本好きと暗殺教室   作:与麻奴良 カクヤ

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昨日は申し訳ございませんでした。


183 「37時間目 一方的な要求の時間」

アリスは落ち着くと謝罪してきた。

 

 

「申し訳ございません。マスターの時間を私なんかの為に使わせてしまいました」

 

「別に構わないわ。ただ、アリスも人間になっていくのだから、私の命令を完璧に行うのもいいけど、時と場合によっては柔軟性を持つように」

 

「柔軟性ですか?」

 

「例えばさっきの場合、私はここで待つようにと言ったでしょ?」

 

「はい。だから言われた場所に寸分狂わずいました」

 

「そこ、私は寸分狂わず待てとは言ってないわ。この近くで私が気づくところならどこでもいいの。後、人が集まって来たでしょ?」

 

「そうです。立っているとどんどん集まって来て。・・・怖かったです」

 

「怖かったなら、逃げればいいじゃない?いったん逃げて、また戻って来る。最終的には私と合流できればいいのだから」

 

「っは!それが柔軟性というものなのですね!分かりました、マスター!」

 

「それじゃあ、ちょっと時間をくったけど、理事長室に行きましょう」

 

 

アリスに少しお勉強をした私は『ナビゲーション』を頼りに理事長室に向かった。

 

『マップ』で理事長先生が中にいることを確認すると、「ノックして、もしも~し」とドアを開けるのを我慢してノックだけをした。

 

 

「どうぞ」

 

「「失礼します」」

 

 

理事長先生に入室許可を貰うとアリスと二人して挨拶をして入る。

 

私は言葉だけだったがアリスはキッチリとお辞儀までする。

 

 

「それで、何の用ですか?若麻績さん。と・・・ホワイトシルバーさん」

 

「アリスの編入試験の結果を教えて貰いたいです」

 

「何故今それを?通知書は送るはずだが?」

 

「合格ですね。アリスは本人立っての希望により、A組ではなくE組に編入ということを理事長先生にお伝えします」

 

 

こちらの要件を伝える。

 

理事長先生の意志なんか関係ない。

 

 

「アリスさんは若麻績さんが用意した暗殺者、かな?」

 

「いいえ、ただの編入生という扱いでお願いします」

 

「・・・さっきから要件を突き付けるだけで、それが通るとでも?」

 

「アリス!」

 

「分かりました」

 

 

アリスは私の思考を読み取って、理事長室から出ていきアタッシュケースを持ってきた。

 

持ってきたアタッシュケースをアリスは理事長先生に見せるように開けた。

 

 

「一億あります。入学金やらなんやらです。アリスは明日から登校させますのでよろしくお願いいたします。要件は以上です」

 

 

言うだけ言って部屋を出る。

 

 

「ふぅ、疲れた」

 

「お疲れ様です」

 

 

私が溜息を吐くとアリスが労ってくれる。

 

さぁ、帰って読書をしよう。


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