バレンタインデーも終わり、クラス全員・・・登校を拒否している若麻績風月とその従者、アリス・ホワイトシルバーを除いた27人の高校進学が決まった。
「皆さん!第二志望以内で合格、おめでとうございます!!」
ある日のホームルーム、殺せんせーは一人の生徒以外の合格を祝っていた。
「本来この後に進路相談の予定でしたが、その前にやりたいことがあります!」
殺せんせーがうずうず、と待ちきれない態度で話す。
それに気付いた生徒たちも、手にクラッカーやジュースを持って今かと開始宣言を待つ。
が、殺せんせーが放った言葉は・・・
「編集作業です」
ドンっ!と教卓に乗せたのは大量の写真。
殺せんせーはご丁寧にも眼鏡をかけ、カツラを被り、ダサい服と上着をはおってパソコンをカタカタ、カチカチと操作する。
そんな担任の姿にクラス全員が声をそろえて
「「「「「何でだよ!!」」」」」
突っ込む。
そんな生徒たちに殺せんせーは笑顔で
「もちろん、卒業アルバムを作るんです。E組だけの!」
学校全体の卒業アルバムもう作ってあった。
そこには国家機密である殺せんせーの姿はもちろん、暗殺訓練や授業風景はなかった。
殺せんせーは自分が写っている写真や本当のE組の日常を込めたE組だけのアルバムを作りたかった。
その為の編集作業を殺せんせーはしたかった。
いつの間にか編集者のコスプレを辞めた殺せんせーが言った。
「この一年間、隙を突いて撮った秘蔵の自撮り写真三万枚!!皆さんで選定しましょう!!」
自由に見てくださいと、ドン!と写真を置いた。
数分後、そこから本人にとって恥ずかしい写真を速水、三村を筆頭に撮られていることに教室内は大騒ぎ状態になっていた。
そんな中、ただ一人だけ静かにクラスを見守っている者が一人。
「皆さん、楽しそうですね」
「ホワイトシルバーさん。貴方は行かないのですか?」
アリスは写真を見ているクラスメイトを少し離れた位置で傍観していた。
流石殺せんせー、気になったので声をかける。
「私は、編入して来て日が浅いので写真もありませんし」
「そんなことありませんよ。これを」
殺せんせーがアリスに見せたのは、編入初日の休み時間の光景が写っている写真だった。
「っ!いつの間に撮っていたんですか?」
「ニュフフフ、隙あらば撮ったと言ったでしょう。後はそうですねえ・・・これとか?」
「っは!!こ、この写真は!!」
アリスがここまで乱す写真を殺せんせーは見せた。
それは・・・
「マスターの寝顔写真ですか!?」
「えぇ、若麻績さんは写真嫌いですから、この様な不意を突いたのしか・・・」
「ほ!他にはどんなのが!!」
「食いつきますねぇ~。束の中に幾つかあるはずです、探してみてはいかがでしょう?」
「・・・はい!」
アリスは飢えていた。
生まれてから毎日一緒に暮らしていたマスターに会えない日が既に数週間。
写真でも良いからマスターを見たい。
その要求に逆らわず、アリスはクラスメイトがいる場所に走っていった。