そ、それは……!」
「……行ってくれる?」
「…………はい」
どこからか、仲のよさそうなカップルみたいな会話が聞こえると思えば、霧島さんと雄二じゃないか。
朝から仲がよいことで……。
雄二と霧島さんのやり取りに耳を傾けながら、佐藤さんと登校する。
★
~学校~
「それじゃあ、またね、佐藤さん」
「はい。約束、ちゃんと覚えててくださいよ?」
「……覚えておくよ、じゃあね」
昇降口付近で、僕と佐藤さんはそれぞれのクラスへ向かう。
「さてと……今日は学園祭後でいろいろあるから、頑張らないと」
教室へと歩き出したその時、
「あの……吉井くん」
聞き慣れた声がしたので、声のした方向に目を向ける。
「あ、久保くん……おはよう」
「おはよう、吉井くん」
久保くんがそこにいた。
朝から会うことはあまりないので珍しい。
「昨日は大丈夫だった? いろいろあったけど……よく眠れた?」
「え? あ、うん、おかげさまで……昨日はありがとう」
あまり記憶にはないが、迷惑ばかりかけていたのは覚えている。
「いや、お礼は昨日貰ったから、もういいさ……それより、聞きたいことがあるんだ」
「聞きたいこと?」
「吉井くんを家まで送り届けた後なんだけど……あれは、どういうつもりだったのかな……?」
「え…………?」
久保くんから聞かれた質問に言葉が詰まってしまった。
そうだった、どうしよう……。
あれって、つまり……昨日の僕があまりにも寂しかったから、思わず久保くんに抱きついちゃって……うぅ……思い出したら恥ずかしい……。
思い出すと、こうして自然とあいさつを交わすことさえおかしい状況だ。
いつも通りに接してしまったことを軽く後悔。
…………正直に寂しかったって話したほうがいいかな?
でも、話してしまったら…………。
「あの吉井くん? 大丈夫?」
こちらの顔を覗き込んでくる久保くん。
きっと表情に出てしまっていたかもしれない。
「だ、大丈夫だから! うん、大丈夫」
「…………?」
焦って、変な言葉を返してしまい、久保くんは何か気になった様子でこちらを見つめてくる。
「そ、そうかい……あ、話を戻すけど昨日の――」
「貴様ら何をしている。遅刻する前にさっさと教室に向かえ」
横から、久保くんの言葉を遮るように、西村先生が怒鳴った。
もうそんな時間になっていたの?
今日は時間が経つのが早いな。
「は、はい。直ちに」
久保くんは小走りでその場を去った。
「吉井もさっさと行かんか。朝から補習室送りにされたいか?」
「い、いえ、それでは!」
僕もその場を去り、教室に向かった。
…………結局、何も言えなかった。
西村先生があの場に来なかったら、僕はなんて答えただろう。
そして久保くんはなんて言うのだろう。
複雑な気持ちと感情で、胸が締め付けられるような感覚に陥りながら、学園祭翌日の朝を迎えた。
感想と誤字脱字報告よろしくお願いします。