タコと烏間先生の話が終わると烏間先生が言う。
「入って来てくれ」
「はい」
アリスは静かに入ってきた。
烏間先生を見て、タコを見つめる。
やがて視線を外すと今度はクラスの中を見渡す。
私に視線が合った時、嬉しそうな表情に変ったのが見えた。
「え~っと確か?」
アリスは後ろに振り向き、黒板に名前を書き、再び振り向く。
「アリス・ホワイトシルバーです。どうぞよろしくお願いいたします」
「はい。よろしくお願いします」
アリスが自己紹介をした後、タコの声だけが教室に発せられた。
誰もが声を出さない。
沈黙を破る一声が上がる。
「ほ、ホワイトシルバーさん?あの、驚かないの?」
クラス委員長の片岡が言った。
アリスはコテンっと首を傾げて少しの間、考えた後に答えた。
「あっ!この黄色い生物は何ですか?烏間先生?」
「ああ、奴は・・・」
烏間先生はアリスに私達が四月に聞いたものと同じ説明をする。
しまった。
アリスにタコの事を知らないふりをしろと言ってなかった。
何とか判断できたみたいだけど。
さっきから、私の方に向かって褒めて褒めてオーラを出してきている。
家に帰ったら、褒め倒そう。
説明がいつの間にか終わったのか、アリスが席に着いた。
私の隣、寺坂の逆側の赤羽を挟んだ向こう側だ。
アリスが席に着くといつも通りの学校が始まる。
アリスは今日一日注目の的だった。
授業中、問題を当てられても難なく回答。
休み時間には人が集まって質問攻め。
体育の訓練では、抜群の運動神経を発揮。
ナイフ格闘では烏間先生と張合い、射撃訓練では百発百中を誇った。
流石、私のアリス。
クラスになじんでいる。
私が関わっていると言う情報も出さない。
遠まわしに言った、命令が効いている。
学校が終わった。
アリスはまだ囲まれている。
私はいつもの様に山を下り、校門を出てテレポート地点に辿り着いた。
さて、さっさと帰ろ・・・アリスがまだ来ていなかった。
仕方がない。
本を読んで待つか。
十分後にアリスがやって来た。
「申し訳ありません、マスうぐう!!」
「黙って!」
遅れたこと謝ろうとしたアリスの口に手を当てて塞ぐ。
急いで『認識妨害』を使う。
そのまま、アリスの手を取って走る。
角を曲がって曲がって、何回目かの角を曲がった瞬間、『テレポート』を発動。
「あの、マスター?どうなさったのですか?」
「クラスの奴らに後を着けられてたわ。恐らく、アリスが何処に住んでいるのか知りたかった。単なる好奇心ね」
「全然気が付きませんでした」
活動報告覧にてちょっとしたアンケートをあげています。