雨の降る六月の日
今日新しい転校生が来るらしいがどうせ暗殺者だろうし期待もしてない。
私に被害があるかないかが心配なところだ。
初めに入って来たのは全身真っ白な服を着ている男が入ってきた。
彼は転校生の保護者らしい。
そして転校生は入って来た。
後ろの校舎の壁を破壊して。
インパクトのある登場の仕方だと思う。
壁を壊すなんてこと普通の人には出来ない。
それに外は雨が降っているにもかかわらず転校生は一切濡れていない。
可能性としては彼が使ったのは魔法などの非科学的な力。
なにそれホントにあるなら私も使いたい。
だが彼は先生の兄弟だと言う。
でも先生の反応を見ると兄弟ではないらしい。
一日観察というか本を読んでただけなのだが席が隣なので何をしているかがイヤでもわかる、先生と彼は似ていた。
結果甘いもの、グラビアが好きと言う点が似ていた。
なら小説でよくある同じ力には同じ力で対抗する毒には毒って事だと思う。
要するに触手には触手をぶつける戦法これなら生身の人間が殺るより格段に殺せるはず。
放課後になってクラスメイトが教室に残るなか私は家に帰った。
次の日、転校生は暗殺に失敗しどこかへ消えたらしい。
梅雨が明けたこの頃私の嫌いな学校行事ベスト3に入る『クラス対抗球技大会』が始まる。
E組は大会最後のエキシビションマッチに出なくてはならない。
今年はE組なのでサボろうとしたのだが競技が私を逃がしてくれないと思う。
今年の競技は男子が野球部の女子はバスケ部の選抜メンバーと戦らされる。
面倒だし別に何も言われなきゃやらなくてもいいから今年は休もうかな丁度先生の熱意は男子の野球に向いてるから。
「若麻績さんちょっといいかしら?」
ほら来た。
私が決めたとたんにこれだ。
本から目線を上げると…えっと誰だっけ?
今まで読んできた小説の登場人物なら分かるんだが現実はちょっと…。
確かクラス委員長の片岡さん?だっけ。
「若麻績さんバスケ部だったわよね?」
そう私は父の方針で小学一年生からバスケットボールをしていた。
小学校の頃は決して上手くはなかったものの交代要員として何度か試合にも出れたし勉強もそこそこできた。
中学は親に受験させられこの椚ヶ丘中学に進学、そのままバスケ部に入ったが勉強も運動も失敗今に至る。
「そうだけど」
「今度の土曜日時間大丈夫?」
「なんで?」
「なんで?ってほら女子全員で勝ちたいし。ほら経験者がいると対策が練りやすくレクチャーしてもらえるかって思って」