本好きと暗殺教室   作:与麻奴良 カクヤ

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お久しぶりです。
続きが思いついたので投稿を再開します。


自由に生きる人生
165 「22時間目 ふっかつの時間」


長い・・・永い夢を見ていた。

 

 

 

久しぶりに行われた『目を開ける』と言う行動に、私はこの世界に戻って来たんだ。と少し残念に思う。

 

目を開けるとまず見えたのは、知らな・・・見覚えのある天井だった。

 

膨大な記憶の中からこの光景を探ると、それは最も奥底にある記憶と同じ天井だと判断できた。

 

この世界での最後の記憶、私が暗殺を仕掛けた後に運ばれた病院だ。

 

 

 

 

 

ここまで確認した後、目を開けた時から気になっていたモノに意識を向ける。

 

巨大な黄色いタコだ。

 

正確に言えば、私の担任で月を破壊した超生物であり、私の人生を狂わせた張本人。

 

いや、人生を狂わせたと言うのは昔のこと、今ではこのタコに感謝すらしている。

 

 

 

 

 

そのタコは私を見て驚いた表情で固まっていた。

 

 

タコがここまで驚いている表情を見るのは初めてだ、今なら殺れるか?

 

面倒だからやめておこう。ホントに出来るかどうかも試していないから。

 

 

一瞬訪れた殺意を消し、あることに気が付いた。

 

 

タコは私の殺気に気がついていない?

 

それとも、気がついてなお、表情を変えなかった?

 

 

タコは一切表情を変えない。

 

ここは「分からない事がありましたら、何でも聞いてください」と言うタコ本人の言葉を実践してみることにした。

 

 

「何をジッと見ているんですか?」

 

 

私が声を掛けたせいか、タコは大層飛び跳ねて私に何本もの触手を伸ばして来た。

 

一瞬、とうとう生徒()にまで手を出したか!?この変体教師は、と思ったがどうやら違うようだ。

 

頭、首、腕と所々に触手の先を当てるだけ。

 

「機械と同じく脈は正常、その他も特に異常は見当たりません。若麻績さん、何か違和感を感じませんか?」

 

どうやら、タコは私の脈などを測っていたらしい。

 

器用な触手だ。

 

「先生がこうした行動に出ていることを不思議に思う以外、違和感は特に感じられませんが?」

 

「そうですか。ですが、本当に良かった」

 

私が違和感がないことを教えるとタコはほっと溜息つき、安心をしたふうに言った。

 

本当にわけがない。

 

いや、まさかと思うが・・・

 

「どうして、そこまでするのですか?私は寝て起きただけですよ?」

 

「若麻績さん、どうか驚かないで聞いて下さい。あなたは先程まで・・・生命活動が停止していました。」

 

生命活動の停止。

 

つまり、私は役目を果たしている間、この世界では死んでいたらしい。

 

問題はどの位死んでいたか、だ。

 

何日も、とかだったら何でもかんでも科学的理論を求めるこの世界では異端扱い、ファンタジー世界でも、死んだ人間が生き返るのは奇跡。

 

「先生がこの触手で調べたところ、完全に生命活動の停止から一時間弱、機械や人間による診断なら前例がいくらでもありますが・・・先生の触手が間違えるなんて!?」

 

どうにか誤魔化せそうだ。

 

 

 

タコによると、私の生命活動が復活してから話しかけるまでおよそ、二秒だったという。

 

星一つの寿命に近い時間、あの世界を管理していた私の思考は管理者になる前と比べて、恐ろしいほど早く回転するようになっていたらしい。

 

「・・・先生」

 

「にゅ?何ですか、若麻績さん?恐らく触手による未知の副作用かと私は思いますが、安静にしてください」

 

「先生、私はここから先、自由に生きたいと思います。応援してくれますか?」

 

自由に生きる。

 

管理者になる前だと自由に生きるなんて絶対に無理だと思っていた。

 

自由なんてもの私には与えられるはずがないと分かっていた。

 

 

「勿論、先生は応援していますよ」

 

タコはそれだけ言うと病室から出ていった。

 

今なら、私はこの世界を一人で生きていける。

 

さあ、ふっかつの呪文を唱えよう。

 

 

「マネジメントID:90682、システムログイン」




ここからカオス展開に!!

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